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金属の強化法は結晶粒を微細化する、固溶体強化、析出・分散強化の3つだと思うのですが、それぞれの特徴について教えてください。

A 回答 (1件)

金属の塑性変形は,結晶格子がずれていく(転位)や,結晶粒界でのすべりなどに起因します。


結晶粒を微細化すれば粒界が多くなり,転位の運動(結晶格子のずれ)が粒界で抑制されるので,結果的に転位がピン止めされて変形が起こりづらくなります。
固溶体強化,析出・分散強化も,サイズこそ違うものの固溶原子や析出粒子を利用して転位の運動を阻害する同じメカニズムで強化が行われますが,特に固溶体強化,析出・分散強化の場合は,粒界のすべりにも有効な点が微細化と異なる点です。
また,微細化の場合は温度を上げれば粒成長によりその効果が失われやすいことがデメリットです。
ただし,金属材料の靭性を考えた場合,析出粒子などは欠陥として亀裂の発生源になりやすく,粒界を固溶強化した場合も一般に材料が硬くなることにより,靭性が低下(亀裂が入りやすくなる)します。結晶粒微細化した場合は,粒界に沿って亀裂が進行するため,破壊に要するエネルギー値が増大し,結果的に靭性値が向上します。
ということで,それぞれ長所・短所があり,目的とする特性に応じて使い分けが必要です。
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