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ja.wikipedia.org/wiki/不確定性原理 の 「2.測定精度と測定の反作用」 に 「(前略)波長の短い光はエネルギーが大きいので(中略)観測対象の運動量へ影響を与えてしまう。(後略)」 とあります。しかし、観測対象の運動量が光のエネルギーに影響されて変化するのは光とぶつかった瞬間より後のことであり、観測される、光とぶつかる瞬間以前の観測対象の運動量は、まだ、それに影響されて変化していないものなので、不確定性原理を導き出したという、この思考実験はおかしいのではありませんか。

A 回答 (13件中1~10件)

 #10です。



>・・・これまでの小弟のQ&Aによってハイゼンベルクの推論過程が否定され得ますので、小澤の不等式も否定され得ます。

 運動軌道をまるごと無限に測定する事は可能か?が、ハイゼンベルグの推論過程の本質だと思いますので、ここまでのやりとりでその過程が否定されたとは、自分には思えません。

 それに関連してコンプトン散乱(効果)の計算式ですが、この計算式は、電子が「止まっている」という前提で立てられた式です。電子が動いている場合は、別途考える必要があります。


 #12さんが自分の論点を整理してくれましたので、それに載っかります。

 ハイゼンベルグの制約を越えるような測定方法が見つかったり、それを利用した測定結果が出たとしても、結局それは測定技術上の突破にしか過ぎない訳です。小澤の不等式は、既にそのようなものだったとも考えられます。

 よって、ハイゼンベルグのオリジナルな不等式が小澤の不等式で乗り越えられたからと言って、物質の本性として不確定性が「無い」という論証はできません。「有る」という論証も出来ないのと同じに。物質の本性としての不確定性は、あいかわらず予想の域を越えません。不確定性原理は、「信じてね」の原理にとどまり続けます。

 とは言えハイゼンベルグの不等式が提出された当時、量子効果に戸惑っていた多くの物理学者とって、物質の本性としての不確定性への導きの糸になったのは確かだと思います。


 ところでアマチュアはアマチュアなりに、ハイゼンベルグ方式での衝突角度の考察はやってみたい気はしてます。もしよろしければですが、余り(全然)期待せずにお待ち下さい(^^;)。

この回答への補足

>コンプトン散乱(効果)の計算式ですが、この計算式は、電子が「止まっている」という前提で立てられた式です。電子が動いている場合は、別途考える必要があります。

この御発言の御理由を敷衍して頂けますでしょうか。

補足日時:2013/07/04 20:41
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/04 20:37

まず、測定の方も本質的の方も歴史を別にすれば「原理」ではないのです。



wikipediaから
>量子力学の基礎が整備された現在は、他のより基礎的な原理から導かれる「定理」となっている。
>量子論での時間発展や測定についての基本的要請をすべてを使って展開できる量子測定理論を用いて、ハイゼンベルクの考察した「測定精度と反作用に関する不確定性原理」ははじめて導けるが、その結果得られる不等式の下限はケースバイケースで変わることが判っている。[1]。小澤の不等式などがその1つである。

1.
ハイゼンベルクの不等式と小澤の不等式はそれぞれ
「三角形の内角の和は180度」「多角形の外角の和は360度」みたいなものです。測定方法に前提条件があるので、それと違った実験の議論をするのは単純に間違いです。
一方、本質的な量子ゆらぎの不等式は、二重スリット実験を説明するための道具立て
「波」+「確率解釈」
に数学的必然として「フーリエ変換の不確定性原理」が立ち現れた結果ですので回避とか反例とかありえません。

2.
物理学ですから実験による反例が見つかれば理論の修正・発展が必要になるのは当然です。実験の際に測定の不確かさの問題が立ちはだかる(しかし回避できる場合もある)のでそこの検討はしっかりやらないといけません(が実際問題として測定技術が追いついてくるまでおざなりだった)
小澤の不等式は「定理」ですから、それの反例が見つかれば「原理」のいずれかまたは複数がおかしいということになります。

