プロが教えるわが家の防犯対策術!

大学の化学科で実験をしている学生です。
最近、パラジウムを使ったカップリング反応を使うようになったのですが、アルゴン置換が上手くできていないのか、反応が思うように進みません。

0価のパラジウムを使用しているのですが、アルゴン置換した「つもり」の溶媒に入れると
薄く赤みがかった色がすぐに黒っぽくなります。

私は、アルゴン置換をするときに、まず
1)二口のフラスコに、反応させるものと溶媒、スターラーバーを入れて、風船付の三方コックで蓋をする。
2)スターラーバーを回しつつ、ポンプで引っ張る。泡がでるのを確認して、1分くらい引っ張る。
3)アルゴンガスで風船を膨らませる。
4)2と3を、3回ほどやる。→泡が出にくくなっている。
5)二口の三方コックが付いていない方の口の蓋を取って、パラジウム試薬を入れて、すぐ蓋をする。
6)2と3の操作を繰り返す。この操作をしているとすぐに黒っぽくなる。


これは、上手くアルゴン置換ができていないのでしょうか?
教授が言うには、しっかりと脱気が出来ていれば、入れても黒っぽくならないと言われたのですが・・・。


本などを調べてみると、スターラーで撹拌する以外に超音波で撹拌しながら脱気と書いてあったのですが、スリや、スターラーバーを入れながら、超音波するのは、少し勇気が必要で・・・。

A 回答 (1件)

有機金属錯体は、溶液状態で酸素に接触すると酸化されることが多いです。


一方で固体状態なら、空気に触れても酸化は比較的遅いです(もちろん、例外もありますが)。

実験手順5のところで、錯体+溶液+空気が混ざっていますので、ここで酸化されていると思います。

これを回避するために、シリンジを用いて空気に触れないように溶液を扱う、というのはいかがでしょうか。

具体的には
(1)三方コックをつけたフラスコAに、溶媒のみを入れる
(2)フラスコAを液体窒素(またはドライアイス)で冷却したのちに、真空でひく(5~10分程度)
(3)Ar充填で常圧に戻してから、フラスコAを常温に戻す(水につける、ドライアーであぶる、など)
(4) (2)→(3)を数回繰り返す
(5)フラスコBに触媒のみを入れ、三方コックを付ける
(6)フラスコBをAr置換する(真空→Ar充填→真空→...、を数回繰り返す。触媒が舞わないよう、ゆっくりやる)
(7)シリンジを用いて、フラスコAの脱気溶媒を、フラスコBに加えて触媒溶液にする(空気が混入しないように注意)
(8)フラスコCに反応させたい試薬とスターラチップを入れ、Ar置換する
(9)シリンジを用いて、フラスコAの脱気溶媒を、フラスコCに加えて溶液にする
(10)シリンジを用いて、フラスコBの触媒溶液を、フラスコCに加えて反応開始

だらだらと書きましたが、このシリンジを用いた実験操作はAldrich社資料で図解されていますので、そちらもご参照ください。
Sigma-Aldrich Technical bulletin(AL-134)
"Handling and Storage of Air-Sensitive Reagents"
(「aldrich al-134」で検索するとPDFファイルが見つかります。新旧2種類ありますが、どっちでもいいです)

なお、(2)で冷却するのは溶媒の気化を防ぐためです。
気化しても構わないようなら、常温でやってもかまいません(が、大抵の人は冷却してやっているようです)。

超音波による脱気に関しては、HPLC溶媒の脱気に使っている人は見たことがありますが、触媒反応用の溶媒に使っている人はまだ見たことが無いです。


なお、脱気処理に関してはChemStationに記事がありますので、そちらもご参照ください。
http://www.chem-station.com/blog/2009/12/post-13 …
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この回答へのお礼

おお、かなりわかりやすくて、助かります!
ありがとうございます!

今度早速やってみます!

お礼日時:2011/12/07 22:33

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