No.5ベストアンサー
- 回答日時:
歴史哲学の一大命題として、非常に多くの歴史学者・社会学者・哲学者・文明学者等々がその専門の知識をベースに多種多様な議論が行っています。
あまりにも長大かつ多様なので、厳密な議論はそのあたりを参照した方がよいかと思います。私は歴史家でもマルキストでもなく、局所以外の命題には疎く不正確です。ですが興味本位だけで参考にならない一考を書き連ねてみますと・・・
経済決定論が大きいファクターとなっていることまでは肯定しないといけないですね。「Marxは間違っている」というような人格的批判は意味がない。ただMarxのいった階級二分化・革命論はあくまで19世紀の文脈で語られたということも考慮する必要があるはずです。実際の「現存した社会主義」は初期の想定とは大きく異なったものであり、経済開発が進んで豊かになると共産党政権そのもの(つまりプロレタリア独裁)が崩壊しました。対照的な考え方とみなされがちな、経済発展すれば「民主主義」(≒Dahlのいうポリアーキー)が訪れるというのも、経済決定論ではあります。実際のところ、1人当たりGDPと「民主主義」の到来時期には大きいばらつきがあり、民主主義が経済発展に寄与するという考え方も証拠は乏しいです。このように言うと何か独裁制に肩入れしているのではないかとも思われかねないですが、Przeworskiの言うには関係性が大きいのは「民主主義」の安定性と1人当たりGDPであり(つまり貧しい国で「民主主義」が成立してもすぐに崩壊する)、Freedom Houseなどの指標を見る限りでは方向性として世界の「民主主義」は拡大しているということになります。1つの考え方としては、民主主義的な諸権利から得られる満足感は所得とは別に扱うことができるのではないかと。
見かけの経済規模以外のファクターとして、情報伝達力の進歩、教育環境の向上も大きいのではないかと考えます。前者は、文字の登場・製紙術・活版印刷・新聞・ラジオ・テレビ・インターネットといった変化です。後者は、言文一致運動・国民言語の登場・徴兵制及び義務教育制度・識字率の向上・中高等教育進学率の向上等々です。あるいは19世紀以降交通革命と公衆衛生の発達によって都市化が著しくなっています。もっとも、こういった事項は生産力の拡大と相互に関連する進歩ともみなせますし、時代も近代に偏りすぎかもしれません。国王に対する領主・宗教の力、国家に対する資本家の力というのも時代や地域によって異なっています。通念としては、植民地の独立、東欧民主化が連鎖したように流行的に政治形態が変化することもあります(ドミノ理論)。他には、ユニークな考え方としては、Emmanuel Toddは家族概念の違いという視点から政治体制を論じています。Wittfogelは水利事業の必要性から来る権力性を考えました(ただ批判は大きい)。包括的な視点としてはWallersteinによる世界システムの洞察が面白いですが、現在以降では不確かな事に触れすぎているような…。
現在形以降での経済決定論への反発として、「成長の限界」に対する議論が盛んになってきています。地球環境の破壊、資源の枯渇によって持続的経済成長は不可能になるのではないかと。私には、この議論はまだ成長していない途上国にとって酷に思えますし、科学技術と様態変更を組み合わせれば突破が不可能なようには見えないです。ただ、1人当たりGDPが1万ドルを超えている国では、(文化的差異はあるにせよ)所得向上といわゆる「幸福度」にあまり関係がないという調査があって、経済発展の必要性はどの程度までかというのも面白い命題だと思います。
非常に多面的な要素と多様な思考法を取らないとわからない問題と言うことのようです。ようするに、単純な問題ではないことは確かですね。
経済的社会的心理的総括的に考慮しないと手落ちになってしまうし、かといってそれらを融合できる見通しもあまり期待できない。おぼろげにわかればいいという感じかもしれないですね。私は結構「国民性」「民族性」は絡んでいると思います。
No.4
- 回答日時:
確かに経済産業の発展と政治形態の変更は、時期的・地域的に関連している様に見えます。
しかし他の諸問題もそうですが、ほぼ同時に起こるからといって、どちらかが原因であるかとは断言できません。
個人的には、経済発展により各個人の民度があがり、民度があがる事で極端な政治制度が選ばれなくなったという気がします。
つまり、指導者が無謬の英雄や「神」であるという事は、常識として受け入れられなくなるという事です。
政治形態の変更が、経済発展を促していくという逆の相関もあると思いますよ。
No.3
- 回答日時:
ヨーロッパの君主政が名目上のものになるのは、第一次大戦によってです。
イギリスの立憲君主制は、まだまだ延々と続くでしょう。経済産業の発展により、富を蓄積した資本家を政治参加させなければ国が成り立たず、議会制を取り入れる流れになったのは自然ですが、各国個別の事情を無視しては間違えます。
富を蓄積した者たちが政治を動かす、程度に考えればよろしいのでは?
