準・究極の選択

ウイルスとは、はたして
生き物なんですか?

A 回答 (9件)

 細かいことですが、英語でlifeとorganismが明確に区別されている、という記述には違和感があります。


 明確に使い分けられている、というのは、明確に定義付けがされていないと無理な話でしょう。生命の定義は「生物が持っているモノ」、生物の定義は「生命を持つモノ」みたいな循環参照状態になっているのは言語圏を問わないはずです。
 従って、英語圏ではlifeとorganismが明確に使い分けられているのが本当だとしても、それは英語圏ではcawとbullとcalfは明確に使い分けられている、というのとあまり変わらない話のような気はします。
 wildlifeは普通"野生動物"または"野生生物"と訳しますが、まあ日本語の方が混同しているからだ、と言えばそれまでですが、"野生の生命"と訳すのは違和感があります。wildlife preservesは"野生動物保護区"ですが、英語圏ではこの言葉はライオンやキリンやゾウなどの具体的な「生物」ではなく、この言葉をもっと抽象的な"生命の保護区"みたいなニュアンスで使っているのかといえば・・・そうではない気がしますよ。
 そんなに明確な区別はしてないんじゃないでしょうかね、英語圏でも。

 まあ余談はともかく、ウイルスが境界線上にいる、というよりこれまでの生物の概念から外れる特徴を有しているのはこれまでの回答にあるとおりの事実です。リケッチアまで議論の対象にするのは行きすぎだとは私は思いますが。
 リケッチアまで"境界線上"に入れるというのは、代謝を行うことや細胞を構成要素とするだけでなく、完全に他者に依存しない増殖能力を持っていないと生物ではない、という理屈になるでしょう。
 なら、寄生虫の中にも増殖や発育を特定の宿主に依存しているモノ(少なくとも宿主の体外では増殖あるいは発育できないモノ)は多くいますが、それらの立場はどうなる?

 結局、生物界の全てを知っているヒトなんて存在しないわけです。どんな学者も自分の専門分野のことはよく知っていますが、専門外のことは素人同然か素人に毛が生えた程度しか知りませんから。
 なので生理学者が「生物の定義は?」という問いに答えれば、当然その定義には「代謝系を持つこと」が入るでしょう。つまり生理学者にとってはウイルスは生物ではない、ということです。というより"知ったことではない"といった方が正しいでしょうが。
 細菌学者にとってウイルスはプラスミドに殻が付いたモノ程度にしか認識していないかもしれません。
 全ての分野を網羅する会議でも開催して「生物の定義とは」みたいな議題を設定すれば、曲がりなりにも一定の結論は出るでしょうが、そんな"くだらない"会議に集まる学者がどれだけいるか・・・みんなそんなにヒマじゃないですよね?

>ウイルスが生物か否かについて人から答えを得ても,それだけでは何の価値もありません。最も重要なのは,ウイルスとはどのようなものなのかを理解することです。それが出来れば自ずと質問者ご自身の答えも得られるかと思います。

 ここは激しく同意です。
 結局、結論はこういうことのようですね。
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No7様に同意です。



ウイルスが生物が非生物か、正解は無いと思いますし、
どっちだと決めたところでどうなるということでもないと思います。
結局、どう定義するのかというだけです。

サイエンスとしては、ウイルスがどういうものか理解することが重要であり、生物か非生物かは哲学的であると思います。

あるバンド(音楽の)のカテゴリー分けを「ロックバンド」なのか「J-POPだ」、いや「ラップだ」とどれが正解なのかといっているように思います。

難しい話は無しで。
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Wikipedia の「生命」の項が引用されていましたので,一応,補足をしておきます。


Wikipedia には別に「生物」の項があり,質問者さんのいう「生き物」という表現はこちらにより近いかと思います。この日本語版では「生物と非生物の境界領域にウイルスやリケッチアがある」とある点は踏まえておくとよいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9
日本語では「生命」と「生物」は同じ「生」の文字を含んでいることもあって混同されがちですが,英語では "life" と "organism" として明確に区別されています。
そして,Wikipedia の "organism" の項目には "many sources propose definitions that exclude viruses and theoretically-possible man-made non-organic life forms" (「多くの資料では,ウイルスと理論的にあり得る人間が合成した非有機物性の生命体を除く定義を提唱している」程度の意味)とあります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Organism

もちろん質問者様は日本人でしょうから,英語圏での考え方に引きずられる必要はありません。

しかしおそらくウイルス学者の方とも意見を共有できると思いますが,ウイルスが生物か否かについて人から答えを得ても,それだけでは何の価値もありません。最も重要なのは,ウイルスとはどのようなものなのかを理解することです。それが出来れば自ずと質問者ご自身の答えも得られるかと思います。
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 No.3のJagar39です。