#結局私も専門家ではないのが申し訳ないです。

この回答への補足

リンクして下さったリンク先によりますと、小澤の不等式にも、「位置の観測誤差」と「観測による運動の撹乱」の積が第1項として温存されておりますので、ハイゼンベルクが「原理」(ないしは「定理」)を推断するために用いた一連の推論が、小澤の不等式を導出するために用いた一連の推論の中に、小澤の不等式成立の必要十分条件として、そっくりそのまま引き継がれ、組み込まれていることは明らかです。従いまして、これまでの小弟のQ&Aによってハイゼンベルクの推論過程が否定され得ますので、小澤の不等式も否定され得ます。
なお、小澤の不等式が実験結果と良く合うという話は承知しておりますが、浜岡泰治『現代物理学の徹底批判』(ウインかもがわ、2002年)によりますと、物理学者ムラの面々は、実験結果に合わせて理論のディテールを細工する体質が染み付いている、との事ですから、小澤理論も当てになりません。
また、同書にも、小弟とは切り口の違う「原理」(ないしは「定理」)批判が載っておりますので御覧下さい。

補足日時:2013/07/04 10:55
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/04 10:35

「小沢の不等式」で検索。



http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20120204/p1
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a102 …

ハイゼンベルクの不等式は理論の前提ではないのでそれに問題があろうが別に構いません。
また、ハイゼンベルクの不等式はすでに破られているので弁護するのは徒労です。

「測定できない」ことが原理なのではないのです。

…そういうことではなく、「当時の物理学者が何をどう納得して議論を進めたのか全くわからないんですが」という話でしょうか?
いやハイゼンベルク一人がピント外れなことを言っていただけなんじゃないかと…

測定の不確かさの話をするか、本質的不確かさの話をするか、まず決めたほうがいいと思います。

参考URL:http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20120204/p1

この回答への補足

1.恐れ入りますが、素人ですので問い返させて下さいませ。:大兄は「測定の不確かさ」か「本質的不確かさ」か、どちらが、どの様な理由で正しいとお考えでしょうか。
2.#3~10の ddt・・・ 様にもお伝えしました様に、ハイゼンベルクにしても、小澤にしても、正しいとされている方の、その不等式が反証されましたら、「原理」の実験結果の反例になって、「原理」は否定されるのではありませんでしょうか。

補足日時:2013/07/03 07:30
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/03 07:31

 #9です。



>>衝突角度の測定には、#3の最後で述べたような具合に、不確定性関係の制約がかかると思われます。

>これを詳しく敷衍して頂けますでしょうか。

 ・・・自分もさっき白状したように、専門家ではないので無理です。


 皆さん、どなたか助けて頂けないでしょうか?。

この回答への補足

ガンマ線でもコンプトン散乱の測定のように精密な反跳・反射の測定が出来るのでは?

補足日時:2013/07/02 17:58
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/02 10:20

 #8です。

訂正とお詫び+返答になります。

>車には目的地、運転手、アクセル、ブレーキ、信号機、他の車、速度制限・一方通行その他の道路標識などがあって速度が変わらざるを得ませんが、どの様な根拠で、車の走行と電子の運動の間にアナロジーが成り立ちますのでしょうか。

 車の走行と電子の運動とのアナロジーを立てるのが目的でなく、たんに運動軌道の概念を説明したかっただけです。というのは車も大きさなどを無視して、物体の重心(点)運動だけに注目すると、力学である限り電子(点粒子)も車の重心の運動も、力学的な道具立てである運動軌道で全く同じ記述が出来るからです。

 運動軌道は運動の記述の「仕方」であって(運動の表現法に過ぎず)、もちろん車と電子とで、そこに作用する運動の原因が同じだなどど言うつもりは毛頭ありません。


 次に訂正とお詫びです。

 ドップラー方式なら1回は同時測定に成功するかも知れないと書きましたが、ドップラー方式でも駄目ではないかと考え直しました。照射光と反射光の周波数のずれから電子の速度を逆算するにしても、γ線光子と電子の衝突角度が必要だろうと気付いたからです。ところが衝突角度の測定には、#3の最後で述べたような具合に、不確定性関係の制約がかかると思われます。

 言い訳しますと、当方も毎日シュレーディンガー方程式を追いかけている訳ではなく、実験物理の専門家でもないくせに、知ったかぶりしてこんな事を書いたので、こんな事態になりました。

 ドップラー方式なら1回は同時測定可能と言ったために、不要に面倒な状況になったかも知れませんが、1回は同時測定可能な方法がもし(間違って?)みつかってしまったら、という話は、ハイゼンベルグの思考実験を考える上でちょうど良い題材とも思えますので、申し訳ありませんが、このまま続けさせて頂きます。


>一点かつ一時点での位置・速度が無限に正確に測定できれば、測定限度上も、そして、ましてや素粒子の性質・本質上も、不確定性などと言う物はありえない事になるのではありませんでしょうか。(勿論、引き続き、測定可能性と制御可能性は別問題とお考え下さい。)

