No.2ベストアンサー
- 回答日時:
「歴史とは、その時代に最も有力な認識に過ぎず、主観や権力者、更に「現代人」によってゆがめられた結果ではないか」ということですが、少し誤解されているようです。
「その時代に最も有力な認識に過ぎず、主観や権力者・・・によってゆがめられた結果」というのは歴史ではありません。それは歴史を構成する資料の一部にしか過ぎないのです。
イギリスの歴史学者E・H・カーが「歴史とは何か」という著書の中で、「歴史は、現在と過去との対話である」と述べていますが、歴史とは過去に残された資料を基にして、現代の人間が認識して評価したものです。
ですから、私たち現代人は、より客観的な視点で過去を認識し評価する必要があります。より客観的な視点は、資料批判によって形成されます。資料批判なくしては、科学的な学問としての歴史学は成立しません。そういうことから、学術的な論文では、必ず歴史解釈の根拠となる資料が提示され、その資料や解釈の妥当性などが議論されます。
私は歴史学に携わってきた者の一人として、戦後は十分に資料批判がなされ、公正な歴史解釈が行われてきたと思いますが、いかがでしょうか。
もし、「歴史は、現在と過去との対話である」を現在の人間と過去の人間の対話、と置き換えてもよいとするならば、過去の人間が一方方向的に伝えてくる、「ある出来事」はそのままの形をとどめて私たちに伝わるという事はないでしょう。
だからこそ、より客観的な視点、批判がいる、という事ですね。まさにプロ意識の賜物と思います。どうやら浅薄な批判だったようですね。
回答、ありがとうございます。
No.11
- 回答日時:
#10の方に関連して、
これも言葉遊びですが、History とは、His Storyであるという主張があります。
すなわち、歴史といわれるものを紐解けば、その全てが男性によって編み出されてきたものであると。
主としてフェミニズムの分野から時折言われることですが、考えてみると「なるほどなー」と思わずにはいられません。
人類の歴史において、人物として歴史書などに名を刻んでいるのは圧倒的に男性ですし、そのような切り口から歴史を眺めてみるのも面白いかなと・・・。
なるほど、確かにそのような点もあるのかもしれませんね。
人は言葉遊びという物が好きですね。日本人に限らずそう思いますが、特に日本語では語呂をも含んだ遊びがあるからそのような気が多いような気がいたします。
しかしながら、私も男ばかりが動かしてきたとは思いませんが。まぁ、「歴史の舞台に」出てくるのは確かに男が多いですが、それは「歴史を紡いできた者」が男が多いことに一因があると思うのですが・・。
楽しい言葉をありがとうございました。
No.10
- 回答日時:
たとえば「去年、何が起こりましたか?」と訊かれて、返ってくる答えの数は多分無限です。
個々人がそれぞれ様々な出来事に遭遇し、同じ出来事も立場によって違って見えるからです。たった1年でさえ多くの出来事が起こるのですから、それが数千年積み重なるとその出来事の数は……
歴史とは、そうした夥しい出来事の中からある出来事だけを恣意的に取り上げて、つなぎ合わせたものであると言えます。では、誰がある出来事を「重要である」とし、その他の出来事は「重要ではない」と判断したのでしょうか? そして、そう判断した人は、どんな特権があって、そういうことができるのでしょうか?
従って歴史とは、常に歴史を考えるものの主観から免れることはできないと思います。「ゆがめる」と魔で言えるかどうかは保留しますが、常に歴史を考える人物の恣意性が介入するとは言えるでしょう。
>三国志演義の様なフィクションではないか
そのことについては以下のような言葉の遊びができます。歴史は英語ではhistoryですが、これはhi-story(高度な物語)と読めます。「物語」という言葉がすでに「歴史」の中に入っている、というのはどうですか?
主観で全ての現象を観るならば、客観というものは主観の集まりにしか過ぎない。ならば絶対的客観、ともいうべきものでもない限り事実そのものは掴めない。難しいですね。
後半の言葉遊びはとてもおもしろい考えですね。楽しい考え方だとおもいます。ありがとうございます。
No.9
- 回答日時:
日本史好きの研究生です。
歴史をはじめ、学問とは科学的思考・作業を指します。
『科学=真実』と思われがちですが、
科学・科学的と言うのは現段階で確認されている事のうち、有力な説の事を言います。
皆さんの誤解を恐れずに言えば、全ては虚構に過ぎないのです。
ですので『「現代人」によってゆがめられ』ている訳ではありませんが、freud-winnicottさんがお考えになっている通りだと思います。
この様な意識があれば歴史が身近に感じ、また面白く思えるのではないでしょうか?
