熱放射で出される電磁波は、人体や地球放射などは赤外線領域で、赤外線を熱線と呼んだりするかと思いますが、太陽では熱放射として可視光や紫外線が出ていると思います。この場合でも、熱放射の出るミクロな場面では、分極した分子の運動ととらえてよいのでしょうか。
吸収の場面では、紫外線は電子遷移や光解離として吸収されますが、放射の場面でも同じ仕組みで、電子遷移なのでしょうか。光解離で放射というのは、考えにくいように思いますが、、、
黒体放射のスペクトルが、温度によっては、UVから可視光、赤外線となめらかなカーブになりますが、これは、同じ放射の仕組みによるのでしょうか。あるいは、波長域でよって、核融合だったり、電子遷移だったり、双極子モーメントの運動だったり、もとの反応は様々でもエネルギーとしてはなめらかに曲線になるのでしょうか。
少し違う話ですが、あらゆる物体は温度に応じた電磁波を出す、とよくいわれますが、大気中の窒素や酸素など双極子モーメントをもたない気体分子も、温度におうじた電磁波を出しているのでしょうか。
CO2やH2Oなど気体分子が吸収のピーク波長をするどく持つのに対し、多くの固体は黒体に近似できる場合が多いようですが、固体では、さまざまな分極した分子の運動が生じうるからということなのでしょうか?
また、最初の質問と少し、だぶりますが、固体の温度が上がり、赤外線から可視光にかわるときには、固体のなかでの電磁波を発する仕組みも違うものになるのでしょうか? あるいは、いつでも、原子や分子の熱運動といっていいのでしょうか。
とりとめのない質問になってしまいましたが、可能な部分だけでも、教えていただけましたら助かります。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
>ミクロで見ると不連続で様々な放射過程が、マクロでは温度だけに依存するきれいな曲線になるというのが、素朴に不思議なのですが、専門家にとっては自明のことなのでしょうか?
だから現実の世界では「真の黒の物質」が存在しないのです。
つまり、実際にプランクの黒体放射の式に従う物質はないのです。
あくまでプランクの黒体放射の式は、現実には存在しない理想的な物質を仮定しただけの話なのです。
で、ではどうやってこの式が正しいのかを証明したのだろうという疑問はわくと思います。実はこれには黒箱と呼ばれる、内面が鏡面に磨いた、形状は卵のような形をした容器で実現しました。仕掛けは簡単です。わずかな穴をその容器にあけて、そこに光を入れると中で反射を繰り返しますが、外に出る前には光は吸収されてしまいます。(100%反射の反射面は作れませんので)
つまり、真の黒が実現できるわけです。
この箱を暖めると黒体放射のスペクトルが得られます。
もっとももちろん先に書いたように理想的に100%の吸収が出来るかというと、内面反射の材料にもよるので、それによる誤差はあるのでしょうけど。
この回答への補足
たびたび、ありがとうございます。
前回のご回答にも関連するのですが、黒体に近似できる物質の放射スペクトルの電磁波の発生現場をミクロでみると、電子軌道の遷移も含まれるという理解でよいのでしょうか?
電磁波の入門書などを見ると、発生の仕組みとして熱放射とは別に軌道遷移が説明されていたりするので、黒体放射は熱放射だけなのかと思ってしまうのですが、放射が吸収の逆向きである以上、ミクロでみれば様々な過程の放射が重なり合って、温度で決まる波長ごとのエネルギーとなって放射されているのをマクロに観察できる、というイメージでしょうか?
