ギター用のプリアンプを雑誌参考に作成しました。
回路は順調に動作するのですが実体配線図を見て感覚で作り上げたため、その回路がどう意味するのか基礎から分析してみようと思い「トランジスタ回路の設計」を読みながら回路図とにらめっこを続けています。
そのアンプはトランジスタ1石のエミッタ接地回路です。
だいたいは理解ができたのですが、タイトルのバイアスの部分のみどう考えても計算が合いません。このアンプについてご意見お伺いしたいと思います。
バイアス部分は電流帰還バイアス回路?だと思います。
条件としては
・+9Vの電源
・使用トランジスタは2SD794A
スペック表によると絶対最大定格、仕様は
品名: 2SD794A
材料: Si
種類: npn
コレクタ損失 (Pc): 10W
コレクタ·ベース間電圧 (Ucb): 70V
コレクタ·エミッタ間電圧 (Uce): 60V
エミッタ·ベース間電圧 (Ueb): 5V
コレクタ電流(直流) (Ic): 3A
接合部温度 (Tj): 150°C
利得帯域幅積 (ft): 45MHz
出力容量 (Cc), Pf: 40
直流電流増幅率 (hfe): 100MIN
メーカー: NEC
です。
・75倍増幅
です。
回路はinから2.2μのコンデンサーを通ったのち、バイアスを決める抵抗二カ所…電源側が470kΩ、アースに落ちている方が220kΩで分圧?されたのちトランジスタのベースに入ります。増幅度を決める抵抗2カ所ですが、コレクタ抵抗750Ω、エミッタ抵抗は1kΩと10Ω
の並列になっています。コレクタから出た信号は6.8μのコンデンサーを通った後outします。
増幅度に関する750÷9.9≒75 なのはわかりました。
よくわかっていない部分が以下のあたりです。
エミッタ電流の動作点をどうするのか(最良の動作点もあるでしょうが、どう設計されているかわからないので、とりあえず最大定格以下ですよね)→エミッタ抵抗の電圧降下をどう決めるのか(トランジスタの本では1V以上必要だから仮に2Vとします、となっていますが…)→エミッタ抵抗の電圧降下が決まれば、計算ができるはずですよね。
雑誌の回路がどのようにその辺をきめているのか記載がないので、仮定しながら逆算していくと、どうもその抵抗値一番近い計算としては下記になります。
エミッタ抵抗の電圧降下を仮に2Vすると
エミッタ電圧=2V ベースエミッタ間電圧=0.6V
上記によりベース電圧=9V-2.6V=6.4V
今回のトランジスタはhfe=100minとあるので(100以下ということでしょうか?)
1÷hfe=1÷100=0.01mA ベースに流れる電流を無視するためには10倍以上流れれば良いため0.1mAとする。(本の解説をみながらあてはめています)
基本通りだと6.4V÷0.1mA=64kΩ …しかし実際は470kΩ
これを実現するには6.4V÷XmA=470kΩ X=0.01mAになってしまいます…
細かいこと考えずに0.01mAでいいのであれば
6.4V÷0.01mA=470kΩ
2.6V÷0.01mA=260kΩ(目標に220kΩに近い)
と計算は成り立つのですが…
このアンプは途中までは綺麗に増幅され、最大付近から少し歪むような設計になっているようです。ギター用だとそもそも基本に忠実に値を決めていないのかもしれませんが、この回路をきっかけに自由にアンプ設計できるようになりたいのでこの場合のバイアスの基本に忠実な掛け方と、この設計記事の意図を読み取りたいのです。
誤解もあるかもしれませんが、アドバイスよろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
えーと、まず常識的に考えて10Ωには
コンデンサが直列に入ってますよね?
