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法曹(裁判官、検察官、弁護士)・その他法律を扱う職業の方、あるいは大学で法学部に在籍している方「のみ」に、お聞きします。

僕は今高校で裁判員制度と冤罪について研究しています
これから日本で裁判員制度が始まります。

そんな中で僕は裁判員制度が「冤罪」にどのように影響するのかを考えています。
今まで調べたところでは「名張毒ブドウ酒事件」などの冤罪の可能性が非常に高い事件でも裁判が再開されないのは司法界の慣習で
過去の裁判を覆すことのできないという事実があることを知りました。

そんな中で裁判員制度という制度の導入でこのような現実を打開できるのか。

裁判員制度で冤罪は減らせるのか、逆に増えてしまうのか考えをお聞かせください。

差支えがなければ「職業」もお教えいただければ幸いです。

A 回答 (2件)

 裁判は, 証拠を通して,過去の事実を解明する手続です。

裁判官は,タイムマシンが存在しない以上,過去の事実を直接見聞することはできませんので,過去の事実が残した痕跡,すなわち証拠を吟味して,ある犯罪事実が現実にあったかどうかを判断します。証拠を通して,その犯罪事実があったと確信できれば有罪,確信に至らなければ無罪ということになります。

 目撃証人も,自白も,すべて証拠であって,事実そのものではないわけです。

 そういうわけで,裁判も人間のやることですから,あくまで間違いがないとは限らない,そのため,間違った裁判は,再審という手続で,改めて審理をやり直して,有罪か無罪かを決めるという仕組みがとられています。これは,裁判の再開ではなく,また,一から裁判をやり直すことをいいます。

 ところが,いったん決まった裁判を簡単にやり直すことができるのであれば,無罪の証拠を隠して,有罪の判決を受け,再審でひっくり返すということが容易に行われることになります。確実な有罪の証拠がなく,多くの証拠をよく見比べなければ,有罪か無罪かが決まらないという微妙な事件では,無罪側の証拠をいったん隠して裁判を受け,不幸にして有罪とされれば,無罪側の証拠を出すという高等戦略が採られないとも限らないわけです。

 これは,いったん有罪が決まった場合には,有罪側の証拠は,次第に風化していき,新たな無罪側の証拠が次第にクローズアップされて来るという人間心理の利用でもあるわけです。現在,えん罪が主張されている事件でも,裁判の当時は,誰もが有罪を確信していたものが多くあります。特に,マスコミの報道などは,そういう傾向が顕著にあります。

 そして,このようなことでいったん終了した裁判が覆っていたのでは,裁判制度に対する信用がなくなるだけでなく,証拠を隠すなどというフェアでない訴訟が行われることになりかねません。

 そこで,再審事由(このような事情があれば再審の開始を認めるという事情)は,きわめて限定されたものとされています。世間がえん罪の可能性が高いという事件でも,容易に再審が認められないのは,司法界の「慣習」ではなく,法律制度がそのようになっているのです。いったい,「慣習」などというのは,どこから出てきたものなのですか?

 また,先ほど,有罪側の証拠が風化するといったように,現在えん罪を疑われている事件も,今になって,報道などで,無罪側の証拠が強調されているだけの話で,実は,立場を変えてみれば,有罪側の証拠も十分にあるという事件も多くあるのです。この辺りは,報道を見るだけではなく,実際の証拠も見て,冷静に判断しなければならないところです。

 日本の刑事訴訟における再審開始事由は,極端に狭いものではありませんし,現実の運用も,最高裁が,再審事由にも「疑わしキハ被告人の利益に」の原則を導入したことから,必ずしも狭いと断定できるものではありません。マスコミや,一部の弁護士は,時代の風潮に乗って,えん罪を主張しますが,実際にそうかどうかは,そんなに簡単に明らかになるものではないのです。

 ところで,このことと裁判員制度の導入の関係ですが,裁判員制度は,過去の裁判がえん罪かどうかを決めるのではなく,新たになされる裁判で,有罪か無罪かを決める制度です。裁判員は,再審を開始するかどうかにはタッチしません。再審が開始されると決まってからの裁判では,裁判員制度の対象となる事件は裁判員によって裁判が行われると思いますが,再審を開始するかどうか,質問に沿っていいかえれば,過去の裁判を覆せないという事実を覆すという部分にはタッチしないのです。

 そういう意味で,「現実を打開できるのか」に対する答えはノーです。

 他方,裁判員制度がえん罪を減らすか増やすかという点では,裁判員精度はえん罪を減らすための制度だとはいえます。プロの思いこみで,市民常識から離れた裁判をすることを防ごうという制度ですから,市民常識による,正しい判断が期待できることになります。

 ただし,それは制度の建前であり,実際にやってみないと,その結果は分からないということもできます。
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私は法曹の専門家ではありませんが、質問の件科学的、学術的に考察


しようと試みるなら、制度導入が始まっていない日本の司法を想像的
に推論しても意味のないことだと思います。

仮説を建てるなら、制度の違いはありますが同様の参審制度を持つ
ドイツやフランスをサンプルとして、導入国の冤罪の発生率と
非導入国の冤罪の発生率の比較をするべきでしょう。

しかし、一方で冤罪が確定された事例というのが極めて例外的であり
双方を比較した場合学術的なレベルでの差異は発見できないはずです。

従ってあなたの疑問、仮説は極めて意欲的ですが正しい結論をだすこと
は現実的にほぼ不可能といえます。

一般的な科学的アプローチからの参考意見です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
非導入国の冤罪の発生率も調べて参考にさせていただきます

お礼日時:2009/04/05 20:56

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