 古典力学における運動軌道を完全に(まるごと)知る(測定する)のは可能か?、というところがポイントです。ここで知る(測定する)の対象は、「γ線を全く照射しなかった時の電子の運動軌道」です。まずこの目的のためには、一つの電子ビームに対する連続測定では不可です。γ線を照射する度に電子はキックされて、どこにすっとんで行くかわからないからです。すっ飛びの様子を正確に把握できれば、それでも構わないのですが、#3の最後に述べたような事情で、それは恐らく不可能です。

 それでは1回だけ同時測定可能な方法を用い、多数の同一電子ビームを使って、1回ずつの測定結果をつなげれば良いではないか、となりますが(#8)、今度は多数の同一電子ビームが本当に同一である事は、どのようにして知る(測定する)のか?という話になります。それには結局、それぞれのビームに対する連続測定結果を根拠にするしかないだろう、となります。古典論における運動軌道を「まるごと無限に正確に」知る方法はないのではないか?。これがハイゼンベルグの思考実験の結論です。

 もう一回言いますが不確定性原理関連では、古典論における運動軌道を「まるごと」知れるかどうかが問題になります。よって1回だけ正確なだけでは駄目なんです。それでは、速度情報を犠牲にした正確な位置や、位置情報を犠牲にした正確な速度と同じ程度の価値しかありません。

 古典力学に価値があるのは運動軌道を「まるごと」予測でき、しかもその「まるごと」が現実とも(現実の測定結果とも)一致するであろうという確信があるからですが、本当にそうなのか?と、ハイゼンベルグは疑義を提出した訳です。

 で、この事が「素粒子の性質・本質」に(制御可能性に)関わる事なのかどうかは、終始申し上げているように、ハイゼンベルグの思考実験だけからは決められない事です。

この回答への補足

>衝突角度の測定には、#3の最後で述べたような具合に、不確定性関係の制約がかかると思われます。

これを詳しく敷衍して頂けますでしょうか。

補足日時:2013/07/01 20:13
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/01 20:02

 #7です。

#6の補足の意図は、次のような状況でしょうか?。

 γ線照射のたびに電子の運動状態は変化するかも知れないが、1回ずつの測定で、電子の運動軌道は決定できる。

 例えば全く同じ運動をすると考えられる、2本の電子ビームは用意できる。そのそれぞれに対して、ドップラー方式の測定を1回ずつ実行すれば、同じ電子の運動に関して、少なくとも2回の同時測定を行ったのと同じだ。電子ビームは何本でも用意できるから、原理的には電子の運動軌道は確定される。


 上記のように考えれば、

>運動軌道上で速度がコロコロと変わるという前提には根拠が有りますのでしょうか。オッカムの剃刀で、その様な前提は無しの方が宜しいのでは有りませんでしょうか。

の意味がわかります。


 でも問題の所在は、そこではないんですよ。「全く同じ運動をする」と考えて良い根拠はどこにあるのか?。それは主に古典力学(ニュートン力学)ですが、それだって言ってしまえば仮定です。よって、2本の電子ビームが同じものである事を保証する、実験的担保が取れる状況でなければなりません。

 その担保を取るためには、2本の電子ビームのそれぞれに対して、全く同じタイミングを持ったγ線照射の連続測定を行い、出て来た結果が「確定的に全部」一致するのを確認するしかないのではないか?。

 ところがハイゼンベルグの思考実験に従えば、どうもそういう事は不可能そうだとなります。思考実験が言ってる事は、じつはここまでです。


 オッカムの剃刀は便利な言葉なのでそれにのっかると、剃刀の対象として古典力学を切り捨てる、もしくは不完全なものと考える選択肢はあり得ますが、それが大鉈なのは間違いないです。

 なので大鉈を振るうかどうか、ハイゼンベルグの思考実験の結論を意識的に普遍化し(自然法則とし)、不確定性原理として認めるためには、別の根拠なり事実が必要です。それが、その他もろもろの量子効果に関する当時の試論なり、実験事実でした。

 ハイゼンベルグの思考実験自体は、その他もろもろの試論や実験事実を整理したいという要請に応える形で提出された、試論の一つだったと思います。

この回答への補足

車には目的地、運転手、アクセル、ブレーキ、信号機、他の車、速度制限・一方通行その他の道路標識などがあって速度が変わらざるを得ませんが、どの様な根拠で、車の走行と電子の運動の間にアナロジーが成り立ちますのでしょうか。