でないと動かないでしょう。回路図が欲しいです。
バイアス抵抗は、質問に書かれている条件から想像する
限りでは、明らかに大きすぎます。少なくとも数十KΩ
くらいのオーダにならないと動作が不安定になります。
#エミッタ電流=2~3mA(ベース電流=0.02~0.03 mAを想定)
この回答への補足
うまく表示されるかわかりませんが回路図を試しに文字で打ち込みます…
------------------------vcc 9V
¦
回路図は -----------
¦ ¦
470kΩ 750Ω 10u
¦ ¦ C--------||-------out--アース
10u ¦ ¦/
in-||-----・----B----¦
| \ E
| |
アース 1kΩ
| 10u&0.01u
10Ω----||---アース
ご回答ありがとうございます。
ご指摘の10Ωの抵抗の部分ですが…雑誌では1kΩの半固定抵抗に4700Pのコンデンサが並列で繋がっており、1kΩと直列?に10Ωが繋がっている図でした。
そのコンデンサーはトーン調整のためのものと記載されていたので素人判断で省略して組上げてしまったのですが、そのコンデンサはトーン調整以外にも機能があったということが今になってわかりました。
本来省略してしまっては音は出ないはずなのですが、代わりに他の用途…電源のノイズをとるためのデカップリングコンデンサとして回路に追加したものがちょうど10Ωと直列に繋がり接地していたため結果的に回路として成立していたようです。
トランジスタの本、改めて確認しました。
おっしゃるように、10Ωにコンデンサを直列に繋げて接地するか、
10Ωー1Kの順に直列にして、それらに対してコンデンサを並列に繋げるように書いてあります。
(あれ…勘違いでなければ現在の回路の状態では1kΩ-10Ω-コンデンサ-グランド の状態なので750Ω÷1kΩで増幅率は0.75倍とおかしなことにはならないのでしょうか??)
バイアスは記事の表記通りでミス表記ではなく、他のギターエフェクターの制作記事のエミッタ接地回路のバイアスで多用されている値なのです…
これで意図的に歪みを作っているのでしょうか?
No.2
- 回答日時:
今日は、横から失礼します。
>エミッタ抵抗の電圧降下を仮に2Vすると
>エミッタ電圧=2V ベースエミッタ間電圧=0.6V
>上記によりベース電圧=9V-2.6V=6.4V
この場合、ベース電圧はGNDとベース間の電圧だと思いますので
単純にエミッタ電圧にベースエミッタ間電圧(約0.6V)を加えた
2.6Vと考えるべきでしょう。
>今回のトランジスタはhfe=100minとあるので(100以下ということでしょうか?)
100minのminは英語のminimum(最小の意味)ですので 100以上
という意味になります。
>1÷hfe=1÷100=0.01mA ベースに流れる電流を無視するためには
>10倍以上流れれば良いため0.1mAとする。(本の解説をみながらあてはめています)
この計算 1÷hfe=1÷100=0.01mA ではコレクタ電流 Icを1mAとしてベース
電流 Ib を計算されてますが、1mAはどこから出てきたのでしょうか?
この回路の場合、コレクタの負荷抵抗Rcは750Ωに設計されてます。コレクタの
動作点電圧Vc_biasは、コレクタの動作時の最大振幅をVcpeak(0-p)として
Vc_bias = Vcc - Vcpeak
より低く決定します。たとえば、Vcpeakを 750mV とすれば、 Vc_bias は上の式で
Vc_bias = 9V - 0.75V = 8.35V 以下
増幅器出力をこの Vc_bias=8.35V を中心に振幅最大Vcpeakで動作するように
するとすれば、動作点でコレクタ抵抗Rcには1mA流せばいい事になります。もしもっと
大きな振幅が必要ならば、この1mAをもっと大きくします。
ここで、動作点のコレクタ電流Icが1mAだとすると、エミッタ電流IeもほぼIc
同じ電流が流れます。 Ie ≒ Ic
ご質問の回路では10ΩがエミッタとGNDに接続されてますので並列に接続されている
1kΩには殆ど電流は流れずにこの10Ωに1mAが流れることになります。
そうすると、10Ωの抵抗に1mA流しますのでエミッタの電圧Veは
Ve = 10Ω×1mA = 10mV
と非常に低い電圧になります。最初に質問者がエミッタ電圧を2Vと仮定しましたが、
それを10mVに修正しなければなりません。
すると、ベース電圧VBはVBEを0.6Vとした場合、
