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私は浦沢直樹先生の作品が好きで、
特に20世紀少年、MONSTERが好きです。
最近になってMONSTERを読み返したのですが、
とにかくすごい面白いんです。
様々な展開、伏線の張り方、設定全てが面白いんです。
だけど、Drテンマが追うヨハンのことですが、
彼が最終的に何が目的で人を殺してきたかという
理由、動機が今一理解できません。
彼が511キンダーハイムで絶対悪として育てられたから?
人を殺すことが彼にとって当たり前…
納得できる理由がはっきりとわからないんです。
そして最後のルーエンハイムでの「完全な自殺」も
何が目的なのかわかりません。

何故ヨハンがここまで多くの人々を殺してきたのか、
彼の目的、望みが一体何だったのか。
そして完全な自殺を何故しようとしたのか。
この作品に明確な答えを求めることが難しいのか、
それとも私の理解力が足りないのかはわかりませんが、
どなたかわかる方がいらっしゃったら教えて下さい。
明確な答えがない場合は、回答者さんの推測でかまいません。

A 回答 (1件)

こんばんは。


しばらく前に「どっぷり浸かって」読破した者です。
この質問を拝見して、読み返そうとしたら。。。夫がオークションで「売り捌いた後」でした。。。涙

なので、「抜けている記憶」がある事と、かなり「私的な見解」かも知れない事をあらかじめお断りしておきます。


「ヨハンの生きる目的」は何度か変化します。
その「根拠(理由)」となるポイントを挙げて行きますね。
(主に「心の闇」を形成していきます)

*ヨハンとニナは、「政略的な」子供です。本来、「子供」と言うのは「愛情に基づいて」生まれてくるのに、彼らは「生まれながらに蹂躙された」子供です。

*ボナポルタによって「三匹の蛙の家」から連れ去られる時、母親が「自分を捨てた」と絶望する。(実際はニナが経験した事ですね)(「絶望」から「漠然とした暗黒」に生きるようになる)

*同じく、「赤いバラの屋敷」での実験の体験と、その後に遭遇した虐殺現場の恐怖。(ニナの体験を「自分の体験」として成長する。「暗黒」の深化)

*「三匹の蛙の家」からニナと共に逃走。(ニナと二人で生きて行く覚悟と私は読みました)

*しかし、国境近くで「保護(拉致?)」。記憶に刷り込まれていた「ヨハン」の名前を与えられ、「アイデンティティー=ヨハン=怪物」となる。(「暗黒」に生きる事を「決定され」、同時に「自ら決意」した時)

*511キンダーハイムでの「教育」。(「教育によって」ヨハンが「造られた」のでは無く、単に「具体的な能力を強化した」に過ぎない、と私は読みました)

*「怪物」の自覚の下、511で得た「能力」を駆使して、「自由を得る」(=511の「崩壊」ですね。「希望=明るい世界」への「最後の試み」では?)

*ニナと共に、養子となり、西ドイツにやって来る。(この時彼は「明るい世界」を求めていたのでは?と思っています)

*ボナポルタの来訪により、「混乱」を起こし、全員射殺。(「望み」が打ち砕かれ、再び「暗黒」に染まる)

*更に、ニナに露見した事で、絶望。ニナの手による「自己の抹殺」を試みるも失敗。(ニナの「嫌悪」が、「決定的な自己否定」となった?)

*テンマの「願い」を実現し、「恩返し」した後、ニナと再び逃亡。
(直後にニナと別れ、「成長した暁に」迎えに行く約束)

*その後の「罪の数々」。(これらは「立派になって、ニナを迎えに行く」「資格」を得る為の、「修行」だったのでは?)

*ニナを迎えに行くも、ニナは彼を理解せず。
「自分とニナの絆」を「納得させる」と言う「目的」になってゆく。

*「赤いバラの屋敷」の体験が、「ニナの記憶」であった事を知り、「アイデンティティーが崩壊」する。(「崩壊」の結果、として、再び「自己の抹殺=完全なる自殺」を望むようになる)

*「自分を知る全ての人間の抹殺」を試みるも、土壇場で「失敗」。

*「目覚めた」彼の「目的は??」と「問いかける」形で、完結。

こんな感じではないでしょうか?
「子供の絶望」と言うものの「純粋な深さ、重さ」が生んだ「怪物」ではないでしょうか? 「親」に「否定」される事の取り返しのつかない「重大さ」を、私はひしひしと感じました。
最後に「母親」が「愛」を確かに示してくれましたが、ヨハン自身が「もう遅い」と言っていますね。ニナはフォルトナー夫妻に「充分な愛情」を与えられて、「怪物」にならずに済みました。でもそれは「ヨハンが我が身を犠牲にニナを守った」と言う事なのかも知れません。

現在、「子育て中」の母親として、責任の重さを自覚した作品でもあります。
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この回答へのお礼

早速ご回答ありがとうございます。

ニナの体験の全てをヨハンが自らの体験として
互いに記憶を刷り込ませる、入れ替えることで
ニナは怪物にならずに済んだ…
そして代わりに怪物となったヨハンの中に、
怪物=アイデンティティーとなって、
次々と事件を起こすが、
ニナに会い、全てはニナが体験したことだと知り、
アイデンティティーが崩壊…
そして完全なる自殺へ…

確かに納得できますね!
yukkinn66さんの回答を見て思ったことがあります。
物語の中にボナパルタの絵本がいくつか出てきますが、
その中にへいわのかみさまというのがありました。
神様がヨハンという子に帽子をもらって被り、
鏡を見たらそこには悪魔が映っていて、
神様は自らを殺してしまった…
君は僕で、僕は君、
まるでDrテンマの病院に運ばれた時のことを
示しているかのようです。
帽子がリーベルト夫妻の殺害、きっかけになり、
それによってニナがヨハンの正体を知ると同時に、
君は僕で、僕は君との言葉通りに、ヨハンを撃った…

もしかしたらボナパルタの絵本が
ヨハンとニナの将来の行動をコントロールするための
洗脳道具だったのかも…
もしくは、ヨハンは読み聞かせられた絵本の中に
出てくるヨハンを照らし合わせながら行動しているのか…
ヨハンの行動が受動的か能動的なのかはわかりませんが、
絵本が大きなポイントになるのかもしれませんね。
ニナだけは結果的にフォルトナー夫妻によって怪物にならずに済みましたが、
そう考えると、ボナパルタの言う「実験」の意味がわかります。

yukkinn66さんのおかげでMONSTERの世界を読み解くきっかけを
見つけられたかもしれません。
改めて浦沢直樹さんのすごさに触れられそうです。
ありがとうございました。
私なんかが言うのも何ですが、子育て頑張って下さいね!

お礼日時:2008/08/06 02:23

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