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固体物理学を学んでいます。
キッテルの固体物理学入門を教科書として学んでいるのですが、
7章でいくつか疑問点があり、教えていただきたいです。

1.そもそも伝導帯に励起された電子がなぜ伝導を担うのか。
過去ログなりいろいろ参照したところ、電界によって加速され電流となる、とありました。
これは、緩和時間がたちもとの準位に落ち込むより前に、
電界によって傾いたポテンシャルによる流れの移動の方が早いから?
と、いまいち自分の中で納得のいく理解がつかめません。

2.結局、伝導電子(しいては金属における自由電子)とは?
フェルミ準位より高い準位に励起された電子が伝導電子であり、
その中でも原子にほとんど束縛されていない電子が自由電子である。
という理解をしています。
しかし、伝導電子は当然、原子核による引力を受けて束縛をされているとはずですし、
逆に自由電子と呼べるほど束縛力がない状況というのが想像できません。
どういったときに「伝導性を持つ電子」となり、「自由に動き回る電子」となるのでしょうか。

長々と書いてしまいましたが、よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

 伝導帯という名前が往々にして誤解をよびますが、伝導帯にいる電子だけが電気伝導を担うのではありません。

半導体結晶を構成している電子には、結晶全体で共有されている電子と、個々の原子核に結びつけられている電子の2種類があります。前者の一種が伝導帯の電子であり、前者にはその他に価電子帯の電子があります。伝導帯の電子も、価電子帯の電子も、どちらも電気伝導を担うことができます。
 結晶に両端に電圧を加えると、電極間でポテンシャルの差が発生するため、電子はより低いポテンシャルの部分に移動しようとします。この電子の移動が電気伝導です。しかし、電子はフェルミ粒子であるために、同じ状態を複数の電子が取ることができません。したがって、ポテンシャルの低い先が空いた状態であれば、電子が移動しますが、空きがなければ電子は移動することができません。伝導帯というのは、多くが空いた状態になっているため、ここにいる電子は移動することができ、電気伝導を担うことができます。
 一方、価電子帯というのは、ほとんどが詰まった状態になっているため、ここにいる電子は先に空きがある状態でしか移動することができません。この空きが正孔の正体であり、空きが有る場合には電気伝導を担うことができます。したがって、価電子帯でも実際に流れているのは電子です。

 伝導帯の電子も、価電子帯の電子も、当然原子核のクーロン力を感じています。(でなければ、結晶の外に飛び出してしまいます。)原子核の近くに束縛されている電子がクーロン力の一部を遮蔽しているために、完全には束縛されなくなっています。しかし、原子核の近くでポテンシャルが低く、遠くではポテンシャルが高いということは、束縛されている電子と同じです。つまり、伝導している電子もほんとうなら『でこぼこの坂』を転がっていることになります。
 では、なぜこのようなでこぼこを感じていないように見えるのか?という疑問が生じるでしょう。その答えは、原子核が非常に規則正しく整列しているために、でこぼこを感じていないように見える状態が現れるのです。ですから、原子核の配列の規則性が破れている部分(結晶欠陥)や、規則性がとぼしい固体(ガラス)などでは伝導性が劣るのです。
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この回答へのお礼

非常によく分かりました!
そうですよね、フェルミ粒子だから同一状態は取りえない、
だから空きがあるところへと飛び移っていく。
という概念がどうも欠けていたようです。

遅くなってしまいましたが、ありがとうございました!!

お礼日時:2007/07/25 21:03

1. 伝導帯は、各原子の励起状態が孤立して居らず、隣の原子と(したがって全ての原子と)つながっている状況を指します。


このため、励起された電子(自由電子)は原子を渡り歩ける訳です。
この自由電子は正孔と結合して基底状態に戻りますが、それを特性づける時間は"緩和時間"でなく"寿命(ライフタイム)"と呼びます。
このライフタイムは、自由電子なり正孔の伝導性(移動度)には無関係です。移動度の式の分子に出てくる"緩和時間(τ)"は、運動量が衝突によって失われる時間で"運動量緩和時間"です。
例えば、MOSFETの動作を考える際には、ライフタイムは全く考えません(実質的に、無限大としての扱い)。

2. 半導体の伝導モデルは、金属の自由電子理論を基にしてます。これは、電子を理想気体のように考えるわけですが、金属の伝導電子はさほど自由ではありません。かなりの抵抗を受けながら、金属内を移動していると思います。このことは、金属の典型的な移動度が50cm2/Vs程度と高くないことからも窺えます(シリコンでは1500cm2/Vs程度)。
自由電子の"自由"は、何の束縛もないという意味でなく、特定の原子に拘束されず、結晶内を移動できる"自由"であると解釈すべきです。
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この回答へのお礼

緩和時間と寿命を一緒に考えていたのですね…
なるほど、とてもよくわかりました。
具体例を出していただいたおかげでつかむ事ができました。
遅くなりましたが、ありがとうございました!!

お礼日時:2007/07/25 21:04

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