10秒目をつむったら…

物理学なのか数学なのか天文学なのかわかりませんが、
取りあえずここに提出する事にしました。
宇宙項という言葉があるそうですが、一体何なんでしょう?
物理は苦手なほうなので、できるだけわかりやすく教えてください。
お願いします。

A 回答 (4件)

「脳の限界」で知った風なこと言ってたstomachmanです。


 宇宙項Λはzaraさんの解説の通りですね。宇宙項Λが直接意味するのは、「真空の中からエネルギーが湧きだしてくる。」という事です。うっかりするとトンでも系に嵌ってしまう。
 そこでちょっと、歴史的に見てみましょう。「赤方偏移」「ハッブル定数」については、下記URLのQAをご参照下さい。
 アインシュタイン先生は、自分の考えた一般相対性理論(重力の理論です)を展開してみて、それによれば宇宙が全体として静的(いつまで経っても全体としては変化しない)であるというわけにはいかないことに気が付いたんです。当時は銀河系=全宇宙と考えられていた位だから、これはおかしいと思った。そこで、星がじっとしていられるように宇宙項Λを追加し、静的な解(つまり宇宙が一般相対性理論に従うひとつのやり方)を発表したのが1917年のことです。
 一方、ド・ジッターという(慌て者みたいな名前の)天文学者が、一般相対性理論の方程式の別の静的な解(つまり宇宙が一般相対性理論に従う別のやり方)を見つけた。宇宙項Λなしでも静的である。ただし、この解では宇宙が空っぽでした。空っぽじゃしょうがないので、ちょっとだけ物質を入れたらどうなるか計算すると、なんと爆発的に膨らんでしまうことが分かった。
 次に出てくるのが数学者フリードマン先生。一般相対性理論を満たすいろんな解がありうる、ということを証明してしまった。宇宙は永久に広がり続ける。宇宙は膨らんでは縮みまた膨らむ。もちろん、宇宙項Λを追加すれば、静的な解もある。(アインシュタイン先生にしてみれば面白くない。もし方程式から直接、今の宇宙のたった一つの在り方を説明できれば、その理論は究極の理論だった訳ですからね。)
 天文学のルメートル先生もフリードマン先生と同じ答えを後から独立に(!)見つけ、そして、これを赤方偏移と結びつけて考えた。ハッブル定数ということを言い出したんです。さらに、ビッグバン説の先駆け「巨大原子核の核分裂で全宇宙ができた」を考えた。(ここにも宇宙項が現れます。というのは宇宙項がないと、宇宙の年齢が地球の年齢より若くなってしまう。)
 さて、再びアインシュタイン先生。赤方偏移を勉強して、「間違いでした」と宇宙項Λを取り消した。そしてド・ジッター先生と一緒に「アインシュタイン-ド・ジッターモデル」という新しい解を見つけた。(アインシュタイン先生ってのは、単なる数学的解はどうでもよくて、(1)現実の宇宙、現実の観測データを説明するんだ。(2)それはきっとシンプルで美しい。っていう強い信念があるんですね。キリスト教的物理観。それはさておき)宇宙の密度が丁度、重力による収縮と膨張の速さとがつりあっていて、永遠に広がるけれどどんどん遅くなっていく。そういう宇宙のモデルです。現実の(からっぽでない)宇宙を説明する解のうち最も単純である。1932年のことです。そして数年後、ガモフらがビッグバン理論を言い出す。(そりゃ、膨張する宇宙には始まりがなくちゃいけないこと位、アインシュタイン先生だって分かってたけど、物理および天文学のデータが精度を増すことによって、まともに論じられるようになったんです。)
 この「アインシュタイン-ド・ジッターモデル」が現実の宇宙と合っているのかいないのか。どうも合っていないという証拠が出てこない。もっと正確にハッブル定数を測らなくちゃ。もっと遠くにある銀河まで測定しなくちゃ。これを天文学の大問題のひとつとして、その後60年以上やってきたんですね。一方、理論的にこのモデルが現実の宇宙に合うという必然性、理由がどこかにあるんだろうか?或いはもっと別の理論が正解なんじゃないか?というのも物理学の大問題だったわけです。
 その中のひとつ、インフレーション宇宙という理論(カナリ正しいと考えられている)は、宇宙の天体の分布や、背景輻射の性質を説明するために考えられたものですが、やはり宇宙項Λが出てくる。宇宙の状態が(例えれば液体が気体に変わるように)変化することで、宇宙項Λが現れる。
 そして、つい最近。観測によって、遠くの銀河の赤方偏移が「アインシュタイン-ド・ジッターモデル」の予想より速い、ということが分かってきた。この現象を説明する一番簡単な方法。それは宇宙項Λを復活させることなんです。
 アインシュタインが生きてたら、ガーン。ですよね。

