No.5ベストアンサー
- 回答日時:
補足質問を拝見しました。
えっと、まず、わたし、全然博識じゃないです。たまたまリアル・タイムで見ていたのと、たまたま興味のある記事だけ読んでいるだけですんで。というわけで、#2さんがどういう意図で2作を挙げたのかはわかりません。また、その2作とは、フランスのドキュメンタリー映画の『SHOAH ショア (1985)』と、メリル・ストリープ等が出演したテレビ映画の『ホロコースト/戦争と家族(1978)』でしょうか。だとしたら、前者は恥ずかしながら記憶にありません。後者は話題になりましたが、何せテレビ映画なので、話題性の質が違ったと記憶しています。78年という、まだ技術が未熟だった時代にして、詳細にホロコーストを描いた点で評価されていたような気がします。
ただ、#2さんがおっしゃるのは「映像作品として」の評価の大きさなのではないでしょうか。『パッション』の場合は「これは画期的な作品が登場した」という評価の他に、「こんなふうに歴史を解釈している人がいるなんて」とか「やっぱり、ほんとはユダヤ人ってこうだよね」とか、作品の芸術性や技術などとは本来無関係の「物議」を醸したわけなのですが。
さて…
>メル・ギブソンは「反ユダヤ」の意識はなかったとのこと。では、それに比較してスピルバーグにはその逆の意識はあったと考えてよいのでしょうか。
おっしゃっていることがよくわからないのですが、少なくともメジャーと名のつく製作者で、わざわざ反ユダヤという差別的な意図を持つ人など今どきいないと思うのですが?? ましてや、スピルバーグはユダヤ人なのですし。ちなみに、私が#4で追記したのは、#3だけだと、ギブソンが本当に反ユダヤ主義者なのだという誤解を招く恐れがあると思ったからであって、ギブソンも「他の数多くの製作者たち同様」反ユダヤ主義者ではないと、私は思っています。
たびたびありがとうございます。
せっかく回答をいただいておりましたのに、反応が遅くなってしまってすみません。
ふと気になったのですが、ユダヤ人が被害者として描かれる映画に対して、パレスチナとかは異を唱えたりはしなかったんですかねぇ。
「シンドラー~」などはラストでイスラエルへの問題すりかえのようなことがされてるように思えますし。
そんなに騒ぎになるほどのことではなかったんですかね。
もしくは当時はパレスチナの声はあまり取り上げられなかったか。。。
自分でもあまりにも映画と政治的状況を関連させようとしているなぁとは思うのですが、どうしてもそう考えてしまいます。
No.4
- 回答日時:
念のために追記させてください。
ギブソンは反ユダヤのつもりで『パッション』を作ったのではないと弁明しています。人々の心が911テロの影響で荒れていた公開当時、イエスの受難体験に触れることでみんなが優しい気持ちになれればいいと思ったそうです。ギブソンとしては、自分がともに育ってきた宗教から受けた感銘を、観客と共有したかっただけなのでしょう。尚、予断ですが、『パッション』の2年前、『戦場のピアニスト』で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディは、オスカーの舞台で、プレゼンターとの熱いキスで会場をわかせておいて、ホロコーストの悲惨さに触れつつも、故郷クイーンズから戦場に赴いている友人の無事の帰還を祈るスピーチを披露しながら、右派左派両者に配慮しています。同授賞式では、宮崎駿監督が米国政府に抗議してか、出席を見送りました。黒いドレスの目立つ、まさに“戦時中”のピリピリしたアカデミー賞授賞式でした。
この回答への補足
たびたびの丁寧なご回答ありがとうございます。
エイドリアン・ブロディのオスカー受賞、見てみたくなりました。文化が政治の影響を受けないなんてことは不可能ですよね。むしろその時代の政治を反映していない映画が受け入れられることはないであろうし、逆に映画などの文化が政治を動かすこともあるのではないかと思っています。
ということで、ucok様の博学さとお優しさに甘えた今一度の補足質問をお許し下さい。