補足日時:2013/07/01 10:10
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御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/06/30 11:07

 #6です。

補足の意味を判断しかねました。

>運動軌道上で速度がコロコロと変わるという前提には根拠が有りますのでしょうか。
>オッカムの剃刀で、その様な前提は無しの方が宜しいのでは有りませんでしょうか。

 これが同一軌道でも速度の違う運動があるのか?、という問いであれば、車の走行観察などから明らかな経験事実であるとしか言えません。

 それともγ線を照射するたびに、その後の電子の速度が(このケースでは位置も)本来の位置と速度から変化する保証はあるのか?、という事であれば、光電効果などの実験事実を総合すれば、そう考えざる得ないとなります。

 いずれにしろ一点だけで無限に正確な同時測定が成り立ったとしても(たぶん実際に可能でしょう)、それは不確定性原理の反証にはなりません。軌道上の全ての点で、無限に正確な同時測定が理屈の上だけでも良いから可能だとならなければ、駄目です。


 ここでオッカムのカミソリが出て来るのは、けっこう意外でした。

この回答への補足

前回は自分自身の疑問の勘所を忘れてしまっており、勘所と無関係な事をお尋ねしてしまいました。誠に恐れ入りますが、それ故、#7,8の御質問にはお答えせず、その勘所を述べさせて頂きます。:
「(前略)一点だけで無限に正確な同時測定が成り立ったとしても(中略)、それは不確定性原理の反証にはなりません。」と仰るのは何故でしょうか。一点かつ一時点での位置・速度が無限に正確に測定できれば、測定限度上も、そして、ましてや素粒子の性質・本質上も、不確定性などと言う物はありえない事になるのではありませんでしょうか。(勿論、引き続き、測定可能性と制御可能性は別問題とお考え下さい。)

補足日時:2013/06/30 11:20
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/05 08:39

 #5です。

ご質問の意図がわかりました。話を力学に絞ります。

 日常感覚からはずれていますが、量子力学も力学です。その点は古典力学(ニュートン力学)と同じです。

 今まで軌道という言葉を多少あいまいに使ってきましたが、軌道の情報だけで粒子の運動は決定できません。一直線に1kmを走った車の運動を想像した場合、軌道は1kmの直線ですが途中の加減速(アクセルの踏み具合)により、違う運動(走行)はいくらでもありますよね?。それらを全て区別できるためには、軌道上の全ての点での速度が必要になります。

 軌道上の全ての点の位置と、その点での速度をペアにした情報の事を、仮に運動軌道とここでは呼んでおきます。力学の知りたい(決定したい)事とは、運動軌道に尽きます。運動軌道の情報があれば、粒子の走行を再現できるからです。

 従って力学における測定や実験も、本質的には運動軌道の計測になります。

  ・「軌道上の全ての点における」位置と速度の「同時」測定です。

 古典論で運動軌道の存在は自明とされました。人間が測定しようとしまいと、あるものはあるでした。古典論の範囲でも測定が測定対象に影響を与えるのは常識でしたが、原理的には、その影響は全て除去可能なものであると考えられていました。

 この理想に従えば、スピードガン実験で得たい結果とは、γ線を一回も照射しなかった時の運動軌道です。だから一回だけ同時測定に成功したとしても駄目なんです。理想化すれば、軌道上の全ての点で、γ線を一回も照射しなかった時と同じ結果が出ると、原理上は保証できる事を示す必要があります。

 ハイゼンベルグの思考実験は、それが恐らく不可能である事を示しました。しかしこの話は、「そうなるのは、物質の本性としてそうなのか?、それとも完璧な測定手段を持ってないだけなのか?」につながります。


 ここはけっこう重要なターニングポイントだと思うのですが、あまり強調はされませんよね(^^;)。

この回答への補足

運動軌道上で速度がコロコロと変わるという前提には根拠が有りますのでしょうか。オッカムの剃刀で、その様な前提は無しの方が宜しいのでは有りませんでしょうか。

補足日時:2013/06/29 15:12
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御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/07/05 08:40

 #4です。



>ドップラー方式で素粒子の位置・運動量をただの一回もハイゼンベルクの主張した限度以下の誤差で観測・認識できないことと、位置・運動量を随時そのように観測・認識できずに素粒子を制御できないこととは別問題のように思われますのですが。

 別問題です。なのでハイゼンベルクの思考実験を、不確定性原理そのものと思わないで下さいと書きました。思考実験は例証です。それでも思考実験結果から、電子の運動軌道の測定結果は、細い帯になるだろうと予想できます。とっても細いので、日常スケールでは曲線にしか見えませんが。

>電子に運動軌道が皆無なように仰いますが、電子の波束も振幅の範囲内で確率的な軌道を持っているのでは?

