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この間、大学の講義の時間に、芥川の「一塊の土」のことを教授が話していました。講義のときは、作品名の紹介だけだったので、気になってそのあとにこの話を読んでみたのですが、自分の至らなさのせいか、話の意味が理解できませんでした。芥川はどのような思いでこの作品を書いたのでしょうか?そしてこの作品を読むに当たって重要になってくる文章などがあったら教えていただけないでしょうか?お願いします。

A 回答 (1件)

この作品は読んだことがなかったので、いい機会だと思い読んでみました。


芥川龍之介の作品としては晩年のもので、正直言って少々重たいと感じました。
僕もこの作品は解かりづらかったので、次のような粗筋をまとめて、彼の言わんとすることを考えてみました。
少し長いですがお読みください。

大正時代の農村が舞台となったこの小説は、お住の息子の死の場面から始まりますが、お住は長患いの息子の死を悲しみと安堵の気持ちを交えて迎えます。その時、行く末は嫁のお民の世話になろうと、すがるような思いを持ちます。
そして孫の光次と三人での暮らしが始まりますが、お住みは光次の財産分与のこともあって婿をもらうことはしませんでした。外で男勝りの仕事をこなす働き者の嫁につられるように、お住みも家の仕事全てを受け持って働きますが、忍び寄る老いはお住に重くのしかかってきます。憑かれたように働く嫁はそれに気付いて牽制し、お住は死ぬまで楽は出来ないと観念します。
そんなお住にとって唯一の拠りどころは、なついている光次だけでした。働き者の母親が外で評判の良いことを聞いた光次は、お住にその通りかと尋ねますが、お住は自分に楽をさせようとしない光次の母親を責め、光次に取り入ろうとします。
些細なことで二人が喧嘩になった晩、嫁の口から「お前さん働くのが厭になったら、死ぬより外はなえよ」ととどめを刺されたお住は、死んでやると叫んで嫁を呪います。でも、先に死んだのは腸チフスに罹った嫁のほうでした。
嫁を褒められることに複雑な思いを持ちながら葬式を終えた夜、お住は、残された財産で好きに暮らしてもう働かなくても良い、そんな安堵感を一旦はもちます。
しかし、その安堵感が血を分けた息子の死を思い出させ、今夜がかけがえのない孫を産んだ嫁の葬式という事実に気付かされます。そして、隣りに他愛のない顔を見せて眠る孫を見やりながら自分を情けなく感じだします。その思いが、お住と悪縁のある息子や嫁に至り、彼らを同じく情けなさけない人間と感じ始めます。
さらに彼らへの共感が憎悪を取り去り、三人のうち一人生き恥をさらす自分を最も情けない人間だと思います。その時はじめて、心から嫁の死に対して悲しさがこみ上げてきたのでした。

自分なりにこの作品の言わんとする意味を考え、感想を持ちましたが、それをここに記すと先入観に繋がると思いますので、一言だけにします。
「杜子春」の逆さまのような作品ですね?

上の粗筋を元に masumi-8197 さんなりにもう一度考えてみてください。
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この回答へのお礼

こんなに親切に粗筋を書いてくれてありがとうございます。私も、「杜子春」を読み返してみて、自分なりに考えてみようと思います。ホントにありがとうございました。

お礼日時:2002/05/21 23:49

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