VB = 10mV + 600mV = 610mV
に修正する必要があります。
ところで、エミッタ電圧が10mVと非常に低い電圧になってしまうと、ベース電圧
に占めるVBEの比率が非常に大きくなってしまいます。これは非常に拙い状況です。
VBEは温度依存性が大きい(約-2mV/℃)のでバイアスが温度に大きく影響を受けて
しまいます。どうもエミッタの回路が間違ってるように思います。
ここで仮に、添付した回路のように10Ωにシリーズにコンデンサが接続されている
と仮定するならば、エミッタ電流は1kΩに流れてくれますので、エミッタ電圧Veは
1kΩ×1mA=1Vと大きな値にできます。この場合VBは 1.6Vになります。
ただし、10ΩにシリーズにコンデンサCを接続した場合、増幅器の増幅度はこの10Ω
とCで決まる周波数fc(fc=1/(2π×10×C))以下では小さくなります。
fc以上の周波数で増幅率は75倍になります。
>ベースに流れる電流を無視するためには10倍以上流れれば良いため0.1mAとする。
>(本の解説をみながらあてはめています)
これはベースのバイアス電圧を決める電源電圧とGND間の分圧回路に流す電流 I_biasB
の事だど思いますが、I_biasBがベース電流Ibに近い値になると分圧電圧(=VB(ベース電圧))
がベース電流の影響を受けて、下がってしまうし、温度変化の影響を受けやすくなってしまいます。
トランジスタのhFEは温度が1℃上昇すると0.5~1%も上昇してしまいますので
その影響でVBが温度変化に影響されて変動してしまいます。
したがって、普通I_biasBはできるだけIbより大きくします。この例では10倍以上流れれば
良いためI_biasBは0.1mAで良いと思います。
>基本通りだと6.4V÷0.1mA=64kΩ …しかし実際は470kΩ
>これを実現するには6.4V÷XmA=470kΩ X=0.01mAになってしまいます…
>細かいこと考えずに0.01mAでいいのであれば
>
>
>6.4V÷0.01mA=470kΩ
>2.6V÷0.01mA=260kΩ(目標に220kΩに近い)
>
>と計算は成り立つのですが…
ベースと電源Vcc間の抵抗をR1、ベースとGND間の抵抗をR2、ベース電流をIb、電源電圧
をVcc、ベース電圧をVBとするとR1の電圧降下 Vcc-Vbは
Vcc - VB = (VB/R2 + Ib)×R1
で求められるので、この式からR2を求めると、
R2 = R1×VB/(Vcc - VB - Ib×R1)
を得る。この式に R1=470kΩ、Vcc=9V、VB=1.6V、Ib=10uAを
代入すると、R2は R2 =279kΩ
と計算されます。質問者の回路ではR2は220kΩですので、計算値はそれより60kΩ
ほど大きいです。これは使用するトランジスタのhFEが100より大きい場合にR2は小さくなり
ます。またVBEが0.6Vではなく0.7V程度の場合も考えられます。
エミッタの10Ωに直列にコンデンサ10uFを接続した場合の動作をシミュレーションした場合
が添付の特性グラフです。
グラフでは、信号にf=2kHz、振幅=50mV0-pで計算してあります。回路図にはベース
電流、R1の電流、R2の電流がそれぞれ、7uA、15uA、8uAと計算されてます。Ibが
大きくR2に流れる電流と同じくらいになってます。
温度安定性を考えると、基本通りに考えてR1とR2の抵抗値を小さくしてR2に流れる電流を
Ibの10倍程度に増やしたほうが良いでしょう。
その場合、入力のカップリングC(2.2uF)は忘れずに抵抗を小さくした分、大きくして
おく必要があります。
xpopo様
とても詳しい解説とご説明ありがとうございます!
大分勘違いしていたようでお恥ずかしい限りです。
まだわからないことがたくさんあり、下記質問やまた勘違いがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
>この場合、ベース電圧はGNDとベース間の電圧だと思いますので
単純にエミッタ電圧にベースエミッタ間電圧(約0.6V)を加えた
2.6Vと考えるべきでしょう。
ありがとうございます、焦って間違いておりました。
>100minのminは英語のminimum(最小の意味)ですので 100以上
という意味になります。
ありがとうございます。
>この計算 1÷hfe=1÷100=0.01mA ではコレクタ電流 Icを1mAとしてベース
電流 Ib を計算されてますが、1mAはどこから出てきたのでしょうか?
