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Si原子と6個のF原子および電子2個からそのまま等価なSi-F結合6個を有する分子SiF6が生成しました。SiF6の構造と電化を記してください。
答え
総価電子数=4+7×6=46、全電子数46+2=48
Si-F総結合電子数=2×6=12、F総非結合電子数=6×6=36、合計12+36=48

という問題で総価電子数と全電子数はSiとFのそれぞれの最外殻の和に電子2個を足したのは分かるのですが、Si-F総結合電子数とF総非結合電子数の数値の意味がわかりません。(×6は結合が6個だから6倍しているのは分かるのですが、その前の2と6の意味がわかりません。)噛み砕いて解説していただけると助かります。宜しくお願いします。

A 回答 (4件)

Si-F総結合電子数は、Si-Fの結合に使われている電子の数で


1つの結合に2個が6本だから、2*6=12個
(図のF-Siの「-」は電子2個を表している)

F総非結合電子数は、Fの結合に使われていない電子数(ローンペア電子)が
1つのFに2対づつ3つあり、Fが6個だから、2*3*6=36個
「SiF6の構造と電化」の回答画像1
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◆電荷について



Si原子と6個のF原子および電子2個から生成するSiF6の電荷は、原子一個あたりの電荷がゼロで電子一個当たりの電荷が-1なので

SiF6の電荷=1×(Si原子の電荷)+6×(F原子の電荷)+2×(電子の電荷)=1×0+6×0+2×(-1)=-2

より-2になります。電荷がゼロではないので、生成したSiF6は分子ではなく、イオンです。というのは、分子はその定義から、電荷がゼロでなければならないからです。電荷がゼロでないものを分子と呼ぶのは、とてもお行儀が悪いことと考えられています。


◆等価な結合について

6個のSi-F結合が等価であるための必要条件は、SiF6イオンに含まれる1個のF原子を別の原子Xに置き換えたときに得られるSiF5Xイオンが、どのF原子を置き換えたときでも同じ構造のイオンになることです。

例えば、メタンCH4に含まれる4個のC-H結合はすべて等価です。この分子内にあるどのHをClに置き換えても、同じクロロメタンCH3Clになります。同じように、エタンC2H6に含まれる6個のC-H結合やベンゼンC6H6に含まれる6個のC-H結合も、それぞれ等価です。クロロエタンC2H5ClもクロロベンゼンC6H5Clも一種類しかありません。それに対して、プロパンC3H8やナフタレンC10H8は、どちらも分子内に非等価なC-H結合を有します。どのHをClに置き換えるかによって、違う構造の分子になります。クロロプロパンには1-クロロプロパンと2-クロロプロパンの二種類がありますから、プロパンC3H8には非等価なC-H結合が少なくとも二種類あります。ナフタレンも同様で、非等価なC-H結合が二種類あります。


◆SiF6イオンの構造について

これを踏まえて、SiF6の6個のSi-F結合が全て等価になるような構造を考えてみると、唯一つの構造には絞りきれないことが分かります。Siを中心とする正六角形構造、Siを頭頂点とする正六角錘構造、Siを中心とする正八面体構造、Siを中心とする三角柱構造、はどれも等価なSi-F結合6個を有する構造です。

ということで、「-2価のSiF6イオンは正八面体構造である」という正しい答えを導くには、上で挙げたいくつかも構造の中から、正八面体構造を選びだすための知識が少なくともあと一つ必要になります。

以下では、分子・イオンの持つ電子数から、これらに含まれる原子の内殻電子の総数を引いた数を、全電子数と呼ぶことにします(ふつうはこれを価電子数と呼ぶことが多いのだけど“総価電子数=4+7×6=46、全電子数46+2=48"という式にあわせるため)。

知識1:AXnという化学式で表される分子・イオンは、全電子数が同じであれば同じ構造を持つ(ことが多い)。
この知識と、「SF6分子が正八面体構造であること」という知識を使うと、

 SF6の全電子数=6+7×6+0=48
 [PF6]^-の全電子数=5+7×6+1=48
 [SiF6]^2-の全電子数=4+7×6+2=48
 [AlF6]^3-の全電子数=3+7×6+3=48

という計算から、これらのイオンがSF6分子と同じ正八面体構造となることを導くことができます。この知識を使うのがいちばん簡単なのですけど、この問題を解くのに「SF6分子が正八面体構造であること」を使ってよいのか?という疑問は残ります。

知識2:多原子分子の分子軌道法(MO法)
げんみつにやろうとするとこの知識を使うのがいちばんなのですけど、#3さんのリンク先に「SF6 にも適応できるが、6 結合が等価であることは説明不可能」とあることから、ちょっとやそっとの知識では、この問題を解くには使えないでしょう。

知識3:原子価結合法(VB法)と混成軌道
Si原子の3d軌道を使ってsp3d2混成で等価な6つの混成軌道をSi原子の周りに作ると正八面体構造になる、という知識です。昔の教科書にはよく載っていた話で、いちばん説得力のある説明なのですけど、d軌道の混成については昔からいろいろ議論されていて、sp3d2混成軌道を使った説明を毛嫌いしている人もいますから、習っていない限りは使わないのが無難でしょう。

