当施設は高圧2回線受電方式で、柱上区分開閉器にはPASを使用しています。
引込柱接地端子箱にある接地ですが、接地抵抗値が悪いなどの理由で、改善を考えています。
改善案1としては、常用線アレスタ用と予備線アレスタ用とを共用接地して30Ω以下、両PAS本体用接地は単独接地で10Ω以下と考えていますが、問題ないでしょうか。(常用線と予備線のアレスタ用接地を共用接地していいものかどうか?)
改善案2としては、常用線アレスタ用と予備線アレスタ用と両PAS本体用全てを共用接地で10Ω以下でも、問題ないでしょうか。(PASの取扱説明書によると、避雷器と開閉器の外箱との共用接地可能のようです。)
ご存知の方、お詳しい方、教えてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
PASの接地は、引き込み柱が鉄柱の場合はA種設置工事として10Ω以下が必要ですが、コンクリート柱の場合はその制約はありません(電力設備の柱上変圧器の接地もコンクリート柱ならば10Ω以下としておりません)。
また、アレスタですが、ケーブル引き込みならば10Ω以下ですが、電線ならば30Ω以下で良いことになっています。
したがって、おそらくはコンクリート柱でしょうから、全て(常予備のアレスタ、PASの4つ)が30Ω以下の共用接地でよいです。
しかしながら、それ以降(負荷側)では10Ω以下の接地(A種、C種)が必要となるはずですから、最初から10Ω以下の接地極を確保すべきでしょう。
No.2
- 回答日時:
自家用電気工作物構内における受電設備の高圧機器類は何の例外もなく単独でのA種接地工事が必須となります。
PASの取説にどう書かれていようと法規通りの施工は常識であり、それ以外の施工の可否は主任技術者の判断が優先されます。
また支持物の材質も変電設備の構造も関係ありません。
各種接地の共用化はその設備を管理する主任技術者の判断で許可され、施工する事ができます。
特に2回線受電の場合は基本的には別々の高圧受電設備ですので、互いの接地を共用する事は通常では考えられません。
電力会社の配電線設備は事業用電気工作物ですので何の参考にもなりません。
No.3
- 回答日時:
#1です。
PAS(に限らず、機器全部ですが)の接地は電気設備技術基準解釈29条で、高圧および特別高圧にあってはA種接地工事(10Ω以下)と定めがありますが、但し書きで「外箱を充電して使用する機械器具に人が触れるおそれがないようにさくなどを設けて施設する場合又は、絶縁台を設けて施設する場合は、この限りでない」となっており、コンクリート柱の場合はまさにこれに該当し、接地施設義務の対象外となります。
故に30Ω以下の接地でもよい(接地抵抗値の制約がない)ことになります。
避雷器の接地工事については、同解釈42条で日本電気技術規格委員会規格の指定があり、30Ω以下となりますが、そもそも高圧受電にあっては500kw未満の受電電力ならば避雷器の設置義務そのものがありません。
また、これらの接地について共用禁止の条項はありませんし、電気保安上の観点からも共用が問題になるはずがありません。
なお、蛇足ながら電気設備技術基準は一般用電気工作物、自家用電気工作物、事業用電気工作物という区別ではなく、電圧別または場所別の区別しかありませんし、主任技術者の判断はこれらの法規制の元で行わねばなりません。
No.5
- 回答日時:
A種接地工事は10Ω以下となっておりますが、避雷器については条件によっては30Ω以下でよいとされています(100Ωでも300Ωでも良いなんて言ってません)。
もちろんこれは設備保安を目的として避雷器の原理を充分に承知した上で技術的に検討された結果として電気設備技術基準に反映されています。
それと外箱接地については、接地工事が義務づけられていない場合については、接地そのものが不要でいいのですから、接地抵抗値もまた10Ω以下である必要は無いということです。
No.6
- 回答日時:
watch-lotさんが詳しく解説されていますので、接地抵抗値についてはその解答から判断されると良いと思いますが、アレスタの接地抵抗地は極力低い事が理想です。
ただし、「交通死亡事故をなくすためにクルマの制限速度は10キロ以下にすべき」的な現実離れした解釈では現実的な費用という無視できない問題に対処できませんので、watch-lotさんが説明された抵抗値以内でバランスのとれた施工を選択することとなります。構内第1柱の素材による抵抗値はともかく、接地自体は必須であることは申し添えます。
『JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事』検索すると30Ω以下の理由がわかるPDF文書が見つかるはずです。
以上は法解釈上の見解ですので現実的なお話をします。
>>PASの取扱説明書によると、避雷器と開閉器の外箱との共用接地可能のようです
はい。戸上の取説です→http://www.togami-elec.co.jp/products/pdf/klt.pdf
ただし同一柱上に近接して設置する場合に限ります。離れていると接地線のインピーダンスにより電位差が発生する恐れがあります。
それから戸上もエナジーもA種接地をしてくださいとしており、『JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事』の記述を斟酌していません。
この理由についてですが、現実的にはPASと避雷器と制御器のZ2端子は同一接地で施工するはずですが、このときの抵抗値が10Ωを大きく越えていると、例えば方向性PASの場合には正常動作しない恐れがあるからではと考えます。私も年次点検などで試験機をZ2に繋いでも正常動作せず、試験用に接地極を打ち込んですると正常に試験ができたという経験があります(もちろん直ぐに接地抵抗地を下げる工事をしました)。
つまり、取説によって方向性は必ずA種で!方向無しは30Ωいかでもいいと書くと混乱を招くので、必ずA種で!とメーカーはしているのではと考えます。
つまり技術基準の解釈やJESCE2018(2008)の規定に関わらず、方向性のPASの場合には10Ω以下でないと正常動作しない可能性があるという事です。
>>(常用線と予備線のアレスタ用接地を共用接地していいものかどうか?)