これは参考書の回路でエミッタ電流を最大定格以下で計算しやすい値として1mAにします、という前提があり、その流れでこの計算があったようです。僕がその辺をよく理解しないまま計算の単位を引用してしまったのでIe=Icで1mAにしてしまった、ということだと思います。
>この回路の場合、コレクタの負荷抵抗Rcは750Ωに設計されてます。コレクタの
動作点電圧Vc_biasは、コレクタの動作時の最大振幅をVcpeak(0-p)として
Vc_bias = Vcc - Vcpeak
より低く決定します。たとえば、Vcpeakを 750mV とすれば、 Vc_bias は上の式で
Vc_bias = 9V - 0.75V = 8.35V 以下
増幅器出力をこの Vc_bias=8.35V を中心に振幅最大Vcpeakで動作するように
するとすれば、動作点でコレクタ抵抗Rcには1mA流せばいい事になります。もしもっと
大きな振幅が必要ならば、この1mAをもっと大きくします。
上記の辺の考え方が今いちピンときてないのですが…9V電源ということは最大の振幅を得るには真ん中の4.5Vを中心に振幅するように設計できれば良いということとは違うんですよね?ここでいう振幅というのが回路上意味するのは電圧の増幅率のこととは違うのでしょうか??
>最初に質問者がエミッタ電圧を2Vと仮定しましたが、
トランジスタの本にて、「ベースエミッタ間電圧VBEの温度変化を吸収して、動作点(コレクタ電流)を温度的に安定させるためにはReの直流的な電圧降下は1V以上必要です。…中略(温度の説明)…ここではReの電圧降下を2Vとします。」とあり、RcとReを決めるためにコレクタ電流1mAもReでの電圧降下=エミッタ電位の2Vもあまり根拠のない値というか、仮定の値だったため、同じようにしてみました。結局のところ、このふたつの値の決め方がわからない状態のままです…
>どうもエミッタの回路が間違ってるように思います。
ここで仮に、添付した回路のように10Ωにシリーズにコンデンサが接続されている
と仮定するならば、エミッタ電流は1kΩに流れてくれますので、エミッタ電圧Veは
1kΩ×1mA=1Vと大きな値にできます。この場合VBは 1.6Vになります。
なるほど…。大元の記事ではエミッタは1kΩと4700Pのコンデンサに並列に繋げられており、10Ωは回路図では1KΩの抵抗の記号と直接繋がって接地しているな図でした。
実体配線図で確認しますと1kΩと10Ωは直列に繋がって接地しているようです。
コンデンサは高音域の補助として加えられている説明だったため、自分で作る際に勝手に省略して現在はエミッタ-1kΩ-10Ω-(たまたまデカップリング用で)10μ-アース となっております。
ただその後の計算値的にも、僕のやり方は間違っているかもしれません。
>Vcc - VB = (VB/R2 + Ib)×R1
で求められるので、この式からR2を求めると、
R2 = R1×VB/(Vcc - VB - Ib×R1)
を得る。この式に R1=470kΩ、Vcc=9V、VB=1.6V、Ib=10uAを
代入すると、R2は R2 =279kΩ
と計算されます。
上記のIb=10uAなんですが、これはどのように導きだしたのでしょうか??
★ここまで色々頭を整理しておりますが
ゼロから回路設計する時のフローがまだ見えてこないので
その辺もアドバイスいただけると幸いです。
今のところの自分の頭では
準備1)回路の目的を明確にする(ここではギター等を入力し、後段にパワーアンプに接続するプリアンプを設計する。後段の入力は10kΩなど)
準備2)その目的と作成上の制約を明らかにする(コンパクトにしたい、または9V電池で駆動できるレベルでまとめたい、とにかく音質優先で作りたい、等)
1)電源電圧を決める。ここでは9V。
2)(後段のインピーダンスを意識しつつ?)RCを決める。…同時にIcを考えることになる。※ただここのIcの値の決め方がやはりよくわかりません(パワーが必要なドライブ時は数100mA、通常は数mA~数10mAが一般的だと読みました)仮に値を決めて進めていくものなのでしょうか?xpopo様の話からはRCを決めたことで振幅する真ん中の位置が決まり、それを変えていくにはIcを増やせばいいという話でしたが、まずは仮の値で設計していけば良いのでしょうか?
3)RCとの関係…増幅率を考えてREを決める
4)ベース抵抗R1とR2を決める
まずはVbを求める。Vb=Ic×Re×0.6 またはエミッタ電位の値を利用して、VE+VBE
次にIbを求める。Ib=Ic÷hfe ※ここでhfeを計算に使うと思いますが、hfe=100minの場合は計算上どうすれば良いのでしょうか。100以上ですが100と考えて計算して良いでしょうか?
