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高度80~500kmは大気圏の中では熱圏と呼ばれるところで、その温度は、
高度150kmのところは約1000℃、高度500kmのところでは1200~1700℃にまで達するそうです。
しかし、そんな高温でも人工衛星が溶けてしまわない理由は、その空気の密度にあるそうで、
大気の密度が極めて小さくほぼ真空状態であるため、たとえ非常に高温であっても、
人工衛星は溶けてしまうことはないというのを聞きました。

また、その場所における空気の熱量を比べると、高度150kmの1立方メートルの体積の熱量は、
1000℃で0.0004kJであり、一方の地表15℃の1立方メートルの空気の熱量は354kJとなり、
その比は100万分の1程度になるそうです。
つまり人工衛星は、地上の100万分の1の比で熱されくいということになり、だから溶けない、
ということになるそうです。

しかし、このときこの熱量の計算は、“Q = mcΔT”で求めているのでしょうか?
[Q: 熱量、m:質量、c:比熱、ΔT:温度差]
少なくとも地表の354kJに近い数字がその式からは求まらないのですが・・・
この値はどのような式から計算されているのでしょう?
また、高度千数百kmの空気の密度はどうやって求めるのでしょう?
その場合は、比熱は同じと仮定して良いんでしょうか?
どなたか詳しい方教えて下さい。

A 回答 (7件)

ANo.3です。

何だかいっぱい回答が来ていますね。輻射というのも、ももちろん考えなければならないのですが、まず、人工衛星が大気との「伝熱」では温まらないということを示すのが先決かと思います。

>高度に対する大気の密度と比熱の関係の式も教えて頂けると
大変ありがたいです

密度は参考URL [2] に出ています。比熱は(参考1)で計算してください。

断面積が A [m^2]、速度 v [m/s] で周回している人工衛星( 温度 T0 )が、周囲の大気( 温度 T )と接することによって受ける熱流束 P [W] は、P = A*v*ρ*cp*( T - T0 ) となります。ρは大気の密度 [kg/m^3]、cp は大気の定圧比熱 [J/kg/K] です。

1気圧(地上)での ρ と cp は(参考2)で計算できます。
高々度での ρ と大気温度 T は URL [2] の表に出ています。その高度での大気の定圧比熱は (参考1)で計算してください。

人工衛星の速度は、第一宇宙速度 7.9 km/s (地表から離れるための最低速度)と第二宇宙速度 11.2 km/s (地球の引力圏から脱出する速度) の間として、v = 10 [km/s] = 10^4 [m/s] とし、人工衛星の断面積を 1m角の正方形として A = 1 [m^2] とすれば、j人工衛星が受ける熱流束 P [W]を式(1)から計算することができます。地上と高度 400 km では、P は 10^10くらいの違いがあるはずです。つまり、高度 400 km では、高温の大気によって人工衛星が加熱される度合いは非常に小さいということになるはずです。


(参考1) 【比熱の圧力依存と高度依存】
理想気体での気体の定圧比熱は、参考URL [1] によると
cp(理想) = ( f + 2 )/2*( R0/M ) --- (1)
f は気体の自由度、R 0は普遍気体定数で R0 = 8314.3 [J/mol/K]、M は気体の平均分子量である。地上での大気の平均分子量は M0 = 28.964 、自由度は5だから、 cp(理想) = 1004.7 [J/kg/K]となるが、実際の空気の比熱(地上)は cp(実際) = 1005 [J/kg/K] なので、大気圧の空気はほとんど理想気体とみなせる。つまり地上では大気の比熱の圧力依存は考えなくていい(一定としていい)。しかし、参考URL [2] を見ると、高々度では大気の分子量 M が変わるので、比熱が変わってくる。高度 400 km(熱圏と外圏の境界あたり)では M = 15.98 なので、式(1)で計算すると、地上での比熱を cp(地上) = 1005 [J/kg/K] とすれば、高度 400 km での比熱は cp(400 km) = 1821 [J/kg/K] となる。高度に対する分子量 M の式は参考URL [2] の数表から求めてください(最小2乗近似などで)。

