グローフェの山道を行くという音楽の楽器の違いについてです。
この曲の中でホルンのメロディー、同じものが2回繰り返して出てきますが、以下のURLでの演奏のようなのが普通だと思っていました。
大峡谷_3 -山道を行く- / GRAND CANYON -THE TRAIL- :Grofe - YouTube
ですが以下のようなのを聞きますと、これはグランドキャニオンが全部アップロードされていますので3曲目だけに注目いただきたいのですが、ここでは多分ですが、2回出てくるホルンのメロディのうち2回目、雄大なオーケストラの感じの方がホルンではなくトロンボーンになっている気がいたします。
グローフェ 組曲「グランド・キャニオン」 F.スラトキン/ ハリウッドボウル - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aIfGNoXaOAg
個人的にはこの、トロンボーンになっているバージョンの方も、いいトロンボーンだと思って聞いてしまいますけれど、同じ曲なのにどうして演奏する楽器が違ってしまうのでしょうか。
もしかして、もともと楽譜には、ホルンかトロンボーンのどちらかで演奏することが指示されている、ということなのでしょうか。
それとも、演奏者側か指揮者の判断で勝手に変えてしまったということなのでしょうか。なんとなくそれはないように思いますので疑問に思いました。
それにしてもこの音楽、本当にクラシックというより映画音楽のような感じもしますね。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「グランドキャニオン」の楽譜があるので確認しました(作曲者自筆のスコアのファクシミリ版だと思います)。
1回目は、オリジナルでは第1ホルンと第2ホルンが交替で演奏するようになっています。
2回目は、オリジナルでは2本のトロンボーンがユニゾンで演奏するようになっています。
最初の動画はオーマンディ&フィラデルフィアで間違いないと思いますが、
2回目はホルンではなく、指定通り2本のトロンボーンのユニゾンで演奏されています。
2本重なっていることと柔らかい音色で吹いていることでホルンとあまり違わないように聞こえるかもしれませんが、
この箇所では、ホルンは別の音を吹かなければならず、実際、弱音で聞こえにくいですが演奏しています。
(「雄大なオーケストラの感じ」を出すためにも、ここのホルンの和音はどうしても必要。)
ただ、1回目のホルンは、楽譜の指定のような第1ホルンと第2ホルンの交替ではなく、第1ホルンが一人で全部吹いています。
楽譜で第2ホルンに吹かせている箇所はやや音が低いところだけで、
たぶん第1ホルンの息継ぎのために、低音域を吹くことが多い第2ホルンに受け継がせたのだと思いますが、
そこまでしなくても一人で吹き切れるもので、メロディーの途中で奏者が交替しない方が音色も一貫するので、
ここは第1ホルンが一人で吹くことが多いと思います。
2番目の動画はハリウッド・ボウル管弦楽団のものですが、フィラデルフィアと違い、
普段映画音楽の録音スタジオなどで演奏している人たちが集まった楽団で、映画音楽的な色彩が強いです。
1回目のホルンの箇所は、フィラデルフィア同様、一人のホルン奏者が全部通して吹いています。
2回目のトロンボーンの箇所は、2本がユニゾンで吹く楽譜の指定通りではなく、
1本だけがかなりヴィブラートをかけて吹いているので、ちょっと古い時代の西部劇の音楽のように聞こえます。
ホルンの箇所については、作曲者は演奏が楽なように考えて交替するように書いたのだと思いますが、
そこまでしなくても大丈夫、一人で吹けるよ、って感じで、そういう習慣になっているんだと思いますね。
トロンボーンの箇所は、ホルンがソロだからトロンボーンも、という思いつきなのかもしれませんが、
そこのオーケストラ全体の雰囲気からいうと、フィラデルフィアのように柔らかいユニゾンの方がいいんじゃないかと個人的には思います。
ある程度娯楽性のある曲なので、演奏者によるこの程度の変更はままあることかと。
読みごたえのあるコメントをくださいましてありがとうございます。
そうでしたか。
こちらがホルンだと思っていた2回目のメロディーは、トロンボーン2本で吹いているものだったのですか。
これは聞いているだけでは判別できませんでした。特別難しいことをやっているわけではないはずですが、見事なものだなあと思うのは意外にもこんなときかもしれません。
ちょっと後出しジャンケンのようで申し訳ないことなのですが、よく売られている企画物で、聞きやすいクラシックの全集10枚組CD、のようなものの中で聞いたことのある山道を行くでは、演奏者は忘れてしまいましたが、確かにトロンボーンの2本で吹いているものがあったのを思い出しました。
残念なことにこのときの2本のトロンボーン、それほど上手ではなくて間延びしていた記憶がありました。あまり思い出したくない下手くそな感じでしたので忘れていました。ついでに、明らかにこれはトロンボーンとわかる感じの演奏、この時のものだけだったような気がします。別にトロンボーンが悪いわけではなくて、演奏がよくなかったのです。
楽譜上でどう書かれているかということも教えてくださいましてありがとうございます。これこそ一番知りたいところでした。演奏者側の判断で楽譜通りではなくなることもあるのですね。聞いているだけでも、おっしゃるようなことはあるかもしれないという気分がしてきます。
No.2
- 回答日時:
ハリウッドボウルオケのトロンボーン奏者は、クラシックオーケストラの奏者と比較すると、音が細(ほそ)い上に、ヴィブラートも最初からかけていて細(こま)かいので、スタジオミュージシャンだと思います。
音が細(ほそ)いのでホルンと似ていると思われます。
なお、グロフェの曲は情景描写なので、映画音楽と言われても遜色無いです。
同じアメリカの作曲家のコープランドも似た傾向になります。
おっしゃるとおり、ハリウッドボウルオケのもので確かにこの2回目のトロンボーンでのメロディー、クラシック演奏家ならばこんな風にはしないことでしょうね。
どんなクラシックの音楽の中にも、こんなニュアンスで出てくるトロンボーンのソロを、こちらが知らないだけかもしれませんが聞いたことがありませんでした。
そもそも楽譜上はソロではなかったわけですけれど。
スタジオミュージシャン、またはムード音楽、映画音楽を演奏する楽団の人たちの中に、こういうニュアンスでのトロンボーン演奏が現われるのを聞くことがありますね。
ハリウッドボウルのオーケストラがどんな人たちで成り立っているのかはわかりませんが、少なくともこのソロの部分についてはスタジオミュージシャンっぽい感じが濃厚というわけですね。ちょっと聞くうえで新しい視点が加わった気がいたします。
ありがとうございました。コープランドのことは知りませんでしたが同じ傾向の作曲家ということで関心がわいてきました。
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