自称「基礎法学を大学の教養でばっちりやった」人から「憲法の国民三大義務とはなにか」といわれて、
ちょっと詰まり、12条も15条4項(誰に投票したか聞かない義務)も大事な義務だなと混乱しつつ「納税・勤労・教育」と中学生のようにどうにか思いつきました。
しかし、私も大学以降憲法をかじりましたが
憲法は国家のあり方を規制する法であり
国民の憲法上の義務は、憲法の本質部分では
ないともいえませんでしょうか。
それを中学校で金科玉条のように教え、
今またそれを鵜呑みにしたままの大人が
少なくともここに1人出てきた…わけです。
この三大義務の憲法上の重要性について
ご意見よろしくお願い申し上げます。
(たとえば、改憲で当該条文を削っても、前文に反することもなく有効、とか。そういや9条をきれいにけずるとき、前文はいじるのでしょうかね)
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
No.3を踏まえて、自分のNo.2を補足します。
憲法が当初、人権規程が無く、統治機構についてしか定めが無く、人権宣言とは別であったこと、はフランス憲法の例でも、No.3にもご指摘のように、アメリカ憲法が人権規程を修正条項で付け足したことでも、明かです。
また、法の支配、自然法の考え方が、近代よりだいぶ前から、あったものであること、その通りです。
憲法については、あくまで、立憲主義の説明が主眼であったこと。
法の支配については、人権思想と結びついた、近代憲法の立場を明らかにする意図で、あのような説明方法になりました。
「近代以降」の言葉は、法=正義=人権思想にかぶっている、ということで、ご了解下さい。
また、質問者および他の方がみるとき、混乱するのを避けるためにも、あえて単純化しました。
また、おそらく、No.2の回答者の方は、司法試験受験生か何かであろうと推察します。
芦部先生のテキストとは、おそらく、もともと放送大学のテキストだったものを加筆し、岩波出版から出したものと思います。この本は、要点をおさえるのには向いていますが、内容は、多くは無いと思います。
また、佐藤幸司先生の本は、青林書院から出ている本のことでしょうか?
あの本は、ある意味詳しすぎる嫌いがあるのですが、短い文章の中に内容が凝縮しています。2ページ弱とは相当なものです。
いずれにしても、このような場での回答者の方には、
「論点」とか、受験生用語風な言葉をこのような場で使わずに、虚思坦懐に私の言いたいことを汲み取っていただければと思います。一般人にとって、受験生にとって重要かどうかは、重要ではないのですから。
私の言いたいことは、
1.人権思想が憲法の根本であり、義務規程は強調すべき主役ではないこと。
2.しかし、一方、全く論じる価値が無いほどではないこと。
の2点です。
この点、質問者の方、No.1&No.3の回答者の方と、意見がさほど、相違するとは思えません。
また、回答者No.3の方は、憲法の理解が少し浅いようです。
憲法の目的は人権擁護です。
民主主義など、統治に関することも、人権、もしくは、より根本的には、個人の尊厳原理から説明ができるはずですし、為されなければなりません。
また、私が義務について書いた説明は、憲法学者の本に載っていると思います。佐藤幸司先生の本にも書いてあったのでは無いかな、と思います。今、手元に無いので確信できませんが。
NO.3の回答者の方におかれましては、司法試験などの受験生であるならば、また、その他の学徒であるならば、頑張って下さいね。
独り善がりの文章を書いたら(設問の意図がわからなかったりしたら)、書いてあることが正しく立派でも、評価されませんよ。
以上、他の回答者との対話風になったことをお許し下さい。
質問者及び第三者が不要な混乱を来すことの無いようにと思い、書きました。
No.5
- 回答日時:
この問題の重要性については、そんなに難しい議論ではなのにいまだに2名の回答者しかいないことがその重要性について雄弁に物語っています。
次に、質問に答えていなかった9条の変更による前文の変更ですが、個人的見解としては必要ではないと思います。
平和主義の考え方としては、平和のためには積極的な活動をするという積極的平和主義と平和のためには余計なことはしない方がいいのだと考える消極的平和主義があります。前文は平和を希求するとは言っていますがそれに対する具体論については9条で定めています。
従って論理的には、国際環境を積極的に撹乱するため出兵を行うような明かに平和に反する規定を設けない限り全文とその規定は矛盾しません。
9条の位置付けとしては、無為によって平和を達成するための方法論に過ぎないのでこれが、武力行使を含めた積極的活動による平和の実現を実現すると言う方法論になっても今の前文の変更を認める必要は文理解釈上は無いと考えています。
元々前文は、宣言としての色彩が強いので、先ほどの指摘のように余程変な条文の改正をしなければ変更の必要は無いと考えられる。
尚ここでは、形式論理に基づいた議論をしましたが、立法者意思に従った考察をすると平和主義は、大きな戦争の反省から必ず発展します。そこで現行憲法の作成者意思は、日本に戦争をさせないことを目的として前文と9条の規定を設けました。全文の実体化が9条だと考えれば両者は1体として、解釈してしかるべきだと考えられ、変更は必要となるのでしょう。
又、一応基本原理だとされていますから9条の改正は憲法の改正権を超えるという議論も可能です。
取り留めの無いかなり今回は学問的にではなく個人的な見解を乱暴に説明しましたので、かなりの批判があるとは思いますが、直接個人に法的影響の無い議論は、自由に論じた方が面白いと思って書いてみました。
憲法学についての議論は個人的にこの部分については好きではないのとよくわからないので他の人に任せたいと思います。
9条ねたでお答えいただけるとは思いませんでした。質問をキープしておいてよかったです。しかし今年ももうそんな時期ですね。ありがとうございました!!
