

毎年この時期になると靖国神社とA級戦犯の問題がクローズアップされます。
東京裁判や、その結果としてA級戦犯とさせられた人々、あるいはその合祀についてさまざまな番組で詳しく解説されているので、ある程度は 「なるほど」 と理解したつもりです。
ところが、どうしても理解できない事がひとつだけあります。
いわゆるA級戦犯と称される人たちの中には、大日本帝国陸海軍に所属しない民間人が含まれますよね?
広田弘毅
平沼騏一郎
白鳥敏夫
東郷茂徳
松岡洋祐
これら政府の中枢にいた人たちで、中には軍人よりも右よりの思想をもった人もいると思うのですが、少なくとも 「軍人」 ではありませんよね?
しかも戦闘行為で死亡した人でもありません(東京裁判をまだ戦争継続中と考える向きもあると思いますが、それは別として下さい)。
大軍人でも戦後死亡した東郷平八郎や乃木稀典が祀られていないのはそのためだと聞きます。
という事は、上に挙げた民間人を靖国神社に祀るという事は、 「戦闘行為で死亡した軍人」 を祀るために建立された同神社の趣旨に自ら背くという結論になるのですが、その整合性について神社側の説明はどうなっているのでしょうか?
厚生省から軍人恩給に伴う名簿が提出されたからとか責任転嫁ではなく、なぜ民間人を 「昭和殉難者」 と位置づけたのか、教えて下さい。
「理由なんかない、靖国が決定したからそうなんだ」 という事ではないと思います。
現状では、東京招魂社発足当時の大原則を靖国神社が自ら背いていると感じられてなりません。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
>>「戦闘行為で死亡した軍人」を祀るために建立された同神社の趣旨
いいえ、違います。靖国神社の前進たる「東京招魂社」は、戊辰戦争で落命した薩長の討幕軍兵士を顕彰・慰霊するために建立された神社で、そこから「国を平安(靖)にし,平和な国を作る」との意味を込めて靖国神社と改称し、ペリーの浦賀来航以降の国内戦乱・西南戦争以降の外国との戦争における殉難者を祀ります。
ですから、「戦闘行為で死亡した軍人」は殉難者の一部です(ただし、民間人が大量に死亡するという形の戦争が第二次世界大戦期からなので、靖国神社壮健当時は予想外のことだったでしょう)。
『軍事板常見問題』より
http://mltr.e-city.tv/index02.html
「アジア・太平洋方面FAQ」から
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08c …
「靖国神社関連」
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08h …
こちらの回答集に詳細が書かれています。
いわゆる旧日本軍に所属していない人物では、
明治維新での倒幕側(安政の大獄刑死者、坂本龍馬や高杉晋作なども含む)も祭られています。
大東亜戦争に関連しては民間人ではひめゆり部隊女生徒や対馬丸学童、空襲時の警防団員、真岡郵便局交換手など多数存在します(その詳細についても、上記HPにあります)
軍務中に死亡したことがひとつの基準ですから、戦死に限らず病死・事故死でも軍務であれば、軍人・非軍人かかわらず合祀対象とされます。また訓練中の死亡も公務死とみなされます。
ちなみに昭和20年8月15日は「国民にポツダム宣言受諾を知らせた日」であって、それをもって「戦没者を追悼し平和を祈念する」ための「終戦記念日」としただけで、国際法上での終戦とは無関係の日です。
戦闘が行われていなかっただけで、厳密な意味での終戦は昭和27年4月28日の講和条約調印をもってです(この時に講和に応じなかった国は、単独講和が為されるまでは戦闘がなかっただけで、戦争は続いていたことになります)。
なお、合祀の判断やその基準はあくまでも靖国神社が決めることであり、またその信じるところの宗教的理念に基づいて行われることですから、政府や部外者がとやかく言うことではありません。
その、靖国神社の合祀基準のひとつに「日本国との平和条約(サンフランシスコ講和条約)第11条により死亡した者」、つまり戦争裁判受刑者とあります。
これはABC項目戦犯(靖国神社では「戦犯」と呼ばず「昭和殉難者」といいます)かかわらず、刑死・獄死した者で、日本政府では彼らは国内法においては犯罪者とせず、公務死扱いです。
A項目戦犯で刑死でなく、病死した者は次の通りです。
「刑期中に病死」
平沼騏一郎・白鳥敏夫・小磯国昭・梅津美治郎(いずれも終身刑)東郷茂徳(禁固20年)
「戦犯指定されながらも判決前に死亡」
永野修身・松岡洋右
ですので、靖国神社においては合祀基準を満たしているとの判断です。またBC項目戦犯においても同様の例では合祀されています(A項目戦犯のみを特別扱いしていない証拠です)。
