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2CV 対 ビートル

どちらのクルマも、歴史に残る傑作だとおもいます。

1950年代半ばに、架空のある国家(一番例えとして近いのが、パタリロ! のマリネラみたいな国。ただし、日本のように春夏秋冬の移り変わりはあり)の王様なり政府なりが、国家プロジェクトとしてまず大々的に優遇措置を講じて輸入、のち、国民車としてライセンスしたい。そのため、両方のクルマのコンペを行う、と両社に打診し、内外に発表したとします。

まず乗用車導入、というのは考えにくいですが、この命題を考えたとき、甲乙つけがたいことに気づきました。
ビートルが天才の産物、2CVがある国民性の発露、と見た場合、両方に長所も短所もあるとおもいます。すると、引き分けの結果しか思い付きません。

曖昧な質問ですが、はじめて乗用車本格導入をする国にとって、どちらがいいでしょうか。
理由もそえてお答えいただければ、幸いです。
よろしくおねがいいたします。

A 回答 (6件)

 クルマの研究者です。

若い頃フィアット500D、VW type1(ビートルは俗称でこれが正式名称)、シトロエン2CV、BMCミニそれぞれを分析しましたよ。
 で、ビートルと2CVどちらを作ればよいか?ですが。

>まず乗用車導入、というのは考えにくいですが、この命題を考えたとき、甲乙つけがたいことに気づきました。

・・・目的が明確なら、甲乙は簡単に付きますよ。

※この2台は、コンセプトがマルっきり違います。極論すると商用バンとタクシーを並べて『どちらが国民車に相応しいか?』と言ってる様なモノです。

※ビートルは、元々チェコのタトラ社のV8リムジン(リヤエンジンの、『巨大なかぶと虫』型のクルマ)が大変お気に入りだったヒトラーが、『優れた種族であるゲルマン民族に相応しい、タトラの様なハイグレードな大衆車』を作ろうとして生まれたクルマです。
 故に当時としては非常に奢った設計が施されており、それが40年間も乗用車として通用する性能となっていました。(ビートルはタトラのリムジンの縮小版と言える設計で、戦後VW社はタトラ社に対して特許や意匠を無断使用した事を認め、莫大な使用料を払っています。)

※対する2CVは、大衆車とは言えません。一般的な大衆車の下に位置するクルマで、要するに『これよりも簡素には作れない必要最小限のクルマ』というコンセプトのもとに設計されました。(2CVを企画したシトロエン社の当時の副社長ブーランシェは、『こうもり傘に4つのタイヤを付けたクルマ』というコンセプトをチーフデザイナのルフェーブルに指示しました。)

※故に、一言で大衆車と言っても、どんなモノを作るかによって選択が変わります。

(1)工場も設計スタッフも実験設備もないところで初めて量産するクルマなら、圧倒的に2CVです。
 部品点数が極端に少なく構造が簡素、しかも根本的に速度が出ないので、駆動シャフトのジョイントやベアリング類などは今日の先進国で入手出来る高精度の部品で無くても使用可能、低速なので走行実験もテストコースなど不要です。更に製造設備で最も高額なボディの金型は、ボンネットと4つのフェンダ以外は無くても作れます。

(2)2CVは、元々農民が農道具を積んで畑に行ったり収穫物を市場に運ぶ為に作られたクルマです。『大衆車』というクルマにそういう使用目的も含むなら、ビートルでは何の役にも立ちません。(ビートルはあくまでも『乗用のクルマ』であって貨物車ではありません。)

(3)凹凸の少ないタールマク舗装道路や高速道路などのインフラ整備も同時に進めるとすると、初期のポルシェと同じシャシを持つビートルの方が向いてます。

(4)国民の健康と安全の為に少しでも衝突安全性を考えたら、もう2CVを選択する余地は全くありません。2CVの衝突安全性は、発表された1948年の標準を以てしても脆弱な部類で、側突実験(側面からの衝突)では乗員が投げ出されるバイクの方が逆に安全では?と思えるほどです。(2CVの側突実験では、ドアが変形したりクルマ全体が跳ね飛ばされる前に、前から見て『平行四辺形』にパタン!と潰れます。その様子は、まるで組立式物置が台風で倒れる様で、この様な潰れ方をするクルマは、戦後では他に例がありません。)

・・・っというワケで。
 2CVが30年間生き残ったのはクルマとして優れていたからではなく、同じサイズでこれ以上安いクルマが無かったからです。(2CVとビートルの総生産台数、或いは輸出割合を調べれば歴然で、2CVはビートルやミニの様に全世界で支持されたワケではありません。また、シトロエンは2度2CVのモデルチェンジを敢行しましたが、常に失敗でした。その時の市場の反応は『2CVは道具として使いっ放しに出来るが、新型は単なるクルマだ』というモノで、つまり2CVを支持したフランス大衆自身『2CVは一般的なクルマではない』と認識していたという事です。)
 ホントはリヤサスに重大な欠陥を持つビートル(極めて横転し易い)と衝突安全性ゼロの2CVはどちらもダメで、ミニを作るのが一番無難だと思いますが・・・。