RbにIbの10倍以上の電流を流すとすると
R1=Vb÷(10×Ib)
R2=(Vcc-Vb)÷(10×Ib)
5)カップリングコンデンサの値決め
6)バイパスコンデンサの値決め
よろしくお願いします。
No.3
- 回答日時:
1)
>>この計算 1÷hfe=1÷100=0.01mA ではコレクタ電流 Icを1mAとしてベース電流 Ib を
>>計算されてますが、1mAはどこから出てきたのでしょうか?
>これは参考書の回路でエミッタ電流を最大定格以下で計算しやすい値として1mAにします、という
>>前提があり、その流れでこの計算があったようです。僕がその辺をよく理解しないまま計算の
>>単位を引用してしまったのでIe=Icで1mAにしてしまった、ということだと思います。
参考書ではコレクタに1mA流してたという事ですね。雑誌の回路の説明にあったわけではない
ようなので、雑誌の回路では何mA流してるかとは別の話だと理解しました。
2)
>>この回路の場合、コレクタの負荷抵抗Rcは750Ωに設計されてます。コレクタの動作点電圧
>>Vc_biasは、コレクタの動作時の最大振幅をVcpeak(0-p)として
>> Vc_bias = Vcc - Vcpeak
>>より低く決定します。たとえば、Vcpeakを 750mV とすれば、 Vc_bias は上の式で
>> Vc_bias = 9V - 0.75V = 8.35V 以下
>>増幅器出力をこの Vc_bias=8.35V を中心に振幅最大Vcpeakで動作するように
>>するとすれば、動作点でコレクタ抵抗Rcには1mA流せばいい事になります。もしもっと
>>大きな振幅が必要ならば、この1mAをもっと大きくします。
>上記の辺の考え方が今いちピンときてないのですが…9V電源ということは最大の振幅を得るには真>ん中の4.5Vを中心に振幅するように設計できれば良いということとは違うんですよね?ここでいう
>振幅というのが回路上意味するのは電圧の増幅率のこととは違うのでしょうか??
参照された雑誌の回路を中心にして説明してましたのでこういう説明になってしまいました。
しかし、初めから設計する場合は振幅が一番大きく取れるようにコレクタのバイアスポイントを決めます。その場合、エミッタの電圧をある程度確保する必要があります。そのエミッタの電圧をVEとすれば動作点は (9V-VE)/2 +VE の電圧に設定します。9Vの半分の4.5Vだとエミッタの電圧は0Vになってしまい、バイアス電流を流す事がむずかしくなります。
ここでは振幅が重要です。まず入力信号の最大振幅 Vinmax がいくらかをしっかり把握しておくことです。
次に、その入力信号をどのくらい増幅(ゲインG)してどのくらいの信号の大きさ(Voutmax)にしたいのか?増幅率はGは結果として、 G=Voutmax/Vinmax で決まります。
3)
>>最初に質問者がエミッタ電圧を2Vと仮定しましたが、
>トランジスタの本にて、「ベースエミッタ間電圧VBEの温度変化を吸収して、動作点(コレクタ電
>流)を温度的に安定させるためにはReの直流的な電圧降下は1V以上必要です。…中略(温度の説
>明)…ここではReの電圧降下を2Vとします。」とあり、RcとReを決めるためにコレクタ電流1mAも
>Reでの電圧降下=エミッタ電位の2Vもあまり根拠のない値というか、仮定の値だったため、同じよ
>うにしてみました。結局のところ、このふたつの値の決め方がわからない状態のままです…
この2つの値、即ち、コレクタバイアス電流 IC_bias とエミッタ電圧 VE の決め方は
i) 出力(コレクタ)の最大振幅 Voutmax とコレクタ-電源間に接続するコレクタ抵抗 Rc を決める。
ii) 電源電圧 Vcc、最大振幅 Voutmax からコレクタ動作点電圧 Vcbias を求める。
iii) 動作点でのコレクタ電流Icbiasを求める。
Icbias = (Vcc-Vcbias)/Rc で計算します。
iv) 必要な増幅率 G(=Vout/Vin)から、エミッタとGND間の抵抗値REを
RE = Rc/G より計算します。
v) エミッタ電圧VEを求めます。
VE = Icbias×RE から計算します。
上のiii)とv)の式から VE は
VE = (Vcc-Vcbias)×RE/Rc
