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アンペールの法則とマクスウェル方程式
 
 直線電流Iの周囲の磁界はアンペールの法則により、H=I/(2πR)と電磁気学の教科書に載ってます。また、アンペールの法則を一般化してマクスウェル方程式の一つ、rot(H)=Jが導かれると思っています。(変位電流を考えず電導電流密度Jだけの場合。)
 ところが、このHの回転(rot)を計算すると0になってしまう。つまり、rot(H)=0.
H(Hx,Hy,Hz)は次の通り。
Hx=(I/(2πR))*y/R =(I/(2π))*(y/R)
Hy=(I/(2πR))*(-x)/R=-(I/(2π))*(x/R)
Hz=0
         rot(H)の計算は略

 教科書ではrot(H)=J +(変位電流の項)とし、真空中ではJ=0であるとして電磁波へ話がすすみます。電導電流だけの場合に、rot(H)=Jとアンペールの法則との対応ってどう考えるのでしょうか。
 よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

>このHの回転(rot)を計算すると0になってしまう。



あなたが,計算したのはRの位置の電流密度ですから,ゼロになるのは当然です。

rotH = J を半径Rの円にわたって面積分して,

∫rotH・dS = ∫J・dS

ストークスの定理によって左辺は円周にわたる経路積分となって,

∫H・ds = I
すなわち,
2πR H = I
∴ H = I/(2πR)

となるわけですよね?
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。計算して0になるのは当然ですとして、じゃあrot(H)=Jを満たす領域が直線電流の場合にどこにあるのだ ? という疑問があって未だにモンモンとしています。

お礼日時:2010/08/04 13:08

>H=I/(2πR)



は積分形

>rot(H)=J

は微分形ですから。

この場合、電流はx=0, y=0だけに存在しそれ以外は0なので、
x≠0, y≠0ではj=0でrot(H)は当然0です。

rot(H)=jを電流に直交する平面内の半径Rの円上で積分すると、

∫rot(H)・dS = ∫j・dS

問題の対称性から円周上の磁場は等しい値となるはずなので、ストークスの定理により

∫rot(H)・dS = ∫H・ds = 2πR H  (dSは面積積分、dsは円周上の線積分)

電流密度は

j(x,y,z) = Iδ(x)δ(y)  (δ(x)、δ(y)はデルタ関数)

でjとdSは共にz方向を向いて平行なので、

∫j・dS = I ∫δ(x)δ(y)dxdy = I

したがって、

2πR H = I ∴ H = I/2πR
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。数式での説明ではわかった気になるのですが、rot(H)=Jを満たす領域ってどこ ? ってあたりがいまいちスッキリしないのです。電流があるのはx=0,y=0なのでそこに電流があるとして、じゃあそこでのrot(H)ってどうなるのだろうって感じの疑問です。

お礼日時:2010/08/04 13:12

まず、直径0の理想的な直線電流ではなく、有限の直径を持った円柱領域を流れる電流について説明させていただきます。


ここでは計算しませんが、半径aの円柱状の導線を流れる電流Iにより発生する磁場は、導線の中心軸からの距離をRとして、
・R<aのとき、H = I*(R/a)^2/(2πR) = IR/(2πa^2)
・R≧a のとき、 H = I/(2πR)
(円柱内を均等に電流が流れるとしています)
となります。

rotHを計算すると、(計算は省略しますが)
・R<a のとき、rotH = (0,0, -IR/(πa^2))
・R≧a のとき、 rotH = (0,0,0)

ところで -IR/(πa^2) というのは、「その点での」電流密度の値に等しいですね。
このように、rotH = j のjというのは、その点での電流密度の値を表しています。
電流が流れていないところで0になるのは当たり前です。

直径0の直線電流の場合にこの計算がうまくいかないのは、「直径0」という極限的な状況を考えているからです。
具体的には、半径0のときに電流が流れているのはR=0の点ですが、そこでは磁場H=I/(2πR)が発散してしまいますし、電流密度jも無限大となります。そうすると、rotH=jという式が成り立ちえないのです。(普通、関数が発散する点での微分を計算することはできません)
このように極限的な状況では、磁場に関するアンペールの法則や電場に関するガウスの法則は単純には成り立ちません。

もし、これをどうにか半径0のときにも使えるようにしたい、といった場合、「デルタ関数」というものを使います。
まず、電流密度 j=Iδ(R) であると考えます。このデルタ関数δ(x)は数学的には「超関数」と呼ばれるもので、ここでは詳しいことは説明しませんが、δ(0)=∞、それ以外の点でδ(x)=0になる関数だと思ってください(というのは非常に不正確な説明ですが、話し出すとまた全然別の話になって長くなってしまいますので)。
それとrotHの方ですが、一見こちらはR=0でも0になりそうですが、そもそもH=I/2πR 自体が、原点では発散してしまいます。発散する点での微分は普通は定義されないので、実はR=0の点ではrotHも普通の意味では存在しません。
しかし、これを、rotH=Iδ(R) となると(半ば無理やり)考えるのです。(そう考えてよい理由を説明するためには、超関数とはそもそも何かとか、そういう話を色々しないといけません。興味がある場合は自分で調べてみてください。)
そうすると、rotH = j という式が成り立つようになります。

#1や#2の方のストークスの定理を使った式たちは、実は超関数という物を考えないと不完全になります。なぜならば、ストークスの定理はその面領域内の全ての点で関数が定義されている場合にしか使えないのですが、I/(2πR)というのはR=0で定義されていないからです。
でもそれも、超関数を使うと上手く正当化できます(というよりも、それが上手くいくようにδ関数という物を作った)。
逆に言えば、関数が発散してしまう点があるのを気にせずにストークスの定理等を使うことで、δ関数を前面に出すことなく計算ができるのです。
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この回答へのお礼

 回答ありがとうございます。
 δ関数については信号処理の分野のインパルス応答でインパルスがδ関数として与えられるってのをうろ覚えしている程度で、δ関数の電磁気学での扱いは知りませんでした。
 私の疑問を自分自身でスッキリ解消するにはだいぶ勉強しないとならないようです。が、何を勉強すればいいかわかっただけでもありがたいです。どうもありがとうございました。


 

お礼日時:2010/08/05 23:23

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