賛成できません。
片方の線路に直撃雷があった時に、もう片方もダメージを受け両方とも遮断される恐れがあります。これではせっかくの2回線受電が意味を成さなくなります。
No.7
- 回答日時:
#2さまの回答が正解です。
電技解釈29条は機械器具の金属製外箱の接地 の条文です。
これを避雷器の接地に適応することは誤りです。
つまり、 避雷器の接地はA種接地であることが正解です。(電技37条)
次に
避雷器の接地については最新の条文では37条となっています。
まず、37条の1項で避雷器を設置する個所を明らかにしています。
今回の箇所がこれに当たるか確認が必要です。
同じ37条の3項で緩和措置が挙げられています。
これは37条の1項以外に適用されます。
つまり、法的に避雷器の設置が義務付けられている箇所、、、これはA種接地
そうではない(法的に避雷器の設置が義務付けられていない)箇所で、保安上、任意に設置している避雷器はA種接地ではなくてもよいという条文です。
長くなりましたが
結論です。
避雷器の設置は#2さまの言われる通り法的に設置義務がある箇所ならA種接地
そうではなく、保安上任意に設置される避雷器ならA種接地ではなくてもよいです。
次にPASの外箱の接地は29条の通りです。
また、接地を兼用される場合は接地抵抗の低いほうに会わせる必要があります。ので
PASの外箱と避雷器の接地を兼用される場合はA種接地が必要となります。
質問にあります、1/2L(ここでは仮にこう呼びます)の避雷器の接地を同じ接地にすることもできます。
また、pasの外箱と避雷器の接地を兼用することもできます。
これは接地設計によります。
変電所に相当する個所の考え方によりますので、主任技術者に相談してください。
くどくなりますが敢えてかきます。
法的に設置義務のある避雷器ならA種接地と決められています。電技解釈37条3項です。
電技解釈の解説本をよく読んでください。
No.8
- 回答日時:
#6です。
質問者様に混乱を与えないよう整理します。まず、pas外箱の接地。
電技解釈
【機械器具の鉄台及び外箱の接地】
第29条電路に施設する機械器具の鉄台及び金属製外箱(外箱のない変圧器又は計器用変成器にあっては、鉄心)には、29-1表の左欄に掲げる機械器具の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる接地工事を施すこと。ただし、外箱を充電して使用する機械器具に人が触れるおそれがないようにさくなどを設けて施設する場合又は、絶縁台を設けて施設する場合は、この限りでない。
29-1表
機械器具の区分接地工事
300V以下の低圧用のものD種接地工事
300Vを超える低圧用のものC種接地工事
高圧用又は特別高圧用のものA種接地工事
つまり木やコンクリ柱ならA種によらなくてもよいとのwatch-lotさんの書き込みの根拠です。10Ω以下というより、100Ωでもよいと言う事です。しかし実際の運用には主任技術者としては10Ωを目指すでしょう。大衆が触れる恐れはなくても、(主任技術者)自身はSOG制御器やPAS操作紐などに触れる機会が少なからずあるからです。
次に避雷器についてですが、
【避雷器の接地】
第42条高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(前条第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第19条第1項の規定(A種類=10Ω以下を求めています)によらないことができる。
【JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」】
「2.技術的規定」
一 避雷器{B種接地工事が施された変圧器(高圧巻線と低圧巻線との間に金属製の
混触防止板を有し,高圧電路と非接地の低圧電路とを結合する変圧器を除く。以下
同じ。)に近接して施設する場合を除く。}の接地工事の接地線が当該接地工事専用
のものである場合において,当該接地工事の接地抵抗値が30Ω以下であるとき。
つまり、法的に避雷器設置を義務付けられている箇所に設置するものであっても、場合によっては『法的に』30Ω以下で認められるケースもあるわけです。
しかし、方向性PAS外箱と共用接地とした場合には、JESCE2018の法的解釈よりもメーカー取説の「A種接地すること」を優先させ、10Ω以下に保つ重要性は先の回答で述べたとおりです。違法でなくても、現実的に事故時動作しないようでは、電気保安の観点からは失格です。
>>当該接地工事専用のものである場合において,当該接地工事の接地抵抗値が30Ω以下であるとき。
これは、本線と予備線との両避雷器の接地を連結したらやはりA種でないといけないと解釈できます。しかし先の回答でも申しましたとおり、直撃雷を受けたときに本線と予備線とが同時にパンクしてしまう可能性のある接地の取り方は、「接地抵抗を低くして、機器その他への電撃を緩和する」という趣旨に対して本末転倒です。
方向無しPASと避雷器とを共用接地する事は、30Ω以下でも法的にも動作上も問題ないようです。
以上、施設の設置状況に合わせてご検討下さい。
No.9
- 回答日時:
すいません訂正します。
電技解釈
【避雷器の接地】
誤)第42条
正)第37条第3項
高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(前条第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第19条第1項の規定によらないことができる。
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