正帰還回路で入力電圧をv1,増幅器Aへの入力電圧をvi,出力電圧をv2としたとき,
v2=Avi
vi=v1+Hv2
であり,ループ利得AH,回路全体の利得は
G=v2/v1=A/(1-AH)
ですが,
AH>1の場合,発振するというのは違う見方だと完全ではないもののなんとなく分かるような気がするんです.
でも,負帰還回路の場合,
G=A/(1+AH)
AH≫1とすれば
G≒1/H
となりますが,
発振回路も
AH≫1とすると,
G=-1/H
で利得は定数になってしまうので,
発振してしかも出力v2の振幅がしだいに
増大するというのが納得しかねます.
viがループ後AHviになってそれがまた,
増幅器Aに入るから増大した電圧がまた増大して
と考えれば納得できるような気がするんですが,
いまいちしっくり来ません.
この発振回路の原理についてかなり詳しい説明をして欲しいです.
また,発振条件は
Im(AH)=0,Re(AH)≧1
のようですが,
Re(AH)≧1はまだしも
Im(AH):位相に関係する??が0というのは何故ですか??
電子回路に詳しい方よろしくお願いします!
No.2
- 回答日時:
>>発振回路も(中略)
>>viがループ後AHviになってそれがまた,
>>増幅器Aに入るから増大した電圧がまた増大して
>>と考えれば納得できるような気がするんですが
上記の考えは正解。例としてOPアンプの-入力を接地し、入力V1から抵抗でR1+入力に接続し、出力V2から抵抗R2で+入力に接続すれば題意の回路が実現される。これは良く知られたシュミットトリガ回路である。広義のフリップフロップ回路とも言える。
発振回路とは;上記の状態が直流ではなく特定の周波数で成立している回路である。たとえ図上では負帰還として書かれた回路でも「特定の周波数」で上記の条件が成立すればそこで発振してしまう。これは実際のアンプ回路設計上でよくあるハプニングである。
すなわち見かけ上の(直流的な)正帰還、負帰還に関係なく、A(ω)H(ω)の絶対値が>1になる場合は発振するのである。
次に第二の疑問はその条件を満たす周波数を仮に外部入力V1として加えた仮想実験をすれば理解に到る。すなわち一巡して帰ってきたV2と入力V1との合成振幅を考えるのである。いま仮に振幅一定で位相差があるとして合成;交流であるからベクトル合成である;を考えれば位相差が0、2π、4π、6π…のとき合成後のベクトル長が極大になるのは言うまでもない。これはある種のフィルタなのである。AやHも一種のフィルタではあるが、帰還ループ自体がさらなるフィルタを構成しているのである。一巡位相差=0のものが最も振幅が大きくなるフィルタである。
繰り返すが、見掛け上の正帰還/負帰還にかかわらずである。
例えば;Hが単なる抵抗回路網だとして位相特性が周波数で変化しない場合でもAが通常のアンプなら周波数と共に位相遅れが生じる。それが180度に達した場合、負帰還自体が-180の位相遅れと同じなので合計360度になりえる。
この回答への補足
>次に第二の疑問はその条件を満たす周波数を仮に外部
>入力V1として加えた仮想実験をすれば理解に到る。す
>なわち一巡して帰ってきたV2と入力V1との合成振幅を
>考えるのである。
Q1.V2とv1の合成を考えるのがよく分かりません.
V1とAHViの合成を考えるのでは?
その場合,
>…を考えれば位相差が0、2π、4π、6π…のとき合成
>後のベクトル長が極大になるのは言うまでもない。
でも,V1の位相角0,Im(AH)=0:位相角0,のとき
Viの位相角がπ/4だとすると,
V1とAHViの位相差はπ/4で0にならないと思うのですが,その辺が確実に理解できていないので,
解説お願いします.
