以下の、「走れメロス」ネタ元エピソードで太宰治が述べた「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」の意味が分かりません。色々なサイトを見てみましたが、この言葉の真意とか核心に迫る記述が見つかりませんでした。私には、怒り心頭の壇一雄を、更に血管切れそうなくらい怒らせてその反応を見て楽しみ、からかいまくろうという台詞にしか思えません。要するに、さんざん好き放題遊んで、金を使い切って当然の結果としてきた事態によって、他人をさんざん地獄に落としておきながら開き直ってるんでしょ。借金踏み倒しだの詐欺だのさんざんやっておいて、裁判の席で鼻くそほじってるオヤジと変わらないと思うのですが。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B0%E3%82%8C% …
懇意にしていた熱海の村上旅館に太宰が入り浸っていつまでも戻らないので、奥さんが「きっと良くない生活をしているのでは...」と心配し、太宰の友人である壇一雄に「様子を見て来て欲しい」とお願いする。 往復の交通費と宿代等を持たされ熱海に向かった壇を太宰は大歓迎。壇を引き止めて連日飲み歩きとうとう預かってきたお金を全て使いきってしまう。 呑み代や宿代も溜まってきたところで、壇を人質にと説得し太宰は東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行ってしまう。数日待ってもいっこうに音沙汰もない太宰にしびれを切らした壇は宿屋と飲み屋に支払いを待ってもらい井伏のもとに駆けつけると二人はのん気に将棋を指していた。激怒しかけた壇に、今まで散々面倒をかけてきた井伏に借金の申し出のタイミングがつかめずにいた太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」と言ったという。
No.1
- 回答日時:
太宰治が言いたかったのは「待っているおまえも辛かっただろうが、待たせている
俺だって辛かったんだ」ということであって、自分勝手ではありますが、からかって
いるのとは違うと思います。
ちなみに壇一雄はのちに「小説太宰治」、「太宰と安吾」という本を書いています。
No.2
- 回答日時:
作品として、優れたものを残していても、人間として、未成熟だったのだと思います。
それを含め「太宰」なのですが・・・。
ファンとしては。
「野口英世」なども、相当、ひどいと思いますよ。
人間としての行いとしては。
なるほど。超自分勝手に逆切れしてるだけだと、素直に解釈すればよかったのですね。からかう目的と言うのは、少々穿った見方でした。
野口英世についても調べてみましたが、その悪行についてはちょっと見つけることができませんでした。金遣いが荒いということと、研究が捏造くさいということだけは分かりましたが。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
借金の哲学
日本経済新聞の連載小説(1980年?)に次のような台詞がありました。
「きみ、そろそろ貸した金を返してくれないか、ぼくも辛いんだ」
「そうだな、貸した方も辛いだろうが、返せない方も辛いものだ」
そこで、この貸し手(筆者)は「ばかばかしくなって、場を去った」
と結んでいますが、あきらかに《走れ、メロス》の下敷きになった会話
「待つ身が辛いか、待たせる身が辛いか」をなぞっています。
この部分を指して「パクった」とか「盗作」だとか騒ぐのも滑稽で、
知っている読者はニンマリするし、知らない読者は、なにか出典がある
にちがいない、と推理するのです。
寓話である《走れ、メロス》に対し、私生活を描いた《桜桃》では、
さらにインパクトのある“惹句と結句”で知られます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/308_1 …
「子供よりも親が大事。」
これをもし「親よりも子供を大切に」と書いたのでは、なんの変哲も
ない、当り前の(誰も反対できない)陳腐な意見で、つまらないのです。
一部の作家にとって、小説や文学は、高度な知的遊戯なので、ただの
説教がましい態度は、いかにも低俗です。非情な目で現実を直視して、
洒落や逸脱による逆説表現によって、真実に迫ろうとするのです。
この手法は、揶揄(他人をからかう)、自嘲(みずからを貶める)、
韜晦(本心を隠す)、独善(ひとりよがり)につながります。
それがまた(太宰ファンにとって)こたえられない魅力なのです。
