高校で薄層クロマトグラフィーによるアミノ酸の分離を行いました。
内容は、コンブと標準アミノ酸の溶液、このふたつを展開してコンブ中にグルタミン酸があることを確かめるものでした。
ここで質問があります。ひとつは、展開液にブタノール+酢酸+水を使ったのですが、ここにはどんな意味があるのでしょう?わからなかったのでいろいろ調べたところ、展開液には他にもフェノール+水を使ったりするそうで。。。なぜブタノール+酢酸+水なのでしょう?できればなぜスポットが移動するのかその機構も交えて教えて欲しいです(^^;)
もう一つ質問なのですが、この実験のあとに表品アミノ酸とクエン酸の融点測定をしました。これにはどんな意味があるのですか・・・?TLCのあとにやったので絶対関連してくると思うんです。
いろいろ一度に質問してしまいましたが、知ってる方がいたら是非教えてください。。。ホント困ってます(T-T)よろしくお願いしますっ。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
以前から考えていたTLCの説明があります。
定性的には良い線いっているように思いますので,ここで初公開してみます。ご意見を頂ければ幸いです。> なぜスポットが移動するのかその機構も交えて
> 教えて欲しいです(^^;)
まず,横10列位(何列でも良いんですが)で縦に長~くイスが並んだ状態を考えて下さい。イスとイスの間は適当に間隔が空いています。イスが並んだ先は広~い公園と思って下さい。このイスの列がTLCのプレートです。
このイスの間を子供達が公園目指して進んでいきます。時には大人たちも進んでいきます。子供や大人はTLCの展開溶媒です。そして,その中に高校1~3年生(TLCで分離して検出する化合物ですね)が数名づつ混ざっているとします。
さて,高校生達は子供や大人に交じって公園を目指します。が,もう一人前の大人のつもりの高校生は子供の中にはあまり混ざりたがりません。逆に,大人の中には好んで交ざろうとします。そのため,大人の数が多い程,高校生はより前へ進むことができます。
ところで,この集団はただ前へ進むだけではなくて,ときどきイスに腰掛けて休みます。もちろん,イスの数の方が少ないですので,それぞれの力関係でイスを捕ったり捕られたりが起ります。高校生の場合,子供に対しては強くでられますから,イスを取り上げて座る事ができます。しかし,大人が相手だとイスを捕られ,しかたなく前へ進む事になります。
ここでTLCに話を一旦戻します。大人を酢酸水溶液(酢酸+水)で子供をブタノールと考えて下さい。いま分析する化合物は,酢酸水溶液に溶けやすいですから酢酸水溶液の割合が高い程展開されます。また,酢酸水溶液の方がシリカゲルに強くくっつくので(大人がイスを取り上げて座るのと同じ),酢酸水溶液の割合が高い程化合物はシリカゲルにくっつかないで展開されます。
溶媒を大人と考えるか子供と考えるかを区別する基準が溶媒の極性です。極性の高い溶媒ほど大人のように振る舞い,化合物を大きく展開させます。いかがでしょうか。なお,何故『フェノール+水』ではなく『ブタノール+酢酸+水』だったかは,「それが実験を行なう上で都合が良かったから」としか言えません。
> なぜ展開槽を密閉するんでしょうか?
> 蒸発しないようにですかね?
そうです。蒸発しないようにです。では蒸発するとどうなるかを上の例で考えてみましょう。
まず,上で書いた公園には収容人員があるとします(つまり,展開槽を密閉するわけです)。さらには,残念ながら高校生立ち入り禁止の札が下がっています。子供あるいは大人の流れは公園が一杯になるまで続きますが,公園が一杯になった段階で止まります。この時,高校1~3年生はその力関係により異なった位置にいます。つまり,分離されたわけです。
一方,公園に収容人員が無く,何人でも入れるとしたらどうでしょうか(上記の札のために高校生は入れませんが)。子供あるいは大人の流れはいつまでも止まりませんので,高校1~3年生の全員が公園の入口に集まってしまいます。つまり,分離ができないわけです。
さて,これをTLCに当てはめます。展開槽が密閉されていないと,TLCプレート上を展開してきた溶媒が気体になって逃げていきます。そのため,溶媒の展開がいつまでも続き,分析したい化合物が全てTLCプレートの先端に集まってしまいます。これでは分析できません。
しかし,展開槽が密閉されていたら・・・。そうです,展開槽内が溶媒蒸気で飽和された段階で溶媒の展開がストップするために,化合物は適当な位置で分離された状態になります。つまり,分析できるわけです。
いかがでしょうか。少しはイメージが湧いたでしょうか。なお,融点測定に関しては先の回答者の方々と同じく,直接の関係は無いと思います。
TLCは毎日のように使っている「経験者」で内容に関しては「自身あり」ですが,この説明で理解していただけるかは「自信なし」です。
回答ありがとうございます。
rei00さんのわかりやすい説明のおかげでTLCに関してはだいぶ理解できました☆
例えがチョット面白いですよね(^^
これで私のもやもやしてたものがなくなりました。本当にありがとうございました~m(_ _)m
No.3
- 回答日時:
融点測定は、化合物を同定する手段のひとつとしてよく使われます。
分析手段のひとつとして紹介されたもので、TLCとは関係無いです。TLCの実験ではコンブと標準アミノ酸をTLCで展開して、同じ位置にスポットが現れることを確認したはずです。でもこの世の中には数多くの物質があり、TLCで似たような位置に現れる化合物は複数あるでしょう。したがってTLCでほぼ同じ位置にスポットが現れたとしても必ずしも同一物質とは言いきれません。
そこで別の分析方法でも標品と検体で同じ結果が得られることを確認するのです。今回の実験では、別の分析方法として融点測定が選ばれたわけです。融点だけが同一というデータしかなければ違う物質の可能性を捨てきれないのですが、TLCでほぼ同じ位置にスポットが現れて、なおかつ融点も同じであれば、同一物質の可能性はかなり高くなりますね?
