No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
【種田山頭火】『定本 種田山頭火句集』(大山澄太 編 弥生書房 1972)より。
月は隈なく波のしぶきに揺る花白し
月が昇れりわがまへの花ひらくべし
月見入る子が寝入れば月が顔照らす
よい湯からよい月へ出た
月が昇つて何を待つでもなく
月かげのまんなかをもどる
雲がいそいでよい月にする
うしろから月のかげする水をわたる
ほいないわかれの暮れやすい月が十日ごろ
月も水底に旅空がある
月へ萱の穂の伸びやう
寝床まで月を入れ寝るとする
月は見えない月あかりの水まんまん
月の一枝ぬすませてもらう
よいおみのりのさやさやお月さま
月光あまねくほしいまゝなる虫の夜だ
月の光のながれるところ虫のなくところ
月へひとりの戸はあけとく
月からひらりと柿の葉いちまい
月が酒が私ひとりの秋かよ
仲秋名月
蚊帳の中までまんまるい月昇る
おとなりも寝たらしい月澄むほどに
【尾崎放哉】『尾崎放哉集―大空』(荻原井泉水 編 春秋社 1972)より。
こんな好い月を一人で見て寝る
菊の乱れは月が出てゐる夜中
月の出の船は皆砂浜にある
山の和尚の酒の友とし丸い月がある
月夜風ある一人咳して
なんと丸い月が出たよ窓
月夜戻り来て長い手紙を書き出す
【与謝蕪村】『蕪村俳句集』(尾形仂 校注 岩波文庫 1989)より。
名月にゑのころ捨る下部哉
身の闇の頭巾も通る月見かな
月天心貧しき町を通りけり
名月や神泉苑の魚躍る
広 沢
水かれて池のひづみや後の月
山守の月夜野守の霜夜しかの声
盗人の首領歌よむけふの月
鹿鳴くや宵の雨暁の月
名月や露にぬれぬは露斗り
月の宴秋津が声の高きかな(秋津=かむろ)
獺の月になく音や崩れ簗
五六升芋煮る坊の月見かな
後の月かしこき人を訪ふ夜哉
後の月鴫たつあとの水の中
三井寺に緞子の夜着や後の月
【松尾芭蕉】『芭蕉俳句集』(中村俊定 校注 岩波文庫 1970)より。
たんだすめ住めば都ぞけふの月
影は天の下てる姫か月のかほ
詠(ながむ)るや江戸にはまれな山の月
けふの今宵寝る時もなき月見哉
雲をり\/人をやすむる月見哉
名月や池をめぐりて夜もすがら
座頭かと人に見られて月見哉
寺にねて誠がほなる月見哉
賎のこやいね摺かけて月をみる
いものはや月待つさとの焼ばたけ
あの中に蒔絵書たし宿の月
姨 捨
俤や姨ひとり泣く月の友
いさよいのいづれか今朝に残る菊
深川の旧庵に帰て
木曽の痩せもまだなほらぬに後の月
福井洞栽子をさそふ
名月の見所問ん旅寝せむ
十五日、亭主の詞にたがはず、雨降
名月や北国日和定なき
おなじ夜あるじの物語に、
此海に釣鐘のしづみて侍るを、
国守の海士を入てたづねさせ給へど、
龍頭のさかさまに落入て、
引きあぐべし便もなしと聞て
月いづく鐘はしづめる海の底
名月や児(ちご)たち並ぶ堂の縁
名月や海にむかへば七小町
名月や座に美しき顔もなし
十六夜三句
やす\/と出ていざよふ月の雲
十六夜や海老煎る程の宵の闇
鎖(じやう)あけて月さし入れよ浮み堂
名月や二つ有ても瀬田の月
名月や門へさしくる潮頭
残 暑
夏かけて名月あつきすゞみ哉
十六夜はわづかに闇の初哉
名月の花かと見へて棉畠
名月の夜やおも\/と茶臼山
【贅語】
山頭火は月の句多く、抜粋となりました。あるいは佳句をおとした虞あります。ご寛恕のほどを。放哉は逆に少のうございました。
蕪村、芭蕉とも、類句は独断で一句を採りました。
仲秋に限らず、ひろく「月」の句を採りました。知識がないため、とんでもない句を採っているかとも思います。これもご海容の程を。
東京は、暑気いまだ冷めませんが、空は秋の色です。休日のひととき、静かに句集に向かう機会を与えてくださったscatsさまに感謝いたします。
ありがとうございました。
ネット上の俳諧関連データベース・「大歳時記」・「歳時記」・「季寄せ」etc.を見るだけでは得られないであろう作品群。
極めて詳細に、ご紹介いただきまして大感激しております。衷心より感謝申しあげます。
中国のメル友は中秋節には月餅を食べるとのことで、わたしも月餅を齧りながら月見をしてみました。
</font><font size=2>中国のお月見:
<a href="http://www.jrsw.com/zhongqiu/">http://www.jrsw.c …
Have a nice 中秋節,and some 月餅s.
No.2
- 回答日時:
こんばんは。
No.1です。中国には「後の月」を愛でる習慣はないとのこと。中国のメール友だちにご紹介してはいかがかと。
月餅には、思い出があります。ずいぶん昔ですが、北京に1年ほど語学研修で住んでいたことがありまして、中秋節に、大学から留学生へ月餅が配られたんです。こ・れ・が! 直径20cm、厚さ3cmもあろうかという代物。女性なんか、半分で満腹という……。味も、まあよくいえば大味で、口に合わないという人が続出。何の気なしに「そかな、美味しいじゃん」と呟いたら、どどどっと一部欠けた月餅が私の部屋に……。しばらく月餅とジャスミン茶で暮らしてました。
でも、月餅をかじり、ジャスミン茶をすすりながらの月見、にわか仲麻呂気分。なかなかでした。でも、口をついて出る歌が、「天の原ふりさけみれば~」でなく「♪富士の高嶺に出る月も~京都先斗町に出る月も~」だったあたり、俗気紛々といったところ、いつしかお茶も紹興酒に替わり、杯盤狼藉も凄まじく……。
いま思えば、異国語にひたったことが、自国語を問い直すきっかけになったと思います。「外国語を知らないものは、自分の国語についてなにも知らない」(『ゲーテ格言集』高橋健二編訳 新潮文庫 116p)を、ちょっと実感したかな? なんて思っています。
月餅のお話で、つい昔の記憶が溢れてしまいました。
ご容赦あれ。
ありがとうございます。
中華街の月餅、美味しいですけどねぇ。料理と同じように日本人向けにアレンジしてあるのでしょうね。
中秋節に食べることを初めて知りましたが、そういう意味では「月餅」ってザッハリッヒですよね。
現代の中国に1行詩を流行らせようと数人の網友に何度か提案してみたのですが、いまのところ動きがございません。議論で相手に勝つことが訓練されているのか殺伐とした感じの人が多いですね。
花見も七夕も月見も中国伝来の文化なんですけどね。
「後の月」のエピソード、伝えてみましょう。
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