富が貴族のものだったり、王族のものだったり、資本家のものだったり、社会主義国のように党と官僚(あるいは軍)のものだったりするわけです。
発展段階という概念は、進歩という前提に乗っかっておりますが、人間の本性というか愚かしさは、ここ二千年以上、進歩の気配すらありません。今もって聖書や論語、仏典やクルアーンが人々の指針となる所以であります。進歩ではなく変化として捉えるのが客観的でしょう。
結局富裕層というのがキーだったりするわけですか。そうすると経済発展による社会構造変化が絡んでくると言うことになります。基本的にはそのベースで各国事情があるということですね。
進歩はしてないです。変化です。
No.2
- 回答日時:
政治形態を動かす力は、どの勢力が軍事力を独占するか、だと考えます。
経済は、むしろ政治形態を条件とした範囲内での活動であって、「産業構造が政治形態を動かす力」というのは、あべこべなのが現実ではないでしょうか。
歴史上の変化は、イコール政治形態の変化ですが、それは全く偶然の所産であって何らの法則性もないと言うべきだと思います。
これは、具体的に日本の歴史、その他の歴史を予見無しに読み取る以外にないだろうと思います。
しかし、「歴史上のある時点で特定の勢力による軍事力独占を可能にした根本的な動因があるはずだ。それこそ生産力の発展だ」という考えが広く行なわれていますが、生産力の発展は、イノベーションであり政治と関連づける何らの根拠もありませんし、イノベーションは、当然の人間活動でありますが政治形態を条件としてのみ盛んであったりそうでなかったりするものです。
また、生産力が発達したからといって従来と違う新しい政治形態が出現するわけでもありません。
同じような政治形態が歴史上の他の時期に現れていても不思議ではありません。
皇帝独裁制然り(中国古代、近代の帝政ロシア・帝政ドイツ、現在の北朝鮮)王制然り(欧州の現代以前、イラクのフセイン時代を始めとするかつてのアラブ諸国他)軍事独裁政権然り(モンゴル帝国、現代のミャンマー・キューバ)。
ですから、何か「力」を求めるのなら、現実の目に見えた力しかないと思います。
仮にかつてオーム真理教が軍事力を握って政権を得ていたら、これだけ経済の発達した日本に皇帝独裁制民主主義が誕生。そうならなかったのは、民衆の支持が得られず警察力等に対抗する軍事力を持てなかったから。
さらに先のソ連東欧の崩壊は、生産力の発展どころか言うまでもなくその逆、現実は、民衆が軍事力を握った結果でした。ですから共和制の原則的には自由制民主主義。
>経済産業の歴史的発展が主な政治形態変更の理由
これは、マルクス主義の進歩史観(特定の偏狭な思想)であり、ただの思い込みに過ぎず、既述のように現実の歴史と合いません。「資本主義の生産力が発展すれば社会主義になる」という証明をしたくて生み出されたスローガンみたいなものだと思います。
歴史は、その時その時に起こった偶然の積み重ねにしか過ぎず、何か動因がある、というような、まるで神の御手でも働いているかのような、それこそ宗教的な考え方には到底同調できないです。
私たちは、過去にどういう事件があったか具体的な物語に興味を覚え人生の糧にするものであり、強引な法則を創って革命を起こそうとするような物騒な動機とは無縁です。
現代の生産力がいくら発達しても未来永劫に社会主義が自然発生することはないと思います。
偶然の出来事の結果、何らかの勢力が軍事力で意識的に革命を起こすから政治形態が変わるのだ、と考えます。(ソ連の革命、ドイツ・ヒトラー政権の政治、東欧の社会主義化、中共革命)
後からの理屈付けならば、経済的ファクターが政治形態を動かすように納得させられるが、実際はランダムで偶発的な「軍事力」を媒介とした力が政治を掌握する、というお考えは物事の本質に分け入ったような気がいたします。政治と民衆経済は別物かもしれません。
しかし一方、オウム真理教の例にある、「民衆の支持が得られず」というのは、そのような民衆的合意がないすなわち民衆の合意によって「軍事」を掌握する政権が生まれるとも読み取れますので、多少は下からの圧力はあるのではないでしょうか。
唯物史観に基づく経済発展論から政治変遷論はあるようですが、自説によっているというか、各章を掴んでいるわけではないと言うことみたいですね。
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