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電圧Vで加速された電子は
 (1/2)mv^2=eV のエネルギーを持ち、
その速度は
 v=√(2eV/m)
その運動量は
 mv=√(2emV) であることがわかります。

これをド・ブロイの式に代入すると
 λ=h/√(2emV) が求まります。……(※)

ところで、
 光子のエネルギー=hc/λ の光速cを電子の速度vに変えて
 eV=hv/λ
これに v=√(2eV/m) を代入して変形すると
 λ=h√(2eV/m)/eV=h√(2/emV)
となり、(※)の式と値が変わってしまいます。これはなぜでしょうか?

A 回答 (5件)

"光子のエネルギー=hc/λの光速cを電子の速度vに変える"試みが間違っているのだと思います。

質量を有する電子と質量のない光子が同じ関係式で表されることは一般的には保証されないはずです。

光子の運動量(p)は次の(1式)で表されます。この関係式は電磁気学から導くことができて、光量子仮説(E = h ν)以前から知られています。
p = E / c : 光子の運動量 (1式: E:全エネルギー, c:光速)
ド・ブローイは、光量子仮説(E = h ν)と特殊相対性理論(E = m c^2)を組み合わせて、粒子に対して(m c^2 = h ν)と考えた。そして、(2式)のように粒子では光速( c )の働きを(c^2/v)がしていると気づき、これを"物質波の速度(v_p)"と考えた。そして、この速度を振動数(ν)で割った値を"物質波の波長(λ_p)"とした(3式)ということです。
p = m v = (E /c^2) v = E / (c^2/v) = E / v_p= h ν / v_p (2式: 粒子の運動量)
λ_p = v_p / ν = (c^2/v)/ ν = h / p (3式 : 粒子の運動量と波長の関係)

光子の速度と波長の比は光の振動数(c/λ= ν)を示しますが、電子の速度と波長の比は(v/[(c/v)λ]= (v/c)ν)となります。質問者も言われているように、電子のド・ブロイ波長(λ_p)は h/(m v)から求めるのが正解です。

なお、ド・ブローイはこの光速を越える"物質波の速度(v_p)"の奇妙さを解釈するのに、古典的な波の位相が進行方向からずれた方向では本来の速度よりも速くなる特徴に関連づけて"位相速度"と言った("物質波の位相速度(v_p)")。しかしながら、彼は物質波の実体をはっきり示すことはできなかった(彼は、物質波を粒子に付属する"パイロット波"と言って、それが実在するものと信じたようです)。
私は、そのような他に例を見ない曖昧な波に対し、位相速度や群速度が何であるかと議論することは無駄ではないかと思います。ただ、光子の運動量を(E / c = h ν / c)で表すのと同じような形(E / v_p = h ν / v_p )で粒子の運動量を表すためには、v_pとして(c^2 / v)を使えば良いのだと考えます。
v_p = c^2 / v (4式)

ちなみに、特殊相対論では次の(5式)が一般的に(光に対しても粒子に対しても)成り立ちます。光では p c = E (1式)が成り立つので、ここでも、cの代わりを(c^2/v)がしていると言えます。
m c^2 = (p/v) c^2 = p (c/v) c = E  (5式)
光のcの代わりを粒子では(c^2/v)がするのは、ド・ブローイの関係式に固有の特徴ではなく、特殊相対性理論が導く一般的な傾向のようです。

なお、ド・ブローイの物質波の考察過程については、次の文献が詳しいです。
ジョルジュ・ロシャク, 宇田川 博(訳), ルイ・ド・ブロイ, 第四章, 国文社, 1995
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もう一つ補足の説明を。



