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著作権について調べていて疑問に思ったことがあったので質問させて頂きます。

著作権の侵害は告訴された人が対象の著作権物を知らなかった場合、侵害として成立するのでしょうか?

(例)Aさんの描いたイラストの構図がBさんの描いたイラストの構図によく似ていた(キャラクターのポーズや表情、背景等)。しかし、Aさんは問題のBさんのイラストを全く知らなかった。

上記のような場合、裁判でAさんが負ける可能性はあるのでしょうか?

法律に詳しい方がいましたらご教授お願いします。

A 回答 (4件)

ある行為(特に複製)が著作権侵害となるには、



(1) 依拠性(アクセス可能性)
(2) 同一性または実質的類似性

という2つの要件の両方を満たす必要があります。

「依拠性」とは、侵害を問われている著作物Xを創作するに当たって、その作成者が、権利者の著作物Yを知っていたかどうか、という話です。

「実質的類似性」とは、当該著作物の表現のうち本質的部分が、実質的に類似していることをいいます。

したがって、「よく似ているが、全く独自に創作した場合(依拠性がない)」または「権利者の作品は知っていたが、表現として別物である場合(同一性または実質的類似性がない)」には、著作権侵害が成立しません(「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」事件という裁判例があり、依拠性がないことを理由に侵害が否定されています)。

裁判で負けるかどうかは、当事者の主張・立証次第です。

基本的に、(1)(2)ともに、侵害を主張する原告(B)が証明責任を負います。これらは規範的要件ですから、その評価根拠事実によって証明すべきことになります。したがって、被告(A)にとっては、その評価障害事実が抗弁になります。

評価根拠事実・評価障害事実とは、ある法的評価の基礎となる事実をいいます。「依拠した」というのは、法律的な概念なので、具体的な事実を摘示する必要があるということです。たとえば・・・

「BのY作品は、全国販売されている雑誌『なんたら』に掲載されたから、イラスト作家の間では有名である。」「Y作品が最初に公開されたのは、XX年XX月XX日であり、X作品が公開されたのはその後のOO月OO日である。」「Y作品のどこそこの部分と、X作品のどこそこの部分は、縮小コピーして重ねるとほとんど重なって見える。」

「X作品は、Aが**月**日に友人Cに見せたのが最初で、それまでAとBに交流はなかったから、AがBのY作品を見て創作したものではない。」「重なって見える部分は、本質的な表現ではないし、ごくありふれた描き方である。」

・・・といった具合です。これらの事情をいっさい検討した上で、裁判官が「これはパクリだな」と思えば侵害、「これは独自創作だな」と思えば非侵害、ということになります。

なお、「告訴」というのは、被害者などが捜査機関に対して犯人の処罰を求める意思表示です。これによって、検察官が被疑者を「起訴」します(刑事の話)。Aが勝つかBが勝つかというのは民事の話なので、「告訴」の有無にかかわりません(民事では、誰でも「起訴(混乱を避けるために「提訴」「出訴」「訴えの提起」ということが多い)」できます)。
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法律的な裁判の経過についてはANo.3さんのようになると思います。

もう一つの議論として、類似の著作物が存在するかどうかの確認義務について述べます。

実用上、無駄な訴訟を防ぐためには必要ですが、原則として確認義務はなく、民事を含めて過失として罪に問われることもありません。
目立つものを調べることはできますが、販売停止になったものまで調べることは個人では不可能でしょう。文章なら国会図書館にほとんどの本が集まっていますから、時間と労力を考えなければ実現できるかもしれませんが、作家にそんな労力を強いるような法律にはなっていません。

アクセス可能性さえなければ、例えば生まれてからずっと閉じ込められて著作物と一切接触がなかったことが立証できるのであれば(そんな人は言葉さえ習得できませんが)、その間に創作された著作物と似ていても負ける可能性はありません。極端な話、ミッキィマウスと瓜二つのキャラクターを創作しても認められます。ただし、ミッキィマウスは著作権だけで守られている訳ではないでしょうから、すべてが可能と言うことではありません。
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ええと、まず「著作権侵害」には刑事事件の場合と民事事件の場合があることを押さえてください。

「告訴」というのは刑事事件の用語です。他方「裁判で負ける」というのは普通民事事件の方に使います(刑事事件だと「有罪になる」)。両者は別のものなので別個に検討する必要があります。

まず、刑事事件の方は、法の原則として、故意がなければ犯罪は成立しません(ただし業務上過失致死のような、過失犯を罰する特別な定めのある場合を除く)。著作権法に過失犯を罰する規定はありませんので、著作権を知らなければ、故意がないことになり、著作権侵害の罪は成立しません。

次に、民事事件の方ですが、著作権侵害は不法行為の一種なので、故意又は過失があれば著作権侵害が成立します。従って、全く知らなかったという場合でも、知らなかったことに過失があれば著作権侵害は成立します。例えばキャラクター商品を販売する業者などは、類似のキャラクターがないかどうか確認してから販売をすべきだといえますので、単に「知らなかった」というだけでは責任を逃れることができない場合があります。したがって、「負ける可能性はある」ということになります。
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偶然により似てしまった場合は著作権侵害にはなりません。

オリジナリティをどうやって証明するか、という問題はありますが、基本的には問題ないです。アイデアの途中経過などがあれば証明しやすいでしょう。ただし、昔見たことがあるのに本人も忘れてた、という場合もあります。

ちなみに、特許などの場合は、偶然でも同じものは侵害と見なされます。
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