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クラリネットの音域と管の調性にはどんな関係があるのでしょうか?
最低音がB♭管ではeなのでE管に思えてしまいます。
あとなぜフルートやオーボエと違って移調楽器なのでしょうか?

A 回答 (2件)

まず、ある管楽器が○管であるという言葉は広くあいまいに使用されており、多くは



(1) この楽器の構造が○調(○管)である。
(2) この楽器に対して"ド"と記譜すると実際には○という音が出る。
(3) この楽器の最低音が○である。

この3つに集約されます。多くの方がこの区別をせずに使用し、誤解を招いています。まず、この点について説明します。

(1)は主に金管楽器に用いられ、管長を伸ばすバルブ操作を行って状態での倍音系列の基音が○であるということを意味します。バルブ装置が発達していない時代は管の調により使用できる音が限定されていたため、頻繁に管の指定を行っていました。

(2)は○調の移調楽器という概念に相当します。これには、各楽器ごとに複雑な経緯が絡んでおり、すべてを説明するととても長くなってしまうため、概略を示しますが、楽器そのものに直接付随する概念ではなく、楽譜と実際の音が異なるという状況を表す概念であるということを理解ください。

金管楽器:多くは(1)と同じ調の楽器として扱われますが、低音楽器(Tb. Tu.等)は実際の管長にかかわらず、すべて実音楽器として扱われることが多いです(移調楽器として扱われることもあります)。
木管楽器:右手と左手の指をすべて塞いだものをド、右手の小指を上げるとレというように調が設定されています。歴史的な楽器の発達の結果ですが、これが一番感覚的に違和感が無かったということでしょう。管楽器と同様低音楽器のBsn.は実音楽器として扱われます(運指的にはG管に近かったかと)。

(3)については、最低音をCからHに拡張する構造をもったFl.をH管とよびますが、それ以外では使用されない、ごく限られた用法です。

長くなりましたが、上記のことを踏まえ回答します。

Q. なぜクラリネットにはB♭管とA管があるのか
昔のクラリネットには今よりキーの数が少なく、金管のように出せない音が有るということはありませんでしたが、#や♭が多い曲の演奏は困難でした。そのため、半音違いの楽器を用意し、曲の調性によって持ち替えることで対応しました。この2種を比べると若干B♭管のほうが音勢が強く、音も明るいため、キーの改良が進み調性の問題が無くなり、大規模な管弦楽が多くなった昨今ではB♭管が主流となりましたが、過去にA管のために作曲された曲は作曲者の意思尊重および音域の関係でA管で演奏されます。

Q. クラリネットの音域と管の調性にはどんな関係があるのでしょうか?
最低音が変わります。A管B♭管ともに最低音はミ(記譜)ですがA管は実音Cis、B♭管はDです。最高音については、違う管長の楽器に同じマウスピースを使用している関係上、管長と管径の関係が異なるため、若干(キーの低い)A管の方が高音が出しやすいという意見もありますが、実質ほぼ差は無いといえます。

Q. 最低音がB♭管ではeなのでE管に思えてしまいます。
前述のとおり、クラリネットの管名は運指によるものなので、最低音(Dですが)と管名は関係ありません。

Q. あとなぜフルートやオーボエと違って移調楽器なのでしょうか?
C管のクラリネットもありますが、音色がB♭管よりもさらに(バカ)明るく、従来管弦楽で和声を担当することの多いクラリネットには向かなかったようであまり使用されていません。最近は独奏楽器としてまた見直される向きもあります。
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この回答へのお礼

18世紀初期のクラリネットの運指表を発見しました。
指穴を全部塞いでいる状態から順々に開けていく運指の自然な調でさえ、ブリッジ音域付近では運指が不規則で難しそうです。調号が多い曲での演奏は明らかに困難そうだったので半音違いの楽器を用意して楽曲の主調によって使い分けたのですね。

確かにB♭管の場合はすべての指穴を塞ぐと記譜より長二度低い音が出ますね。A管の場合は短三度下ですね。

お礼日時:2008/12/21 22:04

Tallisさん、こんにちは


No.1さんのご意見の通りだと思います。
 A管は、平均律が確立する以前から主流だったと思われる#系に対応する意味があったと思っています。
 弦楽器は、#が好きですよね。音程の調整やビブラートがかけやすい。逆にハ長調やb系は、嫌われる(笑)。またオーボエはニ長調が一番楽、現代のフルートはハ長調に便利なように作り替えられているけどピリオド楽器は、ニ長調が吹きやすいことが判ります。この時代前後は、Tallisさんの範疇なのでご意見を伺いたいです。また、教会ピッチ(オルガン)やその他のちまたのピッチ(弦)の関係もその後に大きく影響していると思われます。
 私には、なぜBb管が現代で主流になっているの方が不思議。
 これは、平均律の確立によって転調を作曲に取り入れられるようになったことが大きいような気がします。 それと封建制度などの崩壊と軍楽隊が寄与しているかと。
参考文献
皆川達夫:中世・ルネッサンスの音楽(講談社現代新書)
皆川達夫:バロック音楽(講談社現代新書)
皆川達夫:バロック音楽(講談社学術文庫)
F.フェネル:タイム&ウィンズ(佼成出版社)
阿部勘一ほか:ブラスバンドの社会史(青弓社)
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この回答へのお礼

>>#系に対応する意味があったと思っています。
確かに18世紀初期の2キーのクラリネットではシャープ系の演奏はA管でないと困難ですね。

>>Tallisさんの範疇なのでご意見を伺いたい
オケの中核たるヴァイオリンにとって最も自然な運指はニ長調ですね。開放弦を多く使えて響きも明るいので。余談ですがフラット系でも主和音に開放弦の音を含む調では作曲していますね。
管楽器もそれに合わせたのでニ長調の運指が自然なのだと思います。

お礼日時:2008/12/21 22:30

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