※項目であるABCに対して、階級を連想させる「級」を付けることは誤解を生じるので「○項目戦犯」と表記します。
参考「日本国との平和条約」
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1952T005.html
それと軍務は「軍事にかかわる事務」のことなので、戦闘は軍務の一部に過ぎません。ですから、戦費調達・情報収集・外務交渉・輸送運搬、また法令・条例に基づく避難や消防・警備・救助活動も広義の軍務に含まれます。
だからこそ、“「沖縄県学童集団疎開準備要項」に基づいて疎開”し、その途中で撃沈され死亡した対馬丸の乗船者(半数以上は小学生)も軍人でもなく、戦闘に参加していませんが、靖国神社に祭られています。
同様に、アメリカ政府が日本軍占領地での連合国側捕虜に対する医療・慰問物資輸送のために要請した、緑十字船「阿波丸」は、その任務上、連合国によって安全渡航が保証されているにもかかわらず、アメリカ軍により撃沈。この犠牲者(大部分は非軍人)も合祀されています。
本土へ連絡業務のために残留していた樺太真岡郵便局の電話交換手(女性9名)も、昭和20年8月8日にソ連軍が国境を侵攻。同月20日に真岡町攻撃。交換手は戦況を報告後に服毒自殺。彼女らも合祀されています(ちなみに米軍が攻撃した沖縄は“日本で唯一の地上戦が行われた”といわれますが、ソ連軍が攻撃した樺太については、何ひと言触れないのはなぜでしょうね)。
また、満州事変以後であれば軍人・軍属の内地勤務での公務での受傷羅病、それによる死亡も公務死です(東郷平八郎は老衰、乃木稀典は自死なので、合祀基準から外されます。逆にいえば靖国神社は軍務による死亡でない限り、いかに高名・功績のある人物であっても特別扱いしないという現れでしょう)。
再度言いますは、合祀の基準は「軍務(公務)による死亡」であって、軍人、非軍人は関係ありません。また軍務即戦闘行為でもありません。
なるほど、靖国神社の合祀基準が理解できたような気がします。各合祀者の背景を説明されれば、神社側の決定に整合性がとられているように思えてきました。詳細なご解説、有難うございました。
No.7
- 回答日時:
s_husky です。
ほぼ、質問には答えたつもりですが。
次は、直球的な答えです。
<矛盾を問題にするのはナンセンス!>
わがが隣のスイカを盗むにあたって、<戦死した者は英霊としてまつる>としたとします。
何人かは戦死し、スイカ盗を企画した者は処刑された。
多くの民は、戦士したわが子が英霊としてまつられることに納得しなかった。
わが子を死なした親が、そんなマヤカシで納得する訳がありません。
まして、処刑者がまつられた事は約束に違反云々以前の問題です。
矛盾などという発想が、既に、靖国神社を認めている。
スイカ盗を正当化する靖国の大原則などは、どうでも良いことだ。
スイカ盗は、どんなに美化しようと盗人行為である。
私は、あの白い布に包まれた箱の配達を見たことある。
それを届けられた母の慟哭を見た。
私が、あえて、矛盾を指摘しない理由である。
再度のご回答、有難うございました。靖国には多くの魂が合祀されていますが、中には合祀に納得されない遺族も多くあるように聞き及んでおります。遺族に無断で合祀した結果でしょうね。最近、国ではなく靖国を相手取って合祀の取消しを求める裁判が起こされたようです。今後の経緯を注目したいと思います。
No.6
- 回答日時:
既に他の方から回答があったとおり、靖国神社に合祀されているのは、戦死した軍人だけではありません。
ですから、「東京招魂社発足当時の大原則を靖国神社が自ら背いている」とまでは言えないでしょう。東京招魂社からだとかなり長い年月になり、常にその位置づけが同じだった訳ではないので、その中で一貫した原則は、「国家の為に命を捧げた」と、政府側(戦後は靖国神社)が認定した、という事ぐらいしかありません。ただ、話を、太平洋戦争中に限れば、「戦死、戦傷死以外については、基本的には対象外」というのは常識でした。(ま、それを甘く解釈しようとする人もいたようですけどね。)
ごく最近の報道になりますが、東条英機元首相自身の名前で、「合祀対象者を戦役勤務に直接起因して死亡した軍人・軍属に限る」よう通達が出ていた事が報道されました。↓
http://www.chunichi.co.jp/00/sei/20060806/mng___ …
この記事にある、東条元首相の次男の「戦地に行かなかった者は靖国神社に合祀されないというのは当時の常識だった。父も戦後、自分が合祀されるとは思ってもいなかったはずだ。」という発言が、一般常識を示しています。だからこそ、広田元首相の遺族も「靖国神社に行くことはあるが、国のために亡くなった戦没者を思い手を合わせている。祖父は軍人でもなければ、戦没者でもない。靖国神社と広田家とは関係ないものと考えている」と話しているわけです。↓