 運動軌道がないと言ったのは、古典力学的な確定した軌道はないという意味です。まず確率的な軌道というのが、決定論である古典力学では許されません。また確率的な軌道とは何か?という問題もありますが、さっきの帯の中に観測できないだけで、確定軌道が隠れているという考えは今でもあります(余り支持されてませんが)。確定軌道は観測された試しがないので、逆に反証できないからです。

 じっさいファインマンの経路積分法は、理屈の上では宇宙の果てにまで遍在する無数の軌道のそれぞれの存在確率を計算し(確率は確定的に計算できます(^^;))、確率をかけて軌道の重み付平均を取ります。結果は、古典論で期待される確定軌道に一致します。つまり古典論が示す軌道の付近を電子が運動している確率は、べらぼうに高いという事です。

 経路積分法は、量子論においてなくてはならない計算方法ですが、古典論の概念に片足を突っ込んでいます。ファインマン自身、量子力学の概念がよくわからなかったので、古典論と相性の良い方法を考えたと言っています。やはり古典論の描像がわかりやすいのは事実ですよね。

 不確定性原理は、ハイゼンベルクの思考実験の結果ではありません。他の多くの量子効果に関する経験事実から予想されたものです。予想に関してハイゼンベルクは明快な例を提示してみせたので、不確定性関係の定量化を、みな受け入れたというのが実情でしょう。

 きわめて強烈だった経験事実は、電子の2重スリット実験ですが、もしスリットを2kmも離したら、ほぼ絶対にスリットの中間で電子は発見されます。古典軌道の確率はべらぼうに高いんです。

 量子効果はミクロなスケールでしか顕在化しません。2重スリット実験を行うなら、さっきの帯の幅くらいにスリットを近づける必要があります。そうしないと、干渉効果は顕在化しません。


>ハイゼンベルクの思考実験が反証できれば、不確定性原理の一反例となって原理は否定されるでしょう。

 量子効果としてγ線の光子に運動量hν/c(h:プランク定数,ν:γ線の振動数,c:光速)だけを認め、電子と光子の衝突角度さえわかれば、あとは古典力学だけを用いてスピードガン実験における電子の確定軌道を計算する事は可能なんです。ところが衝突角度の測定を具体的に考え出すと、そこに不確定性関係の制約が現れるという、出口のない状況に陥ります。角度測定が制約を受けないように工夫すると、その工夫にまた不確定性関係が・・・、といった具合に。

 スピードガン実験が提出されてからそろそろ1世紀ですが、反証の構成に成功した人はいません。どんなに工夫しても注意深く考えれば、必ずどこかに制約がかかるのだろうなと思います。一般相対論まで持ち出したボーアの議論などを知ると・・・。アインシュタインの突きつけた反証は余りにシンプルかつスマートだったので、ボーアも無茶苦茶に悩んだようですが(^^)。

この回答への補足

申し上げたかった事を纏めます。:ドップラー方式で、極めて波長の短い電磁波を用いれば、少なくとも1回だけは、ハイゼンベルクの主張したのよりはずっと小さな誤差で、位置も運動量も測定・認識出来るのですから、ハイゼンベルクの思考実験は反証され、その反証が不確定性原理の一反例となるのではないでしょうか。確率的な軌道云々がどう関わって来るのかは存じませんが。

補足日時:2013/06/29 11:02
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/06/29 10:42

 #3です。

話の都合上、質問の順番を変えます。

>4.二重スリット実験で電子の波動性・確率分布性が分かったことと、電子の確率的な位置と運動量が同時に測定出来ないことの因果関係は如何な物なのでしょうか。

 #3で言いたかった事は因果関係でなく、ふつう不確定性原理として紹介されるハイゼンベルグの思考実験と、電子の波動性・確率分布性の論理的関係です。電子とγ線を使ったハイゼンベルグの思考実験は、不確定性原理ではありません。その実験的側面に焦点を当てた一例です。前回は、この思考実験の不確定性原理に対する位置付けを述べたつもりでした。

 ちなみに電子の確率的な(確率的に)位置と運動量を同時測定する事は可能です。不確定性原理の禁止事項は、無限に正確には位置と運動量を同時測定できない、です。位置だけ運動量だけ単独になら量子力学でも、無限に正確に測定できます(古典力学ではもちろん)。


