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なぜ、永久磁石は鉄にくっつくのですか。つく原理を教えてください。永久磁石がなんらかの形でエネルギーを出しているのですか。

A 回答 (3件)

 磁気のおおもとの力は、電子のスピンといわれるものです。

ま、電子の自転みたいなものですね。これがクルクル回っているので、その軸に↑というような方向性のある力を発生させているのです。

 ということは、どんな電子でも磁力があるということですね。しかし、木やアルミには磁力はありません。なぜでしょう。
 それは、だいたいの原子の周りを回っている電子のスピンが、左回りだったり右回りだったりして、結局、磁力が↑向き↓向きのペアとなって、相殺されて磁力が消滅してしまうからです。

 また、一番外側の軌道を回る電子は相殺されませんが、これまた、ほとんどの原子は分子になったりイオン化したりして、結局ペアをつくって相殺してしまいます。しかし、永久磁石の素材である、鉄、ニッケル、コバルトなどの原子はペアにならずに余ったスピンがあるために磁力を持ちつづけるのです。

 ここで、またまた疑問が生じます。それだったら「鉄はいつでも磁石であるはずなのに、実際は磁石ではない」ということです。
 それは、鉄の原子は↑とか→とかいう磁力を持っているのですが、互いにてんでバラバラの方向を向いているために磁力としてまとまった方向に向いていないからなのです。これは、ちょうど、朝、先生が来るまえの生徒達と同じで、皆てんで勝手な方向を向いているのが、先生が来たとたんに、一斉に前を向くのと似ています。

 これと同じように、鉄やコバルトを主成分とした化合物を磁化させて↑↑↑と一定方向を向かせたものが永久磁石なのです。化合物にするのは磁力を永久化するためです。純粋な鉄だけでは、電磁石や永久磁石にくっついたあとのときのように、一時的な磁力しかありません。
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この回答へのお礼

分かりやすいですね。ありがとうございます。

お礼日時:2006/06/12 14:37

エネルギーを放出し続けているわけではないです。

(たしか)
だから磁石で永久機関が出来ないんだと思いました。

専門家ではないので、磁力線、磁界などの使い方が間違っているかもしれません。
磁石はNからSへ向かって磁力線があります。磁石の強さはこの線がとても多いです。
この磁力線はとても怠け者で、少しでも通り易い場所を通ろうとします。また、NからSまでをなるべく最短距離を通ります。
空気中の通り易さも鉄以外の通り易さも大して変わりません。通りにくかろうと磁力線の数は変わらないので最短距離を通れない線はちょっと外側を通ります。結果的に何センチか先を磁力線が通ることになります。(道路に例えれば一般道)
しかし、鉄は非常に通り易いので普通の何倍もの磁力線が通ることができます。また、今まで最短距離だった場所よりも通り易いので遠回りしてでも鉄の中を通りぬけます。(道路に例えれば高速道路)
そこで満足すればいいのですが、磁力線は筋金入りの怠け者です。「多少遠回りしても」じゃ嫌なのです。
なるべく近くを通ろうとする磁力線に対し、ちょっと遠回りしないとだめな鉄。これを引き寄せてもっと近くを通ろうとします。これがくっつく理由です。

では、なぜ磁力線が近くを通ろうとすると「引き寄せる」ことになるのか。
NからSへの最短距離を通ろうとするのはシャボン玉の膜が面積を最小にしようとするのに似てます。
シャボン玉を膨らませても円筒型や円錐型にはなりません。絶対に球になります。シャボン液を付けたストローなどで左右から引っ張ると楕円型になりますが、ストローが離れた瞬間に球に戻ります。
鉄が磁石の近くにある状態はシャボン玉の楕円の状態なんです。
なんとなくイメージはつかめたでしょうか?
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この回答へのお礼

磁力線の性質が分かってきたような気がします。永久機関ができそうだと思っていましたが、そうではないのですね。ありがとうございました。

お礼日時:2006/06/12 14:42

質問の意味が二通りに考えられるので、2種類の答えをしてみます。


なお、くっつくのにエネルギーは要りません、逆にくっついているものを引き離すのにエネルギーが要ります。これは、重力の例で言うと、地面に物を落とすのにエネルギーは要らないけど、持ち上げるのにエネルギーが要るのと同じです。

