みなさま、いつもお世話になっています。
2級工簿の直接原価計算を勉強していて、ふと素朴な疑問が出てしまいました。
(税法の決まりで、損益計算書の作成は、全部原価計算を使用すると聞いた事があるのですが、)なぜ、変動費と固定費を混在させた、複雑な全部原価計算を使用して、損益計算書を作成するのでしょうか?
直接原価計算のみを使用して損益計算書を作成する方が、シンプルで良いと思うのですが、なぜ税法は直接原価計算の使用を禁止しているのでしょうか?
皆様、ご教授をよろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
1)製品や仕掛品の期末評価に、いわゆる固定費部分も反映させれば、なぜ、発生した費用を当期の売上高に対応する部分と翌期以降に繰り延べる部分とに合理的に配分できるのでしょうか?
→このご質問は、発生主義会計ないし対応原則の根幹に触れる部分ですね。
直接費の場合は、特定の財貨を媒介として個別的に収益と費用の対応関係が認識されますが、間接費(固定費)の場合は、このような直接的な対応関係がないので、期間を媒介として対応関係を認識することになります。
その会計期間中に、製造工程を通過したという事実が、その期間に発生した費用を負担させる根拠とされている訳です。
これは、会計の世界ではひとつの了解事項だと思いますので、とりあえずはこのまま納得していただくより外ないでしょう。
2)なぜ、発生した費用を当期の売上高に対応する部分と翌期以降に繰り延べる部分とに合理的に配分すれば、株主、債権者その他の利害関係者間の利害調整のための、適正な期間損益計算が可能になるのでしょうか?
→企業をとりまく主な利害関係者の内、
株主の立場は、少しでも多くの配当を望み、
債権者としては少しでも株主への配当を少なくすることで企業の財務基盤を厚くして、債権回収の確保を図りたい、
従業員の立場では、少しでも待遇をよくして欲しいし、会社の経営も安定して欲しい、
投資家(将来株主)としては、同業他社との比較可能性のある財務情報がほしい、
課税当局としては課税の公平を図りつつも少しでも多くの税収を確保したい・・
と、企業をとりまく利害関係者の利害は、ある部分では一致しある部分では対立しています。そこで、配当可能利益の算定を含め期間損益計算がとても重要になる訳です。
これらの利害関係者の理解が得られるためには、期間損益計算に相当の合理性がなければなりません。1)の期間対応もその合理性を裏付けるひとつの要素だと思います。
以上のようなことは、簿記2級の範囲ではないと思いますが、現段階でこれだけの問題意識を持たれるのはいいことだと思います。
minosenninさま
とても詳しいご解説を、ありがとうございました。
今の私の実力では、理解するのは、少々、難しいのですが、熟読して
勉強してみます。
たいへん勉強になりました。本当にありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
税法に限らず、会社法、金融商品取引法による制度会計ないし財務会計はすべて全部原価計算が前提です。
財務会計の主な目的は、株主、債権者その他の利害関係者間の利害調整のため、適正な期間損益計算を行うことですが、このためには、発生した費用を当期の売上高に対応する部分と翌期以降に繰り延べる部分とに合理的に配分しなけければなりません。
具体的には、製品や仕掛品の期末評価に、いわゆる固定費部分も反映させる必要があるのです。
(2級ででてくる製造間接費の配賦がそれです。)
全部原価計算では、これをクリアしていますが、直接原価計算では、製品や仕掛品の期末評価に反映するのは変動費のみで、固定費部分は反映されません。
直接原価計算は、追加の生産・販売を行うかどうか等の経営判断のツールとして、管理会計の分野では有用ですが、費用(固定費)の期間配分機能を有しておりません。これが、直接原価計算が財務会計では採用されていない理由だと思います。
この回答への補足
minosenninさま
ご回答ありがとうございました。(初歩的な質問で)済みませんが、下記の件で、追加質問させてください。
1)製品や仕掛品の期末評価に、いわゆる固定費部分も反映させれば、なぜ、発生した費用を当期の売上高に対応する部分と翌期以降に繰り延べる部分とに合理的に配分できるのでしょうか?
2)なぜ、発生した費用を当期の売上高に対応する部分と翌期以降に繰り延べる部分とに合理的に配分すれば、株主、債権者その他の利害関係者間の利害調整のための、適正な期間損益計算が可能になるのでしょうか?
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