No.3
- 回答日時:
No.2の方についての補足意見
歴史的に言うと憲法のそもそもの定めていたのは人権規定ではなく統治機構論でした。それは成文憲法が当初誕生したアメリカやフランスにおいては立法は、国民の代表者が行うことから国民に不利益な立法を行うことは想定されていませんでした。それが証拠にアメリカ合衆国憲法は人権規定は修正条項によって定められています。
次に、法の支配についてですが、これは古代ギリシャに端を発し英米法系の国で採用されている考え方です。これはイギリスが王制であり多民族国家であったことから国内の紛争を公平に解決することによって社会の安定を図る必要が高いことから起こったものです。
後この際の法とは、制定法のことではなく自然法、つまり誰もが従うことを拒まない普遍性を持った法のことを指します。
因みに法治主義の法は制定法のことを指し、自分たちの代表が定めた方によっておさめていくという考えです。但し現代的な考え方としては、法治主義の法も内容的正当性を要求する事とされるようになりました。
後権威主義的に反論するわけではありませんが日本を代表する憲法のテキストである芦部先生の教科書では約半ページで勤労と納税は言葉しか出てきません、佐藤幸治先生のテキストでも2ページ弱と概念の説明しかなされていません。
これは憲法で保護されるのは人権であって義務ではない事から当然で人権の方から説明しようとするから無理が来るので。
民主主義の観点から説明すれば簡単に説明できることだと思います。
民主主義の特色は治者と被治者の自同性といわれるように、国を支えるのは国民それ自体なのだから、国を維持する資金は国民が負担しなければならないし、その資金は働いて稼がなくてはならない。又働くためには教育が必要で保護する立場の親は子供に教育を受けさせねばならない。
以上のような論理で説明できることは別に誰でも知っていることで人権の視点はあくまで権利の体系が重要なのであって義務が大切なのではないと考えます故に憲法学扱いが軽いのです。
又義務を強調してやった戦争の結果を踏まえても国家が義務を強調するのでなく、主権者の自覚を訴えるのが本筋だと私は考えています。
暑い中アツイご回答をいただきホットな気分です。理論的なお答えでありがたいです。
しかし法学を説くのって難しいんじゃないでしょうか。物語を作りづらいような気がします。歴史なんかだと、司馬遼太郎の作った物語を読んで、自分もある程度物語を作ってパースペクティブが持てるけど…。
法学の授業で、変にジャーナリスティックにぶちかまされると、聞くほうは興奮するかポカンとなって何も残らないだけ。あまり理論的だと、異常に無味乾燥というか、条文がみな「当たり前、常識が書いてあるに過ぎない」と見えてきて、やる気がなくなってくる。立法趣旨の生臭さを十分残しつつ、理詰めでかまして、運用方法や問題点を示してくれるのがいいように思います。そのうえで公文式みたいなドリルをやるとか…。
No.2
- 回答日時:
質問者のような健全な感覚を持ち合わせている方がいらして、とても嬉しく思います。
No.1の回答で、基本的に良いと思います。
憲法の目的は、そもそも、人権尊重であり、個々の国民のために国家が存在する、という発想であり、国家の義務(国民の権利と表裏をなすもの)を定めたものです。(立憲主義)
具体的な内容については、時代や、自由主義、社会主義などのイデオロギーによって違いますが、上記の基本は同じです。
日本の多くの人は、法について、封建時代のご法度の感覚でしか捉えられず、法とは、国民に義務を課すもの、という固定観念があるように思います。
憲法もその枠で認識しているようです。
法とは、正義であり、
近代以降、個々の人間の個人として尊重する人権思想こそが、正義であり、
王や(民主的な)議会が決めたことさえ法に服さなければならない(法の支配)
)、ということになってます。
憲法は、国家の法=正義の根本として、国民の人権を守るため、国家について定めたものであるのです。