ありがとうございます。ついついうれしくなりますね(笑)
今回たくさんの意見を聞いて歴史に興味が湧きました。どうもありがとうございます。
No.8
- 回答日時:
当然のことです。
人間は自分の見たいものしか見えなかったり、自分に都合がいいように解釈するところがあるため、どんなに確実な証拠をあげても、人間というフィルターが解釈する限り、絶対の真実などありえません。実は、多くの人が真実と信じている自然科学でさえ、真実とは限らないのです。真実のごく一部をほじくりかえしているだけです。
ただ、そういう得難いものであるからこそ、真実を追求しようとすることに価値があると思います。
私もそう考えます。
純然たる真実というものに辿り着けないまでも、追求の果てにのみ真実に近づけるのだと思います。
ありがとうございます。
No.7
- 回答日時:
>更に「現代人」によってゆがめられた結果ではないか。
例を挙げると、
近現代史の評価をめぐって、「世界」「論座」などと「諸君」「正論」などは真っ向から対立する見解を主張しています。
しかし、これらは「オピニオン」としての単なる主張であり、真に科学的な「歴史」として評価される類のものではありません。
ついでに、一昨年話題となった某「新しい歴史教科書」の序文では「歴史は科学ではない」などと断定されていて問題になりましたが、こんなトンデモ教科書で学んだ子どもたちがどんな大人になるのか、不安でなりません。
自然科学的な科学性は歴史には確かに求める事は出来ませんね。科学=自然科学という認識が世間的に認知されているようですね。誤った見解を基に正しい見解をすれば、必ず誤った知識となる。子どもに携わるものとして強い不安と少しの怒りを感じます。
ありがとうございます。
No.6
- 回答日時:
素人の思いつきですがよろしくお願いします。
―――― 質問:神は信ずるに足るものか?
最近、私は聖書の「真実性」に疑問を持っています。
神話とは、その時代に最も有力な認識に過ぎず、主観や権力者、更に「現代人」によってゆがめられた結果ではないか。
だから神は真実を基にした、三国志演義の様なフィクションではないか、と思うのですが・・。
―――― 回答:信じれば救われます
歴史とは「神の名」によって他民族を皆殺しにして略奪したもの、の上に略奪者の権利を構築した経歴を語るものです。 主旨は相続遺産の所有権利に関する正当性を主張することであり、論拠は「父の祝福」です。 起源は「聖書の初め」にあり、その時代の「現代人」が信じた「父(神)の祝福」物語が歴史です。 構築物( 法典 )は部族・民族や国民国家の原資について語るものであり、神の光ともいうべき世俗権力と金、に依存する「現代人」の生存に直接関わります。 構築物との連結性( キーワード )によって報酬・取得の是非を問う部分が、証拠主義( 前例踏襲主義 )になります。
すでに存在していた事実について、歴史家(あるいは法家)が原因や理由を与えることで歴史は「現代人」にとって意味を持ちます。 通例として既得権益の正(不)当を裏づける作業を武力統治に承認されたエリート集団が始め、批准します。 このため、「歴史とは何か」の答えが一つではなくなります。 なぜなら社会にあって人々の生存是非に関わるものであるため 神の解釈と神そのもの が必ず複数に派生( 革命 )するからです。 神を信じなければ人々は世俗救済される機会を失います。 しかし戦後日本人で「皇国史観」を信じる人はめずらしいでしょう。
今度こそ「 削除 」されちゃうかな・・・・?
問題が宗教論に近づいておられるようですが、今回の質問の趣旨とは外れていますね。
歴史を争いの経歴と捕らえ、その視点から歴史を紡ぎあげていくという手段も分からなくはありませんが、それは、歴史を狭い範囲で枠付けしすぎでしょう。
しかし、その過程には一抹の真理はあると思います。
一部の歴史は権力や、その一部としての宗教を握る者にとって既得権益の正(不)当性は死活問題です。それ故に、「事実」を握り、神を作り、そしてまた人々も作られた神を求める。そんな歴史も一面としてあると思いますが、一面は一面に過ぎないという気もします。
回答、ありがとうございます。「削除」されてしまうのですか?何故です?
