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労働問題についての質問です。
最近格差社会が広がっているなどという言葉をよく聞きます。その要素として派遣労働の不安定さとか人件費の安いパート、アルバイトを企業が多く使用していることとか、法外なサービス残業が横行していることなんかが挙げられていて、それを何とかすべきだっていう議論がありますよね?

それで、それに従って派遣やパート、アルバイトやサビ残を厳格に禁止あるいは減少させた場合って日本経済はどうなってしまうんでしょうか?社会不安が解消して経済にも好影響を与えて上向きになるんでしょうか?それとも安い労働力を使えなくなった企業は続々と淘汰されていくのでしょうか?それとももっと違う事態になるでしょうか?個人的には労働問題や格差は何とかしなければならないけど、実際には企業が淘汰されて経済が立ち行かなくなると思うんですが、みなさんはどう思いますか?

また、こういう労働問題あるいは格差問題を解決するにはどんな方策が有効だと思いますか?就職試験でこういう知識が必要になりそうなので質問しました。よろしくおねがいいたします。

A 回答 (1件)

■規制で所得格差はある程度改善できるが、失業者が増える


ある種の労働規制を強めることで、
所得格差や労働条件はある程度まで是正することはできます。
しかし、その代わり、低賃金で働いていた労働者が雇われにくくなり、
失業率が増大するという構造的問題が存在します。
特に若年失業者や長期失業者が大きく増大する傾向があります。
アメリカでは大きい格差+小さい失業率、
西ヨーロッパは小さい格差+大きい失業率となっています。
格差と失業率のバランスはどの程度が良いかというと意見が揺れます。

雇用が長期化されること自体は、技能修得の機会が増えるため、
長期的に所得水準を向上させる可能性があります。
しかし、規制を強めると、解雇が難しくなった企業は
新規労働者を極力募集しないようにするため、
新しい職に就く機会は非常に狭まることになります。
若年失業が深刻なフランスの事例などが参考になります。
正規雇用を容易に解雇できるようにしたら、
正規と非正規の違いが少なくなって
非正規雇用は減るだろうと主張している人もいます。

サービス残業に関しては、雇用問題とは別で、
もっと厳格に規制しても問題ないはずですが、
西欧と比べて労働者の権利を主張する風土が乏しいのかもしれません。

■再分配は、間違いなく効果はあるが負担も大きい
効果が間違いなくあり、かつ負担も間違いなく大きい格差是正策は、
税・社会保険料である程度まで所得を移転してしまうことです。
賃金格差が大きく開いていくのは経済上止められないため、
ある程度までは負担するのが人間の責務ということで、
西欧ではこの負担に大きい予算を使っています。
デンマークでは、労働規制が弱いにも関わらず、
所得の再分配や職業訓練などの社会保障プログラムが充実しており、
高い所得水準・小さい格差・低い失業率を合わせ持つことに成功しています。

しかし、日本では西欧のような格差是正のための増税に
国民の納得を得させるのは難しいと考えられます。
怠け者に税金が搾り取られているという不満が大きく、
高所得層への重い税金は勤労意欲を削ぐという批判もあります。
目下の日本では財政難で福祉が剥がれていく傾向にあります。
近年は欧米でも条件を問わない所得の再分配は削減され気味です。
どうやったら少ない資金で大きい効果を出せるかが問題。
就労や技能の習得を税制優遇で促進することで、
失業者から雇用者へ、非正規雇用から正規雇用へと
転職することを促進するというのも欧州で流行りました。

低所得層にとっては定額に近い状態で取られる社会保険料の負担が、
重大な重荷となっている構造的問題があり、保険料等の格差が
企業が非正規雇用を雇うメリットとなっているとも考えられます。
基礎年金の消費税化というのも有力な選択肢として考えられますが、
実際に消費税増税となるとまた不満が高まっていくでしょう。

■労働規制は企業の淘汰に繋がるか?
労働規制が企業の淘汰につながるかというと、
国内の競合する企業も同条件の労働者が使えなくなるので大差ありません。
海外に対しては為替レートの変動で調整されます。
条件が悪くなった分だけ円が安くなるため国際競争力という心配は不要。
企業倒産に与える影響は長期的には無視して構わないと思われます。
(そもそも、長期的には企業の退出は同じ分だけ別の企業の参入を意味します。
淘汰を憂慮する必要はなく、企業の「新陳代謝」が活発な方が
効率化が進んで所得水準が向上すると考えられます。)

ただ、短期的には企業の採算悪化が景気を悪化させる場合はあるので、
景気が上向きの時期でないと難しいというのはあるでしょうが。

その他、企業の淘汰ではなく労働者数の節約といったもので、
労働者の賃金が高くなった業種では、長期的には自動化が促進され、
労働者は要らなくなるという話もあります。
例えばレジの労働者の賃金が高すぎるから自動化で人員を減らすという感じで。
こうした場合は、良い転職先にありつければ問題ないのですが、
余った労働力が別の低熟練雇用に殺到して賃金上昇を抑えることもあります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
トピックまでつけて頂いて詳しい回答でとても参考になりました。
格差と失業率には負の相関関係があるのですね。
小さい格差+大きい失業率ということは、職があって給与をもらえている人たちの中では格差が小さいけど、一方で職がない人がたくさん発生する。という認識でいいでしょうか?

所得再分配は有効だけど日本での導入は難しいのですね。たしかに仮に自分が高所得者になった場合を考えると、怠け者に給与を搾取されているという感覚は否めないですね。特に最近は自己責任論が流行していてそれに対する反論は責任転嫁のような印象を与えかねず大きな声では言いにくいと思います。逆にデンマーク人はどういう理屈でこれに納得しているのか不思議です。

企業の淘汰の心配はほとんどない。なるほど。人員が減った分をまかなうために業務の効率化を図るとということですね。退出した企業の分、新規参入があって、しかも効率化されてるから企業の収益率も良く、所得水準もあがると。

1つだけ疑問が残ったのですが、サービス残業を規制した場合、サービス残業で行っていた業務を行うための人員を企業が雇わなければならず、しかもそこには確実に給与が発生するから、雇用は増えて企業の負担は大きくなるという形でサービス残業規制は雇用問題と大いに関係ある気がするのですがどうでしょうか?質問ばかりで恐縮ですが、お時間あればご説明ください。よろしくお願いいたします。

お礼日時:2008/08/07 03:05

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