会社の支払いを個人で立て替えていた領収書が出てきました。
上司に相談すると、決算を跨いでいる為もう支払いはできないという回答でした。
個人で立て替えていた分で決算を跨いでしまった場合はどうなるのでしょうか?
個人的には貸した分は決算に関わらずお金を支払うのは当たり前と思っているのですが、なにぶんそこら辺の法的なところも含めての常識がわかりませんのでわかる方教えてください。
ちなみに問い合わせたのが決算後2ヶ月ぐらい経ってからなのですが、
領収書の日付は決算月の半年ぐらい前です。
また購入品が確実に施工で使われた事は明確にできます。
その前に、その時に処理していれば何も問題がないと言われればそれまでなのですが、書類整理中にヒラリと出てきてわかった次第で。
お金に対しては小額でもあり戻らなくても致し方ないと思っていますが、参考までにどうなのか教えてください。
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
◇債権債務関係では
・領収証のあて先がfour-modさんでしたら,「購入品が確実に施工で使われた事は明確」にできるようですので,会社とfour-modさんの債権債務関係ははっきりしますから,債権を主張できると思います。
・一方,領収証のあて先が会社でしたら,four-modさんが立て替えたという証明が難しいと思われます。
◇経理事務では
・「貸した分は決算に関わらずお金を支払うのは当たり前」なのですが,貸借があった時点で,貸し方借り方に分けて経理的な処理が必要ですから,「いまさら言われても…」ということになります。
・つまり,決算には,貸した分も負債として計上する必要がありますから,four-modさんから借りていたということにしようと思えば,決算を訂正する必要があります。
何月決算の会社にお勤めなのか分かりませんが,決算後,その決算に基づき,2ヶ月以内に法人税や法人市民税の申告納税をされているはずですから,決算を訂正すると,それらのすべてを訂正する必要が生じます。
以上から,会社としては支払いたくても躊躇すると思います。
No.2
- 回答日時:
私は税務・会計については知識が有りませんので,純粋に法律論のみからお話します。
会社の支払をあなたが立て替えていたことにより,会社はあなたの財産的負担により法律上の原因なく立替分相当の額を利得していたことになりますので,あなたは,民法703条に基づいて,会社に不当利得返還請求権を行使できます。
むろん,ANo.1の方がおっしゃるように,あなたの支払が会社の債務の立替えである旨を証明できることが必要です。
不当利得返還請求権は,履行期の定められていない債権ですから,不当利得の発生時から消滅時効が進行し(民法166条1項),消滅時効期間は10年です(民法167条1項)。会社は請求をされた時点から履行遅滞となります(民法412条3項)。
税務・会計に知識の無い者からの素人考えですが,会社の不当利得返還債務に関する税務・会計上の債務の発生時期については,不当利得の発生時ではなく,請求時(質問者様が会社に請求した時期)として処理することが可能ではないかと感じます。
なぜなら,不当利得返還債務と同様に期限の無い債務である不法行為(民法709条:従業員が事業の執行について他人に損害を加えた場合)に基づく請求が不法行為があった年度よりも後年度になされた場合(※民法724条により,行為の20年後まで請求がありえます。)決算のやり直しを行うとはとうてい思えないこと,また法人税法22条3項括弧書で,償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものは,その年度の費用としないとされているからです。
【民法】
(消滅時効の進行等)
第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
(債権等の消滅時効)
第167条 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2 [略]
(履行期と履行遅滞)
第412条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
2 [略]
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
(不当利得の返還義務)
第703条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
【法人税法】
(各事業年度の所得の金額の計算)
第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 [略]
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 [略]
4 ,5 [略]
回答ありがとうございました。
他の方も含めて、私のほんのふっとした疑問に細かく回答していただき感謝します。
それにしても法律の文面は読めば読むほど難しいですね。
No.3
- 回答日時:
o24hiです。
簿記の観点から言いますと…
◇『発生主義』と『現金主義』
・例えば,商品を購入した場合,その代金を後で支払う場合は,買った日と代金を支払った日付が違う場合があります。
会社での,取引は大抵がこうした取引になると思われます。
・この場合,購入した日付で記帳することを『発生主義』,代金を支払った日付で記帳することを『現金主義』といいます。
つまり,取引契約が成立した時点で記帳することを『発生主義』,実際に現金のやりとりが行なわれた時点の日付にすることを『現金主義』といいます。
・今,ほとんどの会社の経理処理は『発生主義』に基づいて行なわれていますから,今回ですと,four-modさんが立て替えたお金を,会社のfour-modさんに対する債務と考えるならば,債務が発生した時期に経理的な処理をする必要があります。
債権債務関係優先するか,経理事務を優先するか,の話になるのかもしれませんね。社内での話ですから,債権債務関係はなじまないと個人的には思います。経理事務が混乱するからです。
回答ありがとうございました。
そのとおりで実際にガタガタするつもりはありません。
金額が小額ということもあるのですが、
私も(会社も)面倒なことは避けたいので。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
> 個人で立て替えていた分で決算を跨いでしまった場合はどうなるのでしょうか?
法的には、次のとおりと思います。
まず、会社の経理規程や内規などに決算を跨いだ個人立替分の領収書は受け付けられない旨の定めがあったときは、原則としてこれに従います。また、慣行としてそのような取扱いになっているときは、慣行が一般社員に認知されているのなら原則としてそれに従います。いずれも、労働契約上の特約と考えられるからです。
他方、規程等に定められておらず慣行も認知されていないのであれば、会社は立替分を支払わねばならないといえます。その法的根拠は、No.1の17891917さんお書きのとおり、民法703条の不当利得返還義務となります。
なお、いずれの場合であっても、前期以前発生の立替分の領収書をその労働者に対するペナルティとして受け付けない取扱いにするときは、法的には懲戒権の行使となり、就業規則等に予め明記していなければならないものと考えられます。
それから、会計と税務について少しだけ触れれば、前期発生費用(前期発生損金)につき、会計上は原則として「前期損益修正損」に計上でき、金額が少額であるなど重要性に乏しければ当期発生費用に含めて計上できます。ただし、期間比較に影響が生じます。
また、税務上は、原則として前期の申告を修正する形での更正の請求を当期においてすることができ、金額が大きくなければ当期損金に含ませても運用上問題とされません。ただし、更正の請求は認められない可能性があります。
すなわち、会計も税務も、前期に発生した費用(損金)を当期において処理することを原則として認めているといえ、制度上の障害は大きくないといえます。まして、立替金額が少額であれば、制度上の障害は事実上ないといえます。
会社(特に経理担当者)が前期以前発生の個人立替金を受け付けることに抵抗感を覚えるのは、むしろ、前期以前発生の立替金請求事例が続発することにより期間比較を損ねたり更正の請求が認められなかったりすることを考えてのものであり、これを抑止するためだといえましょう。
なお、「社内での話」であっても、債権債務関係は生じます。
すなわち、1個の法人としての会社と個人とは法律上別の「人」であり、労働契約上も対等の関係として取り扱われます(労働契約法3条1項)。また、会社は法律を遵守する法的かつ社会的義務を有していますから、民法、労働契約法その他の法の定めは守るべきといえます。
そうであれば、会社は労働者に対して、労働契約に前述の特約が定められていない限り、法的に発生した立替金についての債権債務関係を無いものとする違法行為ないし権利濫用行為をしてはならないといえます(労働契約法3条1項、5項参照)。これを排除するのに、経理事務は理由になりません。
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