 生命の本質は何か、ということを突き詰めて考えた場合、「代謝」がそれであるという考え方は、既に100年前の議論でしょう。「生命現象」の本質そのものであるとは今でも言えると思いますが。
 このような議論(このサイトでは"議論"は禁止されていますが、質問そのものが議論性を内包しており、この質問に対する回答が「どのような"議論"が成立するか」であると思いますので、ご容赦していただけると思います)でWiki程度の文章を引用するのはあまり適切ではないとは思うのですが、ちょうど良い文章を見つけたので引用します。

>生命(せいめい)とは、生物が生物として自己を維持、増殖、外界と隔離する活動の総称であるが、はっきりとした定義を与える事は難しい。またある意味では、自己複製を繰り返し、かつ変化しうる存在で有るとも考えられる。この場合細胞も、代謝でさえも必要では無く、既存の生物にとらわれる事無く生命の基本的性質を議論する事が可能になる。
 (以上 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E5%91%BD より引用)

 この文脈では、ウイルスこそが生命の本質そのもの、という見方もできます。ウイルスそのものは代謝をしませんが、代謝系を全て宿主細胞に肩代わりさせているだけで、ウイルスの複製には代謝系が必要であることには変わりありません。
 「自己増殖する」ことが生命の本質であるとするならば、その代謝系を他者(宿主細胞)に肩代わりさせているからといって「ウイルスは生命ではない」ということにはならないとは思います。

 生命の本質は自己増殖子(核酸)であり、動植物が持っているような「身体」(もちろん単細胞生物の細胞も)は、自己増殖子の乗り物に過ぎない、という生命理解は前世紀後半に提唱されて、現在でもある程度受け入れられていると認識しているのですが(私は進化論では多数派になっていると認識しているのですが、そのあたりは門外漢なのでそこまでは言いません)、その生命理解観に立てば、ウイルスはやはり「生命の本質そのもの」と考えられるでしょう。
 少なくとも、このような生命観が現在では完全に否定されているのならともかく、そうでない以上は「ウイルスは非生物」というステートメントが生物学では支配的、とは言えないでしょう。

 現在我々が知っている地球上の生命だけを「これは生物、これは非生物」と分類すれば良いだけなのでしたら、ウイルスは非生物であるという「分類」をしても、それで世の中が変わるわけではありませんから"どうでも良い"のです(それでもウイルスはバイオハザードでは最重要に変わりなく、定義がどうあろうと「生物」として扱われるでしょう)。
 しかし、地球上の生命探索や生命の起源などの「生命の本質」を研究する上では、ウイルスを非生命とすると、その生命の本質が見えなくなると思います。
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ウイルス学が生物学の微生物学の一分野であることは,ウイルスを生物に含める根拠にはなりません。

単なる歴史的経緯ということもありますし,ウイルスは部分的には生物の特徴を持っており,宿主細胞の生命活動を利用しますから,生物学の中で扱うことに問題はありません。

また生物を定義する際に重要視されるのが,「生きて」いることです。生物学的に「生きる」ということを突き詰めていった結果,「生きる」という現象は「代謝」として理解されてきました。ですから「代謝」を行わないものは生物とは言えません。

また,「自己増殖」を重視するのであれば,宿主の代謝系によって複製されるウイルスは「自己増殖」するとは呼べませんので,この点でもウイルスは生物とは認められません。

ただし「そもそも『ウイルスは生物か非生物か?』という議論自体が無益」という見解には部分的に同意できます。少なくともウイルス学にとって,ウイルスが生物であるかどうかは関係ないからです。あえて「生物の仲間にウイルスがいる」という必要はなく「ウイルスというものがある」ということさえわかっていれば十分でしょう。
一方で地球外生命の探索や,生命の起源,生命の合成を研究する場合,生物の定義が必要になってきます。そうして作られた近年の生物の定義ではウイルスは生物には含まれません。
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普通の生物は細胞が形態の単位とされています。

おそらくウイルスは細胞が単位である単細胞の遺伝子が変化(進化)してついには粒子になるに至ったものだと思います。ウイルスが生物かどうかという疑問は、この粒子だけをウイルスと考えることから出てくるものだと思います。ウイルスはほかの生物の細胞の中で粒子から抜け出して核酸の形で共生しています。細胞の中にはいれないで粒子のままでいればいずれ崩壊してしまうと思います。中には細胞の中に入っても粒子になることばかり行うウイルスもいるようですが、こういうウイルスは新しい細胞に出会う確率が高いものなのではないでしょうか。私はウイルスはやはり生物だと思います。
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 ウイルス屋です。