なお、借金に関する名場面として、夏目漱石夫人に“しゃっきん”と
綽名された内田百閒をはじめ、金田一京助夫人と石川啄木、木見金治郎
夫人と升田幸三(将棋名人)の伝説が参考になるでしょう。
このような系譜から、山口瞳は《男性自身》で「貧乏は遺伝する」と
延べ、漫画《ナニワ金融道》を描きあげた青木雄二は、引退宣言の後に
「ほんとうに、借金は返すべきものか」と問いかけています。
詳しい回答をありがとうございます。
ただ、フィクションの中でなら「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」も手法の一つとして理解できたと思うんですが、太宰治は現実世界で何人も人を地獄に落としてますからね。女を何人も死なせ、このエピソードのあとには友人たちを道連れにしてる。偉人と言われている人には、ろくでなしな時間を過ごした者も多いということですね。
No.4
- 回答日時:
私は素直に、待たせる身の太宰がメロスで、内心では何とか井吹に
お金を借りて壇に報いたかったが、言い出せず、呑気そうに将棋でも
指してる振りをしながら、借金のタイミングを計っていたが、怒り心頭の待つ身の壇(メロスの友人?)には、
そんな太宰の苦心がわかる筈もなく、そこで「私を信じられなかったかい?」と云いたかったのだと思っていました。
文才ないし読解力もないです。あくまでこんな見方もあるという参考意見です。
太宰は、仕方のない借金をしたのではなく、壇一雄を金ヅルにして豪遊しまくった末の借金をした挙句に呑気に将棋を指してたということですからね。そこに同情の余地が微塵もありません。ですから、そんなどうしようもない根性の太宰が、井伏に借金を申し出ることに苦心していたというのは、納得できませんでした。本当にただ呑気に、鼻くそでもほじりながら将棋を指してたのだろうと、皆さんの回答をいただいた今でも思ってます。
No.5
- 回答日時:
#4です。
すみません、ご質問の意図をよく理解しないまま投稿してしまいました。
「真意と核心」をお知りになりたいということは、私が下に書いたようなことは自明の理でもっと深い意味を探求されているのでしょうか。
私の解釈のままで、敢えて書けば、必死でお金を借りようと内心画策している自分への「照れ隠し」があったのではないかと感じました。
No.6
- 回答日時:
#4です。
何度もすみません。私の中で太宰の評価は二転三転していてそれでも関心のある数少ない日本人作家さんなので・・
お礼ありがとうございました。やはりずっと深いのですね。
私の解釈は太宰の表面的な繕いで、こう思って欲しいという自己欺瞞に見事に私が反応してただけで、弁明と自己弁護に
明け暮れた果ての「走れメロス」だったことを太宰自身も知っていたので、「恥の多い生涯を送ってきました」となったのではないかと、
思いいたりました。
井伏のことを井吹と書いてました。私も恥の多さでは負けないのです(悲)
No.7
- 回答日時:
こんにちは。
先日は『太宰治 人間失格について』のスレで御一緒しました。放蕩三昧も芸の肥やし、という言われかたがありますが。。。
あのスレッドのなかで太宰氏が境界性人格障害だったという情報が挙がっていましたが、その真偽は、さて置いても相当に屈折した御性分だったろうというのは氏の作品を通しても窺えるように思います。
御質問者様の御意見を拝見する限りでは正義感の強い、至極真っ当な御考えのかただと見受けますし、それはまた或る意味、日常的で、ありふれた単純な感覚でもあるわけで、その点では私も、おおよそ似たようなものですから御気持ち自体は、よく理解できますよ。ほとんどの人がそうじゃないかと思います。かの太宰氏自身だって「ごもっとも」と仰ったでしょうよ(笑)
それと同時に、こうした、周囲の人を巻き込んで問題を起こしてしまう、しかも反省心に乏しく見えるうえ尚且つ、ふてぶてしく開き直っているとしか思えない人というのも、別段珍しいというほどの人種ではありません。
なぜかというと私は家族や身内に始末の悪い言動をとる精神的な問題を抱えた者が多くいて、そのうえネットサイトでも、こういうコマッタちゃんに付きまとわれることが不思議なほど多いからなんです。
それで考えるに、問題行動を起こしては他者を「地獄に落とし」てしまう人間など私から見て何ら珍しくもない不毛な、または有害なだけの存在なんですが、そういう人間が不毛でなくなり、ひいては有害が少しでも有益になり得る可能性があるとしたら、それは、どのようなかたちで実現されるのであろうかと。
よく挙げられるのが芸術というかたちでの昇華ですね。
