さっき下の「なぜ日本の半導体技術はすごいのに・・・」という質問をした者ですが、質問の前提条件が間違っていることに気づいたので締め切らせていただきました。
今回は別の疑問です。
http://www.soi.wide.ad.jp/class/20030000/slides/ …
日本の半導体はなぜこんなに落ちたのでしょう?
「アメリカが伸びてきたから」というのもあるでしょうが、少なくとも88年頃はこんなに全盛を極めてたのに・・・。
昔は「日本人は器用だから小さい物を作る技術はすごい」と聞いた覚えがあります。半導体はまさに「小さい物」だから日本人の得意分野だと思うんですが。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
日本は今、ハン流ブームですが、世界半導体市場には、もっと前にハン流ブームがやって来ていました。
その頃、三星を「サムスン」と言う日本人はおらず、皆「さんせい」と言ってました。
LGは、ラッキーゴールドスターという名前でした。
初期の半導体世界市場では、アメリカが君臨していました。
ところが、日本は、とてつもない勢いで延び続け、世界シェアの50%以上を、日本企業が占めるという黄金期を迎えました。
アメリカの技術を真似したということもあるでしょう。
まだ、日本の半導体工業の芽も出ていない頃、アメリカで行なわれるエレクトロニクス関係の学会に、日本人が発表しに行くとき、その予稿には、「発表者」のほかに共同研究者なる者が連名で10人以上ずらずらーっと書かれていて、会場にも、その人達がずらずらーっと座っていたらしいです。異様な光景だったと証言しているアメリカ人もいます(テレビで見ました)。要するに、皆で技術を一生懸命吸い取ろうとしていたんでしょう。
また、日本が得意とする量産技術も大きな要因でしょう。
特に、NECは、世界シェア首位の座を何年も連続で守りました。当時、電機産業の中でも株価が高かったNECの株価も、半導体シェア1位であることが支えていた面はあると思います。(ちなみに、パソコンブームの火付け役の一つとなったNECのPC-8001シリーズの事業は、コンピュータ部門が始めたのでなく、自社の半導体の売り上げを伸ばすべく、半導体部門が始めたということは、業界内では有名な話でした。)
ただ、世界トップとは言え、NECのシェアは5~7%程度だったと思います。
あまり知られていない話だと思いますが、インテルは、世界初のDRAMメーカーです。
まだ世の中に敵がいない時代に利益を上げる、いわゆる「創業者利益」を確保し、他社が追随してきたところで、あっさりDRAM事業を辞めてしまいました。
日本がDRAMで大儲けしていた当時は、1枚のシリコンウェハに例えば50~60個のチップを配列したとして、その4割程度、僅か20個強の良品が取れるだけで利益が出るという、今では全く考えられない高利益事業でした。(おそらく、1M~4MのDRAMの時代)
そうして得た利益を、ためらうことなく投資に回しました。1000億単位の投資は、ざらでした。
そして、それによって、更に配線間隔やトランジスタサイズの小さい技術を次々開発し、そして、チップシュリンクしたり、大容量にしたり、それでまたどんどん売り上げと利益を伸ばしていきました。
おそらく、最高潮の頃は、大手電機メーカーでは、半導体部門だけで5000億程度!!!の売り上げがあったのではないでしょうか。
そうして日本の半導体産業が飽和に達しようとしていたところで、「ハン流ブーム」がやってきました。
アメリカを日本が追い越したときと、そっくりです。
やはり韓国も、日本を真似、そして、当時日本より非常に少なかった人件費、そして、「気合」!
辛い食べ物食べているからではありません。NHKのテレビで、とある韓国企業の取材をしたのを見たことありますが、朝礼みたいなのがあって、階段を全員一斉に走って上ってました。
「真似る」にしても、彼らは非常に努力していました。とある展示会で、韓国人技術者と話す機会がありましたが、非常に優秀でした。まず、英語も日本語も喋れます。そして技術的知識もさることながら、話す内容も非常に理路整然としてウィットにも富んでいました。
あと、(アメリカもですが)論文などの著者名で、明らかに日本人と思われる名前を見たこともあります。ヘッドハンティングされたかな?