という関係で決まりますので、Vcbiasが大きくてREに対してRcが大きい(ゲインGが大きい)場合、VEの値は非常に小さくなります。参考書に出ているようなVEを1V以上にできない場合も出てきます。
そういう場合はベースとGND間に接続する抵抗に直列にダイオードを挿入します。ダイオードの順方向電圧の温度依存性はトランジスタのVBEの温度係数(-2mV/℃)と殆ど等しいのでこのようにダイオードを挿入することでバイアス電圧の温度依存性を補償します。
4)
>>どうもエミッタの回路が間違ってるように思います。
>> ここで仮に、添付した回路のように10Ωにシリーズにコンデンサが接続されていると仮定す
>>るならば、エミッタ電流は1kΩに流れてくれますので、エミッタ電圧Veは1kΩ×1mA=
>>1Vと大きな値にできます。この場合VBは 1.6Vになります。
>なるほど…。大元の記事ではエミッタは1kΩと4700Pのコンデンサに並列に繋げられており、10Ωは
>回路図では1KΩの抵抗の記号と直接繋がって接地しているな図でした。
この場合だと、1kΩと4700pFで決まる周波数、約33.8kHz以下の低い周波数ではエミッタとGND間の抵抗REは1kΩ+10Ω=1.01kΩと大きな値になってます。そのような低い周波数では増幅器のゲインGはコレクタの抵抗Rcが750Ωですので G=750Ω/1010Ω=0.74 → -2.6dB と1以下の増幅率になって増幅動作になりません。入力の周波数がこの33.8kHzを超えて高い周波数になってくると1kΩと4700pFの合成抵抗(インピーダンス)が徐々に小さくなってゆきますので増幅率は大きくなってゆきます。
33.9kHzなんて高い周波数は人間の耳には聞こえません。こんな高い周波数から上の周波数でゲインを上げても意味はありませんね。多分4700pFは47000pFの間違えではないでしょうか?その場合は3.38kHzから上の周波数でゲインが徐々に上がる特性になりますので納得できます。
5)
>実体配線図で確認しますと1kΩと10Ωは直列に繋がって接地しているようです。
>コンデンサは高音域の補助として加えられている説明だったため、自分で作る際に勝手に省略して
>現在はエミッタ-1kΩ-10Ω-(たまたまデカップリング用で)10μ-アース となっております。
>ただその後の計算値的にも、僕のやり方は間違っているかもしれません。
エミッタとGND(アース)の間に 1kΩ-10Ω-(たまたまデカップリング用で)10μ というように間にコンデンサ(10u)を入れてしまうとエミッタからGNDにDC電流を流す事が出来なくなってしまいます。その場合はバイアス電流はゼロになってしまい、コレクタのバイアス電圧はコレクタにもDC電流が流れないので 9V に張り付いてしまいます。
結果として、増幅率はほとんどゼロになり増幅器として機能しなくなります。
エミッタとGND間には必ずDC電流を流さないとダメです。
6)
>>Vcc - VB = (VB/R2 + Ib)×R1
>で求められるので、この式からR2を求めると、
> R2 = R1×VB/(Vcc - VB - Ib×R1)
>を得る。この式に R1=470kΩ、Vcc=9V、VB=1.6V、Ib=10uAを
>代入すると、R2は R2 =279kΩ
>と計算されます。
>上記のIb=10uAなんですが、これはどのように導きだしたのでしょうか??
コレクタのバイアス電流 Icbias=1mA とされていましたので、その条件でのベース電流 Ib
を Ib = Icbias/hFE =1mA/100 = 10uA というふうに計算しました。
7)
>今のところの自分の頭では
>
>準備1)回路の目的を明確にする(ここではギター等を入力し、後段にパワーアンプに接続する
>プリアンプを設計する。後段の入力は10kΩなど)
>準備2)その目的と作成上の制約を明らかにする(コンパクトにしたい、または9V電池で駆動できる
>レベルでまとめたい、とにかく音質優先で作りたい、等)
>
>1)電源電圧を決める。ここでは9V。
>2)(後段のインピーダンスを意識しつつ?)RCを決める。…同時にIcを考えることになる。
>※ただここのIcの値の決め方がやはりよくわかりません(パワーが必要なドライブ時は数100mA、
>通常は数mA~数10mAが一般的だと読みました)仮に値を決めて進めていくものなのでしょうか?
