海外旅行から帰ってきたら、まず何を食べる?

はじめまして。質問の正確なカテがイマイチわかりませんが、文学か「読書」(或いは「歴史」)ではないかと思い、先ずこちらに投稿しました。

所謂「下衆」についてですが、
これは身分の卑しいもののことで、特定の職業や階級をさす言葉ではないようですね。
時代小説などでは「下級身分」を主人公にした物語が多くありますが、
所謂「下衆」を主人公にした小説のようなものはあるのでしょうか?

文学では「下衆」というのはどのような扱いを受けるのでしょうね?
下衆の下衆たるところはその心根の卑しさということらしいので、
それが主人公ということになると、所謂「官能小説」の領域に入るのでしょうか?
高貴な下衆というのはそもそもありえない概念ですし・・・

いえ、例えば団鬼六のような、アングラ的なものでも構いません。

主に文学(そんな高尚じゃなくていいのです)作品に関してと
下衆への興味を満たしてくれるような作品がありましたら
ジャンルを一切問わず(論文などは別として)教えていただければ幸いです。

広い範囲でのお答えをお待ちしています。

A 回答 (7件)

長くなってしまいました。

御免なさいよ。

ノアールと下衆は重なるのかどうか。
これは餅と正月は重なるのかとか,炬燵と地球温暖化は重なるのかみたいな
難しい問題です。

ノアールは(正確な定義は知らないのですが)
ヤクザやマフィアや闇金融や麻薬やギャンブルや犯罪者の世界を描いたものだと思います。
下衆はもともと士農工商の工商に当たるような世界だと思います。
だから,重なると言えば重なります。
ただし,小説の表現方法が問題になると思います。
ノアールは往々にして,アウトローを美化します。
反社会的な主人公の義理やメンツや美学を格好良く描きます。
愚かな主人公が銃弾に散ってもその姿には華があります。
異端者でありながら実は祭りの主役といった感があります。
ただ,そのように美化してしまうと下衆とは言えなくなってしまうと思います。
(#1さんの仰った通りです。)
下衆は良くも悪くも雑草や虫のようにひとつひとつは弱くても
全体として,しぶとく根強く,はびこるものだと思います。

ハードボイルドはまた別で,
主人公は周囲がどんなにお祭り騒ぎをしていても
まるで批評家のように醒めて浮いています。
だからハードボイルドは別に周囲がヤクザでもマフィアでも構わないし,
庶民でも学園でも構いません。
(幼稚園児が主人公のハードボイルド小説もあります。
(タイトルは失念,二階堂黎人さんの作品,講談社文庫。)
つまり,ノアールは舞台設定で,ハードボイルドは性格設定です。
餅は食い物で正月は暦です。

以上,支離滅裂な大論文で失敬!
よいお年を!
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この回答へのお礼

3部作の論文(?)興味深く読ませていただきました。
バルザック、ゾラ、ドストエフスキーからノアールの分析まで。
balkisさんは随分守備範囲が広いのですね。
いろいろと撒き餌をしていただきましたので、
後は自分で渉猟します。

今年もよい読書をお楽しみください。

お礼日時:2008/01/03 17:38

ご質問への回答になかなか達せず,大論文を続けてしまいますが,ご容赦。



「小説」という言葉も元々は,
科挙の試験に落第した小人の説という意味の支那の言葉で差別用語です。
また,小説を意味する英語のノベルの元はフランス語のヌーヴェルで
その意味は英語のニューズと同じく「新しい」ということで,
三面記事や週刊誌のゴシップというほどの意味です。
要するに小説はもともと下衆の世界を描いたものだったのです。

バルザックやゾラやドストエフスキーといった
世界文学の文豪はまさに下衆の世界を描いて,描ききっています。
非常におもしろいので推薦です。
ほんとうはまっさきにこちらを紹介するべきだったのかもしれません。
しかし,現代日本とは違う世界なので念頭に浮かびませんでした。

その他のリアリズムの小説もほとんど下衆の世界ですが,
貧困と革命といった,もはやアナクロとしか言いようのない現実と理想に覆われているので,
バルザックやゾラに対する以上の覚悟がないと読む気になれません。
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今がまさに暇で正月にかこつけて酒飲んで夜明かししているところです。



最初に『溝鼠』のことを書いたときには,
はっきりしたイメージがなかったんですが,
いろいろ探しているうちに考えがまとまってきました。
といっても,根拠があるわけではなくて妄想なんですが。

まず,「下衆」というのは,「下種」とも書きますが,
明らかな階級差別,身分差別の言葉です。
日本の江戸時代を例にとると士農工商の
士はサムライで支配階級,農は百姓で生産階級,
年貢と俸禄で日本の政治と経済を担っていたのは士農のみで,
工商は食料を自分で作りもせず無税で国に寄生しているまさに「下衆」,
工はまだしも労働して対価を稼いでいるのだから許してやってもいいが,
商に至っては仕入れ値に利鞘を上乗せして暴利をむさぼる詐欺師なので最下級。
サムライの価値観ではそうでした。
つまり前近代では,支配=軍事=サムライ,生産=経済=農民,であり,
その他は手間賃を稼いで人様の御恩にすがって食わせてもらっているか(工),
物を高値で売りつけて人様をだまして生きているか(商)の「下衆」でした。
以上からすると,「下衆」とは天下国家の経営に与らず,
自分の食い扶持すら生産せず,無為徒食にして狂言綺語を弄する有象無象,
つまり,自分だけ良ければいいと思っている輩,ということになります。

