大学受験の問題で錯イオンの生成反応式が問われる問題をよく見かけますがいくつか納得できない点があるので教えてください。錯イオンの配位数についてなんですが、僕が習ったのは「銀((1))イオンの配位数は2、銅((2))イオン、亜鉛((2))イオンの配位数は4、あとはだいたい6と覚えろ」というものでした。これでいくとアルミニウム((3))イオンの配位数は6になるのですが、水酸化アルミニウムに過剰の水酸化ナトリウムを加えると再溶解するという反応ではAl(OH)3+NaOH->Na[Al(OH)4]という反応式をかかされます。これだと配位数が4に思えてしまいます。残り2個はH2Oが配位しているのを略して表現しているのでしょうか?もしそうなら、何故OH-が4つ配位でとまるのでしょうか?配位子の配位する能力がかかわっているのでしょうか?4つのOH-は正八面体のどの頂点を占めているのでしょうか?もし水酸化アルミニウムにチオ硫酸イオン(配位力が強いと聞いたことがある)を加えると[Al(S2O3)6]9-のようなものを形成して溶解するのでしょうか?
なんだか質問だらけになってしまい申し訳ありませんが教えていただけるとうれしいです。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
どうやら私の最初の回答がponmasaさんを混乱させる要因になってしまったようですね...
言い訳になりますが、実は水溶液中のアルミン酸イオンを[Al(OH)4]-と表記するのはあくまでも便宜上でのものです。実際にはinorganicchemistさんが御指摘のとおりの6配位の寄与が大きく、私が示した4配位や5配位でいる確立は大変低いのです。Al3+を正八面対の重心におき、6つの頂点に酸素が位置する形で6個の水が配位、そしてH2O配位子(アコ配位子と呼んでいいのかな?)のうち12個の水素のうち4つがプロトンとして解離することによりヒドロキソ配位子4つ、アコ配位子2つになってイオン全体として一価の陰イオンである、ということです。ちょっと解りにくいと思いので図が載っているサイトを紹介しておきます。PDFファイルで全15ページの11ページ目に記してあります。
でもここまで説明が求められるのは大学入試では滅多にないと考えました。そこで「便宜上の表記に合う解釈」「高校化学で説明がつく様態」として現実には寄与が低い状態であるにもかかわらず4配位構造を提示したのです。これがまずかったようですね..
ついでにオクテット則ですが、以上のように考えるとponmasaさんが補足で述べておられるように「見かけ上は」12電子に見えます。そして安定です。ただこれをきちんと説明するにはアルミニウム-酸素間の静電的相互作用、酸素-水素間の水素結合、分極など高校化学だけでは(私には)説明しにくい点を述べなければなりません。感覚的には「水和」と述べてよいものかどうか...
最後に軌道混成など範囲外の話まで出して混乱させてしまい、すみませんでした。そしてMiJunさんやinorganicchemistさんの回答を参考にして下さい。
Organometsさん、どうもありがとうございます。錯イオン一つにしても奥が深いんですね。とりあえず、心のもやがとれました。くわしいご説明感謝してます!
No.5
- 回答日時:
オクテット則は基本的に周期表の第2周期までの元素にしか当てはまらないと
考えていた方がよいと思います。
もちろんClのようにオクテット則を満たしやすい元素もありますが、
P、Sなどはかなりイオン半径も大きくなりN、Oに比べて配位数(価数)
が大きくなります。このため自然と多くの電子が関与するようになります。
特に第一遷移金属錯体にはオクテット則(八隅説)の代わりに18電子則
というものが適用されます。名前からわかると思いますが、18個の電子が
存在するのが安定というものです。
ここでいいたいのは
「Al錯体はオクテットに従うのかそれとも18電子則に従うのか?」
という議論ではなく、
「周期表の場所によって安定な電子状態は常に変化する」
ということです。
高校の範囲でいえば、水素にオクテット則を適用はしませんよね。
そんな感じです。
(>Organometsさん。最近の日本化学会の勧告ではアクア配位子
と呼ぶように決められているようです。錯体の知識をお持ちの方が
おられるのは非常に心強いことです。今後ともよろしくお願いします。)
inorganicchemistさんどうもありがとうございます。なるほど、オクテット則が全てというわけではないんですね。まだまだ完全にわかったというわけではないですが、おかげで錯イオンの理解が一歩前進しました。にしても難しい!
No.3
- 回答日時:
(MiJunさんこんにちは。
今月末の学会発表に向けてだんだん余裕がなくなってきました。。。)Organometsさんがそれとなく書かれているとおり、錯体の専門的な議論を
展開すれば、それなりの回答はできるでしょうが、これまた Organometsさんが
書かれているとおりの理由で、やめておきます。
感覚的に理解するためには、電荷のことを考えるのが一番です。
ponmasaさんがこれまでに学んできた化合物の中で、安定に存在すると
考えられるイオンの価数はどれくらいですか?たぶん3価が限界ではない
でしょうか?(酸化数ではなく、イオンの価数です。)
イオンの半径にもよりますが、水溶液中で4価以上の電荷をもった
イオンが存在するのは難しいのです。
実際に中性の水溶液中ではAl(III)イオンは[Al(H2O)6](3+)のように
六配位で存在しています。これに塩基が加わると水分子から水素イオンが
引き抜かれて例のアルミン酸イオンになります。ちなみに、水素イオンが
三つとれた状態はAl(OH)3となり、電気的に中性となるため、いわゆる
水酸化物の沈殿が生じます。
> 配位子の配位する能力がかかわっているのでしょうか?
