No.2ベストアンサー
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c-myc 遺伝子の転写抑制因子に、FIR(FBP Interacting Repressor)が存在します。
FIR(FBP Interacting Repressor)は、癌抑制遺伝子で有名な【p53遺伝子】と類似の機能性があります。
FIR の転写活性部位のアミノ酸の一部を削除した変異 FIR 蛋白では、c-myc のアポトーシスが誘導されず、細胞は癌化します。
よって、癌原遺伝子である c-myc が、見かけ上 アポトーシスを引き起こしたように見えた現象は、c-myc 遺伝子の転写抑制因子である FIR(FBP Interacting Repressor)が正常に機能した結果と考えられます。
【参考文献など】
以下、千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学、分子病態解析学、遺伝子生化学、環境影響生化学、Laboratory of Pathology, National Cancer Institute, National Institutes of Health, U.S.A.の研究論文から引用
米国がん研究所の DavidLevens らは c-myc 遺伝子の調節に関して、DNAconformation や DNA topology を考慮したユニ-クな考え方を提唱している。即ち遺伝子の転写が RNA ポリメラーゼにより開始されると、転写開始部位より上流には2本鎖 DNA に物理学的に負のねじれ(negativesupercoiling)が起こり、逆に転写開始部位の下流では正のねじれ(positive supercoiling)が起こると考えられる。この supercoiling の状態を感知・補正するのが DNA melting(2 本鎖 DNA が 1 本鎖 DNA にほどけること)であり、FUSE は c-myc 遺伝子の転写により DNA melting を起こしている部位と考えられている。転写に伴って起こる DNA の物理的変化は蛋白合成を伴うフィードバックシステムよりもずっと早い転写調節を行い得ると考えられる。また FBP は DNA melting した 1 本鎖 DNA に結合することができる single-strandDNA binding 蛋白であり、強い c-myc 遺伝子転写活性を持つ転写因子である。 このように FBP は c-myc 遺伝子の転写を、転写に伴う DNA の構造変化を感知することにより調節しているのではないかと考えられている。
Yeast two-hybrid 法により HeLa 細胞の cDNA ライブラリーから FBP に結合する蛋白質を探したところ、FIR(FBP Interacting Repressor) が同定された。
FIR は TFIIH の機能を抑制することにより c-myc 遺伝子を転写抑制することが示された。TFIIH は 2 本鎖 DNA を 1 本鎖にほどいて(heicase活性と呼ばれる)転写開始に関与する一方で DNA 修復(DNA repair)にも関与している。FIR は TFIIH のheicase 活性を抑制することにより遺伝子の転写抑制をしていると考えられている。
ヒト白血病細胞における、グルココルチコイドを用いた実験ではアポトーシス誘導に c-myc 遺伝子の抑制が必須である。また B 細胞を用いた系ではアポトーシスを誘導する化学物質はいずれも c-myc 遺伝子の発現抑制と深くかかわっている。c-myc のアンチセンスオリゴヌクレオチドをいくつかの種類の細胞に導入してもアポトーシスが誘導される。
一方 IL-3依存性の骨髄細胞において、IL-3 を枯渇させると同時にc-myc 遺伝子を強制発現させるとアポトーシスが誘導される。また血清を取り除いた培地で Rat1 線維芽細胞に c-myc 遺伝子を強制発現させるとアポトーシスが誘導される。これらの実験結果から c-Myc の細胞内の不適切な発現はいずれもアポトーシスを誘導することが示されたが、その詳細なメカニズムについては不明な点が多い。 我々は FIR が人工的に遺伝子導入された c-myc プロモーターからの転写抑制のみならず、細胞内に存在する内因性の c-myc 遺伝子を直接転写抑制することを示した。
さらに FIR を HeLa 細胞に遺伝子導入すると細胞死(アポトーシス)が誘導された。このことから、FIR はc-myc を抑制することによりアポトーシスを誘導していることが示唆された。一方ヒト大腸癌および種々の癌で c-myc 遺伝子が発現増大していることが知られている。そこで我々は、種々の癌でみられる c-myc 遺伝子の発現増大に FIR の異常が関与しているかを調べるとともに、この FIR を用いた遺伝子治療の可能性について検討した。(方法は省略)
No.1
- 回答日時:
もっと新しい論文もありますが、
とりあえずこのあたりを読んでみてはいかがでしょうか。
http://www.nature.com/onc/journal/v17/n25/abs/12 …
http://www.nature.com/onc/journal/v18/n19/abs/12 …
http://mcb.asm.org/cgi/content/full/19/1/1?view= …
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