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 「歌舞伎十八番」は市川(団十郎さんの)家に伝わる「家の芸」と聞いております。
 ところが、中には内容がわからず(台本がなく)今となっては上演できないものがある、とも聞いております。(うわなり、鎌髭、七つ面、解脱、不破、蛇柳など??)

 家の芸、と大事にする割に台本がない、ってどうしてなんでしょうか?(素人感覚だと、台本こそ大事にしまってありそうな気がしたんですが)

A 回答 (2件)

昔の質問に申し訳ありません、見かけたので。



歌舞伎の台本というのは、今のように役者さんのぶんを人数分まるまる刷って全員に渡したわけではなく、
・作者がまず一部書きます。
・それを役ごとに、その役のセリフだけを抜き書きします。これを「書き抜き」と言います。
・役者さんに渡されるのはこの「書き抜き」です。
「書き抜きをもらう」=「役をもらう」なのです。
・で、それぞれの「書き抜き」を持ってお稽古場に集まり、作者かお弟子さんが完全版の脚本を読み上げます。
役者さんがそれぞれ、もらったセリフの前後関係を理解するのはこの段階でです。
・お稽古します。

という流れで役者さんはセリフを覚えます。
しかも、昔のお芝居の場合、同じ演目を違う役者さんで出すとき、役者さんに合わせて内容をてきとうに変えます。複数のお芝居のストーリーを「ないまぜ」に混ぜたりもします。
年に何度もこういう作業をやりますので、古い本は残っていない事が多いのです。というか殆ど残っていません。
また「十八番」の残っていない作品というのは元禄期のもので、それらの全てが江戸末期まで上演されていたわけではないので、物理的にも保存は難しかったのです。

また、「対面」や「暫」などはご覧になったことがあるかと思いますが、ああいうものは決まった台本があったわけではなくて、いろいろな長いお芝居の一部に、「「暫」の趣向のシーンがある」とか、もとはそういう使われかたです。設定も細かいセリフも役名も毎回違ったのです。
というわけで、江戸初期に人気があってもその後上演が途絶えていた作品については、名前とおぼろげな内容が残っていても具体的なストーリーやセリフはわからないのです。
それでも、名優であった初代や二代目の功績を大切にしたかった七代目団十郎は、それらの作品を「十八番」に入れたのだと思います。
もちろん我々が知らないだけでこれらの残っていない作品の演出様式は今の歌舞伎、とくに荒事の演出に多大な影響を与えていることは間違いないと思われます。

あと「鎌髭」と「七つ面」は戦後に入っても一応上演はあるかと思います。「不和」については原型の古歌武器「参会名護屋(さんかいなごや)」の内容が記録に残っております。
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質問のお答えになるかわかりませんが。



歌舞伎はもともと台本があって上演するというよりは、脚本があって、それを芸から芸に伝えていくものです。
芝居の台本と違い、演技や舞台上の動きなどは伝承芸ですから、脚本の筋と台詞のみでは芸としてなりたちません。
ここからは推測ですが、その伝承の部分が抜けてしまっているものは、脚本自体は現存していても演目として成り立たないと言うことがあり、上演できないのではないかと思います。
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この回答へのお礼

早速にありがとうございました。

台本はあるけれど、演技が失われてしまった、ということですね。伝統芸能だと十分にありえそうですね。

以前、現・団十郎さんが持っている(勧進帳だったと思うのですが)台本をテレビで放送していました。ちらっと見た感じ、手書きでいろいろ書いてあったように記憶しております(記憶違いかもしれません)。
勧進帳のような今でも繰り返し上演される作品は、伝承はもちろん、台本に書き込み?もあるのかもしれませんね。

それにしても、家の芸、と銘打つならば、最優先で稽古する等、伝承面でも工夫のしようがなかったのでしょうか・・・?!

お礼日時:2005/10/10 19:34

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