加えて、国策も要因の一つです。
韓国政府は、惜しげもなく韓国のエレクトロニクスのトップメーカー数社に多額の資金援助しました。当時、日本では、そのことをアンフェアだと批判している人は沢山いました。そんなのは資本主義ではないと。
かくして、まず、コスト競争力で日本を追い越し、さらに、16MDRAMの時代の途中ぐらいからは、三星がDRAM技術の最前線と言われるようになりました。
そして、アメリカも復活しました。
何といっても、インテルです。世界シェアトップになった当時、インテルは、マイクロプロセッサだけで半導体市場の首位になったのです。
当時は、1チップ10万以上でも売れたぐらいでしたから。
AMDが追撃しようとはしましたが、インテルのほうもどんどん先に手を打って、新製品を次々出すと同時に、価格も下げていって・・・。
いまだに世界シェア15%という、とんでもない稼ぎっぷりを続けています。
ヨーロッパのInfineon、STMicroも強い。
長くなりましたが、日本が落ちた理由は
・コスト競争に敗れるべくして敗れた
・そもそも、何の独自色もない事業で、1国だけで世界市場の5割以上という伝説が続くわけがなく、判断を誤った。(バブル)
・DRAM偏重で付加価値の高い製品の開発を重視しなかった
ここのところ、国内数社が徐々に復活してきました。高付加価値事業で頑張ってくれることと思います。
詳しい回答ありがとうございました!
時系列に沿った説明で、本当にわかりやすかったです。
それにしても、日本の立回りは器用なんだか不器用なんだか。自国ながらよくわからない国ですね。
No.10
- 回答日時:
半導体の中でもメモリーは半導体産業を象徴するものです。
メモリーは機能が単純なので、なるべく容量あたりのコストを下げるため常にその時代で最も微細なプロセス(最先端の製造技術)を使って製造されます。
最先端の技術を用いた量産設備には莫大な費用がかかりますが、材料費や製造のコストは設備費用に対して安いので、非常に量産効果が出やすい製品です。 多く作ればそれだけ単価が安くなり、市場において競争力を持つことができます。
初期の製品価格があっという間に1/10とか1/100になってしまいます。このため、いかに最新のプロセスをいち早く立ち上げて数を売り、設備投資を回収するかが最重要です。 立ち上げにもたついて、他社がどんどん製品価格を下げてくると、設備投資を回収できなくなってしまいます。
一方で需要は景気などに左右されるため、生産過剰になって、半導体業界全体が赤字になるという可能性もあります。
このようにメモリーはきわめてリスキーな商売になり、設備投資判断は難しくなりました。
1990年代後半、韓国メーカーは財閥トップの大胆な判断により、大規模な設備投資を行ったのに対して日本メーカーは国内景気の低迷もあって経営トップが思い切った決断をすることができず、設備投資競争に乗り遅れてしまい、一気に差がついてしまいました。
No.9
- 回答日時:
日本の半導体製造技術というのは1960年代、70年代に
全部アメリカから盗んできたものなんです。
日本はよく産官学共同プロジェクトと
いうのをやるんですが、半導体のときも
昔の通産省が中心となってNECや富士通と
いった現在半導体メーカーとして有名な
企業に半導体製造技術を確立するよう指導
したんです。
日本人技術者たちは、アメリカの半導体
工場に見学に行って、製造装置の写真をとり、
寸法まで測って、寸分たがわぬ装置を日本で
作っていたんです。
アメリカは真空管に代わる電子素子の開発という
非常に漠然とした課題から、物理や数学の基礎
理論から半導体を作る技術を確立したので、
CPUや3次元画像専用処理素子といった多種多様な
応用製品を次々を作り出すことができたんです。
日本は製造方法だけ真似しただけだったので、
主にメモリーの大量生産で1980年代はでもうけていた
んです。
もちろん集積回路のアイディアなど
アメリカの特許に抵触してたわけですが、
そういった特許が日本国内では無効になるよう、
日本企業と通産省がぐるになって妨害して
いたんです。
ただ外国の特許は認めないなどとは
大っぴらに言えないので、審査に時間が
かかるとして、特許権の有効期間を
最初からオーバーさせるように誘導して
いたんです。
有名どこでは、キルビー特許というのが
あります。
http://e-words.jp/w/E382ADE383ABE38393E383BCE789 …
当時の日本の法律(特許法)では、特許の権利
期間は出願から20年としていたのですが、
いろいろ理由をつけて審査自体を遅らせ、
権利化できるかどうか結論が出る前に20年を
超えさせるよう誘導したわけです。
ジャック・キルビーさんのいた
テキサス・インスツルメンツというアメリカの半導体
メーカーは、特許分割という手段で権利期間を
伸ばせるよう手続きをしてこれを乗り切りましたが、
富士通が訴訟を起こし、最高裁判決という形で
(無理やり)合法的に半導体の特許を無効にしたんです。
