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自然数nにおいて、メビウス関数は次のように定義される(ただし 1 は 0 個の素因数を持つと考える):

μ(n) = 0 (n が平方因子を持つ(平方数で割り切れる)とき)
μ(n) = (-1)^k (n が相異なる k 個の素因数に分解されるとき)
n が相異なる偶数個の素数の積ならば μ(n) = 1
n が相異なる奇数個の素数の積ならば μ(n) = -1

とのことですが、なんの理由、なんの目的があってそのような定義がされるのでしょうか?

そう定義すると、メビウスの反転公式などうまくいくというのは分かるのですが、たとえば、メビウスの反転公式を成り立たせるようなμ(n)は、必然的に上述のようになることを示すことはできるのでしょうか?

A 回答 (1件)

メビウスの反転公式は、


f(n)=Σ(d|n)g(d)⇔g(n)=Σ(d|n)μ(d)f(n/d)
と、fのgによる式と、gのfによる式が反転できる、というものです。
一般に、f,gの乗法積f*gは、
f*g(n)=Σ(d|n)f(d)g(n/d)
で定義されるので、上のメビウスの反転公式は、乗法積を使えば、
f=g*1⇔g=μ*f(1はすべてのn≧1に対して1(n)=1を満たす関数)
と書けます。
また、乗法積は結合法則((f*g)*h=f*(g*h))を満たします。
ここで、δ(n)=1(n=1のとき)、0(n≧2のとき)
という関数δは、任意の関数fに対して、f*δ=fという関係を満たします。
要するに、δは乗法積に関する単位元です。
f=g*1の両辺にμを作用させると、
μ*f=g*(1*μ)
となるので、これがgに等しいということは、
1*μ=δ
ということです。
要するに、メビウスの反転公式の核となるのは、1*μ=δです。
これは、1の逆元がμということです。
もし、1*ν=δとなるνがμの他にあるとすると、この両辺にμを作用
させると、
μ*(1*ν)=μ*δ
(μ*1)*ν=μ
δ*ν=μ
ν=μ
となって、結局νはμと同じものになります。

次に、n=p1^e1…pk^ekと素因数分解されるとき、オイラーの関数を考え
ると、
φ(n)=n(1-1/p1)…(1-1/pk)=n(1-Σ1/pi+Σ1/pipj-…+(-1)^k/p1…pk)
となるので、上のような定義のメビウス関数μを使えば、
φ(n)=nΣ(d|n)μ(d)/d
と書けることが分かります。
カッコの中の分母には平方因子を持たないnの約数がでてきて、符号が
因数の個数により+-になりますので。また、dに平方因子があれば
μ(d)=0となって、平方因子を持つ約数の部分が0になりますので。
これが、μの定義が出てきた経緯かと思われます。

ここで、μの性質について調べてみると、
1*μ(1)=μ(1)=1=δ(1)
n≧2のとき、nの素因数分解をn=p1^e1…pk^ekとすると、
1*μ(n)=1+Σμ(pi)+Σμ(pipj)+…+μ(p1…pk)=(1-1)^k=0=δ(n)
より、1*μ=δとなります。
すなわち、メビウスの反転公式が成り立つことが分かります。

また、このメビウス関数は、ゼータ関数の逆数をとったとき、
1/ζ(s)=Σμ(n)/n^sのように、各項の分子に現れてきます。
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