(参考2) 【1気圧での空気密度 ρ と定圧比熱 cp の温度依存】 --- 文献 [3] の数表から最小2乗近似した式
ρ[kg/m^3] = 363.37*T^ ( -1.0047 )  (適用温度範囲 100 K < T(大気温度) < 1500 K)
cp [J/kg/K] = 1087.9 - 0.64912*T + 1.63e-3*T^2 - 1.3432e-6*T^3 + 4.7364e-10*T^4 - 5.7187e-14*T^5  (適用温度範囲 300 K < T < 1500 K)

【参考URL】
[1] 理想気体の比熱(比熱 (specific heat) の項)  http://es.ris.ac.jp/~nakagawa/term_collection/yo …
[2] 高度と大気物性(5ページ、表2-2)  http://pat.geophys.tohoku.ac.jp/lab/wclub01.pdf
【文献】
[3] 相原利雄「機械工学選書・伝熱工学」(裳華房)p.272
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この回答へのお礼

丁寧にコメントを下さり感謝です。
高度が上昇すると上空の空気の比熱は平均分子量が減るので地表の空気の比熱よりも上がるんですね。
それからしても一応理論上は、地表の空気に比べて温まりにくい(冷めにくい)とも言える訳ですね。
参考文献もご提示下さって本当に感謝です。ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/14 20:49

一番簡単な見積もり方は空気を2原子分子の理想気体として内部エネルギーを求めることだと思います。


U=(5/2)RT   
R=8.3J/mol・K
です。このUをその温度で1もlのくうきが持っている熱量と考えれば熱容量と同じになります。
15℃、1m3の空気は1000×273/288/22.4molですから
Q=2.5×8.3×273/22.4×1000J=253KJ
となります。
(5/2)Rは定積比熱ですが定圧比熱だと(7/2)Rです。
253×1.4=354

質問文の中の354KJという値はこの値のようですね。
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この回答へのお礼

なんと定積比熱でも!物理化学の授業で習いました。
これでも導けるとは・・・サイエンスは偉大ですね。
コメントありがとうございました。

お礼日時:2007/03/14 20:36

熱圏はすずしーんです。

^_^;

>高度150kmのところは約1000℃、高度500kmのところでは1200~1700℃にまで達するそうです。

分子は、太陽の磁気を帯びた電子を吸収して加熱します。

温度定義の15度、千度は、分子の温度です。
※そこの気温を指してはいません。

熱圏は、人間が暑いと感じないそうです。(だって真空だもん)
(理由。真空は、温度を蓄積出来ない。)
こうなると、基準はそこの分子の温度になります。

真空中の温度加温は、太陽の放射、直射のみです。

宇宙船は空気抵抗をある程度無視出来ます。
宇宙船の原子数が大きいので、分子激突数が1万個でも1度加熱させるのは困難です。
太陽の直射を受けない地球の裏側に入った場合、マイナスになるそうです。
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この回答へのお礼

やはり、結局空気の密度による効果が大きいということですね。
地球の裏側ではマイナスにという事実からしても、熱媒体の存在の大きさを
示しているわけですかね。
コメントありがとうございました。

お礼日時:2007/03/14 20:33

人工衛星の温度が決まるしくみは、ご提示のものとは少し異なるように思います。



1)比熱を拠り所にされているようですが、温度の上昇速度には関連するものの、平衡温度がそれで決まるとは思えません。外部から加えられる熱量と等号で結ばれるべきは、放射冷却による熱量ではありませんか。
2)大気温度とは、分子の速度です。1000℃といえど分子の平均速度は、1 km/s 程度でしょう。それに対し人工衛星の周回速度は 8 km/s にもなります。人工衛星が接触している大気分子は 8 km/s で衝突してくるのです。等価温度は、熱圏の温度とはかけ離れたものでしょう。

大気の作用による熱量は、こう試算できないでしょうか。人工衛星は、前方の空気分子を跳ね飛ばして進行します。前方質量流量は ρ* v [kg/s/m^2] 、力積として人工衛星前面が受ける圧力は ρ* v^2 {N/m^2]、仕事率として ρ* v^3 {W/m^2]をこなしている事になります。これが全て人工衛星を加熱するというわけでもありませんが、上限としてオーダの目安くらいにはなりませんか。

http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taiki …
のデータをたよりに、密度ρを 1e-11 [kg/m^3] と置いてみると、ρ* v^3 は、5 [W/m^2] と計算されます。(ただし熱圏の密度変化はかなり大きいとの記述も散見されます。)