>xpopo様の話からはRCを決めたことで振幅する真ん中の位置が決まり、それを変えていくにはIcを増
>やせばいいという話でしたが、まずは仮の値で設計していけば良いのでしょうか?
上記2)ですが、Rcの決め方は概略ですが、後段のインピーダンスの1/10以下にします。ただし、あまり小さくすると使用するトランジスタの発熱が問題になってしまいますので最大でもトランジスタの電力損失が100mW程度以下に収まるような電流にします。Icbiasは必要な最大振幅を少し余裕を持って出せるように、少し大きめに設定しておけばいいと思います。
つづきは次の回答で...
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
回答NO.3の続きです。
>3)RCとの関係…増幅率を考えてREを決める
上記回答3)で説明したようにREを RE = Rc/G で求めて、
更に、 VE を VE = Icbias×RE から計算します。
Icbiasは Icbias = (Vcc-Vcbias)/Rc で計算して求めます。
>4)ベース抵抗R1とR2を決める
>まずはVbを求める。Vb=Ic×Re×0.6 またはエミッタ電位の値を利用して、VE+VBE
ここでVBEの値が非常に重要ですので、簡単に0.6Vを使いません。使用するトランジスタのデータシートを見て、Ic-VBE特性のグラフから Ic = Icbias になる VBEx を読み取り、その値を使います。あるいはIb-VBE特性しか載ってない場合は、 Ib=Icbias/hFE になるVBEの値VBExを使います。
ご質問に載っている使用されるトランジスタですが、電力増幅用の大きなトランジスタですので、こういう小信号増幅回路には向いていません。それに電力増幅用トランジスタの場合、データシートにはIc-VBE特性は通常載っていません。
この場合ですと小信号増幅用のトランジスタ(VCEmaxが30V以上、Icmaxが100mA程度の)が向いてます。Vbの計算は
Vb = Icbias×RE + VBEx
で求めます。
>次にIbを求める。Ib=Ic÷hfe ※ここでhfeを計算に使うと思いますが、hfe=100minの場合は計算上どうすれば
良いのでしょうか。100以上ですが100と考えて計算して良いでしょうか?
hFEが100minの場合は、150程度を想定して計算されれば良いと思います。量産設計する場合は
100を使いますが趣味で設計するなら、150程度と考えればいいでしょう。
>RbにIbの10倍以上の電流を流すとすると
>R1=Vb÷(10×Ib)
>R2=(Vcc-Vb)÷(10×Ib)
まず、R1はベースとGNDの間に接続する抵抗。R2はベースと電源Vccの間に接続する抵抗とします。
Rbは何の抵抗か不明ですのでここではR1とR2だけを使うことにします。
まず、R1に流す電流 Ir2 をベース電流 Ib の10倍にすると、R1は
R1 = Vb/(10×Ib)
と求まります。
次に R2 は
R2 = (Vcc-Vb)/(11×Ib)
で求まります。
尚、抵抗 R1 に直列にダイオードを挿入する場合は、ダイオードに10×Ibを流した場合のVFを使って上の計算でVbの値に Vb-VF の値を使ってR1とR2を求めます。
>
>5)カップリングコンデンサの値決め
まず、入力カップリングコンデンサC1は入力信号を通したい周波数をfclowとして、
C1 = 1/(2π×fclow×Rp)
ここで、 Rpは Rp = R1×R2/(R1+R2)
と計算して求めます。
次に出力のカップリングコンデンサCoは次段の入力抵抗をRin、通したい周波数をfcoutとすれば、
Co = 1/(2π×fcout×Rin)
で計算できます。
>6)バイパスコンデンサの値決め
バイパスコンデンサは厳密に計算しませんが、100uF程度のアルミ電解コンデンサと0.1uF程度
のセラミックコンデンサを並列にして電源とGNDの間に挿入します。
とても詳細に親切にご返答頂いていたのに、お礼と回答ができない状態のままで大変申し訳ございませんでした!
勉強にはとても時間を要しましたが、xpopo様に教えて頂いたことがきっかけで問題解決していくことができました。
改めてお詫びとお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました!!
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