近代国家になると,軍事=国民皆兵,経済=資本主義,とがらりと様相が変わるので,
階級は徐々に撤廃されていきますが,
実質的に格差は生じるのでメンタリティとしては上から下まで残存します。
むしろ実質的な階級が消滅してから「貴族主義」やら「武士道」やら
「庶民気質」やら「任侠道」やらが際立ってきます。
現代日本には貴族階級も武士階級も庶民階級も任侠階級もなくて,
すべて平等な日本国民なはずですが,
こうした「主義」や「道」や「気質」が残っています。
(すべて平等な日本国民がすべて平等な考えを持っていたらファシズムです。)
これらは社会に現実的な対応物(制度的な階級)がないにもかかわらず存在するもの,
すなわち良く言えば「文学」,悪く言えば「絵空事」,あるいは「思いこみ」,
いずれにしても「虚構」ですが,現実的な微細な格差には対応しています。
だから,その辺りを描くことで現代小説は存在意義を持ちます。


いかん,妄想的な大論文になってしまいそうなので,ここでいったん切ります。
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ほかにもないかと探してみました。


新藤冬樹さんの他の作品もかなり下衆ですが……。

違うタイプとして奥田英朗さんの『ララピポ』(幻冬舎)。
ダメ人間たちが行き交う爆笑小説。
お下劣ぶりが情けなくも心地よいです。

西澤保彦さんの『両性具有迷宮』(双葉文庫)。
宇宙人のミスで女性の股間に男性器が!という
じつにくっだらない発想を見事に昇華させたSFの傑作です。

そうそう,新藤冬樹さんのはジャンルとしては
ノアール(暗黒小説)です。

どうもいろんなジャンルから
単発的に拾うしかないみたいです。
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この回答へのお礼

重ねてありがとうございます。

もうひとつだけお聞きしていいですか?

#1さんのお答えの中にもありますが、
「ノアール」(暗黒小説)と所謂「ゲス的」とは被るのでしょうか?

わたしは「フィルム・ノアール」の印象がこれまた強くて、
まあハード・ボイルドの異種のような・・・キーワードとしては、
レイモンド・チャンドラーとか、「スカー・フェイス」とか・・・
そういうイメージを持っています。

お暇な折にアドバイスいただければ幸いです。

重ねてありがとうございます。

お礼日時:2008/01/03 03:18

いえいえ,「必殺仕事人」のような悲壮な仇討とは月とスッポンです。



ふられた腹いせに猥褻ないたずら電話をかけ続けるとか,
クビになった飲食店にゴキブリをばらまくとか,
そういったレベルの下衆としか言いようのない復讐の代行屋です。

この回答への補足

たいへん参考になりました。

他にもあるでしょうか?こういう感じの小説。
お薦めがありますか?


強いてジャンル分けすれば・・・というか書店ではどういうコーナーに置かれてるのでしょうね(苦笑)

>思わず耽読・・・には笑いました。

補足日時:2008/01/03 00:31
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この回答へのお礼

はっはっは!またまた噴き出しました。
そういうことですか(笑)
復讐代行というとどうしても「ムコ殿」を思い出します。

これは「下衆もの」といえますね。

たいへん参考になりました。

へぇ~って感じです。

重ねての補足、ありがとうございます。

お礼日時:2008/01/03 00:29

一般に「下衆もの」なるジャンルがあるのかどうかは知りませんが,


新堂冬樹さんの小説,
就中,復讐代行屋を主人公とした『溝鼠』(徳間文庫)は,
もう呆れるほど,
ほんとうに下衆で下劣で最低な変態のカスどもが
底辺で死闘を繰り広げる凄まじい小説です。
ついつい耽読してしまいました。
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この回答へのお礼

お答えを読んで思わず噴き出してしまいました。

>復讐代行屋を主人公
というと安直ですが「必殺仕事人」シリーズを思い浮かべるのですが、
ああいう感じではないのでしょうね。

早速当たってみます、

ご回答どうもありがとうございました。

お礼日時:2008/01/03 00:04

「下衆もの」というとちょっと違うような気もしますが、歌舞伎の白浪物はどうですかね?


竹川黙阿弥が実際の事件をヒントに書いた盗賊・悪人たちの物語の総称です。「白浪五人男」とか「三人吉三」とか。
小林恭二さんが『悪への招待状-幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ』という幕末の風俗と歌舞伎の紹介本を集英社新書で出しています。
盗人や悪党が主人公の物は悪漢小説(ピカレスク)と呼ばれていますよね。
鹿島茂さんが『悪党が行く-ピカレスク文学を読む』という紹介本を角川書店から出しているようです。
しかし白浪物にしてもピカレスクにしても義賊や美学をもつ怪盗がいたりしてこれは心根は卑しくないわけだからやっぱりちょっと違うかな?
裏社会やアウトローの世界を描いたものとして最近言われる暗黒小説(ノワール)のほうが近いでしょうか?
日本だと大藪春彦とか馳星周とかの作品があげられることが多いです。

いずれにしても私の読書傾向からは外れていて的を外した回答かもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
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この回答へのお礼

>いずれにしても私の読書傾向からは外れていて的を外した回答かもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

いえいえ。逆にこういうのを主に読んでる方って少ないでしょうから。
仰るように「ピカレスク」とは違うんでしょうね。

クリント・イーストウッドの昔のマカロニウエスタンの原題が
「英雄・悪漢・卑劣漢」というのがありましたが。前2者は小説の主人公になりますが卑劣漢(まあ下衆に近いかなと)は「主人公」にならないですかね・・・

>裏社会やアウトローの世界を描いたものとして最近言われる暗黒小説(ノワール)のほうが近いでしょうか?

う~ん。この辺も詳しい方の意見をお聞きしたいですね。
やっぱりルポルタージュのようになってしまうのかな・・・

ご回答どうもありがとうございました。

お礼日時:2008/01/02 23:08

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