ある製品の欠陥クレームで、製造会社に苦情のメールを送りましたら、不誠意に感じる返信をもらいました。
クレーム内容は以前から知っていて、不良ロットも知っていながら何も対処せず、苦情を言ってきたお客には通常故障として修理してあげている、、、原因の公表は企業秘密だから教えられない、との回答で唖然としました
こんなことを隠しているのは許せないと思うのですが、返信の最後に、「許可なくこのE-mailの全体または一部を複製、転用、二次利用、公表等する事は、 著作権法上認められていないので、、、、、」とかかれているので、このことを他人にもらしたら、私が罰せられることになるのでしょうか?
著作権の及ぼす範囲がどんなものなのか、教えてください
よろしくお願いいたします
No.10ベストアンサー
- 回答日時:
1.著作権法上の観点から
著作権法によって保護される著作物とは、同法2条1項1号に規定される通り、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。
従いまして、手紙であっても、「思想又は感情を創作的に表現した」ものであれば、著作権法で保護される著作物です。芸術作品(小説、詩などの純粋文学)であるか否かは関係ありません。
実際、過去においては、選挙の当落予想表に著作物性が認められたこともあります(昭和62年2月19日東京高裁判決、昭和61年(ネ)第833号)。
例えば、三島由紀夫の手紙に関し、平成11年10月18日、東京地裁は、
「本件手紙は、被告福島との往復書簡であり、不特定多数の読者を想定した文芸作品とは性格を異にするが、単に時候の挨拶や事務的な返事ではなく、互いの作品に対する感慨や意見、人生観、世界観などが文芸作品とは異なり飾らない言葉で述べられている。
このため、本件手紙は三島由紀夫の思想又は感情を、個性的に表現したものであることは明らかである。
したがって、本件手紙には著作物性があり、被告福島が本件手紙を無断で全文掲載して公表したことは、三島由紀夫の死後の著作権人格権と原告らの複製権を侵害する。」
として、著作物性を認めています(平成10年(ワ)第8761号)。この判決は、控訴審(平成12年5月23日東京高裁、平成11年(ネ)第5631号)でも支持されています。
この判決は、先の昭和61年(ネ)第833号での、
「著作権法2条1項1号にいう『思想又は感情』とは、人間の精神活動全般を指し、『創作的に表現したもの』とは、『思想又は感情』の外部的表現に著作者の個性が何らかの形で現われていれば足り、『文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する』というのも、知的、文化的精神活動の所産全般を指すものと解するのが相当である」
との判示事項に則ったものと推察されます。
これを言い換えれば、「思想又は感情を創作的に表現した」ものでなければ、著作権法でいう著作物とはなりません。特に、同法10条2項によれば、「事実の伝達にすぎない雑報」は、著作権法でいう著作物には該当しません。
一般的には、クレームに対する返信メールは事実の伝達であろうと推測されますし、そうであれば「創作的な表現」も含まれていないでしょうから、平成8年4月26日高松高裁判決(平成5年(ネ)第402号、平成7年(ネ)第25号)における
「問題となっている手紙の表現形態からみて、独自性があるものとして法的保護に値する『創作的に表現したもの』と解することはできないから、この手紙は著作権法による保護を受けるべき著作物ということはできない」
という判示事項に鑑みても、当該メールに著作物性を認めるのは困難であろうとは思います。
が、実際に著作物たり得るか否か、すなわち、「思想又は感情の創作的な表現」が認められるか否かは、そのメールの内容を具体的に検証しないと断言することはできない、と考えます。
ちなみに、ANo.3、ANo.8 にある
「全文を引用して公表しても……サイト全体の構成からみて本文とメールの関係が主従の関係になっていれば、著作権法上の問題はありません」
「著作権法はどんな著作物についても「引用」を認めています」
という点は、厳密に言えば間違いです。引用が認められるのは、公表された著作物に限られます(著作権法32条1項)。
メールは公表されたものではないので、仮に著作物性が認められた場合、公表権(同法18条1項)の侵害となり得るでしょう。
ただ、我々が「これは著作物だ」「いや、著作物ではない」と考察したところで、最終的な判断を下せるのは裁判所のみです。
従いまして、著作権法上の観点からは、「一応は著作物ではないと考えられるけれども、メールの内容を具体的に検証しなければ確かなことはいえない」ということになるかと思います。