No.3
- 回答日時:
通常、正弦波発振回路は線形領域で動作させます。
つまり、AH=1か、1より少し大きいくらいで動作させます。1よりだんだん大きくすると、出力が飽和領域に入り込み、波形が歪みます。LC共振回路による発振回路の場合は、Qが大きいので2次、3次などの高調波を抑圧し、比較的きれいな正弦波を出力することができますが、RCによる移相回路を使った発振回路の場合は高調波抑圧があまり行われず、出力波形はゲイン増大とともに矩形波に近くなります。正帰還回路においてAH≫1を満たす周波数帯域(直流も含む)がある場合、その周波数帯域で強い正帰還を起こし、出力が飽和します。徐々に電圧が増大して・・・などというものではありません。片方の飽和電圧からいきなり反対の飽和電圧にスイッチングするような動作になります。
では、AH≫1の場合に求まる、G=-1/Hという式の意味についてですが、これを書きかえると
v1=-Hv2
になります。これは、飽和した出力v2をむりやり反対側に引き剥がすための入力電圧を求める式であると言えます。特に直流的に飽和している状況を考えると、解りやすいかと思います。
Im(AH)=0 は、正弦波発振における周波数を決定する式です。一巡した信号の位相が0度あるいは360度遅れになる周波数で、しかもその周波数における一巡ゲインが1より少し大きいとき、きれいな正弦波発振を行います。
この回答への補足
>正帰還回路においてAH≫1を満たす周波数帯域(直
>流も含む)がある場合、その周波数帯域で強い正帰還
>を起こし、出力が飽和します。徐々に電圧が増大し
>て・・・などというものではありません。片方の飽和
>電圧からいきなり反対の飽和電圧にスイッチングする
>ような動作になります。
> では、AH≫1の場合に求まる、G=-1/Hとい
>う式の意味についてですが、これを書きかえると
> v1=-Hv2
>になります。これは、飽和した出力v2をむりやり反
>対側に引き剥がすための入力電圧を求める式であると
>言えます。
言われてみればなんとなくは分かる気がするんですが,
すんなりまだ受け入れれません.
v1=-Hv2という式だけをただ単純に眺めてみると,
v1:有限,H:有限⇒v2:有限
でv2の振幅が増大することを素直に受け入れれないのです.
No.4
- 回答日時:
#3です。
Rossanaさんは、正帰還回路の利得が、G=v2/v1=A/(1-AH) であることから話を始め、AH>1 になって発振した場合の G について考えておられるようですが、実際に回路が発振すると、入力信号 v1 は不要になります。発振は別名、自励振動とも言うように、入力信号無しで信号を発生させます。つまり、発振状態においては、入力信号 v1 も利得 G ももはや無関係であり、一巡利得 AH がその動作を決定します。
#3の発言で、v1=-Hv2 とした式は、発振回路にむりやり入力端子を追加した場合の動作について述べたものであり、この式によって発振の様子が決まる訳ではありません。
発振を表す式はRossanaさん自身が最初の質問中に文章で書いておられるように、viがループ後AHviになって徐々に増大していくことから
AHvi ≧ vi
です。つまりAH≧1になります。ここでAHは複素数ですから、
Re(AH) ≧ 1
Im(AH) = 0
という発振条件が求まります。
Aを定数、Hを2次の共振回路とすると、
A(sω0/Q)/(s^2 + sω0/Q + ω0^2) = 1
より、
s^2 + sω0(1-A)/Q + ω0^2 = 0
となり、この根は
s = ω0(A-1)/2Q ± jω0√(1 - ((A-1)/2Q)^2)
となり、複素平面上で極を持ちます。
A < 1 のときは、減衰振動なので、発振は持続しません。
A = 1 のときは、s = ±jω0 なので、極は虚軸上にあり、安定な発振をします。
A > 1 になると、極は虚軸より右に動き、実軸に近づいていきます。つまり発振振幅は増大し、周波数は低下します。
A = 2Q-1 になると、極は実軸の上に位置するので、もはや周期的な振動はせず、指数関数的な増大のみを行います。
実際の回路では、 A≫1 のとき出力電圧は無限に大きくなれないので飽和します。重ね合わせの原理が成り立つ線形回路でなくなるので、伝達関数 AH による連続的な解析はできません。従って、共振回路にステップ信号を入れたときの過渡応答の結果により、区間を分けて波形を解析する必要があります。
回答ありがとうございます.
ちょっと分からない部分があったのですが,
1.『極』は(分母)=0なるものから出てくるもので,
『零点』の間違いではないでしょうか?
2. A(sω0/Q)/(s^2 + sω0/Q + ω0^2) = 1
は何の式ですか?
Aは増幅器の利得Aではないと思うのですが.
Aは一般にもっと大きな値では??
上記説明よろしくお願いします.
