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なぜでしょうか?
相対性理論で説明できると聞いたのですが、本当でしょうか?
一応、相対性理論は理解しているので、教えてください。

A 回答 (2件)

相対論効果によって水銀の原子軌道が収縮するからです。

また、水銀原子の電子配置が閉殻構造であることも、大きな理由です。

原子軌道が収縮すると電子と原子核の結びつきが強くなるので、自由電子が原子から放出されにくくなります。自由電子は金属結合で糊の役目をするものなので、自由電子が放出されにくくなると、金属結晶中の原子同士(あるいは自由電子を放出したあとの陽イオン同士)の結びつきが弱くなって、金属の融点は低くなります。

周期表で水銀の左隣にある金や、右隣にあるタリウムでも同じように原子軌道が収縮します。ですけど、原子の電子配置から分かるように、金原子やタリウム原子には水銀原子とは違って不対電子があります。

 Auの電子配置 [Xe] 4f14 5d10 6s1   <--- 6s軌道に不対電子が一個ある
 Hgの電子配置 [Xe] 4f14 5d10 6s2   <--- 閉殻構造
 Tlの電子配置 [Xe] 4f14 5d10 6s2 6p1 <--- 6p軌道に不対電子が一個ある

この不対電子が原子同士を結合する糊の役目をするため、これらの原子間の金属結合は水銀のそれよりもずっと強くなるので、融点は低くなりません。

相対論効果によって原子軌道が収縮するしくみは、以下の通りです。

(1) 1s電子の速さvは、原子番号Zに比例して大きくなる(v/c ~ Z/137)。
(2) 電子の速さが光速cに近づくと電子は重くなるので、原子番号が大きくなると1s電子の質量が大きくなる。
(3) 原子軌道の半径は電子の質量に反比例して小さくなるので、1s電子の質量が大きくなると1s軌道が収縮する。
(4) L殻、M殻などの外殻電子の速さはK殻の1s電子の速さに比べるときわめて遅いので、上で述べた相対論効果は(第1近似では)無視できる。
(5) 無視できるのだが、1s軌道が収縮すると2s, 3s, ... ,6s軌道も収縮しなければならない。なぜならこれらの軌道は1s軌道と直交しなければならないからである。

相対論の効果は(2)のところです。(1)と(3)は、ボーアの原子模型で理解できます。(5)はちょっと難しくて、量子力学に基づいた原子軌道の知識が必要になります。少しゴマカシが入りますけど、(4)と(5)をひっくるめて、「2s, 3s, ... ,6s軌道の電子は原子核に近づくことができるので、1s電子と同じように軌道が縮む。そのほかのp,d,f軌道の電子は、s電子に遮蔽されて原子核に近づけないため、これらの軌道は相対論効果によって むしろ膨張する」と理解してもいいと思います。

この回答への補足

ありがとうございます!

補足日時:2009/01/06 10:47
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相対性理論が関係無いとは言えませんが、あらゆる物理理論はあらゆる物理現象に関係しているという程度の関係。


電子軌道の問題だからまあ常識的には量子論が関係と言っておけば中高ではOK.

水銀の融点が低いというのは人間の感性なので原子本人?にとってはどうでもいいことなのかも。
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