メル・ギブソンは「反ユダヤ」の意識はなかったとのこと。では、それに比較してスピルバーグにはその逆の意識はあったと考えてよいのでしょうか。1993年と、戦後50年目前というタイミングで作られたことにも製作者側の意図を感じてしまいます。
また、「パッション」ほどの物議を醸しだした映画は近年には見当たらないとのこと。では、NO.2の方のお答えに登場する「ショアー」などはどうなのでしょうか。これは私の指定した『近年』という枠から逸れるがゆえにおあげにならなかったのかと思ったのですが。不勉強で詳しくはわかっていないのですが、「ショアー」もヨーロッパなどではずいぶんと衝撃を与えた映画ですよね。この作品についてはどのようにお考えでしょうか。
お時間がありましたら、ご意見をお聞かせいただければ光栄です。
No.3
- 回答日時:
なるほど、そういう意味ですか。
確かに「パッション|ユダヤ」などと検索すると、「ユダヤ人の描き方が最も物議を醸した」なんて書いてあるサイトに行き当たりますね。実際、そうかもしれません。反ユダヤという観点から言うと、『シンドラーのリスト』と『戦場にピアニスト』では、ナチ側の一個人(片やシンドラー、片やピアニストに便宜をはかった将校)を善人として扱っているからユダヤ人が反発した、ということでしょうか。
んん、それはあるにはありましたが、『パッション』ほど大騒ぎにはなりませんでしたね。何しろ、『パッション』の醸し出した“物議”は海を越えて日本の社会面まで賑わせましたから。
おそらくそれは、『パッション』が(新約聖書にある通りとはいえ)ユダヤ社会全体を悪く描いているのに対して、他の作品はナチ全体を悪く描いた上で、その中の希少な一個人がたまたま善人だった「かも」という描き方をしているからではないでしょうか(シンドラーも将校も、ずるそうな一面を見せますので)。
ここで軽~く歴史のおさらいをしましょう。むかしむかしユダヤ教というものがありました。そこにイエスという“異教徒”が現れました。でも、その異教徒は大勢の民の心を救ったので、やがてキリスト教という一つの大きな宗教ができました。さて、時は現代。どういうわけか、ナチが権力を握るのに「反ユダヤ」という思想を打ち出しました。それに際して、今はみんなが愛するイエスを、むかしむかしのユダヤ人たちが弾圧したという聖書の記述を持ち出すのは好都合でした。そして、ホロコーストが生まれ、多くのユダヤ人が殺されました。逃れたユダヤ人の多くは、受け入れ態勢が整っていたアメリカに住むようになりました。
で、映画の話に戻ります。まず、イエスの生きた時代のユダヤ社会を描いた映画で、これほど「作品として」話題を呼んだものは、あまりありません。そもそもイエスを堂々と登場させた映画が少ないのです。今回、有名な俳優でもあるメル・ギブソンが監督・製作・脚本を手がけ、現代映画技術のすいを集めて当時を再現した作品ということで、まず「作品として」注目を集めてしまったため、それだけ宗教論争も大きくなってしまったのでしょう。
また、ギブソンが「パッション=キリストの受難」、すなわち「最後の12時間と復活」という珍し(くも娯楽性のな)いテーマに焦点を絞ってしまったため、どうしても、ユダヤ社会が加害者的立場として描かれざるを得ませんでした。
もう一つにはメガホンを握ったギブソンが、本来はユダヤ教とは相反するローマン・カソリック教徒であるのに対して、他2作品を作ったのがスピルバーグとポランスキーという、ホロコーストの犠牲者側の人間たちだというのも反発を招かなかったひとつの理由かもしれませんね。
そうした背景からか、『パッション』を見て「ほら、ユダヤ人はひどいじゃないか」という人は出てきても、他2作品を見て「ほら、ナチは良い奴らじゃないか」という人は、あまり出てこないのです。
さて、近年、『パッション』ほど物議を醸した映画はあったかどうか。んん、娯楽面、政治面、宗教面、歴史面のすべてにおいてここまで物議を醸した映画はなかったかもしれませんね。
No.2
- 回答日時:
どうも質問がよくわからないのです。
