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エントロピーが増大するなら宇宙で星が誕生することはないと思うのですが、、、。
どうなのでしょうか?
よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

エントロピー増大の法則は、必ずしも全ての物理現象において無条件に適用できるものではありません。

エントロピー増大の法則を無条件に適用できるのは、(1)粒子間の相互作用が存在しない、(2)孤立系、の2つの条件が満たされたときのみで、この2つの条件が満たされない場合は、必ずしもエントロピー増大の法則に従わない物理現象が許されます。

例えば、無重力状態におかれた孤立した箱の中に磁石と砂鉄が入っています。砂鉄の粉末は非常に小さいとしましょう。エントロピー増大の法則によれば、箱の中の無秩序さ(エントロピー)は増大しますから、砂鉄の粉末は箱の中に均一に飛び散り、平衡状態を迎えるはずです(実際、磁石がなければそうなるでしょう)。しかし、実際にやってみると磁石が全ての粉末を引き寄せ、箱の中は磁石とその周りにくっついた砂鉄、という状態で平衡を迎えます。

ではなぜエントロピー増大の法則が予測する結果と違う平衡状態となるかといえば、当然、磁石が砂鉄を引き寄せるからです。正確に言えば、磁石の周囲に磁界が存在し、磁界の中におかれた砂鉄に磁気的ポテンシャルエネルギーが存在するからです。そのエネルギーが最低になるのは砂鉄が磁石に張り付いた状態ですから、砂鉄はその総エネルギーが最低になる状態に落ち、その状態で安定します。
つまり、エントロピー増大の法則は、系の持つポテンシャルエネルギーの極小値で平衡状態を取り安定するという常識に負けているわけです。

もちろん、長い時間放置すれば、磁石と砂鉄の全ての温度が均一になるという意味で、熱力学の第二法則は満たされるという考え方も出来るでしょう。しかし、磁石と砂鉄ではなく、水素原子と水素原子であればどうなるでしょうか。原子と原子の間には、今度は重力という相互作用が存在します。さらに、重力による凝集が進めば温度は局所的に増大し、いずれは核融合の臨界条件が満たされて爆発的なエネルギーを生み、熱的平衡は満たされません。これが星の誕生ですが、ポテンシャルエネルギーの極小値(重力による水素原子の凝集)の常識、および核融合という粒子の相互作用の2つが、熱力学の第二法則(≒エントロピー増大の法則)に優先したと言えるかもしれません。

エントロピー増大の法則は、物理現象に一定の法則性を与えますが、必ずしもそれだけが物理現象を決める訳ではありません。よって、エントロピー増大の法則に反する形で宇宙が一定の秩序(星の形成、地球の誕生など)を取り得たとしても、それは自然なことでしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

詳しい説明でわかりやすく納得しました。

お礼日時:2005/08/07 20:21

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