ただし、既にご回答がありますが、メールに記されている内容を自分なりに表現することにまでは著作権は及びません。
余談になりますが、プログラムが著作物であることは、著作権法10条1項9号で明示されています。
2.その他の観点から
ご質問のケースにおける公表の可否を、著作権法だけで決定するのは危険です。企業の信用を失墜させたとして損害賠償を負わされることはないか、等の問題も複雑に絡んでくることが充分に予想されるからです。
例えば、ある出版社が発行した英和辞典につき、他の出版社が「例文のかなりのものが誤っており、使い物にならない」という批判書籍を出版したことが問題になったことがありますが、第一審、控訴審とも、「真実でない部分が多くあり、論評の域を逸脱する部分も多々あるところから、全体としてみれば名誉毀損に該当する」と結論しています(第一審:平成8年2月28日東京地裁、平成2年(ワ)第216号/控訴審:平成8年10月2日東京高裁、平成8年(ネ)第1142号/平成8年(ネ)第1754号)。
このような「告発」を行っても名誉毀損に該当しないのは、その告発内容が公共の利害に関し、かつ目的が公益を図ることにあり、しかも、告発内容が真実である場合に限られます。
ですから、おおっぴらな告発が許されるかどうかは、不具合がどの程度であるのかにもよるのではないでしょうか?
世の中には、「製造物責任法」という法律もありますが、これは「欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」(同法3条)ということになっておりますので、今回のケースは多少異なるような気もします。
♯お断りしておきますが、私は一般人です(「責任逃れする」という意味ではなく、「この回答を検討の基礎とするにとどめ、鵜呑みにしないで下さい」という意味です。特に、後半部分は自信がありません)。
会社の秘密を教えておいて、ばらしたら著作権違反だと脅かされているような感じになりました、、、、、
難しいですね
詳細にありがとうございました
No.11
- 回答日時:
●言い忘れ
申し訳ございません。大切なことを言い忘れておりました。
No.10 は、返信メールをウェブサイト上に掲載することで公表したときに懸念されることを書き込んでいます。
そのメールの内容に関して消費者生活センターと相談されることには、著作権は及ばないかと思います。
理由:
消費者生活センターの判断を仰ぐことは、公共の益を図る目的であると認められる可能性が高いから(私権である著作権よりは、公共の利害の方が優先されます)。
また、著作権法24条に規定される著作権の1種である口述権は、「公に」(=公衆に直接見せ又は聞かせること:同法22条)口述する権利ですので、相談することにこの口述権は働きません。
daruma3 さんの腹立たしいお気持ちは充分に理解できますが、ウェブサイトでの公表よりは、まずはこちらからではないかと思料します。
No.9
- 回答日時:
著作権法上、著作物の定義は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。
後段の「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とはもっぱら工業製品を範囲から除くために示されたものであり、芸術的云々で範囲を区切るために示されたものではないと、一般に解されています。
そのうえで、この回答メールですが、
「思想又は感情」…会社としてのクレームに対する考え=思想が述べられている。
「創作的」…必ずしも誰が書いても同じになるわけではないので、創作的といえる(か? 内容を見ていないので断言はできませんが)
「表現したもの」…E-mailという形で表現したものである。
ということで、著作物と認められる可能性が高いと考えます。
したがって、当該メールをそのままWeb上に掲載したり、メールで誰かに転送したりした場合には、当該会社の著作権侵害にあたるおそれがあります。
ただし、#8でご指摘のように、著作権法32条の「引用」の要件にあたる場合には、この限りではありません。
また、著作物と認められるのは、メールの文章そのものであり、そこに記されている内容を自分なりにかいつまんで表現することにまでは著作権は及びません。
No.8
- 回答日時:
手紙にも著作権が認められることがあります。
有名なのは、ある有名な作家(って三島由紀夫です)が他の友人に当てた手紙があり(別に中に文学作品が書かれていたわけではありません)、それの公開に際して、その手紙を書いた人の著作権が及ぶかどうかという裁判がありました。
結論から言うと相手は著名な文学者であり、その内容は文学上の意味があり、財産的な価値があるから著作物であり、著作権を作家の遺族に認めるということです。
