【お題】王手、そして

アメリカは連邦制を敷いており、各州は独自の州憲法を持っていますが、さらに州は連邦を脱退して分離・独立する権利をも有しているのでしょうか?
あまり現実的とは思えませんが、例えばいきなりカリフォルニア州がアメリカ合衆国から独立して新たな国家を創設するということも理論上は可能なのでしょうか?

また、中国は区域自治政策を敷いていますが、これはアメリカやロシアなどの連邦制とはどのような点で異なっているのでしょうか?各自治区域は中国からの自立権を有していないという事以外は連邦制と共通している点も多いとは思うのですが…

みなさまの御回答お待ちしております。

A 回答 (4件)

まず面白くない理論から。


州は『支分国』という分類になります。
これが並列的に集まって、連合国(合衆国)を形成するわけですが、
全ての『支分国』は"国家主権"を憲法で認められていないんです。

ほかに国と国が結びつくケースとしては、『従属的国家連合』という
考え方があります。(いわゆる属国、という奴です。)
条約によって、一方の国の外交の禁止など一部の主権が
制限されている状態です。

中国の場合は選挙に寄らない単なる行政区なので、
そもそも三権分立を基とした政府とは別物です。
ただ、香港政府などは制度も違い、軍事と外交を制限された
"属国"に近いかも?(この見解には異論が多そうですけど。)




ポイントは主権の有無、というわけです。
では本題。州は独立できるか。

実際にアメリカから分離独立をした国家として南北戦争時の
"アメリカ連合国(南軍)"があります。じゃあ独立出来るんだよね?というと、
そうでもなく、その独立から一ヵ月後に就任したアメリカ大統領、
『リンカーン』さんの見解によれば

・(合衆国)憲法は拘束力を持った契約である。
・憲法によれば州は連邦の財産や徴税権(関税自主権)を侵害できない
・よって独立は無効である。

とのことです。もちろん関税自主権は国家主権のひとつです。
このへんは日本の教科書にも書いてあるかも?
実際に州という現存する行政単位が独立しても、
このロジックによってすぐ鎮圧されちゃうと思います。



じゃあ、武力蜂起すればいいか?というとこれもダメです。

国家と対等なのは国家のみ。
国家が国家として成立するのは、他の国家に承認を受けたときのみです。
(このあたりの言い回しはややこしいんですが、国家を国家と呼ぶ必要があるのは
他の国家と付き合う必要があるときのみ、という法哲学の話です。)

一般的に国連加盟国は『不法な手段によって成立した国家の独立を承認しない』
とする"スティムソン主義"という考え方を採用しているので、
他国からの承認が得られないこととなってしまいます。
それは既に国家と呼べなくなってしまうんです。
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この回答へのお礼

非常に丁寧に分かりやすく教えていただき、ありがとうございます。
なるほど…とすると、州の独立は実際上不可能と考えたほうが吉なのですね。
確かに、「国家」を語るには国際法上、国連加盟国の承認が必須であるという話をどこかで聞いた記憶があります。
ありがとうございました!

お礼日時:2010/08/23 16:33

理論的には可能です。


州の憲法に則り、アメリカからの離脱について議会で発議し、州民投票で採択すれば可能です。
ただ、やると、州の境界線が国境となる為、国境警備隊が必要になる点、米国国内線が全て国際線になる為、出入国管理業務が単独で発生する点、米軍(特に海軍)が引き揚げる為、州兵を増員し、軍事予算を確保する必要がある点、これらの費用が、連邦税としての納税額を明らかに超える事から、離脱は現実的とは言えないでしょう。
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この回答へのお礼

御礼が遅れてしまい、大変申し訳ありません。
なるほど…やはり理論的には可能であっても、あくまで“理論上”。決して現実的とは言えないみたいですね。simotani様の御回答や、他の皆様の回答内容を見て、考えを固めることができました。ありがとうございました。

お礼日時:2010/09/17 15:09

理論上は可能です。

要は解釈の問題です。今では歴史の中に埋もれていますが、過去に強硬な州権論、つまり、連邦加盟の契約を州が破棄できるという論を唱えた人はたくさんいました。そうした人々がすべてまったく理論的根拠もない暴論を唱えていたのでしょうか?そうとは思えません。その後、南北戦争があり、他の方が説明されているように、リンカーンが契約論について明確な判断を下し、それが権威的な解釈となって今に至るわけです。憲法をどのように解釈するかは、歴史の中で判断が繰り返されることで決まってきました。過去に強硬な州権論を唱えた人々の解釈に基づけば理論上は可能でしょうが、これまでの判断の積み重ねからすると、そうした解釈は認められないということになるでしょう。理論上はありでも実質的には通用しないということですね。少し問題の本質は違うかもしれませんが、日本でも自衛隊に違憲判決が出ても解散することはありませんよね?それと似ているかもしれません。
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この回答へのお礼

御礼が遅れてしまい、大変申し訳ありません。
日本の自衛隊の例を挙げていただいたため、大変分かりやすかったです。ありがとうございます!

お礼日時:2010/09/17 15:04

1.アメリカは連邦制を敷いており、各州は独自の州憲法を持っていますが、さらに州は連邦を脱退して分離・独立する権利をも有しているのでしょうか?



 アメリカ連邦憲法にはこの回答はありません。
独立に関する回答は、国際法で確認することになりますが、現在の国際法においては、自治体の分離・独立する権利を排除しておりません。
 簡単にいえば、独立を宣言して、その宣言を他国が承認することによって成立すると考えられます。

2.あまり現実的とは思えませんが、例えばいきなりカリフォルニア州がアメリカ合衆国から独立して新たな国家を創設するということも理論上は可能なのでしょうか?

 アメリカ連邦憲法はそのようなケースを想定していません。
 上記で回答した通り、理論的には不可能ではありません。
分離・独立という意味では、インドネシアからの分離独立を果たした”東ティモール”の事例があります。ユーゴの解体によって諸国が独立した事例も同じことです。理論上だけではなく、現実に可能ですが、その条件は上記したように厳しいと考えてください。

3.中国は区域自治政策を敷いていますが、これはアメリカやロシアなどの連邦制とはどのような点で異なっているのでしょうか?

 比喩としては”東京都・23区”の関係が”中国・各自治区”に近いと言えます。連邦制にも種類があって、分権度合いが高いのがアメリカのような事例で、似たようなのがイギリス・ドイツです。
 ロシア・フランスは中国に近い連邦制国家(領邦国家)と考えた方がいいでしょう

4.各自治区域は中国からの自立権を有していないという事以外は連邦制と共通している点も多いとは思うのですが…

 中国でも自治区に自立権がないとは人民憲法でも予定していないはずです。(予定していれば、民族自決の国際法違反になりえますので)
 自立権の意味は、独立国家化する意味の自立と、領邦地域として自立する意味に大きく分かれます。
 現在、チベット自治区の最高指導者と目されているダライ・ラマは、領邦地域としての独立性を要求しているように地方・自治区の自立・独立の意味は、峻別するように留意するべきでしょう。

 
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この回答へのお礼

御礼が遅れてしまって申し訳ありません。
分かりやすい解説ありがとうございました。連邦制における独立・分離の規定について、ずっと曖昧な考えを持っていたので、大変参考になりました。

お礼日時:2010/08/26 11:31

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