日本の憲法も、その思想に基づいています。
ただ、憲法と名前がつけば良いのではなく、明治憲法(大日本帝国憲法)は、外見的立憲主義のプロシア憲法(ビスマルク憲法)を多分に参考にしたもので、人権思想は後退し、
定められた権利は、国家から、一応、国民に与えられたものでした。(人権思想における人権は、国家誕生以前に、そもそも、人間に当然に備わっている権利=自然権)
また、今の憲法が、人権思想に基づいているからと言っても、その存在だけで満足し、運用が正しくなければ、意味がありません。
明治憲法時代も、美濃部達吉のような偉大な憲法学者や、滝川幸辰のような偉大な刑法学者、など、明治憲法を良く解釈して、運用しようと努力していました。(二人とも迫害されましたが)
今の憲法下にあって、どこぞの政党のように、政争の具に、9条だけで大騒ぎしたり、社会権的人権のみ強調するような、そして、そういう勢力の強い影響を受けた者が、教員として、多数の学生に影響を与えていることも、なお、国民にゆがんだ憲法意識を醸成させたと言えるでしょう。もっとも、保守的な勢力も、具体的には違う意味で、国民にゆがんだ憲法意識を醸成させているでしょう。
憲法において、国民の義務を強調する必要性は、全く乏しい、と言えます。国民の義務規程が権利の条文に比べて、少ないのは、理の当然です。
しかし、No.1の方のように、義務についてほとんど論じることが無いような言い方はどうでしょう。
おもに、国民が国から受けるサービス(社会権的権利)との関係で一応問題になります。
たとえば、働けるのに、まったく働く気の無い人間に雇用保険の給付や、生活保護の給付をするのは問題でしょう?その範囲で、勤労の義務を論じる余地は有ります。
税金がなければ、現代のような積極国家(社会権的サービスを国民の福祉増進のためにやる国家)では、税金がいくら有っても足りないくらいです。
国民の義務だからこそ、国は大手を振って、国民に請求できるのです。
国民に負担の大きい義務だからこそ、租税法律主義(租税の内容などが「法律}で定められなければならない)という思想が出てきて、租税の範囲、法律とは、が問題になってくるのですから。
この義務規程を軽視はできません。
あと、一つ
No.1でも指摘されていましたが、教育の義務は、正式には、子女(自分の子供など)に教育を受けさせる義務です。この点、勘違いしている日本人はかなり、多いでしょう。
長文、すみません。
いずれにしても、そもそも憲法を定めた理由(立憲主義)を知らず、憲法を語ることは癡でしょう。
余談ですが、しったかさんには、現行憲法に定める人権をどのくらい多く言えるかのクイズを出したらいかがでしょうか?
アツイご回答感謝。私の教わった憲法論がよみがえってくるお説でした。因みにその知ったかさんの受けた教養の授業は司法研修所の教官が後半部分を出前でやったものだとかで、単位をもらえたのがだいぶうれしかったようです。法曹気取り…?!
No.1
- 回答日時:
国民の3大義務に関して政治的にはともかく憲法学的には余り重要ではありません。
例えば勤労の義務について大きな論点は有りませんし、教育の義務についても教育を受けさせる義務であって受けるのは権利ですし、納税の義務にしても租税法律主義に関する論点は有っても義務に関する大きな論点は無かったと思います。
どちらかというと、国民主権、人権の尊重、平和主義といった基本原理のほうが憲法全体の哲学とのからみで重要です。但し、歴史的に言って平和主義に普遍的価値を見出しうかどうかは、ご存知のように争いがあります。また主権論、権力分立、人権の成立要件はとても面倒であったように記憶しています。
おこたえ感謝。やはりそうでしたか。うれしいです。
知ったかさんに対して一矢報いることができます…といっても口論になるので控えますが(汗)。
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