 尚、長くなりましたが最後に。
 個人的な趣味では、圧倒的に2CVですね。その設計の『妙』は、自動車史130年で空前絶後と言えます。タイムマシンで同時代に行って同じテーマでクルマを設計して、果たして2CVの様なクルマが作れるか?自分には自信がありません。2CVの様な設計をする事は、F1を設計するより(自分にとっては)ずっと困難な仕事です。ビートルを企画・設計したアドルフ・ヒトラーとフェルディナンド・ポルシェよりも、2CVのピエール・ブーランシェとアンドレ・ルフェーブルに賛辞を送りたいところです。
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この回答へのお礼

ご丁寧な回答、ありがとうございます。

>2CVとビートルの総生産台数

忘れていました。これは確かに、両者の最たる違いですね。

社会インフラのあり方まで考えるか否かで、確かに変わります。2CVが「大衆『車』以下のクルマ」というのは、おっしゃる通りだとおもいます。

ミニ忘れていました。なんということだ。確かに、エンジン横置き、というのは自動車の歴史に残る偉業です。あれは現代のクルマのお母さんみたいなものですね。まあ、ゴム玉のサスとか、これはこれで個性的ですが。

タトラを下地にポルシェがデザインしたのは聞いたことがありますが、タトラに賠償金払ったことは知りませんでした。
ご教唆、ありがとうございました。

お礼日時:2010/10/30 20:23

「パタリロ! のマリネラ」って知らなかったのでWikiで調べた結果、気候が温暖な小さな島国と仮定します。

だとすると、以下の理由で2CVでしょうね。

1) ドアが4枚あるので、乗降あるいは荷物の積み下ろしが楽
2) 屋根が開くので、大きな物や長尺物を積むことができる
3) ドアが4枚あるので、タクシーに使える
4) 燃費が良い

ビートルの長所である走行性能は、高速道路のない(あるとしてもたいしたものでない)ところでは大きなメリットとはならないでしょう。また耐寒性もビートルの方が良いでしょうが、温暖な気候では関係ないと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

農道で50キロ出せる車、が2CVですから、高速道路がない国の道具としては、いいとおもいます。前輪駆動というところも、当時の大衆車としてはすばらしい機能だとおもいます。

ありがとうございました。

お礼日時:2010/10/30 20:13

ボディの頑丈さと修理のしやすさでビートルに一票です。

個人的にはあのエンジン音と振動が、車を運転しているという雰囲気をぷんぷん醸し出していると思います。
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この回答へのお礼

確かに、ビートルはボディがいかにも「鉄!」な質感がよかったですね。エンジンは、時々早朝にふかすと、近所迷惑だと思う音ですが、今の車にない「回っております」という感じはすてがたいです。

ありがとうございました。

お礼日時:2010/10/30 20:11

考えるまでも無く、ビートルでしょう


作りやすさ、修理のしやすさ等を考慮すればそこに行き着きます
世界で受け入れられる国民車になるには、シンプルで修理しやすいメカニズムが必要です

個人的には、2CVが好きですが
「何でこんな構造なの?」と思えるような部分が多すぎます
いかにもフランスらしいとも言えますが
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この回答へのお礼

確かに、堅実な乗用車としてはビートルだと思います。おっしゃるとおりです。

フランスの機械は確かに、なぜこんなことを、というものが多いですね。

お礼日時:2010/10/30 20:09

BMW-JaponさんがVWに一票を入れたようですので、シトロエンでは無いですがフランス車乗りの立場から2CVに一票をw



2CVのエンジンは空冷二気筒OHVながら一次振動の無い水平対抗式、アルミ合金製で燃焼室は高効率の半球式、給排気の効率化を狙ったクロスフロー式弁配置を持つ見た目とは裏腹に高度な設計のエンジンです。
しかしこのエンジン、メンテナンス製も考慮された上に頑丈で、現地でオイル切れを起こした際にバナナから採取した油を補給したけど故障知らずだったとかw

しかし・・・フランス人以外受け入れそうにないよなあ、この車・・・w
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この回答へのお礼

あのエンジン、タルボから引き抜かれたワルテロ・ヴェッキャがデザインしたそうですが、シンプルで高回転に耐えられ、故障しない、という無茶を、よくクリアしたとおもいます。

フランスは独特の自動車税制度なので、あの大きさは至上命題だったそうですね。
小さくて回るエンジンはお家芸ですが、なれるまで大変だと思います。

なれたら面白いとききますが、確かにフランス的ですよね。

ありがとうございました。

お礼日時:2010/10/30 20:05

コレだけたくさんの種類の車があふれかえってる現代を生きる自分には、そもそも乗用車が普及していない当時、何をもって甲乙を判断するべきなのかも分かりません。



普及させるとは言え、現代のように次から次へと新車を買い替えるには行かない時代でしょう。そこでメンテナンス性と言う土俵で考えてみました。
と言っても2CVをいじったことが無いのですが、ビートルは非常にメンテナンス性が高いです。ボルト4本外せばエンジン降ろせます。

そんなわけで、非常に偏った観点からではありますが、自分はビートルに一票です。
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この回答へのお礼

遅くなりました。ありがとうございます。

確かに、私もビートルを持っていましたが、分かりやすい車でしたね。
ボルト4本外すとエンジンがおろせる整備性は優秀だと思います。

1930年代の基本デザインがいかによくできていたかがわかる話だと思います。

ありがとうございました。

お礼日時:2010/10/30 20:00

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