参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=27130, http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=18266
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この回答へのお礼

stomachmanさんにはいつもお世話になっております。
URLご指定してくださったとおり、stomachmanさんのtomokun_thさんへの回答を拝見して、何か聞いた事のある宇宙項への疑問が深まったのです。
専門は生物学ですが、宇宙の変化と生物の進化について考えるにあたって、物理学は必要不可欠ですね。勉強しなければと反省しました。歴史的な視点を交えてのご教授、どうもありがとうございました。m(__)mこの場を借りてほかの方々へも
お礼申し上げます。

お礼日時:2001/01/21 23:18

下のzeraさんの回答の補足です。



そんなわけで、天才アインシュタインは人生最大の過ちを犯した、といわれていたのですが、実は、その宇宙項が最近「やっぱりあるかも」と見なおされてきているんですよ。
結論としては、まだ「ある」とも「ない」とも言えないのですが、(確か)ダークマターの正体や、銀河質量の観測事実に関係して、ひょっとしたらあるかもしれない、という議論が起こっているのです。
細かい話しをすると結構大変なので、「宇宙項」や「ダークマター」「ニュートリノ」「銀河(の)質量」などで質問検索して、参考に読まれるのも良いかと思います。
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この回答へのお礼

こんばんは。どうもありがとうございます。
宇宙項復活ということは、宇宙が平均すると静止しているかも、という考えがでてきたからですね?

お礼日時:2001/01/21 23:08

すみません下記に誤りがあるので訂正します。



>その他はリッチテンソルや空間の曲率ですが置いておきます。
「リッチテンソルや空間の曲率」とありますが、リッチテンソル=空間の曲率です。

ついでですから方程式の詳細を
Rμν・・・・空間の曲率(リッチテンソル)
1/2gμνR・・重加速度の拡張
λgμν・・・宇宙項
κTμν・・・運動量
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この回答へのお礼

再回答ほんとうにありがとうございます。
数式ではあまりぴんときませんが、
下のご説明で何となくわかりましたので。
要するに宇宙項を入れてしまったために誤った式となってしまったのですね?

お礼日時:2001/01/21 23:04

アルバート・アインシュタインが重力場の方程式に組み込んだもので、


その方程式は

Rμν-1/2gμνR-λgμν=-κTμν

というものがそうですが、このうち「λgμν」がいわゆる宇宙項です。
その他はリッチテンソルや空間の曲率ですが置いておきます。

この宇宙項はなんのために組み込まれたかというと、
宇宙の膨張や縮小を防ぐために盛り込まれたもので(宇宙を静止化するため)、
アインシュタインの信念が具現化したものとも言えるでしょう。

しかし残念ながらこの信念からくる認識は誤りで、実際の宇宙は膨張・縮小をし、
宇宙項は明確なあやまりであることがわかりました。

これについてはのちに「宇宙項は、わが人生最大の過ち」と語っています。
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この回答へのお礼

ご回答どうもありがとうございます。
何しろ物理のぶの字もしらないような素人でして、数式はよく解りませんでしたが、(ほんと頭悪くてごめんなさい。)

>この宇宙項はなんのために組み込まれたかというと、
宇宙の膨張や縮小を防ぐために盛り込まれたもので(宇宙を静止化するため)、
アインシュタインの信念が具現化したものとも言えるでしょう。

>しかし残念ながらこの信念からくる認識は誤りで、実際の宇宙は膨張・縮小をし、 宇宙項は明確なあやまりであることがわかりました。

実際の宇宙が膨張や縮小をするということは何となく解るので、
このご説明でぴんときました。どうもありがとうございました。
なんだかすっきりしました。

お礼日時:2001/01/21 23:00

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