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
>> でも,V1の位相角0,Im(AH)=0:位相角0,のとき
>> Viの位相角がπ/4だとすると,
>> V1とAHViの位相差はπ/4で0にならないと思う
Im(AH)=0すなわち位相を廻す能力が無いので、入力からV1(位相角0)を入れる限りではViの位相角がπ/4になる状態は存在しない。仮にV1が過去π/4位相であったのを0に急変させれば(過渡的に)実現できるが、V1とAHViのベクトル加算ViはV1に近寄るのでやがてV1と同位相に帰す。 身近な実例は安価なTV受像器の偏向系;CR発振回路に放送局からの同期信号を注入している。
>> その辺が確実に理解できていないので
正帰還回路の基本式は
V2/V1=A/(1-AH) である。
上式からV2は
V2=V1A/(1-AH) である。
帰還ノードに戻る信号はV2が帰還路Hを通ったものゆえ
HV2=V1AH/(1-AH) である。
当たり前のことだが上式のAH/(1-AH)は複素数である。複素数は絶対値と偏角で表すことができるので、AH/(1-AH)を絶対値がmで偏角がθだとする。そうすれば上式は
HV2=V1がm倍になり位相がθずれたもの
と書けて分かりやすい。
そして帰還ノードでV1と上式が加算されてViとなる。とうぜん交流ゆえベクトル加算である。
HV2 長さはV1のm倍で位相がθずれてる
/
/θ
 ̄ ̄ V1 長さを1とする。
(Vi の長さ)^2 =(1+mcosθ)^2+(msinθ)^2
=1+m+2mcosθ
である。
Viが最大になるθはθ=0,2π,4π…のときである。
ViがA倍されたのがV2であるから、出力が最大と言ってもよい。
そうなる周波数をfoと記す。
発振状態とは外部入力が無いV1=0でループ内に振動波形が存在している状態である。ループを一巡(イチジュン)した利得|AH|<1なら周回と共に振幅が漸減するから|AH|≧1が必要条件であることは理解済みと思う。(*2)
思考実験;
入力V1に種々の周波数を混ぜた信号を入れる。信号はループ内をグルグル回りつつ入力V1と加算される。考えやすいように|AH|=1とする。周波数foの成分は一巡後の位相差が0なので常に代数的加算になって直線的に増加してゆく。fo以外の成分は位相差が積み重なってゆくのでベクトル的な加算になったり減算になったりでfoのようには成長しない。
すなわち、入力信号V1の中からfoの成分を選択的に増幅する回路である。一種のフィルタである。発振回路とはfo成分だけを育てあげる回路なのである。育てる元の種は電源投入時の電圧の動きだったり熱雑音だったりデジタル回路なら初期設定値である。
以上。
(*1)
複素数の偏角θ=0,2π…なら複素数の虚部は0である。AH=x+iyと書いて複素数AH/(1-AH)に代入し虚部=0と置けば、y=0すなわちIm(AH)=0を得る。これはV1から始めて順に追った考え方である。
一方、V1を考えない場合はIm(AH)=0がどこから来るのか;それは一巡のθ=0,2π,…になる周波数以外はループ上に定常的に存在できないことからである。それはそれで理解する努力が必要である。その理解は振動や音波電波の定在波や原子の軌道電子の理解に役立つ。
(*2)
一巡ごとに一定の割合が掛かる複利計算であり結果は指数関数となる。
|AH|<1ならexp(-t)で消滅、|AH|>1ならexp(+t)で成長する。
|AH|>1とRe(AH)>1は違うのか同じなのか;虚部=0の場合しか定常的に存在できないゆえ前者が後者になる。
付記1;
負帰還回路の場合;ベクトルの減算は180度反転すれば加算になるので「θ=0になる周波数」を「θ=πになる周波数」と読み替えるだけでよい。すなわち、負帰還回路でも一巡伝達関数AHの位相が180度回った所のゲインが>1なら発振回路になるのである。
付記2;
複素数AH/(1-AH)の大きさmも周波数で変化するのでは?との疑問に答えておく。
実際の回路では、foの近傍で大差なし(CR発振回路)とかfoの所でmも最大(LC、水晶、セラミック発振回路)である。
追加の質問があれば要求を。その際デジタル回路(ゲートやFF)が分かるかを教えてください。
補足回答に適切に答えてくださった上,
とても詳しい説明ありがとうございました(^_^)
前より大分分かった気がします.
#2でTeleskopeさんのおっしゃったフィルタの
意味がよく分からなかったんですけど,
『思考実験』の説明によって
フィルタという意味がわかりました!!
>|AH|>1とRe(AH)>1は違うのか同じなのか;虚部=0の場合しか定常的に存在できないゆえ前者が後者になる。
これはなるほどと思いました.