人工衛星の平衡温度を決定する主項目として、太陽放射熱:1400 [W/m^2]、衛星表面絶対温度の4乗に比例して増加する熱放射(黒体常温なら400 [W/m^2] 程度)、内部消費電力などがあるでしょう。これらに比べ 5 [W/m^2] は些細な値ですが、とりあえず、この熱量が追加されれば、放射冷却も等量増加しなければなりません。衛星温度が上昇して再平衡する理屈です。どんな面積で大気に衝突し、どんな放熱面積があるかなど条件も本来列挙すべきところですが、大雑把に、1℃にも満たない温度上昇で、補償放射熱量は得られるように思われます。

熱放射に関しては、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E6%94%BE% …
に式があります。ちなみに黒体、常温付近なら1℃上昇で約 6 [W/m^2]の放射熱増加が得られます。
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この回答へのお礼

なるほど、比熱の考え方はここではあてはまらない・・・熱力学のイメージが乏しくて、
完全に私自身が理解するまでには至っていないように思いますが、
結局密度ρが非常に小さいというのがかなり利いているのは同じことのようですね。
非常に専門的な解説ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/14 20:29

調べてきましたよ。

でも送ったメールが自宅に届いていませんでした(?)。明日回答しますのでまだ締切らないでください。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。お手数をお掛けして恐縮です。
よろしくお願いします。

お礼日時:2007/03/12 23:09

ん?


m=密度*体積(適当に1.225キロとした)
定圧比熱を1.0にした。(ちょーてきとー。^^;)

公式もらいっ!^^
354=1.225*c*温度差
温度差=354/1.225
=288

288-15=273
ちゃんと出たけど?^^;
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。
どうやら質量と比熱の単位を間違って計算していたようです。
なるほど、ちゃんと出ますね。
ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/12 11:00

>つまり人工衛星は、地上の100万分の1の比で熱されくいということになり、だから溶けない



その通りです。その高度での大気の熱容量( m*c [J/K] )が非常に小さいので、大気が持っている熱エネルギー“Q = mcΔT”が小さいので人工衛星がもらう熱エネルギーも小さいということです。

>このときこの熱量の計算は、“Q = mcΔT”で求めているのでしょうか? 

そうですが、m (大気の質量)というのは単なる単位体積の質量でなく、人工衛星にぶつかっている(熱を与えている)大気の質量です。断面積A [m^2] の人工衛星が速度 v [m/s] で周回しているとき、人工衛星にぶつかってくる大気の体積流量は A*v [m^3/s] になります。これにその高度での大気の密度 ρ [kg/m^3] をかけたのが、人工衛星にぶつかる大気の質量流量 [kg/s] です(1秒間でρ*A*v [kg] の大気が人工衛星に熱を与えている)。Qというのはエネルギー[J]ですので、人工衛星が大気と接触している総時間が分からないと出ない量です(一定速度ならどんどん増えていく)。ですから、"Q = mcΔT" を時間で割って時間 [s] あたりに受ける熱エネルギー P(= 熱流束 [W] )に換算すると、P [W] = ρ*A*v*c*ΔT となります。ρ はその高度での大気の密度 [kg/m^2]です。

>また、高度千数百kmの空気の密度はどうやって求めるのでしょう?
その場合は、比熱は同じと仮定して良いんでしょうか?

高度に対する大気の密度と比熱が書かれている書籍を持っていますが、今、手元にその本がありません。明日なら回答できます。
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この回答へのお礼

非常に専門的なご回答ありがとうございました。
なるほど、かなりよく分かりました。人工衛星の場合は、単なる大気の質量ではなくて、
大気の質量流量がポイントになるのですね。
また、時間の積算によっても、Qはある程度上昇していくわけですか。
ただし、あまりにもQが小さい値なので、衛星を溶かすには至らない。

これだけ詳しくお答えを頂いておきながら、少々図々しいお願いですが、
もしよろしければ、高度に対する大気の密度と比熱の関係の式も教えて頂けると
大変ありがたいです。よろしくお願いします。

お礼日時:2007/03/12 11:12

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