しかしながら、ご質問のケースではとてもそういう価値はありませんね。
あと、著作権法はどんな著作物についても「引用」を認めています。
基本的には、
・引用された部分があくまで本文の内容の「従」であること。
・引用元を明記すること。
・引用が必要最小限であること。
などです。
つまり2重に著作権違反とするには無理がありすぎます。
その会社の程度が低いですね。弁護士にも相談しないで書かれたメールでしょう。
まともな会社ですと、お客さんのクレームに対して出す文章は法的な検討をしてあるものです。
ビデオで録画解析して、不具合事象を明確に指摘したら白状しましたので、説明を求めたら、技術的な企業秘密は言えないといいながら、メールの中にロット不良のことと該当シリアルナンバーが書いてありびっくりしてしまいました
顧客に対する、会社の姿勢を疑ってしまいました
公表させたいのですが、超大企業なので躊躇してます
どうもありがとうございました
No.7
- 回答日時:
>プログラムの著作権は、芸術ではないと思うのですが
プログラムは「自己(個人、または会社)の表現物」ですし、「『芸術のようなもの』と認定するだけの条件は満たしている」と解釈されています。
これは法律上の解釈の問題ですので、プログラムは芸術だ、といっている訳ではないです。
No.6
- 回答日時:
実際問題として、不良ロットがあることが分かっていても、誰が買ったか特定できない、ユーザー登録もないような場合、文句言ってきた人にだけ対応する、というのは、よくある話ではあると思います。
問題ではあると思いますが・・・。さて、著作権というのは、全体または部分的に、まったく同じものを複製すると問題になるのです。同じ意味の文章をあなたが作文する場合、あなたに著作権が発生します。掲示板などで「という内容の回答が来て唖然とした」と書くのは、構わないでしょう。
また、E-MAILをサイト上で原文のまま発表すると問題になりそうですが、あなたが口頭で誰かに言う場合は、問題ありません。
の回答が来た」という分には問題ないでしょう。
ユーザ登録されているものです
ビデオで録画解析に数ヶ月要をして、不具合事象を明確に指摘したら白状しました
チャンと説明するように求めたら、技術的なことは企業秘密だから言えないといいながら、メールの中にロット不良のことと該当シリアルナンバーが書いてありびっくりしてしまいました
数十万円もする新製品を買った数千人の人に対する、会社の姿勢を疑ってしまいました
どうもアドバイスをありがとうございました
No.5
- 回答日時:
ちなみに補足(^_^;
Eメールも場合によっては著作物になりますが、著作権法に規定されている「芸術。あるいは、芸術作品といえなくもないもの」という条件を満たしていないものは、著作権は認められません。
クレームに対する返事は芸術文芸ではありませんので、著作権はありません。
もちろん、ユーザーのクレームに歌で返事をすれば別ですが(笑)
ロット不良の事実が記されてたことを、他に漏らすのは著作権違反ではないと言うことですね!
と言うことは、単に脅かしているだけでしょうか
今までの心配は無用のようですね
どうもありがとうございました
No.4
- 回答日時:
「著作権」という言葉を使ってはいますが、要するに「黙ってろよ」って脅してるだけのような気がします。
1)クレーム内容は以前から承知
2)不良ロットも承知→でも対応せず
開き直ってますもんね、完全に。
No2さんのように消費者生活センターなどに相談するか、あるいは新聞/テレビなどのメディアに情報提供するのも方法かと。
法律はズブの素人なんで、著作権に関する解釈は他の方の回答を待ちます。
完全に開き直っているのですが、かなり時間をかけて返信してきたのでそれなりに考えていると思います
超大企業なので、信じられないのですが
どうもありがとうございました
No.3
- 回答日時:
Webで晒されないように書いているだけです。
全文を引用して公表しても目的が正当であれば大丈夫です。
たとえば該当企業の不正を暴くためにWebサイトを立ち上げてそのサイト中でメールの全文を引用することはサイト全体の構成からみて本文とメールの関係が主従の関係になっていれば、著作権法上の問題はありません。
また、メールの内容をほかの人に告げることは著作権とはなんの関係もありませんので、問題ありません。
たとえば、このサイトにそのメールを引用して法律的な問題点についての指摘を求めても問題ありません。
ありがとうございました
こんなことで、私に対する口止めが可能なら、恐ろしいことだと思ってました
でも、超大企業なので、弁護団等がついていて、突っ込まれたら怖いですね
やっぱり口止め効果はありますね。
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