「ユダヤ人を描いた映画が公開されることによって、世論にはどんな影響があったのでしょうか。」というのはユダヤ人に対する国際的な同情が高まったとかナチの行為に対して改めて憤りを憶えるドイツ人が一杯いた、というようなことですか?だとしたらそれは殆どなかったといえるでしょう。むしろアカデミー賞の文脈で語られたことの方が多かったと記憶しています。
また作品の衝撃度も『ショア』や『ホロコースト』といった作品に比べれ小さかったと思います。
この回答への補足
わかりにくい質問ですみません。
そうえすね。国際的な同情とか憤りとか、ユダヤ人に対してのイメージ・印象とか・・・そういったものです。
では、『ショア』や『ホロコースト』といった作品ではそのような影響などはあったのでしょうか。
また近年の映画でそのような影響のあった映画は存在しますでしょうか。
またまたわかりにくい質問になってしまってすみません。
No.1
- 回答日時:
3つの作品をリアル・タイムで見てきました。
>有名な分大きな影響が出たのではないかと
それは違います。一種類の信仰に執着する傾向の少ない日本で生まれ育った人にはわかりづらいかもしれませんが、宗教というものは激しい論争を生むものです。ひいては戦争になったりしますよね。
『パッション』が即座に論争を生んだのは、宗派によって大きく異なる聖書の解釈に触れる部分が多かったからと、それも今まであった一般的で無難な解釈とは違う、大胆で、しかも教祖的存在であるイエスのあまりにも痛々しい姿を堂々と描いた点にあると言えましょう。イエスを心から慕い、尚且つ、キリスト教の“きれい”な部分しか見てこなかった人たちが強く反発したという印象が私にはあります。その上、大昔の話ですから、史実を確認するのが困難で、余計にたちが悪いのです。
反面、『シンドラーのリスト』や『戦場のピアニスト』の中で痛々しい目に遭うのは“所詮”私たちの知らない人たちですから、そこまでの反発はありませんでした。もちろん、どれも実在の人物を描いていますから、その人物自体に対する賛否両論が、映画をきっかけに改めて浮き彫りにされたり、毎度のことならが、ホロコースト自体の存在を信じていない人たちからの反発があったり、史実と微妙に違うとか、残虐なシーンがリアルすぎるという意見はありましたが、私の印象では、ホロコーストの2作については、よくある映画論争の域を出なかったと感じています。ホロコーストを扱った映画作りは今に始まったことでは決してありませんのでね。
更に、知名度としては、3作ともいい勝負ですよ。『パッション』が難解で娯楽性に欠けるため、キリスト教国でもない日本では振るいませんでしたが、技術面やドラマ性は、どれも評価されて本国アメリカでは話題を呼びました。特に、日本でも、芸能以外のニュースで一番多く登場したのは『パッション』だったはずです。
尚、こうしたヨーロッパの歴史・文化・信仰にまつわる論争は日本ではあまり激しくなりません。英語でよろしければ、データベースの掲示板などを通じて、各作品に対する一般視聴者の反応をうかがい知ることができますので、一応、リンクをはっておきます。
http://us.imdb.com/title/tt0335345/board/threads/
http://us.imdb.com/title/tt0108052/board/threads/
http://us.imdb.com/title/tt0253474/board/threads/
下記、日本語のデータベースのコメント欄も多少は参考になるでしょう。
http://www.allcinema.net/prog/index2.php
早速のご回答ありがとうございます。
なるほど。ずいぶん浅はかな質問をしてしまったようですね。
『パッション』でも物議を醸したのは『ユダヤ人』というより『キリスト教』ということでしょうか。
ユダヤ論?に影響を及ぼした映画かと思っていたので残念です。
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