というよりもこれ以上はAlが電子を受け取れない、おなかいっぱい。
といった状態でしょう。
以上、まとまりのない回答ですが、興味があれば補足をください。
この回答への補足
どうもご返事ありがとうございます。少し補足をお願いします。[Al(OH)4]-はAl3+がOH-から電子を8個受け取りオクテットをみたしおなかいっぱいというのはわかったのですが、[Al(H2O)6]3+はAlが6つのH2Oから電子をいくつ受け取っていると考えたらよいのでしょうか?H2O1分子あたり平均8/6個でしょうか?それとも1分子あたり2個で合計12個の電子をAl3+がうけとっているのでしょうか?錯イオンは配位子の非共有電子対の配位結合によるものと理解していたので後者だと信じたいのですが、それでは典型元素のオクテット則が・・。混乱してしまいます。
補足日時:2001/09/08 02:29No.2
- 回答日時:
ウン(?)十年前に経験しました(歳がばれますが・・・?)!
ponmasaさん、「混成軌道」は高校では学びませんよね・・・?
まず基本的なことで、以下の参考URLサイトは参考になりますでしょうか?
「楽し高校化学」
◎http://www2.yamamura.ac.jp/chemistry//index.html
このHPで「Contents」で「錯イオン」等でキーワード検索されてはどうでしょうか?
頑張ってください!
補足お願いします。
参考URL:http://www2.yamamura.ac.jp/chemistry//chapter4/l …
この回答への補足
大変参考になるページを教えていただきましてありがとうございます。特にhttp://www2.yamamura.ac.jp/chemistry//chapter4/l …
は問題対策に役立ちそうなので早速頑張って覚えます。少し疑問に思ったことを。混成軌道については有機化学を学んだときに軽くならいました。Organometsさんは[Al(H2O)6]3+はsp3混成軌道であるからその形は正四面体であるとおっしゃっているのですがhttp://www2.yamamura.ac.jp/chemistry//chapter4/l …
によると正方形となっています。どちらが正しいのでしょうか?(今までアルミニウムイオンの錯イオンは正八面体形だけとばかりとお思っていた自分にとってはどちらの意見も驚くものなのですが・・)
No.1
- 回答日時:
大学受験ですか、頑張ってくださいね。
私もXX年前に体験しました。>錯イオンの配位数についてなんですが、僕が習ったのは「銀((1))イオンの配位数は2、銅((2))イオン、亜鉛((2))イオンの配位数は4、あとはだいたい6と覚えろ」というものでした。
うーん。大学入試に出てくる遷移金属の錯イオンは大体こんなものだろうか。。。実際にはこれに当てはまらないものも山のようにあるのですけど(他の回答者の方へ→配位子間の立体障害、18電子則など色々ありますからねえ)。。。 でもあなたを下手に混乱させることにもなりかねないので、ここではコメントは差し控えます。ただアルミニウムのような典型金属には当てはまりませんね。
>何故OH-が4つ配位でとまるのでしょうか?
銀、銅、亜鉛は遷移金属でアルミニウムは典型金属です。これが大きなポイントです。軌道の混成などは既に勉強されているでしょうか。[Al(OH)4]-は、正四面体の重心にAl、4つの頂点にOが位置する構造をとっています。すなわちAlの軌道混成はsp3ということです。メタンCH4やアンモニウムイオンNH4+と同じです。空のd軌道は混成にかかわりません。さらに[Al(OH)4]-のアルミニウム原子の最外殻電子数を考えて見ましょう。8電子でオクテット則を満たしています。多分大学受験化学ではオクテット則を満たす=安定という考え方がなされていると思います。
一方遷移金属では配位子と結合するため中心金属はs、p軌道のほかにd軌道も使った多彩な混成軌道を形成します。遷移金属の錯イオンの構造や配位数が複雑なのはこのため、と考えておいて良いでしょう。
(大学受験レベルで配位数を説明するのはsp3やd2sp3の混成軌道を使うのが良いのかなあ、他の回答者の方の説明も是非参考にして下さい。)
以上のことを理解してもらえれば
>水酸化アルミニウムにチオ硫酸イオン(配位力が強いと聞いたことがある)を加えると[Al(S2O3)6]9-のようなものを形成して溶解する
ということは起こり得ないと解ってもらえると思います。
長くなりましたが、要は典型金属と遷移金属の違いに目を向けて考えてはどうか、典型元素であればオクテット則を考えてみてはどうか、ということです。
(実は上記に当てはまらない物質もたくさんあります、例えば典型元素なのに6配位のイオンなど。でも大学受験レベルではあまり出てこないと思います。)
どうも回答ありがとうございます。なるほど、といった感じです。なかなか参考書にはOrganometsのおっしゃっているようなことは載っていなくて、化学を勉強するとき、たくさん疑問がでてきてしまいます。めげずに頑張ります!
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