式を使って導くときに,直接的にIm(AH)=0が導かれるのではなく(*1)のような考え方からIm(AH)=0となるのですね!今までの疑問の核心がこの部分にあった気がします.
デジタル回路(ゲートやFF)は分かります!
No.6
- 回答日時:
#4です。
説明の都合上、入力信号のある利得 G に戻りますが、
G = A/(1-AH)
における分母=0と置いた式を、特性方程式といいます。この方程式の根は、分母=0になるので、極になります。
A は、増幅器のゲインです。共振回路の伝達関数 H は
(sω0/Q)/(s^2 + sω0/Q + ω0^2)
です。共振周波数における伝達率が1になるようにしています。従って
A(sω0/Q)/(s^2 + sω0/Q + ω0^2) = 1
は、特性方程式です。A を変化させたときの根の軌跡を調べることによって、回路の特性がわかります。
回答ありがとうございます.
H=(sω0/Q)/(s^2 + sω0/Q + ω0^2)
で,
1-AH=0
より
AH = 1
と表現したと言う事ですね.
No.7
- 回答日時:
#6です。
#6で利得Gを出して説明したあと、しばらく考えたのですが、入力端子の無い発振回路においても、G = A/(1-AH) という式は、ループの中で信号が微小変化をしたとき、その変化が増大して発振につながるか、減衰して消えてしまうかを表す式であることに気がつきました。OPアンプ回路などでは普通、入力に抵抗が付き、その抵抗値によりループゲインとは異なる式になるので、今回もついそのように勘違いしてしまいました。
従って、#4における「利得 R は発振回路には無関係である」という発言は取り消します。発振回路においても、利得 R は重要な式です。訂正とともにお詫び致します。
No.8
- 回答日時:
余談;
『一巡位相差がゼロなものが存在』
する。|AH|≧1が必要条件であり|AH|<1ならやがて消えゆくと書いたが、言い替えれば;過渡的にだが|AH|<1でも存在しているのである。つまり|AH|≧1は定常発振を維持する場合だけの必要条件であり、ループ固有の周波数(すなわち一巡θ=0になる周波数)の話とは無縁である。
(それなら同様に;θ=0にならない周波数成分も過渡的になら存在しているのか。答はこのレスを読んだ後に自問自答して欲しい)
ループを見たら固有の周波数を探せ。
例えば4bitカウンタ74161に2入力NANDゲートで帰還をかけた同期式十進カウンタ;素子delay=0とする。Q出力~NAND~PE入力~Q出力を一巡してθ=0となる周波数とは?その前にθとは何だと戸惑うかも知れぬがθとfの概念は一体で不可分である。(自問自答のこと)
例えば日本の人口;人口が増えれば出産数も増えるという正帰還ループであり出生から適齢期までが時間遅れである。戦後ベビーブームの後に増減があるがその周波数は(以下略)等々。
ふたたび『一巡位相差がゼロなものが存在』
一巡θ=0,2π,4π,6π…になる周波数はどれも存在する権利は等しいのである。しかしLC発振回路をベースにした解説では「高調波は振幅条件(前回のm)が劣るので基本波が勝つ」と教えるのが定番なので潜在意識が偏る。AH/(1-AH)のループではどれも存在する権利は等しいのだ。
固定観念からの脱皮
現在は「AはアンプでHは受動回路である」と思っているだろうか。しかしAとHが入れ替わってもループ一巡位相=0の周波数は変わらない。またAがHの所移動して同居しても変わらないしAの所にHが同居しても変わらない。要するにAもHもどこに居ても良い。なぜなら発振を決めるのは一巡した全体ゆえ。さらにAとHが共にアンプでも良いし共に受動部品回路でもよい。受動部品だけなら|AH|≦1ゆえいずれ消滅するだけのことである。
頭の体操
CMOSインバータ1個と水晶の発振回路は広く使われてる。これは水晶のLとCとCMOSの反転アンプの三者が並列になった構成である。これとV2/V1=A/(1-AH)の式がどう対応するのか二通りある。一つは;水晶のLCがHであり反転アンプがAとする対応。これにはV1の経路が無い。もう一つは;水晶内のLとCがAとH(どちらがどちらでも良い)でその出力V2がアンプで増幅されて入力V1になるとする対応。これは前節の「AH共に受動部品」の例でさらにV1の経路が存在してしかもV1=0でもない。ゆえに|AH|>1は必要条件ではない?!