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060727 …
天皇側近と、(例の富田メモが報道されている通りのものであれば)昭和天皇に、松岡洋右などの合祀に対する反対が特に強かったのも、こういう戦前の常識があるからでしょう↓
http://homepage3.nifty.com/wedd/yasukuni.html
A級戦犯14名の合祀が行われたのは、合祀をする靖国神社側(宮司及び総代会)に、「A級戦犯を合祀する事で、東京裁判を否定したい」という明確な意思があったからです。それは、1978年に合祀を実行した宮司自身の証言からよくわかります。↓
http://www25.big.or.jp/~yabuki/2001/yasukuni.htm
戦後の靖国神社にとっては、戦前の「戦地に赴いたものに限る」という事よりも、「東京裁判は不当であり、そこで死刑になったor服役中に死亡した人は国に殉じた人達である」という主張をする方が大切だった、という事でしょう。ま、それでも判決前に病死した松岡洋右まで含めるのは、かなり無理があるような気はしますけどね。
有難うございました。読ませて頂いて感じたのは、靖国に合祀される基準がどうも時代の流れや、その時の政治環境によって微妙に変化しているという事でした。宗教組織であるなら、原則は変わらない、変えてはならないはずなんですが ・・
No.4
- 回答日時:
A級戦犯の合祀は、
「今日、英霊の御心は・・・日本は侵略戦争をした、
日本軍は悪いことをしたという、その罪の一端まで背負わされている」
(靖国の主張より)
-という靖国神社に関係する侵略戦争肯定派の無念さのなせる行為だと思います。
まあ、無念さを世に問う手段としてA級戦犯の合祀に踏み切ったのだと思います。
さらに、その背景を問う質問であれば、私の考えは次のようです。
************
なぜ、2000万人というアジアの人々の命を奪った侵略戦争の美化が、かくも容易く容認されるのか?
「靖国派=ネオ・ナチ」の等式は、誰も否定しがたいところと思います。
ですから、こういった侵略戦争の美化の動きは、社会が本来は許さない筈です。
ところが、「日本における侵略戦争推進者への批判=非国民」という主張まで出る昨今。
明らかに、偏狭なナショナリズムが台頭してきています。
ここには、戦後の冷戦構造の負の陰が色濃く反映しているし、それが背景原因であると考えています。
戦後の動きを振り返るならば、米国が、日本をソ連に対抗する基地化することに徐々に軸足を移したことが判ります。
その目的の遂行のためには、米国は、731部隊の幹部の責任追及も生体実験の資料と引き換えに中途放棄しています。
その目的の遂行のためには、米国は、岸信介氏等の復権も容認しています。
こうして、戦後日本の支配層に戦争推進勢力の多くが返り咲くという特異な状況が生まれたようです。
極論すれば、国を売り渡し米国の庇護に入ることで侵略戦争推進派の亡霊は生き延びたのです。
まあ、「英霊の御心」と言うならば、
第一に、英霊に代わって、2000万人に上る犠牲者への反省の意を示し続け、
第二に、英霊に代わって、日本全国に居座る米占領軍の完全撤去を主張すべし。
と、思います。
有難うございました。興味深く読ませて頂きました。
ところで侵略戦争肯定派の無念さを表すために、いわゆるA級戦犯を合祀したとすれば、民間人は祀らないとする靖国神社の大原則を神社自身が破った事になると思いますよね ・・ この矛盾を誰も追及した事はないのでしょうか。
No.3
- 回答日時:
「彼ら」を「犯罪者」にするためにあとから作った法律で、無理やり裁判にした結果、「A級戦犯」が生まれたから。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%B5%E6%9D%B1% …
No.1
- 回答日時:
開戦へと流れていった、当時の総理大臣や外務大臣です。
たしか全員A級戦犯とされていたと思います。
他の方は分かりませんが、外交官であった広田弘毅は戦争を望んでいませんでしたよね。
やめさせようと努力していた。
結果的に開戦へ進んでしまいましたが。
ウィキペディアの記事によると、対アジア侵略の共同謀議や非人道的な行動を黙認した罪だそうです。
もし良かったら、城山三郎氏の「落日燃ゆ」を読んで見て下さい。
質問で上がった人達の名前が出てきますよ。
有難うございました。おっしゃるように全員A級戦犯とされた人たちなんですね。東京裁判自体が間違っているという意見も多くあると思うのですが、百歩譲って彼らを戦争犯罪人と認めたとしても、なぜ非軍人である彼らが靖国に合祀されたのか、謎ですよね。
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