ことさら問題行動を起こす人間なんて、私に言わせれば腐るほどいます。しかし、それを逆手にとって芸術なり学問なり人間文化にとって有意義なものをもたらすかたちに転換できる人なんて、まぁあまりいません。そもそも、そうした鬱屈した内面性を芸術なり学問なりの活動に振り向けていくということ自体なかなか実行できる人は少ないのです。それが凡庸な大部分の生きかただと言うこともできるでしょう。
だが太宰氏は明らかにそうではなかった。彼の場合、起こした問題を、そのまま文芸作品というかたちに結実させることができた、少なくともその点で凡庸ではなかった人なのです。しかもその描く人物像は苛烈なまでに深い。
これは自分自身の問題を凝視しえていた面があるからこその深さだと思います。自分から目を逸らすことしかできない者には、こうした深い人物描写はできない。
それだけに氏の自分自身に対する視線は、強い自己憐憫と相反する冷徹な客観性との間で引き裂かれるような思いではなかったでしょうか。
自分を哀れみ自己弁護にキュウキュウとする人など、世に掃いて捨てるほどいます。そしてまた、こういう自分自身の肩を持つ気持ちが強くあるからこそ世間で自己主張して居場所を確保していく動機にも繋がります。その点で、いわゆる世間で「のしている」人は要領よさと共に、ほぼ例外なく自己愛や自己主張が強いタイプが多い。しかし、そうした自己の性向を何ら疑うことなく自己を含めた人間一般に対する問題意識が低い人には洞察力も磨かれることはなく、ましてや一編の文芸作品に結び付くことはない。
これは経験のある人なら多かれ少なかれ分かることですが、小説という作品を産み育て完結させるということが、どれほどエネルギーを要することか――たとえば太宰氏の場合は、その屈折した内面を抱え続けることから実生活上の様々な問題を引き起こし――しかも必ずと言っていいほど周辺の人を巻き込み――それらを抜かりなく文芸作品というかたちに結実させたという、言わば三拍子揃ったエネルギーの持ち主であったわけです。そのへんが決して「並みの人」ではない。しかも作品の質が高いときている。
これ、屈折した性格でトラブル魔で、というのは先にも申し上げたように私に言わせれば掃いて捨てるほどいる。そのうえで小説なり何なり、作品と呼ぶべきものを作ろうとする者も珍しくはない。大概、そこまでです。
実際、私個人的に最近もネット上で出合った人間関係を自分の思い通りに掻きまわして、それをしも「作品づくり」と宣言するような人を見たばかりですが、この人の場合「作品づくり」が楽しいのではなく「掻きまわす」こと自体を「作品」と呼んでいるだけなので笑止千万ですけれど、まあこれくらいの次元のことなら、やってる人は、たくさんいます。職場の同僚や近所のオバチャンでもやってることです。その上の次元には進めない。
なぜなら透徹した自己凝視ができないからです。これは「自己愛肥大型」の人には殊に困難なことです。ところが太宰氏の場合「境界性人格障害」の疑いがあったというにもかかわらず冷徹な自己観察力を備えておられた。そこが稀有な資質なのです。その稀有さが作品に表れているとも言えるでしょう。
言ってしまえば太宰氏の奥方やら井伏先生やら檀先生やら周辺の人々が被った多大な「ご迷惑」は太宰作品において償われたという見かたもできるでしょう。つまり、そのへんの、ただのトラブルメーカーとはワケが違うってことです。
「芸術至上主義」者でもなければ、なかなか納得いかないのも分かりますけどね(笑)結局は天与の幅の違いなんでしょうかね。
私は、ただの自己愛性トラブルメーカーのほうが、よっぽど腹が立ちます(笑)
ただ太宰氏が借金申込を、いつ切り出そうかと内心焦れる思いで指したくもない将棋を指し、現れた檀先生に「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」と仰ったとき、そのお顔が実際どんな表情だったかは知りませんが、彼の心は泣き叫んでいたろうと思います。
自分に対する不甲斐なさ情けなさ、だらしなさへの後悔やら、それゆえの自己憐憫、「分かってくれよぉ、お前には分かるはずぢゃないか」という仲間への甘え。
まあ開き直りもあったかもしれませんが、実のところ開き直りきれないからこそ、かずかずの作品を産み出し続けずにおれなかったんじゃないでしょうか。
その真っ二つに引き裂かれるような屈折、私は想像できるように思うんです。
あ、でも御質問者の御気持ちも、よく分かりますとも!(笑)
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