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収差はどのような状態かという事は(多分)理解しているのですが,実際に光学系を組んで「収差のない」レンズを考える時,どのような式にあてはめればいいのでしょうか?
また,収差には"球面~","非点~","コマ~"などがありますが,一つのレンズに対して,全部を考慮しなくてはいけないのですか?それとも,ものによっては球面収差だけ考えれば良い,などということはありえるのでしょうか?
よろしくおねがいします.

A 回答 (3件)

光学レンズは、フェルマーの最短時間の原理によって、設計することが出来ます。

つまり、光が通る全ての経路について、それぞれの経路を光が通過する時間が等しくなるように、レンズを設計します。収差とは、これらの時間が一致しないために起こる現象です。しかし、数学的に正確にレンズを設計しようとすると、レンズの表面は非常に複雑な曲面になってしまうので、技術との兼ね合いから、出来るだけ収差の少ないレンズを設計します。また、光の波長の違いによって起こる色収差は、原理的に取り除くことが不可能です。実際のレンズ設計は、その使用目的にとって第一に重要な収差を取り除くようになされます。
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No1様が理学部的なので少し工学部的な補足を・・



> どのような式に・・

ご存じのように収差には何種類もあります。
ザイデルの5収差とか、色収差とか・・・
ですから、単一の指導原理のような式はありません。

> ものによっては球面収差だけ考えれば良い,などと・・・

用途によっては当然そうです。
単色のレーザーしか扱わないような光学系だと色収差は考えなくていいとか、
一眼レフ接写レンズは、なにより歪曲収差が大事(他の収差はレンズを絞ると改善できるが、接写の際に重要なこの特性は絞っても改善しないので)とかです。

また、一眼レフですと、焦点距離の長いレンズは写角が狭いので、色収差はでやすいが、他の収差は目立ちにくく、反対に広角レンズは、収差以外にも周辺光量の確保と広い角度での収差の補正でかなり大変(一般にレンズ枚数も多い)になります。

> ものによっては球面収差だけ考えれば良い

たぶん想定外のお話でしょうが、透過電子顕微鏡の対物レンズはこれです。
っていうか、電子顕微鏡の磁界レンズは球面収差がきわめて悪いのだそうです。
一方、非点収差に関しては「光」の光学系に比べて簡単に補正回路を組みこめるので、これの最終的な補正は利用者の調整にゆだねられています。

Webですと、『ザイデル』と『収差』の複合検索をやるといっぱい掛かります。
下記のサイトもそのように見つけました。

参考URL:http://www.kowa.co.jp/0/07/kouga/syusa.htm
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収差が完全にない光学系を作ることは、現実には出来ません。

何らかの妥協が必要になります。
さて、通常レンズ系をくむ場合には、以下の方な方法を選択します。

1)単レンズで構成するが、出来るだけ各レンズでのNAの小さい系(NA < 0.05程度)で、かつ光軸上またはその近傍でのみ使用する。
なお、単レンズは平凸を基本とする。

2)片側が平行光線入射を想定して作られたアクロマートレンズを組み合わせる。
この場合は、1)よりも多少NAが大きくても光軸近傍の像であれば良好な像を結びます。

3)既存レンズの組み合わせ、又は初めからレンズを作ることを前提に、レンズシミュレーションを行う。

大まかにはこのようなところです。収差の式は、複雑でもちろん昔の人たちが行っていたように手計算で行うこともできますが面倒です。
また、求める収差が最小になるようにする解を見つける作業は、それにも増して面倒です。(簡単に一つの式で求まらず、何度も最適な解を探す計算を繰り返す必要があります)

なので、いまは15~30万円も出せばとても快適なレンズ設計ソフトがありますので、それを使うことが多いです。

1,2,3のどれの場合でも、取りあえずどのくらい収差があるのか、スポットサイズがどの程度になるのかなどを簡単に計算できます。

では。
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