なお、p軌道とsp2混成軌道を考えても等価な軌道は完成しません。#2さんは三方両錘構造と正八面体構造を混同しているように思います。

知識4:電子対反発則(VSEPR則)
VSEPR則を使うと、分子・イオンの中心にある原子の周りの電子対の数から、その分子・イオンの構造が予測できます。ただし、原則として不対電子を持たない分子・イオンに限ります。不対電子がなければ電子対の数=電子数÷2なので、中心原子の周りの電子数から分子・イオンの構造が予測できる、と言い換えてもいいです。VSEPR則を使うには、今の場合はSi原子の周りの電子数を計算する必要があります。

不対電子がないときの原子の周りの電子数は、単結合、二重結合、三重結合がそれぞれ、2個、4個、6個の電子を共有していることを考えると、一般に

 原子の周りの電子数=2×その原子を含む単結合の数+4×その原子を含む二重結合の数+6×その原子を含む三重結合の数+2×その原子が持つ非結合電子対の数

と表すことができます。この式を使ってSi原子の周りの電子数を計算するには、さらに二つの知識が必要になります。その知識とはF原子に関する知識で、

 オクテット則:分子・イオンに含まれるF原子の周りには8個の電子がある。
 フッ素の結合の手は一本:F原子の周りの8個の電子のうち、結合に使われる電子は高々2個である。

の二つです。第3周期の典型元素Si,P,S,Clではオクテット則が破れることが多々ありますけど(SiF6イオンがまさにその例です)、化学を専門とするのではない限り、フッ素ではオクテット則がいつも成り立つと考えていいです。フッ素の結合の手が一本というのは、Fは同じ周期のC,N,Oとは違って二重結合や三重結合をつくれないということと、Fは同じ族のCl,Br,Iとは違って二個以上の原子と共有結合をつくれない、ということです。

これらの二つの知識のうち「フッ素の結合の手は一本」という知識から、SiF6イオンのSi-F結合は単結合であることが、まず分かります。これを上の式に代入すると

 Si原子の周りの電子数=2×6+4×0+6×0+2×Si原子が持つ非結合電子対の数

となります。Si原子の周りの電子数を求めるには、さらにSi原子が持つ非結合電子対の数を知る必要があります。これは

 全電子数=総結合電子数+F総非結合電子数+S非結合電子数

という関係から求めることができます。全電子数は4+7×6+2=48です。総結合電子数は、単結合ひとつあたり2個の電子があってSi-F結合が6本あるので、

 Si-F総結合電子数=2×6=12

です。F総非結合電子数はF原子が6個あるので、F原子1個あたりの非結合電子数を6倍すればよい。一個のF原子の周りの電子数は8で(オクテット則)、そのうち結合に使われる電子が2個ある(フッ素の結合の手は一本)ので、

 F総非結合電子数=6×(8-2)=36

となります。つまりS非結合電子数は

 48=12+36+S非結合電子数

より、ゼロと計算されます。

以上のことから、

 Si原子の周りの電子数=2×6+4×0+6×0+2×0

となって、Si原子の周りには12個の電子があること、つまり6個の電子対があることが分かります。また、その内訳は、結合電子対が6個で、非結合電子対がゼロ個です。

ここでVSEPR則を使うと、中心の原子の周りの結合電子対が6個で非結合電子対がゼロ個のとき、分子・イオンが正八面体構造になることが予測されます。なぜそう予測できるのか、については教科書をみて下さい。VSEPR則を使う問題が載っている教科書ならば、VSEPR則の説明も載っているはずです。

最後に、VSEPR則で求めたSiF6イオンの構造が、等価なSi-F結合6個を有するかどうかを確認する必要があります。予測された構造が先に挙げたリスト(正六角形、正六角錘、正八面体、三角柱)に含まれていることを確認してください。VSEPR則ではSi-F結合の等価性を前提としていないので、予測後に確認する必要があります。たとえばもし、「S原子と6個のF原子および電子2個からそのまま等価なS-F結合6個を有するSF6イオンが生成しました。[SF6]^2-の構造は?」という問題だったなら、VSEPR則で予測される構造は五角錘構造となるので、答えを導くためにはさらなる考察が必要になります。
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これ, どこまでを想定した問題なんだろ. 「等価なSi-F結合6個を有する」ってあたりがかなりあやしい (そもそも電荷を持つんだから「分子」っていうのかって指摘はありそうだが).



げんみつにやろうとすると
http://www.frad.t.u-tokyo.ac.jp/~miyoshi/InCh200 …
みたいな感じになるようだよ.
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Siの電子構造は、[Ne] 3s² 3p²


Fの電子配置は、[He] 2s² 2p⁵
Siの周囲の電子軌道は、p軌道とsp²混成軌道と考える。
これで等価な6つの軌道が完成する。8面体
電子が2個入ったSi-Fの結合軌道は2×6
非結合電子軌道は、結合に関わっていないFの残り6個
「SiF6の構造と電化」の回答画像2
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