私が不思議に思ったのは、黒体に近似できる物質であれば、こうした様々なミクロの電磁波の発生メカニズムが、マクロでみると発生の仕組みにかかわらず温度だけで強さが決まるということです。
もし、放射スペクトルが熱運動がもとになる放射だけであれば、温度にきれいに依存しそうですが、熱運動だけが発生源ではないようなので、なんとなく、不思議に思えたのでした。
No.2
- 回答日時:
熱輻射(熱放射)を知るには、基本はプランクの黒体放射式とキルキホッフの法則を知る必要があります。
黒体放射の式はあくまで黒体(すべての波長にわたって100%を光を吸収する物質)に対する式です。
一方現実の物質では、吸収a,反射r,透過tとすると、a+r+t=1の関係があり、a=1という物質はありません。
熱を加えたときにどの程度放射するのかは放射率γによりきまります。このγはaに等しい、つまりγ=aという関係が成立するというのがキルヒホッフの法則です。
もちろん吸収aは波長特性をもっています。
ここまで書けばお分かりと思いますが、吸収と放射は単に方向が逆なだけです。
その仕組みは実は同じなんです。
吸収のメカニズムを逆にすれば放射になります。
わかりやすい、ご説明、ありがとうございます。
「吸収と放射は方向が逆なだけ」ということで、理解が進みました。
軌道遷移や、振動、回転、プラズマなど、吸収が起きる波長帯は同様に放射するということですね。
しかし、そうしたミクロのさまざまな過程が、マクロでみると(黒体に近似できる物質なら)、黒体輻射の曲線のようななめらかな波長を出すというのが、不思議です。
ミクロで見ると不連続で様々な放射過程が、マクロでは温度だけに依存するきれいな曲線になるというのが、素朴に不思議なのですが、専門家にとっては自明のことなのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
「?」の付く部分があるかもしれません。
1.吸収する光(電磁波)と放出する光(電磁波)は同じ波長のものであるというのは基本だと思います。大気中のN2,O2は赤外線吸収を示しません。双極子モーメントがないからです。COやNOは赤外活性です。
メタンCH4は分子としての双極子モーメントがありません。でも結合の双極子モーメントは存在します。伸縮振動、変角振動で赤外線吸収を示します。
2.N2やO2も温度に応じた振動をしているはずです。でもその振動が赤外線の放出には結びつかないのです。その意味では「すべての物質はその温度に応じた波長の赤外線をだす」というのは成り立たない事になります。でも当てはまらないのは限られた物質だけですから普通の物質を作っている化合物では成り立っているとしていいでしょう。
N2やO2では赤外線による振動励起が出来ないということですから熱励起は分子衝突によるものだということになります。
3.赤外線は原子の振動、可視光、紫外は電子遷移というのは当てはまると思います。吸収、放出の仕組みが異なります。
4。黒体輻射というのはあらゆる波長の光を吸収、放出できる物体が存在するという仮定でのものです。現実の物体はこのどこか一部分について当てはまるのです。気体は基本的に独立ですから吸収する波長が限られます。でも固体になると構成粒子が全て結びついていますから吸収帯がバンド状に広がります。当てはまる範囲が広くなります。吸収の仕組みが違っていても吸収・放出が起こるという条件さえ満たされていれば黒体輻射のカーブに乗ってくるのです。
5.分子という言葉があちこちに使われています。固体の中、太陽のなか、・・・。
もしかしたら誤解があるのでは
分子はある限られた条件での物質の存在の仕方です。太陽の中には分子は存在しないでしょう。分子で出来た固体も固体のなかの一部分です。
地面の土や岩石の中には分子は存在しません。従って「分子の双極子モーメント」とか「分極した分子の運動」という言葉は意味を持ちません。電荷の偏りさえあればいいのですから分子は必要ありません。食塩はNa+とCl-で出来ています。このように正負のイオンで出来ている物質であれば活性になります。岩石もイオン性物質です。(「NaClの分子が・・・」という表現を使う人が今だにいますが、・・・。困ります。固体の中でもNa+とCl-というイオンのままの状態で存在しています。分子は存在しません。)
金属でも正のイオンと自由電子というイメージで考えれば活性がでてくると考えられます。
6.以上いろいろ書いてきたのですが
理科年表を見るとアルゴンの赤外吸収の波長の値が載っていました。
どういう仕組みのものなんでしょうか? 分かりません。心配になってきました。
この回答への補足
早速のご回答、ありがとうございます。
「地面の土や岩石の中には分子は存在しません」。そうなのですね。気体と違って、固体が黒体に近い性質を持ちやすい理由がようやく、わかった気がします。ありがとうございます。ご指摘の通り、誤解していました。
しかし、熱放射として出てくる電磁波は、「荷電粒子の熱運動に伴う」と聞いたことがあるのですが、この場合は、電子の軌道遷移なども含まれるのでしょうか。高温になると太陽のようにプラズマの運動の中で電磁波が出ると思われますが、その場合も、荷電粒子の運動で、軌道遷移とは違うように感じます。吸収は軌道遷移になる波長帯でも、熱放射はあくまで熱運動に伴うという気もするのですが、どうなのでしょうか。たとえば、UVは電子軌道の遷移で吸収され、軌道遷移でも放射されるが、熱放射としても放射されることもあるという理解では、おかしいのでしょうか?
しかし、アルゴンが双極子モーメントをもっているとは思えず、うーん、放射は奥が深いのですね、、、
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