日本は自由主義経済圏のはずなんですが、
実際には政府指導のもと、産・官が一致団結して
経済を動かし、外国の製品を追い出すように
する計画計画経済なんです。
1980年代後半のレーガン政権のとき、
この問題を指摘されたわけです。
日本はアメリカの半導体技術を盗んで
ぼろもうけをし、さらにその特許使用料を
払わなくて済むよう、政府、役所ぐるみで
外国の特許を妨害していたわけです。
一番、手間、ひま、お金がかかる研究
をやらないで、盗んできて製造しているわけ
ですから、そりゃアメリカより安く製造
できて当然で、日本はその安い半導体を
アメリカ他、諸外国で売りさばいていた
わけですから、売上は伸びるし、同時に
反感をかって当然です。
★日米半導体摩擦というのが起きた
わけです。
これに対してアメリカは、日本は不当に
安い値段で半導体を売っている(いわゆる
ダンピング)としたわけです。
アメリカは改善も求めましたが、
その前に、日本のこの政府指導の計画
経済を利用し、日本国内における外国製
半導体シェアを1992年までに20%に
しろと要求してきました。
日本にも半導体メーカーは複数あるわけで、
本当に各社が自由に商売をしていれば
こんな目標は達成できないはずですが、
実際には(目標より少し遅いですが)
1993年にこの20%の目標を達成
しました。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~taiyo/ronkyu1.html
1980年代からやっていたガット
ウルグアイランド交渉が、1994年に
最終合意に至り、
http://www015.upp.so-net.ne.jp/yamahpdir/yougosh …
知的所有権の貿易関連側面などに関する諸協定が
成立し、日本が自分勝手にできる範囲が
狭くなったわけです。アメリカも日本に
歩み寄る部分があってわけですが、日本も
アメリカの基準に合わせざるを得なくなった
んです。
知的所有権に関する国際条約は
明治時代からあるのですが、各国の
自由がいろいろ認められていたので、
それで日本は勝手にやっていたのですが、
ウルグアイランドから生まれたTRIPS協定には、
義務の遵守というのあり、これで各国が
勝手にやっていいというものではなくなった
んです。
http://www.yukafukunaga.com/trips.htm
もはや他人の技術を盗んでぼろもうけする
泥棒商売はできないと察した通産省は、
今度はちゃんと基礎研究からやろうと各
企業、大学に呼びかけ(笑)、80年代
後半から産官学共同プロジェクトをまた
いろいろはじめましたが、半導体については
効果が出ていないわけです。
そこにアジア諸国の追い上げがあった
ので、もうけていたメモリー分野のシェアを
さらに奪われ、90年代の衰退へと繋がっているんです。
ソニーのプレイステーションなんかも、
画像処理用ICはアメリカのだし、メモリー
部分は韓国やマレーシア製です。
日本の半導体は独特の芸はないし、安くもない
から売れないというわけです。
No.6
- 回答日時:
NO.2のnorikunnyです。
下記リンクの「半導体・電子部品」の項にも書かれていますが、韓国政府も国策として半導体育成に当時心血を注いでいたのも大きな理由の一つでしょうね。それから、別で質問されているロケット技術ですが、日本は戦後航空宇宙の開発をずっと禁止されてきて、アメリカから技術を買う様に言われている中で地道に細々と研究しやっと最近おおっぴらに研究出来るようになったのが戦後の歴史です。
例えるなら、法律を学校に通ってずっと勉強してきた人と、独学で勉強してきた人が司法試験を受けるようなものだと思います。 同じ土俵で単純に比較する事は正しくないと思います。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9F%93% …
宇宙開発の件についても、回答ありがとうございます。
「禁止されていた」というのは初耳でした。
軍事利用を恐れていたわけでしょうか?
回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
以前NHK特集か何かTV番組で見たのですが、半導体を生産していた家電メーカーがバブル崩壊のあおりで、会社全体として経営立て直しのために開発に巨額の費用がかかる半導体の開発に大きくブレーキがかかる一方で、韓国メーカーなどが日本の半導体技術者を破格の報酬で引き抜いたりして今まで培ってきた技術が流出したのが大きな原因だそうです。
すみません。上のURLは間違いなので直しておきます。
http://www.soi.wide.ad.jp/class/20030000/slides/ …
バブル崩壊のあおりですか・・・。手痛い打撃ですね。
ありがとうございます。
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