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パニック障害や全般性不安障害など、恐怖によってもたらされる病気の人の扁桃体を破壊すると一体どうなってしまうのでしょう?

A 回答 (2件)

こんにちは。


「パニック症」や「うつ病」といった「心的外傷」は、特殊な体験や過剰な状態に基づく身体反応が、「扁桃体」の学習機能によって獲得・再現されるものです。ですから、原則的には、扁桃体そのものの機能が破壊されるならばそのような症状が再現されることはなくなります。ですが、症状は出なくなりますが、扁桃体の「情動機能」というものが損なわれますと、我々は一切の感情を持てなくなると同時に、何ひとつまともな行動の選択を行うことがでず、まず通常の日常生活が送れなくなってしまいます。質問者さんには以前の回答で、扁桃体が破壊されると「チョコレートとゴキブリはどちらが好きか分からなくなってしまう」とご説明したことがあると思います。

サルの扁桃体破壊実験は有名ですが、人間にも情動機能損傷による精神障害の事例があります。
この患者さんは、扁桃体、もしくは大脳辺縁系の機能損傷により、感情というものを一切持てなくなってしまいました。そればかりではなく、朝起きて顔を洗うか歯を磨くか、どちらを先にすべきかが分かりません。クローゼットを開けても、どのネクタイを締めてどの上着を着るのか、何を鞄に詰めて出かければ良いのか、とにかく、誰もが半ば無意識のうちに済ませてしまうような日常の簡単な判断が下せませんので、何ひとつまともにできないわけです。
これは、我々の脳内では、扁桃体を中心とする大脳辺縁系いうものが情動反応を発生させることによって「行動を選択する」という重要な働きを担っているからです。大脳皮質の機能は正常ですから、それなりの理由を理解し、どのような行動を選択するべきかの判断は付けられます。ですが、それに対して「良し、やろう」とか「気が進まない」といった大脳辺縁系の情動反応が発生しなければ、その行動が実行に移されることはありません。ですから、大脳辺縁系の情動機能が損傷しますと、我々は日常の行動選択が正常にできなくなります。
何をしたら良いのか全く分からない、たいへん辛いことだとは思いますが、その「辛い」という情動も発生しません。世の中真っ暗闇です。気の毒なことにこの患者さんは、やがて事業に失敗して破産してしまったそうです。
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サルを使った実験から類推するしかありませんが,


扁桃体破壊の影響は単に恐怖の情動反応を低下させるということに留まらないようです。
周囲にある物体に対して有害か無害といった生物としての適応的評価ができなくなって
手当たり次第に口に持っていって舐めたり噛んだりするようになるとか,
性の対象を識別できずに何に対しても交尾をいどむようになるとか,
いずれにしてもまともな生活ができなくなる可能性が高いと思われます。
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