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「すれば」と「するなら」はどちらも仮定形だと思うのですが、どのように使い分けるのでしょうか。例えば、

海外旅行に行けば人生観が変わる。
海外旅行に行くなら、ヨーロッパがよい。

の意味の違いはよく分かりますがどのような基準で使い分けるのかがよく分かりません。

A 回答 (2件)

「行けば」は、五段動詞「行く」の仮定形「行け」に接続助詞「ば」が付いた形です。

「ば」は、用言や助動詞の仮定形に接続し、次に三つの意味・用法を表します。
(1)仮定の順接…「もし~ば…」の意味を表す。
 例 晴れれば行こう。おいしければ食べるよ。
(2)確定の順接(一般条件)…「~ときはいつも…」の意味を表す。
 例 風が吹けば、ほこりが立つ。春になれば桜が咲く。
(3)並立…「~も…ば、~も…」という形で使われる。
 例 男もいれば女もいる。

ご質問の「海外旅行に行けば人生観が変わる。」という文の場合は、(2)の確定の順接の意味・用法、といっていいと思います。

「行くなら」は、五段動詞「行く」の終止形「行く」に断定の助動詞「だ」の仮定形「なら」が付いた形です。(「なら」を接続助詞と考える立場もありますが、学校文法では上記の通り「だ」の仮定形と考えます。)「なら」の後に接続助詞「ば」が付いて「ならば」という形でも用いられます(「ばの有無によって意味・用法は変わりません。)。「なら(ば)」は、次のような意味・用法を表します。
「ば」と違って、体言(名詞)にも接続します。
(1)仮定の条件…「もし~であれば…」の意味を表す。
 例 晴れたなら行こう。…上で説明した仮定の順接の「ば」(1)とほぼ同意。
 例 風邪なら寝ていなさい。…体言に接続した例。
 例 行きたいのなら、言ってくれればよかったのに。…「~するのであれば」という主体の意図性が強く、その点、「ば」(1)とニュアンスが異なります。
(2)事実でないことを想定する。
 例 空を飛べたなら、あなたの元へ飛んでいくのに。…「ば」にも似たような意味・用法があります。
(3)後ろで述べることを指定する。
 例 捜し物ならここにある。酒なら灘に限る。
(4)二つ並べて両方よくないことを表す。…「~が…なら~も…だ」の形を取る。
 例 親が親なら子も子だ。

ご質問の「海外旅行に行くなら、ヨーロッパがよい。」の文の場合は、(1)の仮定条件の意味・用法でしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
確かに、「晴れれば行こう」、「晴れたなら行こう」のように同じ意味を表す場合も有りますね。

お礼日時:2007/08/14 10:46

はじめまして。



既に回答は出ていますが、簡単に補足説明します。

ご質問の2文の違いは、「提示条件の確定性(確定の可能性)」にあります。

1.仮定形:

現在の仮定形はNo.1で回答されているように、動詞の仮定形に、仮定・条件の意味を表す接続助詞を接続して使われています。

もともと古語では、仮定を表すのは動詞の未然形+接続助詞「ば」を使っていました。意味は、「もし~したら」「もし~ならば」という、事実とは異なる事柄を仮定として述べたもので、その実現の確定性は100%ではないことを示唆しています。

確定性の低いものは、「もし」のかわりに「仮に」「万一」といった副詞を伴って、強調することがあります。


2.已然形からの派生:

一方、古語では仮定形と区別して、已然形という用法がありました。これは、確定の条件を表し、「既然形」とも呼ばれます。

動詞の已然形+接続助詞「ば」を使い、意味は、「~すると」「~すれば必ず」という確定条件を表していました。その実現の確定性はほぼ100%、または100%に近く、そこから「~ので」という、前件が自然の成り行きで後件に導く時に使われる接続助詞の意味を持つようになりました。


3.両方の「ば」の使い分け:

このように、現在の仮定形には、古語の仮定の用法を汲むもの、已然形からの派生したもの、という両方の用法を兼ねています。

そうなった理由は、現代語では、不確定な条件を表す「もし~ならば」の意味の仮定形は、動詞の仮定形(=古語の已然形)に「ば」を接続して使われるようになったため、古語の已然形の用法と意味の混乱が生じることもありうるのです。

例:
(1)仮定形:

(古語)「雨降らば、我行かぬ」(未然形+ば)
(現代語)「雨が降れば、私は行かない」(仮定形+ば)

(現代訳)「もし雨が降ったら、私は行かない」


(2)已然形:

(古語)「雨降れば、蛙鳴く」(已然形+ば)
(現代語)「雨が降れば、蛙が鳴く」(仮定形+ば)

(現代訳)「雨が降ると、蛙が鳴く」
*古語では「雨が降るので、蛙が鳴く」の訳も可能

こうした、混乱をさけるため、現代語では断定の助動詞「だ」の仮定形「なら」を伴って、はっきりと仮定だと表す便法がとられています。これに接続助詞「ば」がついて「ならば」となることもあります。「なら」が未然形なのは、古語の仮定用法(未然形+「ば」で仮定を表す)の名残です。

ご質問文の「海外旅行に行くなら、ヨーロッパがよい」では、「なら」が使われているので、確定性が100%ではない、「仮定」の用法だとわかります。


4.活用からの区別:

その名残が、活用語の接続の仕方に現れています。
ご質問文の2文を比較すれば、

(1)「海外旅行に行けば人生観が変わる」

1)五段動詞「行く」の仮定形「行け」+接続助詞「ば」
2)意味は「行くと(いつも)」「行けば(必ず)」
3)確定性はほぼ100%

(2)「海外旅行に行くなら、ヨーロッパがよい」

1)五段動詞「行く」の終止形「行く」+断定の助動詞「だ」の仮定形「なら」
2)意味は「もし行くとしたら」「行ったら」
3)確定性は強調の仕方によって0~90%(100%に近い場合はこの用法は通常使いません)

となります。


5.ご質問:
<「すれば」と「するなら」はどちらも仮定形だと思うのですが、どのように使い分けるのでしょうか。>

結論は以下の通りです。

1.確定性がほぼ100%の場合は「すれば」を用いる。
2.確定性が0~90%の場合は「するなら」を用いる。
3.確定性の程度に応じて、「仮に」「万一」といった副詞を伴う。

ご質問文は
(1)「海外旅行に行けば人生観が変わる」は
「海外に行くと、ほぼ100%と言っていいほど、人生観が変わる」
という意味になります。

(2)「海外旅行に行くなら、ヨーロッパがよい」は
「海外に行くとしたら(その可能性は0~90%だが)、ヨーロッパがお薦め」
という意味になります。


以上ご参考までに。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

なるほど。現代語で仮定形といっているものは古語では仮定形と已然形(既然形)の 2種類に分類されていたので、現代語の仮定形は 2種類の意味を持つということですね。

「すれば」:仮定形または已然形
「するなら」:仮定形

よく分かりました。

お礼日時:2007/08/14 11:04

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