No.5
- 回答日時:
歴史の完全な真実を知るには、それこそタイムマシンでも
発明されて、過去の事実をあからさまに見ることができなければ
不可能かと思います。
しかし、残存する資料を元にして、歴史研究者が為政者の
思惑や、特定の思想に基づくフィルターを排除することで、
歴史の真実に近づくことは可能かと思われます。
以前に類似の質問に回答していますので、ご参照ください。
『思想の違いについて』
http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=739866
『史観・・・・』
http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=326776
参考URL:http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=739866,http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=326776
私もそう思います。真実に近づく過程において、一番の妨げは自身の持つ主観でしょう。
話は変わりますが、形は違えど、人と人とのコミュニケーションにおいて、全てのフィルターを完全にはずすという事は不可能のような気もします。それこそ話が現象学のような哲学的方向になってしまいそうですが、それが出来なくては真実にたどり着けないのだとするとフィルターを排除するのではなく、フィルターの特徴に気づく。もしくはフィルター越しのデータを増やすことも一つの手のような気もします。
回答、ありがとうございます。教えてくださった参考URL、この後見てみたいと思います。
No.4
- 回答日時:
随唐演義 安能務著 の13ペ-ジを写します。
英国の政治家で、歴史哲学者でもあるエドワード。H。カーが、演義文学の存在理由と存在価値を、追認するかのように言った。
(歴史とは過去に何が起きたかではなくて、何が起こったと人々が信じたかである)
と書いてあります。
同感です、重要な事だと思います。
確かに歴史、いや、歴史に限らずに全ての出来事に純然たる「真実」を求めるのは不可能かもしれません。でも、それでもなんとか真実というものを求めてみたいですね。
とはいえ、「歴史とは過去に何が起きたかではなくて、何が起こったと人々が信じたかである」、という言葉には反論の余地もありません。それが現時点での「真実」なのでしょうね。
ありがとうございます。いい言葉を頂きました。
No.3
- 回答日時:
歴史学と小説は、どちらも推論やイマジネーションを働かせるものであることなど、共通点は多いと思います。
では違いは、といえば、歴史学においては推論やイマジネーションは何らかの「証拠」にもとづかなければならないということです。証拠は典型的には文書です。また、考古学的なもの、各種の文物だって「証拠」にはなります。ただ、そういったなにかの証拠に一切もとづかない想像力や推理を働かせるのは歴史学では禁じ手です(この縛りがないことに、歴史小説の「楽しさ」はあるのでしょう)。逆に言えば、全てある種の「証拠」に立脚させた歴史小説は、限りなく歴史学との境目があいまい化します。
歴史の真実をつかむことは人間にはおそらく不可能ですが、証拠という事実をつかむことは可能なわけです。証拠に立脚することで、歴史学は公共的な性格を手にすることになります(小説は、究極的には「趣味の問題」と言えなくもない・・・そう単純ではありませんが)。
歴史はその時代のもっとも有力な認識・・・というのはその通りです。いつの時代も、歴史をどう認識し描くべきかをめぐって争いが在ります(いままさに、日本やその他先進諸国で起こっている「歴史修正主義」をめぐる論争もそれです)。
問題は、ある歴史認識は特定の人々を利し、あるいは傷つける、あるいは復権させ、あるいは抹消する、ということです。だからこそ、争われるのです。たとえばアメリカでは、奪われている権利を獲得しようとするマイノリティは、しばしば自分たちの歴史を研究することで、現在における正当な地位を求めようとします。他方には、そうしたマイノリティを無視するようなアメリカ史記述があるわけです。
過去は現在とつながっている以上、単純な相対主義をとることはできないでしょう。ある歴史を選ぶことは他の歴史を殺すことかもしれないのですし、それによって悲しむ人、喜ぶ人がでてくるのですから。
歴史の真実性というものは事実に立脚しなくてはならない。そこに足場のない主観的な考えを交えては歴史とは呼べないのですね。
歴史の真実性と、その仮の真実によってもたらされる影響については考えさせられます。後半の意見には特に感銘を受けました。
どうもありがとうございます。
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