1.そもそも、なぜ磁性を持ったものは引きあったり反発しあったりするのか?
 この答えは非常に難しいです。電気の+/-で働く力、重力の引き合う力などと同じで、物理学の根本にかかわる力の一つだからです。今のところ、なぜだか分からないがこの世にはそういう力が誕生した、と言うしかないですね。素粒子論の「電磁相互作用」を調べれば、少しはイメージが湧くかも知れません。

2.なぜ、永久磁石や鉄だけがくっつくのか?
 #1さんの説明がかなり近いのですが、物理系の専門家でも良く勘違いをする間違いが有るので補足を。磁石の基となるのが電子のスピンと呼ばれるものであるのは、#1さんの説明のとおりです。
 次に、原子や分子、化合物の中でそれらの電子の配置によって、↑と↓のスピンが相殺してしまうと磁石にならないのも#1さんの説明のとおりで、こういう物質を磁性用語で「反磁性」と呼びます。
 んじゃー、スピンが相殺されずに余りが出来れば磁石にくっついたり、磁石になるかというと、そうはいきません。原子単位で存在するスピンの力は非常に弱く、よほど強い磁場を使わないと揃いません。このように、原子がスピンを持っているけど揃う力の無い物質を「常磁性」と呼びます。
 次に、原子の持つスピンどうしに電子を通して交換相互作用(単純な磁場の力では有りません)と呼ばれる強い力が働く物質が有ります。この相互作用が、スピンを同じ向きに揃えるような場合は「強磁性」、逆向きに揃える場合を「反強磁性」と呼びます。反強磁性の場合には、せっかく原子がスピンを持っていても、隣の原子とスピンが逆方向に向き合ってしまうので、やっぱりスピンが相殺してしまいます。ただ、この反強磁性の仲間に、化合物などで原子の持つスピンの大きさが異なっている場合が有ります。その場合には、反強磁性であっても、スピンが完全には相殺されずに引き算の残りが出ます。こういう物質を「フェリ磁性」と呼びます。
 上に挙げたいろいろな磁性の中で、強磁性とフェリ磁性は、たくさんの原子のスピンがお互いに強い力で結合して、巨大なスピン(磁気モーメントとか磁化と呼んでいます)を形成し、磁石にくっつくようになります。
 しかし、これらが全て永久磁石として使えるわけでは有りません。例えば、代表的な強磁性体で有る鉄です。確かに大きな磁化を持っているのですが、鉄の磁化はその方向が自由に動きやすく、そのために磁場を加えない状態では、ミクロン程度以上の大きさの「磁区」と呼ばれる領域単位で磁化の方向が回転し、切り取った鉄の塊全体では磁化が打ち消し合うような配置になってしまいます。この方が、鉄自身が出す磁場との相互作用エネルギーが低くなるからです。このように、磁化が動きやすく、磁場を加えると容易に磁化を出すが磁場を消すと直ぐに磁化が消える磁性体を「軟磁性体」と呼びます。これは、電磁石の磁芯などには便利な性質なので、そういう方面に使われています。
 一方、磁石に使われる材料は、主に結晶の持つ性質で、一定方向に磁化が固定されやすく、簡単にはその方向を変えません。このような物質に熱を加えて(温度が上がると磁化が動きやすくなる)強い磁場で一定方向に磁化を揃え(着磁と呼びます)、室温に戻したものが磁石として使えるのです。こういう磁化の動きにくい物質を「硬磁性体」と呼びます。それでも、あくまで磁化は「動きにくい」だけなので、磁石にも熱を加えたり、衝撃を与えたり、時間が経つと軟磁性体と同じように徐々に磁化が消えていきます。
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この回答へのお礼

大変詳しい説明ありがとうございます。フェリ磁性など、#1さんの説明をより深くしていただきました。難しい世界なのですね。「磁性を持ったものは引きあったり反発しあったりするのか。」という点については物理の根本的な力なので、これからの研究が待たれるところなのですね。ありがとうございました。

お礼日時:2006/06/12 14:58

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