>1.一回のγ線照射によってγ線の跳ね返り位置と波長変化を計測しても電子の位置と運動量が同時に計測出来たことにならないというのは何故でしょうか。
>2.それと同じかも知れませんが、光が電子をキックしたら電子の位置と運動量が同時に計測出来ないというのは何故でしょうか。

 ハイゼンベルグの思考実験はスピードガン方式です。速度(運動量)を知るためには最低2個の位置を時間をずらして測り、位置の差を時間差⊿tで割って速度が出ます。この時最初の位置測定の探針であるγ線が電子の運動状態を変えてはいけない訳です。古典論では光が電子をキックする事はあり得ないとされていたので、原理的にはいくらでも⊿tとγ線の波長を短くして、位置と運動量の無限に正確な同時測定は可能と考えられました。

 γ線の波長を短くするのはγ線顕微鏡の解像度と上げ、位置測定の精度を良くするためですが、そうすると実際にはγ線のキック力が増し、2回目の位置測定の結果は、γ線を照射しなかった場合の運動位置からどんどんずれて行くので、位置の精度が上がるかわりに速度の不確定性が増します。

 逆に波長を長くすれば、速度への影響は小さくなりますが解像度が下がり、位置像はぼやけます。それでもその重心位置はわかるので、重心位置の差を限りなく短い時間⊿tで割れば速度の精度は向上します。

 どちらかを犠牲にすれば、一方を無限に正確に(不確定性0で)測る事は可能です。

 上記のようになったのは、もちろんスピードガン方式を採用したからです。「γ線の跳ね返り位置と波長変化を計測して」と書かれているので、ドップラー方式をあなたは想定したのかも知れませんね。ドップラー方式なら初回の測定では、位置と速度の同時測定に成功するかも知れませんが、やっぱりその時にγ線は電子をキックしてしまいます。そうすると2回目以降の測定結果はγ線を照射しなかった場合と違うものになります。1回では駄目なんです。問題は運動軌道の有る/無し、もしくはその決定だからです。こういうのは個々に検討するしかありません。このような検討は時に非常も難しく、全てのケースはもちろん検討されていません。一例を上げれば、アインシュタインが提出した時間とエネルギーの不確定性関係の反例を論破するためにボーアは、一般相対性理論まで持ち出す破目になったのは、有名な話です。そのためもあって不確定性原理は、原理なんです。信じてね、という事です(^^;)。


>3.「古典物理に外から作用する外在的な量子効果」とは何の事でしょうか。

 言い方が悪かったと思います。ちょっと大げさですが、不確定性原理を言い立てたスピードガン思考実験ですが、思考実験の物理思想自体は古典力学に属します。それは電子の運動軌道の存在を、議論の出発点としているからです。電子の運動軌道があると仮定し、出来るだけシンプルで明快な測定方法を選んでも、光が電子をキックする効果(量子効果)のために、古典的測定(運動軌道の決定)は成立しない一つの反例をハイゼンベルグは示しました。彼は上記の事情を十分にわきまえていたと思います。

 実在は本質的に確率的存在であるという予感に従い、反例の結果を意識的に一般化して不確定性関係を定量化し、不確定性原理として提唱します。この原理を認めれば、どのような測定を行っても不確定性の制約(量子効果)からは逃れられない事になります。ところが今でも不確定性原理と言えばスピードガン実験ばかりが頻繁に紹介されるので、不確定性原理とは測定レベルでの話だ(技術上の問題だ)という誤解が、逆に増えた気がします。

この回答への補足

ドップラー方式で素粒子の位置・運動量をただの一回もハイゼンベルクの主張した限度以下の誤差で観測・認識できないことと、位置・運動量を随時そのように観測・認識できずに素粒子を制御できないこととは別問題のように思われますのですが。
電子に運動軌道が皆無なように仰いますが、電子の波束も振幅の範囲内で確率的な軌道を持っているのでは?互いに2km隔たっているスリットの中間点めがけて電子を照射しても、どちらのスリットも通り抜けるようだという観測結果でもありますならば電子の軌道の皆無性(電子の遍在)を認めざるを得ませんが。
ハイゼンベルクの思考実験が反証できれば、不確定性原理の一反例となって原理は否定されるでしょう。

補足日時:2013/06/28 10:40
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この回答へのお礼

御回答を誠に有難う御座いました。

お礼日時:2013/06/28 10:24

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