λ=h/pの式がありますが、これもよくよく考えてみると少々疑問が出てくるかもしれません。

光の場合、
E=hν,c=λν→E=hc/λとなります。
これにλ=h/pを入れると
E=hc/(h/p)=pc
となります。

しかし、ここでよくよく考えてみると、質量のある物体では
E=(mv^2)/2でp=mvですから
E=pv/2
です。
この違いは何なのでしょうか。
これも古典論(非量子論、非相対論)では説明がつくのか。難しいと思います。
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電子の位相速度の意味として最も重要なのは、#2でも書かれている通り波長λと結びつくということです。


電子線の干渉実験で電子の物質波の波長が求められますが、この波長と電子の振動数が結びつき得られる速度が位相速度になります。
これ以外の意味としては、Schroedinger方程式の固有状態の一つが持つ同位相面の伝播速度といえるのですが、これのことについては量子力学を勉強してからの方が良いでしょう。

>また、位相速度から群速度を求めるための公式はありますか?
位相速度vpと群速度vgを波数ベクトルkと角振動数ωを使って書くと
vp=ω/k
vg=dω/dk
となります。
このことから
d(k*vp)/dk=vg
vp+k(dvp/dk)=vg
となります。dvp/dk=0であればvp=vgとなります。

ここのところを古典的な波動のイメージで捉えることを無理やりすることも出来なくはないのかも知れませんが、そんなことをするよりも量子力学を勉強したほうが良いでしょう。実際には量子力学は古典物理学をそのまま延長したものではないのですから。
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この回答へのお礼

ご丁寧に補足説明ありがとうございます。ことの発端は2005年度の東京大学の入試問題を解いていて電子の速度と運動量の間に矛盾が生じたからです。

http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/05/ …
http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/05/ …
http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/05/ …

高校レベルでは、正直に公式λ=h/pに当てはめるのが得策のようですね。

お礼日時:2009/06/30 22:41

エネルギーをE=hv/λと書いてありますが、これは


E=hν (ν:振動数)

v=λν
から導かれたものであると思います。

2番目の式に出ているvを電子の速度と同一視していますが、このvは実は物質波の伝達速度のようなもの(位相速度)であり、電子の移動速度(群速度)とは異なります。

位相速度は、水面上の波で言うところの山の進む速さです。
しかし、その瞬間の山が次の瞬間の山を作り出しその力の伝達速度がその波の速さなのでしょうか。
違います。
次の瞬間に山になっているところは、それまで持っていた動きの惰性が元で盛り上がった面が大きく、手前の山に引っ張られて盛り上がったとは限りません。
つまり、波の速度には見た目の山の移動速度と力の伝達の速度に当たるものがあり、この2種類は異なるのが一般的です。
この場合の見た目の早さを位相速度、力の伝達速度を群速度と呼びます。

波長が問題となる物理現象として干渉があります。
この干渉では、力の伝達などは関係なく、実際にどれくらい振れているかが問題となります。
振れの最大箇所、つまり山の間隔が波長です。
波長が関係する速度は山の見た目の移動速度、つまり位相速度なのです。
ですから、
v=λν
で使われるvは位相速度でないとおかしいのです。

かなり判りづらい説明で申し訳ありません。
勉強がんばってください。
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この回答へのお礼

補足説明ありがとうございます。電子の運動エネルギーや運動量を求めるには、群速度vを用いるということですね。
では、電子の位相速度に意味があるとすれば、どんな意味がありますか?
また、位相速度から群速度を求めるための公式はありますか?

お礼日時:2009/06/30 17:26

これは、運動エネルギーを求める際の(1/2)mv^2に含まれるvと物質波のエネルギーhv/λに含まれるvが別のものだからである。


前者のvは物質波の群速度であり、後者のvは位相速度である。
この2者は通常一致しない。

こちらの文書が参考になると思います。
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/819362 …

参考URL:http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/819362 …
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。見事どんぴしゃな回答でなんとなく理解できましたが、できればシュレディンガー方程式など難解な数式を用いずに説明することも可能ですか?(高校の数学IIIレベル~大学教養レベルで説明していただけると助かります。)

お礼日時:2009/06/29 15:11

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