これは「アナログ回路を抽象化し理想化したものが伝達関数理論なのではない、よく似ているが双方まったく別のもの」であることを教える一例である。電子回路は物理現象であり理論は思考の中に存在する。
|---- L----| 水晶内のL
|---- C----| 水晶内のC
| |
V2 V1
↓ ↑
↓--C1--C2---↑ 外付けのC
↓ | ↑
↓ 共通グランド ↑
↓ | ↑
→→→アンプ→→→→
V1の経路が存在しない回路にはV1そのものが存在しないゆえV2/V1=A/(1-AH)の式は不適切である。V1の経路が存在しないのとV1=0とは異なる。数式は初期条件を任意に想定できるが物理現象は無から有は生じない。例えばトランジスタの内部雑音や部品の熱雑音は絶えることなく至る所からループに入っている。電源投入時は電源配線が入力経路である。
閑話休題。
一巡θ=0,2π,4π,6π…を周波数で表した、直流解,fo,2fo,3fo,4fo…は、唐突に感じるだろうが;フーリエ変換に似ている。直流成分、奇数次fo,3fo,5fo…、偶数次2fo,4fo,6fo…と役者が全て揃っている。且つ、各成分の振幅に制限が付く話は何も出てこなかった。とすれば;フーリエ級数的に作れる任意の波形がループに存在することは可能である。以上の考えを了承願いたい。
すなわち正帰還回路とはウエーブメモリである。|AH|<1なら減衰しつつ、|AH|=1なら現状維持、|AH|>1なら拡大してゆくウエーブメモリである。
下図はシフトレジスタ(幅1bit長さn段)にORゲートで帰還をかけた回路である。ORが正帰還なのか負帰還なのかはよく分からないが、レジスタはクロック周期と段数の積の時間だけ遅延する回路であるゆえループには一巡θ=0になる周波数fo,2fo,…を考えることが出来る。これもまたフーリエ級数と同じである。仮に段数を8とすれば;00hex~FFhexの二進数256パタンあるが、V1=0ならそのパタンどれでも循環しつつ永久に存在するのは明白である。単純な1bit幅シフトレジスタを持ち出したのは振幅の話を除外して位相だけに集中できるからである。アナログでθ=0なるfoと言われてもイメージが湧きづらいがこの回路なら分かりやすい。foは例えば00001111である。2foは00110011、3foは10101010。段数が多ければもっと豊富になる。(直交性のよいビットパタンは例えばアダマール行列を参照)
入力V1--ORゲート--シフトレジスタ----出力V2
↑ ↓
←←←←←←←←←←←←
これでもって『ループ内には一巡θ=0以外は存在できない』ことのイメージが鮮明になる。思考実験でV1から長さ9bitのデータ列を入れた後V1=0にする。出力V2に現れるデータの周期は?同様に長さ7bitのパタンを入力した後にV1=0とした後の出力V2の周期は?
なお、V1=0にせず継続的に入れた場合はV2にもその周期が現れる。現実の発振回路でも連続して外乱雑音が加われば周波数は振られてしまい同様の現象が起きる。熱雑音相当の周波数変動は避けられない。
ちなみにORゲートをNORゲートに変えればCMOSリングオシレータと同様になる。更に高度な例ではEORゲート複数で多重に帰還をかけた疑似ランダム符号発生回路などがある。
最後に
一般の伝達関数の分母分子を因数分解した(1-m)(1-n)…/(1-a)(1-b)…を分母個々の分数に分離してA/(1-a)+B/(1-b)+C/(1-c)…とした個々の項は、それぞれにθ=0になるfoを有すのである。見方を変えればそれらの成分の組み合わせで元の伝達関数が出来てるのであるから、これまたフーリエ級数のような構図なのである。
近年のΔΣコンバータの高速化に伴い、従来アナログの守備範囲だった回路が雪崩のようにデジタル化されている。デジタル回路も伝達関数の一表現手段ゆえ帰還型フィルタの発振安定判別などは中心課題である。ΔΣコンバータ内部のフィルタ自体がデジタルである。例えばアナログ知識で蘊蓄武装した老練オーディオマニアはS/Nq改善フィルタを前に立ちすくむ時代になった。
以上。
ps:前回の訂正;
誤:Vi/V1=1+m+2mcosθ
正:Vi/V1=1+m^2+2mcosθ
難しいですね~.
自分のレベルが上がってからまたしっかり
読み直してみたいと思います.
電子回路などについてまた,何か分からないことが
あったら質問しますので,
そのときはよろしくお願いします.
ありがとうございました!
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