No.5ベストアンサー
- 回答日時:
IUPACの定義によれば、
電気的に中性な「2つ以上」の原子からなるモノ(entity)
が分子です。
http://dx.doi.org/10.1351/goldbook.M04002
この定義に従うと、「1つの原子からなる分子」というものはありえないので、「『単原子分子』という言葉は誤用」になります。中学校では、この点ではIUPACの定義に忠実な教え方をしていて、ヘリウムは鉄や塩化ナトリウムと同様に、分子をつくらない物質に分類されます。
しかし、岩波理化学辞典第5版の「分子」の項には
1個の独立の粒子として行動すると考えられる原子の結合体をいう.1個の原子でも化学的に不活性で独立の粒子として行動する場合(希ガス原子)は分子である.
とあります。この定義では、単原子分子(ヘリウムなど)は分子としてみなされています。
> 単原子分子(ヘリウムなど)は分子としてみなされるべきなのですか?
どっちでもいいです。その場にいる一番エラい人の言うことに従って下さい。
> 銅や鉄は1つの原子でも,その性質を示すので単原子分子ではないのですか?
銅や鉄を単原子分子という人はあまりいないです。理化学辞典の定義によれば、少なくとも水銀蒸気は単原子分子と言えるので、銅の蒸気や鉄の蒸気も単原子分子と呼んでも間違いではないはずなのですが。
> 銅や鉄は1つの原子でも,その性質を示す
この部分も決して間違いではないのですけど、誤解を招きやすい表現だと思いますので、使わない方がよいでしょう。「その性質」と言った時に、物質の融点や電気伝導性など、原子や分子が集まることによってはじめて現れる性質を思い浮かべる人が多いからです。
なお、「学術用語集」に収録されている用語であっても、無批判に使ってよい用語であるとは限らないので注意してください。たとえば、学術用語集 物理学編(増訂版)に収録されている
グラム原子、カイザー【波数の単位】、モル比熱、Avogadro number、
などの用語は、少なくとも化学の分野では、現在では使わない方がよいとされている用語です。
No.6
- 回答日時:
「単原子分子」という言葉が学術用語集に載っていることは承知しています。
「分子場近似」という言葉も学術用語集に載っています。分子場近似はワイス近似ともいいます。ワイスは強磁性体の相転移を説明するために分子磁石というイメージを出したのです。分子場近似という言葉はココから来ています。この「分子磁石」は単にミクロの磁石という意味以上のものではありません。物質としての分子とは一切関係がないものです。
どちらも統計力学の分野での用語です。
ありがとうございます.
分子場近似を知らないので細かいことはわかりませんが,分子とは関係ないのですね.
これからもよろしくお願いします.
No.4
- 回答日時:
分子とは、電気的に中性な「1つ以上」の原子からなる「物質」のことを指します。
分子は「物質」の最小単位のことであり、あくまでも「物質」なんですね。銅や鉄も、高温にすると、結晶や液体ではいられなくなり、「分子」を作るコトは作ります。中学校での話は、ある意味では方便です。
単原子分子は、原子1つで「物質」の性質をもっているモノを指します。当然、ヘリウムなどは分子ですね。
なお、日常見かける単体の 銅、鉄 や 塩化ナトリウム は、「原子」ではなく「イオン」の形で存在しているので「分子」の概念は持ちません。金属結晶は、陽イオンと「自由電子」から成り立っています。
アンモニアは分子ですが、アンモニウムイオンは分子ではないんですね。それと同じです。
なお、用語としての「単原子分子」をなぜか否定している回答がありますが、「学術用語集」にきちんと収録されている「科学用語」です。
http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/detail.cgi?FILE …
http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/detail.cgi?FILE …
文科省に喧嘩を売るのはやぶさかではないのですが、日本物理学会や分光学会には私は従うコトにしているので。
No.3
- 回答日時:
「単原子分子」という言葉は誤用です。
分子はあくまで2つ以上の原子が結合してできるものです。
単体気体の粒子が原子の複合体であるという考えを出したのはアボガドロです。これがアボガドロの分子説と呼ばれているものです。当然He,Ne,・・・はその当時発見されていませんでした。He,Ne,が発見されてから後、分子の定義が変更されたということはないはずです。
あなたの考えは正しいです。
分子とは何かということに無頓着な物理の分野の人が気体分子運動論の中で使い始めたものだろうと思います。特に気体の比熱の表現に絡んででしょう。2原子分子、3原子分子、・・・を逆に辿ってHe,Ne,Ar、・・・に対して1原子分子という表現を使い始めたのです。
これに化学の人が追随しているのです。
物理の人は平気でNaClの分子という表現を使いますから困ります。NaClという表現に対して分子式という言葉を使っているのも見かけます。キッテルの固体物理の教科書歯よく知られた本です。その中の「イオン結晶」の章の中でもNaClにたいして分子という言葉を使っています。
以前、「分子場近似」という言葉がよく使われていました。磁性体、誘電体などの相転移の分野です。現在はさすがにおかしいということに気がついたのか「平均場近似」という名前に変わっています。分子という実体に無関係に「分子」という言葉を使っていたことがあるのです。
手元にある物理化学の本を見て見ました。単原子分子、一原子分子という言葉は出てきません。「一原子気体」という言葉は出てきます。
ありがとうございます.
1つの原子で分子と言うのはないのですね.
物理から生まれた言葉が時々顔を出すぐらいですね.
これからもよろしくお願いします.
No.2
- 回答日時:
鉄や銅は1つの原子でその性質を示しているわけではないんです。
イメージすると分かりやすいと思うのですが、分子というのは、いくつかの原子がむぎゅっとひっついた状態です。そしてそのひっついた状態でふらふら動いているのです。単原子分子と言われるものは、原子一つだけでふらふらしてるわけです。鉄や銅はというと、常温においては原子は多数が結合した状態で居るので、単原子分子とは言えないわけです。
ありがとうございます.
金属は原子がいくつかくっついて動いているので単原子分子とはいえないのですね.
これからもよろしくお願いします.
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