 私の認識では、逆に「一般的には生物として扱われているが、一部の人が非生物として扱いたがっている」です。
 ウイルス学は微生物学の一分野ですし、ワクチンはウイルスに対するものも最近に対するものも共に「生物学的製剤」と呼ばれます。
 そもそも世の中の人々の99%は、細菌とウイルスの違いすら知らずに「インフルエンザのばい菌」などという表現で会話をしているわけです。
 他の生物とはいくつか根本的に異なる点はありますが、現実的に世の中(専門界も含めて)はウイルスを生物として扱っていますし、そのような扱いをしないと世の中は上手く回りません。

 医学部や獣医学部で、ウイルスを微生物学ではなく毒性学の講義で教えますか?
 ウイルスは生物ではないのなら、バイオハザード対策の対象からウイルスを外しますか?(その場合、ウイルスはケミカルハザード対策の対象にするのかな?)

 ウイルスは核酸を遺伝子に持っています。DNAではなくRNAを遺伝子に持つウイルスも多々あるという点が他の生物と決定的に異なる点ですが、ともあれ核酸を遺伝子に持っています。
 で、そのDNAなりRNAのコドンのコード(3つの塩基でどのアミノ酸を指定するかの対応表)は、ウイルスからヒトに至るまで、地球上の全生物で"ほぼ"同じです。
 ATGがメチオニンを指定することそのものには必然性はないので、ほぼ全ての生物でATGによってメチオニンが指定されているということは、地球上の全生物は共通の祖先を持つことを意味していると考えられています。
 つまり、インフルエンザウイルスも人間も、何十億年か遡れば共通の祖先に辿り着くというわけです。

 「核酸を遺伝子に持ち自己増殖するもの」が生物の定義で問題ないように思うのですが。
 代謝しなければ生物ではないとか実体(細胞?)がないと生物ではない、などという定義は人類がウイルスの存在を知る前(つまり遺伝子の正体も知る前)にされたものでしょう。そんなものに未だに縛られることもないように思います。

 ともあれ、ウイルス屋はウイルスを生物として扱っていますし、そもそも「ウイルスは生物か非生物か?」という議論自体が無益だと思っています。現にウイルスは生物としての振る舞いをしていますし、我々は生物として扱っており、それで社会が機能しているというわけです。
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ウイルスの研究者の間ではウイルスを生命として扱いたがる傾向があるようですが,一般には生物には含めません(ただし歴史的な経緯もあり,ウイルス学は微生物学の一分野となっています)。


私自身も同じ考えで,ウイルスを生物に含めることはできないと考えております。

ウイルスが生物かどうかで議論が分かれる理由はいくつかありますが,生物の定義について研究者の統一見解が得られていないことがあります。
しかし私が以前に調べた範囲では,ウイルスを生物に含めた妥当な定義は存在しませんでした。
これはウイルスを生物に含めようとすると生物の定義にどうしても無理が出てしまうためと思われます。例えば,ウイルスを生物に含めるような定義を作ろうとすると,コンピュータウイルス(のプログラム)や地球,といった(少なくとも多くの生物学者には)生物と認められないものまで生物に含めざるを得なくなってしまいます。それはそれで構わないという人も当然いますが,多数派ではありません。

逆にウイルスが生物であると主張する人たちは,生物の定義に触れていないようです。むしろ「ウイルスは生物の特徴の一部を持っている」ため,ウイルスは生物(または生物と無生物の中間)だと主張されます。
しかしこの主張を裏返せば,「ウイルスは生物の特徴の一部を欠いている」ということになり,やはりウイルスは生物ではないとするべきです。

ウイルスの有する生物的な特徴としては,遺伝子として核酸を持ち,増殖することが挙げられます。これはウイルスが「進化できる」ことも意味しているため,特にウイルスを生物として扱う理由に挙げられます。
しかし進化という現象はコンピュータプログラム上でも再現可能であり,それだけで生物の定義とするのは不適切です。
一方で,ウイルスは宿主の細胞外ではウイルス粒子の形をとりますが,この状態では代謝を行いません。すなわち,ウイルス粒子は「生きて」いないのです。しかも宿主の細胞内ではウイルス粒子はは解体され,遺伝子や酵素が宿主の細胞内にとけ込みます。この状態ではウイルスは明確な実体を持たないため,やはり「生き『物』」とは呼べません。
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定義によります。



以前、冥王星が惑星か否かという話が話題になり、結局惑星から外されましたが、これも定義の問題ですね。それと同じです。
ただし、普通は生物であるという認識が一般的です。
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