時間反転対称という古くて新しい物理学の問題があります。ニュートンの運動方程式やマクスウェルの電磁場の方程式等々の時間パラメータtを―tに変換しても、方程式の形が変わらず、時間反転した現象も物理法則からして許容されるというものです。(もっとも、マクスウェルの電磁場方程式の場合はt→ーtで必ずしも方程式の形が変わらないとは言えないのではないかという意見もあるようですが)
そこで、時間反転についての3つの疑問があります。
①時間反転t→ーtは外力が作用することではないとする。
質量ⅿの物体が等速度vで運動している場合、t→ーtの変換を施すと、速度vが―vになる。
すると、運動量P=mvはーP=ーmvとなるが、外力が作用して運動量の交換が起こっているわけでもないのに運動量の符号が変わることになってしまう。これは運動量保存則に反しないか?
②時間反転を時間逆行と等価とすると、時間を逆行する常粒子は反粒子に変わる。例えば、電子は陽電子に、陽子は反陽子になる。すると、電子の電荷―eが+eに、陽子の電荷+eがーeに変わるが、電荷保存則に反しないか?
③(方程式の形が変わらないかどうかということとは異なってしまうかもしれないが)
量子力学の実験に、電子のスリット実験がある。電子銃から放出された電子が、スリットを通して、スクリーンに到達する。何回も繰り返すと波の干渉模様が表れるという現象だが、これは、スクリーンに到達するまでの空間を電子が波(確率波)として伝播していき、スクリーンのある点に、ある確率で波が収束し粒子として痕跡を記すということ(と理解している)。これを時間反転すると、スクリーンのある点から電子が放射され、波となって空間を伝播してスリットを抜け、電子銃の銃口で波が収束するとなる。
しかし、波がどの位置で収束するかは、確率的にしか決まらないのに、どの電子もみな同じく、電子銃の位置に収束していくことになってしまう。これは不確定性原理に抵触しないだろうか?
以上、3つの疑問があるのですが、どう思われますか?
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
torT反転などと言ったものは聞いた事がありませんが(&恐らくそんな反転はない)、TCP定理と言ってT反転とC反転とP反転(パリティの反転。
簡単に言えば左右、上下、前後を反転させる事のようです)を全部施すと対称性が成り立つ事が証明されているそうです。そしてこれまで成り立つと考えられていたCP反転の対称性が成り立たない(可能性が高まった?)そうなので、そうなるとT反転についても対称ではなくなる事になります。No.3
- 回答日時:
そうね、対称性の条件としてニュートン力学なら絶対静止座標系、マクスウェルの方程式なら自由空間があるんでしょうね。
でもそのような系は、観測者の系に限られることが判明しても尚、対称性に拘ってるだけで、むしろ非対称だから、そのような系が生成されるんでしょう。
統一相対論(光速差から生成されるガリレイ系)
https://note.com/s_hyama/n/nda939a973f93
No.1
- 回答日時:
①についてですが、運動量保存則に限らず諸々の保存則は反転する前の世界について、並びに反転した後の世界についてそれぞれ成り立つかどうかを論じるべきものです。
反転前の世界と反転後の世界を比べても意味がありません。なので「反転したら保存則が成り立たなくなる」と言うのはある意味最初から分かり切った話であって意味がありません。③についても恐らくは同様です。②についてですが、時間反転だけなら粒子は粒子のまま、反粒子は反粒子のままです。「時間を逆行する粒子は反粒子に変わる」と言った事はありません。
ちなみに時間を反転させる操作をt反転またはt変換、粒子の電荷の符号を逆にする操作をC反転またはC変換と言いますが、時間を逆行させるだけならt反転のみであってC反転は行わないわけですから「時間反転したら粒子が反粒子に変わる」と言うのは条件から言って矛盾しています。
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では、torT反転した現象は、反転する前の世界というか宇宙とは異なる世界というか宇宙の出来事になると理解してよろしいのでしょうか?
つまり、T反転(torT反転ではありませんよ)に対して物理現象が非対称だから、時間反転現象は観測されない、少なくとも、非常に稀にしか観測例がない、ということになりますね。