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アルコールが、分子量が同程度のアルカンに比して沸点が高い理由と水に溶けやすい理由を教えてほしい

A 回答 (1件)

アルコールはヒドロキシ基を持っています。


例えば、メタノール CH3-OH、エタノール、CH3CH2-OH の-OHにあたる部分です。
通常の化学式では ”-” は無いのですが、OHを強調するため敢えて -OH と記述しました。

この ヒドロキシ基 について 酸素O は電気陰性度が高く水素側から電子を強く引きつけ負の電荷を帯びます。(厳密に言うと反対の炭素側からも少し電子を引き寄せてはいます。)
ヒドロキシ基の水素は、酸素Oに電子を引き寄せられた分、正電荷を帯びます。
アルコールは分子内に、正電荷と負電荷の部分が存在する電荷の偏りが存在することになります。

一方水の分子H2Oは、酸素を中心に、H-O-H という構造になっており、酸素を中心に両側の酸素が 104.5° の結合角を持っています。
水分子の酸素Oも、電気陰性度が高いため、両側の水素から電子を引き寄せており、酸素原子が正電荷に、水素原子が負電荷という具合に、同じ分子内で電荷の偏りを持っています。

アルコール分子内のヒドロキシ基の電荷の偏りと水分子内の電荷の偏りがクーロン力で引きつけあいます。
ヒドロキシ基の酸素原子 が、周囲に存在する幾つかの水分子の水素原子を引きつけ、ヒドロキシ基の水素原子が周囲にある幾つかの水分子の酸素原子を引きつけるため、アルコールは水に溶けやすくなっています。
また、このような水素原子と酸素原子による分子の結合を、水素結合 と呼びます。
水素結合があるため、アルコールのヒドロキシ基は水分子と結びつき易い親水基と呼ばれ、 他の部分、CH3- や CH3(CH2)n-OH の CH3(CH2)n- は疎水基と呼ばれます。

アルカンは、例えばエタンC2H6分子量30 メタノールCH3OH分子量32 ですが、分子内で電荷が正負の偏りがなく電気的に中性です。
アルカンが固体になる時は、電気的なクーロン力で分子同士がくっついて固体いるのですが、それは極僅かな量子力学的な電子のゆらぎが分子内で発生してアルカン分子同士を結びつけて固体となります。
このような結合をファンデルワールス結合やファンデルワールス力と言います。

一方、アルコールや水は、分子内に存在している電荷の偏りにより、水素と酸素が結びついて水素結合により固体となります。
水素結合によって固体となりますし、液体状態でも前述のように酸素の近くに完全に固定されていないけれども、水素原子が存在しているような状態になっています。

水素結合とファンデルワールス結合との強さは、圧倒的に水素結合が強いです。
そのため、分子間にファンデルワールス結合しか働かないアルカンよりも、水素結合が働くアルコールの方が同程度の分子量なら沸点も融点も高くなります。
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