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絶縁体や半導体、導電体はフェルミレベルの位置や禁制帯の大きさで決まってきますが、そもそも禁制帯ができるのはなぜなのでしょうか?

この禁制帯というのはd軌道とf軌道のギャップに相当するものだと思うのですが、
原子の状態だとこのような大きなギャップは存在しないと思います。
固まりになることでこのように大きなギャップが出来るのはなぜなのでしょうか?

A 回答 (4件)

ん~、ここはあまり自信がありません。


最初は、バンドギャップは原子状態の電子軌道間の準位差が残ったものだとして回答してきましたが、よく考えたら、外側の電子軌道ほどエネルギー差は小さいですからね。
私は化学は専門ではありませんが、例えば3d軌道と4p軌道とはほとんどエネルギー差がないから、21Scから29Cuまでは遷移元素になるのですよね。
そんなこんなを考えていると、あなたの最初の質問にあるように、大きなバンドギャップが生じるのは何故だろうと私も疑問を持った次第です。
でも、原子状態の電子軌道とは関係なく、最外殻電子の波動関数が結晶格子で変調されて、存在出来ない帯域ができると考えると、大きなバンドギャップもできそうではありませんか。
実際、教科書にも必ず出てくるクローニッヒ・ペニーモデルも、周期的ポテンシャルという一種の回折格子と定在波の関係から、バンドギャップを導出していると私は理解しています。

参考URL:http://202.11.2.126/cgi-bin/esemif17/note/8-6.pdf
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>電子は結晶格子によりブラッグ反射を受けるために、存在出来ない帯域ができてしまう、ということ良いのでしょうか?



その通りです。

> でも、2つ疑問が残ってしまいます。

先ず2つめの疑問点について。
いいえ。禁制帯はいっぱいあります。
通常は伝導帯直下の禁制帯しか問題にならないのでこれしか議論しませんが、その下にはいくつかの充満帯があり、その間には禁制帯があります。
最上部の充満帯は価電子帯と呼ばれ、その電子は原子間の結合に寄与している、いわゆる「最外殻電子」です。
価電子帯の電子が熱や光などのエネルギーを受けて伝導帯にたたき上げられると、「伝導電子」となります。

# 余談ですが、伝導帯の上にも更に禁制帯と伝導帯がいくつも積み重なっており、紫外線やX線などの高エネルギー現象に関係してきます。

価電子帯の下は何と呼ばれるか知りませんが、原子核に強く束縛されて、電気伝導にはほとんど寄与しません。
これが、あなたの言う、「原子にとどまっている」電子です。

ここで私も気がつきましたが、通常言われている「バンドギャップ」は内殻電子とは関係がなく、「最外殻電子」のみに関係するのですね。
だから、内殻電子よりも大きなエネルギーギャップを生じると、理解できないでしょうか。

尚、結晶のように周期的な構造体中では、向きによって電子の感じるポテンシャルが違ってくるので、内殻電子のエネルギー準位も幅を持ちます。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

>ここで私も気がつきましたが、通常言われている「バンドギャップ」は内殻電子とは関係がなく、「最外殻電子」のみに関係するのですね。
だから、内殻電子よりも大きなエネルギーギャップを生じると、理解できないでしょうか。

のところの意味がどうしても分からないのですが・・・

最外殻電子のみ関係すると、なぜバンドギャップが広くなるのでしょうか?

お礼日時:2009/06/01 00:51

確かに、半導体のバンドギャップは原子の電子軌道間のエネルギーギャップより大きいものも多いですね。

前の説明は忘れてください。

先ず原点に立ち返って、そもそも何故電子軌道ができるか考えてみましょう。
電子は波としての性質を持っており、"波動関数"で表されますが、その波長が短いほどエネルギーが高いことを示します。
また電子の量子性により、電子はとびとびのエネルギーしか持ちません。
そして波動関数の振幅は、電子の存在確率を表します。

原子では、原子核の回りに同じ波長の波動関数を並べて足し合わせると、全ての位相がぴったり一致したとき、存在確率が最大となります。
つまりその軌道を取る確率が最大であり、他の軌道は取り得ません。
最も単純な形はs軌道の球形であり、p軌道やd軌道といった複雑な構造もありますが、同じ軌道内の電子の波長、即ちエネルギーは一定です。
そしてそれ以外のエネルギーは取り得ない、禁制帯となります。

結晶では、原子核が周期的に並んでいるので、グレーティングによる光の回折と同様に、電子も結晶格子の回折(反射)を受けます。
そしてその回折波を足し合わせて、存在確率の高いエネルギーのみを電子はとることができます。
電子の不確定性と格子の幅により、取り得るエネルギーは幅を持ちますが、それでも取り得ないエネルギーとして残るのが、バンドギャップです。

尚、格子の間隔(格子定数)は向きによって異なるので、バンドギャップの値も向きにより違ってきますが、バルク結晶中では電子は自由に向きを変えられるので、通常は最も小さい値を、その結晶のバンドギャップとしています。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

よく分からないのですが、では結論としては、
電子は結晶格子によりブラッグ反射を受けるために、
存在出来ない帯域ができてしまう、ということ良いのでしょうか?

でも、2つ疑問が残ってしまいます。

確かに電流を流すという意味ではブラッグ反射のために、あるエネルギー帯域のものは変調を受けるというのは分かります。しかしながら、バンドギャップは特に伝導電子に限らず、原子にとどまっていても良いわけなので、固体におけるバンドギャップが原子のそれと比べて広がるという説明はつかないように思うのですが・・・


それとブラッグ反射によるのであれば禁制帯はいくつも出現しても良いように思うのですが、一つ結晶には基本的に1つしか禁制帯は表れませんよね?これはどう説明すれば良いのでしょうか?

よろしくお願い致します。

お礼日時:2009/05/31 21:33

> 原子の状態だとこのような大きなギャップは存在しないと思います。



逆です。原子状態では一定のエネルギー準位にしか電子は存在しえません。
d軌道やf軌道は、位置的には雲のように広がっていますが、原子核からのポテンシャルは一定です。
つまり、大きな禁制帯を挟んで、線状のバンド(?)が並んでいる状態になります。

これが固まりになりと、ある電子にとっては、一番近い原子核からは強い束縛力を受けますが、周囲の原子核からも弱い束縛力を受けます。
結晶状態では、つまり原子が周期的に並ぶと、ある場所でのポテンシャルは、一番近い原子核からは一番下の準位でも、右隣の原子核からは二番目の準位に近く、その上の原子核からは三番目の準位に近い・・・という具合に、電子が取り得る(存在し得る)エネルギー準位に幅が生じます。
これが「バンド」です。

詳しくは、「固体物理」または「物性論」とタイトルのついた教科書の最初の方を読んで下さい。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

ですから、結晶状態で隣合う原子の存在により、エネルギー準位の幅が広がる、ということは分かっているのですが、
その考えでいくと禁制帯は生じ得ないのではないでしょうか?

いくつか固体物理や物性論の教科書は見てみましたが分かりませんでした。

よろしくお願いいたします。

お礼日時:2009/05/31 12:05

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