このようにひとつの物質を同定するときには、なるべく多くの異なる分析方法を用いて同一であることを証明していきます。刑事ドラマに出てくる、犯人を追い詰める証拠探しのようなものです。証拠はなるべく多いに越したことはありません。
TLCの原理も含めて、もしも興味があれば図書館で分析化学の本を読んでみると良いでしょう。その本にはTLC以外にもさまざまな分析方法が載っていると思います。化学技術の進歩にあわせて、新しい分析方法も次々と開発されています。
>別の分析方法でも標品と検体で同じ結果が得られることを確認するのです。
>今回の実験では、別の分析方法として融点測定が選ばれたわけです。
>融点だけが同一というデータしかなければ違う物質の可能性を
>捨てきれないのですが、TLCでほぼ同じ位置にスポットが現れて、
>なおかつ融点も同じであれば、同一物質の可能性はかなり高くなりますね?
そんな理由だったんですか~。
私はてっきりTLCに関係してくるんだとばかり思ってました。思い込みはいけませんね(^^;
丁寧にわからないところを解説していただき、ホントにありがとうございました☆
No.2
- 回答日時:
フェノールは、薄い溶液が消毒に使われるくらいですし、あまり体にいいものではないと思います。
アミノ酸は水によく溶けるので、展開溶媒として水を使います。
TLCは、溶媒への溶解度と、薄層(担体と呼ぶ)との相互作用が、物質によってそれぞれ異なることから、よく分析に用いられます。
展開溶媒を水のみにしても、担体によってはうまく分離してくれますが、水に溶けやすいものに関しては、うまく分かれてくれません。
そこで、アルコールなどの、アミノ酸の溶解度が違う溶媒を足し、溶解度の差をつけるようにします。
ここで、グルタミン酸は「酸性アミノ酸」と呼ばれてます。このグループは、酸性では有機溶媒により溶けやすくなる性質を持っています。
つまり、酢酸を加えることで、水に対するほかのアミノ酸との溶解度の差を、より大きくすることができるのです。
また、TLCは液体の溶媒のみより、液体と気体が混じりあった状態でより早く「上がり」ます。
正確な理由を失念しましたが、おそらく表面の溶媒に対する親和性が上がるためだったと思います。
標品アミノ酸とクエン酸の融点測定は、TLCにはあまり関係ないような気もします。
別のことだと思いますが……正直よくわかりません。
回答ありがとうございます。
展開溶液について詳しく述べていただきました。
ただ、融点がどう関連するのかいまだにわかりません。本当に関係ないのでしょうか・・・?(あと展開槽の密閉についても)
どなたか少しでもわかる方いらっしゃいましたら教えてください。お願いします
No.1
- 回答日時:
TLCは展開溶媒の選択が命です。
(大袈裟かな)その物質を上げてくれるかということと、
性質(特に極性)から、思い通りに分離してくれるかで、
分離するものによって展開溶媒を変えます。
また、より適切なものがあっても高校生だし、危険の少ないものを
選択するかもしれません。
ちなみに、私は主成分がクロロホルムの展開溶媒を使い、
その展開槽を開けたときに充満したクロロホルムの気体を吸い込んで
長い間鼻が痛かった経験があります。
フェノールは実験で使う際には少し危険なのでしょうか?
あ、あともう一つ質問ですが、なぜ展開槽を密閉するんでしょうか?
蒸発しないようにですかね?
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